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期分け・78
- 2014-01-08 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・78】今回から「ゆっくり長く走るトレーニング」を取り入れた具体的なトレーニング計画を考えていきますが、既に説明してきたとおり、このトレーニングの目的は、「スタミナ(持久力)を養成していくために必要な基礎部分(土台)を構築していく」ことです。まずは、この点を再確認した上で下記のトレーニング計画を参照して下さい。
◆週間トレーニング例1:月/◎、火/◎、水/90分~120分LSD、木/◎、金/◎、土/◎、日/120分~180分LSD。◆週間トレーニング例2:月/◎、火/90分~120分LSD、水/◎、木/90分~120分LSD、金/◎、土/◎、日/120分~180分LSD。◆週間トレーニング例3:月/◎、火/◎、水/90分~120分LSD、木/90分~120分LSD、金/◎、土/120分~180分LSD、日/120分~180分LSD。※◎=LSD以外のトレーニング。
以上、大きく3つの週間トレーニング例を記載しましたが、、1つ目は週に2回、2つ目は週に3回、3つ目は週に4回と、LSDを実施する回数が異なります。また、◎と表示してある日は走力によって実施する内容が違ってきます。例として軽めのジョギング、ペース走、スピード系のトレーニング等々、実施する内容はそれぞれです。したがって、上記3つのパターンのどれが最も効果的かは、走力によって捉え方もかなり違いが出てくる部分でもあります。
同時に、LSDは走力によってもトレーニング効果の違いが出てくるので、今回は目安としてマラソンで4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーと、3時間突破(サブスリー)を目指しているランナーの視点から考えていきます。
まずは、4時間突破を目指しているランナーについてです。もちろん、それに相当する走力の方やこれからマラソンに挑戦するランナーも参考にして下さい。実は、この走力のランナーにとってのLSDは、「基礎部分(土台)を構築していく」ことが最大の目的になりますが、それ以外の効果も期待できます。
このブログの「期分け・76」に記載した目的1と目的2を読み返して下さい。目的1は、「筋持久力の向上」。目的2は、「ランナー体型への進化」とあります。実は、LSDを実施していくことで、これら2つの効果を体得し易い走力のひとつが、4時間突破を目指しているランナーと考えます。
つまり、マラソンで4時間突破を目指すレベルまでは、LSD中心のトレーニングでも十分に対応可能であるとも言えます。もちろん、個人差があるので、この点は予めご了承願います。
次回も更に考えていきます。
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年末年始
- 2013-12-30 (月)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【年末年始】毎年のことですが、今年もあと少しとなりました。皆様にとってこの1年はどんな年だったでしょうか。マラソンで自己記録を大幅に更新できた人、逆に怪我や故障に泣かされた人…。良し悪しは別にして、この1年も貴重な経験を積み重ねることができたに違いありません。そして、この1年で得た経験を来年以降に活かしてほしいと願っております。
さて、既に年末年始の長期休暇に入っておりますが、ランナーの皆様方におかれましてはこの連休を活用し、充実した走り込みの真只中と思いますが、いかがでしょうか?
かくいう私のチームも毎年恒例となった年末年始合宿を千葉県富津市において実施中です。今年は、12月29日(日)から1月1日(水)までの日程です。合宿内容もここ数年、ほとんど変わりなく、恒例となっております。
◆12月29日(日):午後/35k走。◆12月30日(月):早朝/調整jog、午前/100分jog+1k走、午後/100分jog+1k走。◆12月31日(火):早朝/調整jog、午前/35k走、午後/調整jog。◆1月1日(水):早朝/調整jog、午前/120分jog+1k走。
ポイントは、「ゆっくり&じっくり走り込む」です。
そして、更に重要な目的が、仲間との懇親を深めることです。日頃、練習会等で顔を合わせるチームメートですが、ゆっくり話しをする機会は意外と多くありません。しかし、この年末年始合宿は、それぞれが忙しいスケジュールを調整して集まってきます。
実は、チームメートと言ってもクラブチームなので、それぞれの仕事や生活環境はバラバラです。したがって、マラソンを通じて集まった仲間ですが、語り合う内容は多岐にわたり、まさに異業種交流会のように充実します。
そして、年末年始の短い期間ですが、仲間と一緒に走り込み、大いに語り合うことで、今回も1年分の元気を蓄えることが…。
来年もよろしくお願い申し上げます。
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期分け・77
- 2013-12-25 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・77】前回は、「ゆっくり長く走るトレーニング」の効果について考えました。今回から「ゆっくり長く走るトレーニング」を、どのような頻度で、どのタイミングで実施していくかを考えていきます。
はじめに、毎度のことですが、「ゆっくり長く走るトレーニング」が絶対ではなく、様々なトレーニング方法が存在していることを、まずは再認識してほしいと思います。
既に何度も話しておりますが、「絶対に速くなるトレーニング」は存在しません。つまり、ランナーの数だけトレーニングパターンやノウハウは存在し、どれが正しいとか間違っているかの判断は簡単にできません。更に、「ゆっくり長く走る」ことを真っ向否定し、記録を残しているランナーもいます。もちろん、「ゆっくり長く走る」だけで、5kからマラソンまで全ての自己記録を更新したランナーも実在します。
では、何を目安に判断すれば良いのでしょうか?
ポイントは、「記録の確率(平均値)」です。具体的な例で話しをすると、あるトレーニングパターンを実施することで自己記録を更新したとします。そして、その後も同様のトレーニングパターンを継続し、狙った記録を再びマークできているか否かです。
マラソンは、量や質は別にして、大なり小なり走り込まないと完走すら難しいスポーツです。ところが、マラソンほど当日の天候やコンディションに結果を左右されるスポーツも珍しいと感じます。つまり、たまたま当日の天候やコンディションが良く、たまたま風向きも追い風となり、たまたま同じペースのランナーと競い合い、たまたま自分自身が予想しなかった好記録をマークしてしまう例は意外に多いのです。もちろん、逆もありますが…。
このように、マラソンの記録はトレーニングの量や質に影響される部分と、当日のコンディションに影響される部分とが存在します。そして、私のこれまでの経験からは、マラソンの記録は当日のコンディションに左右される確率の方が、かなり高いと感じます。
だからこそ、マラソンは2回目以降の「記録の確率(平均値)」を見ていく必要があるのです。特に、次の3つについては、ランナー毎に段階(成長)を追いながら確認していく大切な指標になります。
◆指標1:成功した次のマラソンでも目標の記録に到達できたか否か。◆指標2:1年間を通じてコンスタントに目標タイムでマラソンを走れたか否か。◆指標3:2年以上、コンスタントに目標タイムでマラソンを走り続けているか否か。
そして、上記3つの指標を達成するために共通していることは、「怪我や故障をしない身体づくり」となります。冒頭にも記載したとおりマラソントレーニングに絶対はありません。少ないトレーニングでも自己記録を手にすることは可能かもしれません。
しかし、マラソンは当日のコンディションに大きく左右されるスポーツなだけに、安定したパフォーマンスを発揮するためには、どんな天候や状況にも対応可能な「心と身体」が必要不可欠になります。つまり、「ゆっくり長く走るトレーニング」を取り入れることは、それらを強化し、安定したパフォーマンスを発揮するための効果的なトレーニングパターンのひとつになるのです。
以上、前置きが長くなりましたが、あらためて次回からは具体的なトレーニングパターンを考えていきます。
つづく。
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絆・14
【絆・14】12月15日(日)、第44回防府読売マラソンが山口県防府市において開催されました。既にご存知のとおり、公務員ランナーの川内優希選手が、先日の福岡国際マラソンから連続となる「1ヶ月間で2度のサブテン(2時間10分切)」を見事に達成しました。川内優希選手は2位でしたが、優勝したモンゴルのセルオド・バトオチル選手に最後まで食い下がり、持ち前の粘り強さを発揮する素晴らしい内容でした。
レースは、川内優希選手とセルオド・バトチオル選手の一騎打ちとなりましたが、向かい風の強くなった32k過ぎに強烈なスパートで川内優希選手を引き離しました。結果的には、そのままセルオド・バトチオル選手が優勝しましたが、スパート時についた10数秒前後のタイム差をゴールまで持ち込む見ごたえのあるレースでした。
逃げるセルオド・バトチオル選手は何度も後ろを振り返り、追いかける川内優希選手は何度も離れては詰めよる粘りを繰り返し、まるで駅伝のアンカー勝負を見ているようでした。優勝したセルオド・バトチオル選手は自己記録を2分以上も短縮する「2時間9分0秒」。2位で粘り抜いた川内優希選手は「2時間9分15秒」と、2人とも見事なタイムでした。しかし、セルオド・バトチオル選手が惜しくも2時間8分台に突入できなかったのは、すぐ後ろで粘り抜いた川内優希選手が阻止したかのようにも感じました…。
さて、今大会には日本盲人マラソン協会の強化指定選手たちが、はじめて公式出場しました。それも11月後半に同大会出場を緊急決定する強行日程でしたが、大会関係各位のご理解ご尽力により、無事に出場することができました。あらためて御礼申し上げます。
今回の防府読売マラソンには、女子強化指定選手全員がエントリーし、男子強化指定選手はベテラン勢が意欲的にエントリーしました。結果は、女子の道下選手(T12/弱視)が、「3時間6分32秒」の日本新記録をマーク。男子選手はベテラン勢が奮起し、福原選手(T11/全盲)が、「2時間53分8秒」。加治佐選手(T11/全盲)が、「2時間57分42秒」。そして、57歳の新野選手(T11/全盲)が、「2時間59分2秒」と、ベテラン3選手が揃ってサブスリーでゴールしました。実は、このベテラン3選手が揃ってサブスリーでゴールするのは、2007年の京都福知山マラソン以来となります。
これらの好記録の理由として最も大きなことは、今年度から女子の強化指定選手が加わり、強化合宿の雰囲気がより明るく意欲的な空気に変わったことです。その結果、少しマンネリ化になりつつあった男子選手たちも刺激を受け、特に若手選手が意欲的になりました。そして、肩身の狭くなっていたベテラン3選手たちが、強化合宿においても久々に積極的な走り込みを積み重ねるようになりました。
そんな意欲的な取組姿勢が実を結び、今回の結果につながったことは言うまでもありません。そして同時に、今回出場しなかった他の強化指定選手たちへの熱いメッセージとなったに違いありません。来年1月に再び強化合宿を実施し、今回出場しなかった強化指定選手の多くは、2月の別大マラソン、3月のびわ湖毎日マラソンと、ビッグレースへの本格参戦も待っています。
引き続き、皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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期分け・76
- 2013-12-11 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・76】「ゆっくり長く走ることで、スタミナ(持久力)を養成していくために必要な基礎部分(土台)を構築していく」と、前回は話しをしました。今回もその続きですが、はじめに前回記載した「目的1」から「目的3」について、もう少し専門的な説明を加えていきます。
◆目的1:毛細血管の発達。→ スピード系トレーニングのような高強度の運動は交感神経が働いて毛細血管が収縮してしまうため、身体の隅々まで血液が回り難くなる。逆に、ゆっくり長く走ることは、リラックスした運動のため交感神経が活発に働かないので、身体の隅々にある毛細血管に長時間圧力をかけることができる。その結果、筋肉中の血液が流れている毛細血管が増加すると共に血液量も増加する。→ 筋持久力の向上。
◆目的2:エネルギー源としての脂肪利用割合の向上。→ ゆっくり長く走ることで体内の脂肪燃焼効率が高まり、筋グリコーゲン枯渇までの時間が長くなる。即ち、長時間動き続けることができるのでダイエット効果も高まる。→ ランナー体型への進化。
◆目的3:肺活動の効率化。→ 呼吸のとき横隔膜を使うが、スピード系トレーニングの場合、活性酸素が発生し横隔膜が疲労する。逆にゆっくり長く走ると、横隔膜の中に活性酸素を除去する酵素が発生し、横隔膜をより効率的に動かし続けるようになる。その結果、肺の活動が効率的になり、酸素を取り込み全身に送るメカニズムが強化され、長時間動き続けることが可能となっていく。→ 肉体的及び精神的スタミナの養成。
以上のように、ゆっくり長く走ることで、マラソンに必要な基礎部分(土台)を構築していくことができます。だが、一方でレベルの高いランナーにとっては、上記したような効果が表れにくいのも事実です。
しかし、ゆっくり長く走ることは、上記以外にも「疲労回復」を促進する効果もあげられます。「目的1」に記載したとおり、ゆっくり長く走ることで毛細血管が増加し、血液量が増加するため、筋肉に蓄積された疲労物質も効率よく取り除くことが可能となります。
つまり、レベルの高いランナーにとっての「ゆっくり長く走る」は、スタミナの基礎部分(土台)を構築していくより、レース後や高強度トレーニング後の疲労回復を促進したり、身体のコンディションを整える目的の方が大きくなります。それは、「ゆっくり長く走る」ことで、レース後や高強度トレーニングで痛んだ基礎部分(土台)をメンテナンスするようなイメージにもなります。
つづく。
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福岡国際マラソン
【福岡国際マラソン】数々のドラマが繰り返されてきた伝統の「福岡国際マラソン」が、12月1日(日)に開催されました。今年も何かと話題の多い大会でしたが、終わってみれば今回も公務員ランナーである川内優希選手が話題を独占しました。
もちろん、私の選手たち(市民ランナー)も出場したので、今年も現地にて応援してきました。当日のコンディションですが、実はスタート直前まで雨が降っていました。しかし、スタート後は雨もあがり、天候は回復していきました。
また、沿道で応援している感覚では、雨が降っていたときは暖かく感じ、天候の回復と共に気温が下がっていったように感じました。その影響のためか、18k付近で応援したとき、どの選手も発汗が多く、前半で予想以上に体力を消耗しているように感じました。今回、私の選手たちは前半を抑え気味に入ったにも関わらず、気温の影響があったのか、後半は身体が固まって動かなくなったと振り返っていました…。
さて、レース結果はご存知のとおり、川内優希選手が中盤以降に見せた粘り強さばかりが目立つ内容でした。多くのマスコミや陸連関係者のコメントも川内優希選手を絶賛するものが多く、まさにそのとおりと感じる内容でした。
実は、今回の招待選手の中に松宮隆行選手の名前もありました。松宮選手は、5000mと30kの日本記録保持者で、北京五輪の5000mと10000mの日本代表選手です。つまり、日本最強のスピードランナーでもあります。しかし、今回の結果も含め、いまだにスピードを活かしたマラソンに移行できていません。
一方の川内優希選手は、どちらかと言えばスピードはなく、スタミナと自分自身の経験を頼りに粘り抜いていくマラソンを貫いています。まさに日本人気質である職人です。近年のマラソンは、黒人選手の台頭で驚異的に記録がのびています。その影響もあり、実業団関係者や他のマラソン関係者も口をそろえて「まずはスピード強化」と、コメントしております。しかし、そのコメントとは裏腹に、スピードを手にいれたランナーたちのマラソン挑戦は必ずしも成功しているとは言えません。
古い話しですが、1980年代から1990年代に活躍した児玉泰介選手や谷口浩美選手をはじめ当時のサブテンランナーの多くが、10000mは28分台半ば、5000mは13分台後半と、今の箱根駅伝常連大学のエースレベルにも届かないスピードでした。しかし、マラソンは川内優希選手のような粘りを身上とした職人気質に満ちたマラソンが多く、世界をリードしていました。
日本のお家芸であるマラソンは、今も昔も何かと話題になるスポーツですが、世界のスピード面ばかりに目が行き、日本人が本来得意とする「粘り強さ」が失われつつあるようにも感じます。そして、川内優希選手の時代に逆行するようなスタイルでの頑張りは、そんな日本人選手たちへの強いメッセージとも感じました…。
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期分け・75
- 2013-11-27 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・75】今回は、走り込みに必要な「時間走」について考えていきます。はじめに、前回まとめた時間走のポイントを振り返ります。
◆時間走:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり長く走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。
以上のように、ゆっくり長く走り続けることが大きな特徴であり、重要なポイントとなります。また、「ロングジョグとLSDとの違いは?」、「ゆっくりとは?」との質問を受けることが多々ありますが、ランナー毎の走力によっても相違があります。そのため、心拍数でペースを管理したり、1kあたりのペースで管理するランナーもいます。
しかし、あまり神経質になると、今度は「ゆっくり長く走る」ことが、逆にストレスになってしまいます。したがって、どのランナーにも共通する目安として「楽しく会話のできるスピード」が、効果的でわかり易いので推奨します。もちろん、マラニックも同様です。
更に、「長くとは?」との質問も多いのですが、これについてもランナー毎の走力によって違ってきます。初心者の場合、30分から40分程度しか走れない方にとっては、60分でも長くに該当します。もちろん、マラソンを何度も完走した経験のある方なら2時間から3時間以上も走り続けることは可能でしょう。
このように、ランナー毎の走力によって「ゆっくり長く走る」ことの捉え方は、多少の相違があります。しかし、どのレベルのランナーにも共通した目的や狙いとしては、次のことがあげられます。
◆目的1:ゆっくり長く走ることで、筋肉内の毛細血管を発達させる。→ 筋持久力の向上。◆目的2:ゆっくり長く走ることで、体脂肪の燃焼(ダイエット)。→ ランナー体型への進化。◆目的3:ゆっくり長く走ることで、長時間への耐性強化。→ 肉体的及び精神的スタミナの養成。
実はこれら3つの目的は、マラソンに必要なスタミナ(持久力)を養成していくためのスタミナ(持久力)養成となります。ちょっとわかり難い表現ですが、家に例えると、基礎部分(土台)に相当します。この基礎部分(土台)がしっかりしていないと、どんな立派な家をその上に建てても地震や強風で倒れてしまいます。
同様に、マラソンを攻略していく上でもこの考え方は同じです。「ゆっくり長く走る」ことで、マラソンに必要なスタミナ養成していく上で必要不可欠な基礎部分(土台)を構築していくのです。
つづく。
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横浜国際女子マラソン
【横浜国際女子マラソン】本格的なマラソンシーズン開幕の先頭をきって、「横浜国際女子マラソン」が、11月17日に開催されました。今年から参加標準記録も「3時間15分以内」に緩和され、招待選手13名と328名の女性ランナーがエントリーしました。
しかし、当日のコンディションは、気温が20度近くになったのと、海からの風が強かったことも影響し、記録的には低調な結果でした。また、その結果に対する日本陸連関係者やマスコミ関係のコメントは日本女子マラソン界に対する危機感をあらわにする内容が多かったように感じました。
実際に私も現地の沿道で選手たちの応援とサポートをしましたが、私の選手たちも(市民ランナー)、全員が厳しい結果となりました。マラソンはゴールタイムが全てであり、ある意味残酷なスポーツでもありますが、今回の結果を素直に分析し、次回以降のマラソンに活かしていきます。
さて、若手選手の台頭が期待されている日本女子マラソン界ですが、今回の横浜国際女子マラソンにエントリーした年齢構成を簡単にまとめると次のようになります。◆招待選手:合計13名、29歳以下=4名(31%)。◆一般参加選手(ほとんどが市民ランナー):合計328名、29歳以下=25名(8%)、30歳代=106名(32%)、39歳以下合計=131名(40%)。
いかがでしょうか?
この数値をどのように判断するかは個々の捉え方になりますが、女性市民ランナーの29歳以下はたったの25名で、全体の8%にすぎません。私自身は、女性市民ランナーのマラソンコーチをするようになって10年以上になります。この間の主要国際女子マラソンのほとんどは現地にて応援してきましたが、参加している女性市民ランナーのメンバーはほとんどかわっていない印象を持っていました。上記の数値は今回の横浜国際女子マラソン大会に限ったデータですが、私自身の印象を裏付けるデータのひとつにも感じます。※サブスリーを達成している29歳以下の女性市民ランナーは極めて少数となっている。
また、日本マラソン界に、とても大きな波がおきました。それは、2007年の東京マラソンをきっかけにはじまった「ランニングブーム」です。最近では、全国各地のマラソン大会でエントリーすら難しい状況となっており、ますますブームに拍車が掛かっています。しかし、実際にはランニング人口の増加が、日本マラソン界のレベルアップにはリンクしておらず、逆にマラソンのレジャー化が進んでいる状況と感じます。更に厳しい見方ですが、上記の数値は、ランニングブームが女性市民ランナーのレベルアップにも影響を与えていないとも読み取れます。
ここで、女子マラソン日本歴代10傑の記録を確認してみます。日本記録は野口みずき選手が2005年のベルリンマラソンでマークした「2時間19分12秒」です。高橋尚子選手が世界初の2時間20分を突破したのも2001年のベルリンマラソンでした。その記録を渋井陽子選手が破ったのも2004年のベルリンマラソンです。そして、日本歴代10位も大南博美選手が2004年のベルリンマラソンでマークした「2時間23分26秒」です。
ベルリンマラソンばかりが目に付きますが、実はランニングブームがはじまった2007年以降にマークされた日本歴代10傑以内の記録は、2012年の大阪国際女子マラソンで重友梨佐選手のマークした「2時間23分23秒」だけなのです。それも歴代9位です。この実態からも長期低迷期に入っていると言えます。
以上のように日本女子マラソン界が厳しい状況なのは、私も間違いないと感じます(女性市民ランナーの底辺も含め)。もちろん、他にも様々な要因が重なっていることも事実です。また、私のような単なる市民ランナーを指導する者が偉そうに言うことではありませんが、男子マラソンの川内優希選手のような女性市民ランナーを発掘・育成していくことは、日本女子マラソン界復活にも必要不可欠と感じた横浜でした…。
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期分け・74
- 2013-11-12 (火)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・74】今回から「ペース感覚(走り込み)」のポイントとなる「時間走」と「距離走」についてそれぞれ考えていきます。
はじめに、それぞれの特徴をシンプルにまとめてみます。
◆時間走1:走り続ける時間を決めてスタートする。そのため、どんなに速く走ってもゆっくり走っても終わる時間は同じであり、走るスピードに目的を左右されない。つまり、同じ時間内での走行距離が多い少ないが重要な要素ではない。◆距離走1:走り続ける距離を決めてスタートする。したがって、速く走った場合と遅く走った場合ではゴールタイムに違いがでてくるため、設定ペースによって目的が左右される。つまり、同じ距離の場合、設定ペースが重要な要素となる。
次にもう少し別の見方をすると…。
◆時間走2:最初はゆっくり走りだし、調子が良くなってビルドアップしても走り続ける時間は同じ。すなわち、ペース設定はそれほど重要ではなく、途中で速くなってきた場合は再びペースを落とし、目的の時間を走り続けられるペースに戻すことがポイント。場合によっては、意図的にランニングとウォーキングを交互に繰り返す場合もある。◆距離走2:ペース設定によってトレーニング強度が大きく左右されるため、スタート前にどんなペースで目的の距離を走り切るかを決めることがポイント。すなわち、場当たり的なペース設定でスタートし、後半ペースダウンしたり、歩き出したりすることは目的から大きく逸脱することになる。
以上のように「時間走」と「距離走」ではポイントが微妙に異なり、更にまとめると次のようになります。
◆時間走3:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。◆距離走3:ペース設定や走行距離を重視する。それによって強度も変化するため、計画した距離を設定どおりに走ることが目的となる。比較的短い距離も含めたペース走やタイムトライアル、場合によってはレースもこれに該当する。
次回も更に考えていきます。
つづく。
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絆・4
【絆・4】平成24年度最後の盲人マラソン強化合宿を3月2日(土)から1泊2日の日程で実施しました。合宿開催場所は、いつもの千葉県富津市です。今回の強化合宿は、毎年恒例となっている「千葉県民マラソン大会」、10kの部にも出場しました。
そして、今年も大会関係の皆様方のご理解とご尽力により、特別招待選手として出場させていただきました。もちろん選手たちにとっては、マラソンに対するモチベーションを高める絶好の機会となりました。あらためて大会関係の皆様方に対し、厚く御礼申し上げます。
今回の同大会には3名の全盲選手が出場しました。北京パラリンピック日本代表選手の新野正仁選手、加治佐博昭選手と、期待の若手選手である谷口真大選手です。特に、谷口選手については、このブログで何度か紹介した選手でもありますが、今回も「34分46秒」の自己新記録でゴールし、世界へ更に一歩近づきました。
さて、仕事や家庭との両立が原則となる市民ランナーの方々からレース後によく次のような発言を耳にします。「〇〇が無いから走り込めなかった」、「〇〇が忙しかったから走り込めなかった」、「〇〇の予定が急に入ったから走り込めなかった」、等々…。皆さんは、いかがでしょうか?
実は、視覚障害者マラソン選手たちも同じように、「伴走者がいないから走れない」、「誰に伴走をお願いして良いかわからないから走れない」、「伴走者が急にキャンセルしたから走れない」、等々、同じような愚痴を良く耳にします。
谷口選手もかつては全く同じようなことを口にし、自らの行動が伴わない選手のひとりでした。ところが、昨年の2月ごろからロンドンパラリンピックを意識するようになり、谷口選手自身の発言や行動が前向きに変化していきました。
しかし、ロンドンパラリンピック代表には、あと一歩及びませんでしたが、その後も積極的な行動で、トレーニングやトレーニング環境を自ら追い求める姿勢をより強くしていきました。具体的な変化として、合宿やレース後はもちろん、日ごろから伴走者たちに対し、「〇月〇日は伴走をお願いできますか?」、「〇月〇日は練習に伺ってもよろしいですか?」、「〇〇大会で自己記録を狙うので伴走をお願いできますか?」、等々、間髪入れずに積極的な発言と行動で伴走者を確実にゲットし、それに伴って記録もグングンのびてきました。
※谷口選手は今大会の翌週にあたる3月9日(土)には、再び単独上京して我々の業界では有名な熱血伴走者と、マラソン特訓を実施予定です。
物事に対して、「積極的になりなさい」と、誰もが一度は耳にしたことがあり、理解もしています。ところが、それを行動に移すことは意外と難しく、できない理由ばかりを並べてしまうものです。特に、単調で変化の少ないマラソンにおいては、その傾向がより強いと感じます。
かくいう私も発言と行動が伴わない典型的なダメ選手でした。しかし、新年度からは谷口選手のように前向きな発言と行動を意識し、選手強化のお手伝いをしていきます。
引き続き、皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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