Home > マラソン大会
マラソン大会 Archive
別府大分毎日マラソン
【別府大分毎日マラソン】先日の2月1日(日)に開催された伝統の別大マラソンに、今年も応援に行くことができました。選手でもない私のような立場でも一緒に現地の雰囲気を味わえることは、本当に幸せと感じます。あらためて、選手たち(市民ランナー)に感謝です。
さて、伝統の別大マラソンは市民ランナーや女性ランナーにも間口を広げ、すっかり定着してきました。その結果、「新人の登竜門」と言われてきたこの大会に相応しいかたちで復活してきたと感じます。
この大会は、2010年大会の2時間20分以内完走者数は22名、2時間30分以内完走者数は39名、更に2時間40分以内完走者数は160名でした。ところが、女子の部が設定された翌年の2011年大会は13名、40名、147名と、それぞれの記録別完走者数は部分的に減少しました。
もちろん、マラソンの記録は当日のコンディションに最も左右されるので、各大会を単純に比較することはできません。しかし、上記の記録別完走者数で比較すると、2012年大会以降については、どの大会も2010年の実績を上回る成果を残しています。
特に、今年の大会は2時間40分以内の完走者数が、189名と2010年以降最高となっていました。これは一般市民ランナーも含め、本当の意味で日本男子マラソンの底辺拡大に貢献している大会に進化しているからと強く感じます。
日本の男子マラソンについては、公務員ランナーの川内優輝選手が登場したのをきっかけに、一般市民ランナーの中からもストイックに走り込むランナーが増えてきました。その結果、この数年の間に底辺の厚み(※)も一気に増してきました。それに伴い、サブテンランナーの数も増加に転じています。※2時間20分から2時間40分相当の男性市民ランナー
一方の女子マラソンについては、一般市民ランナーからの突き上げ(※)も薄く、この点は女子マラソンの低迷に多少なりとも影響していると感じます。今回の別大マラソンでも女子の部は盛り上がりに欠け、全国へテレビ中継しているにも関わらず、話題性もほとんどありませんでした。※2時間40分から3時間00分相当の女性市民ランナー
私は偉そうに言える立場ではありませんが、特に同じ練習会で切磋琢磨している市民ランナーたちのモチベーションがもっと上がればと、今回の別府大分毎日マラソンで強く感じました…。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
大阪国際女子マラソン
【大阪国際女子マラソン】先日の大阪国際女子マラソンは絶好のマラソン日和となりました。結果は、ガメラ選手が2時間22分9秒の好タイムで圧勝。また、日本選手では重友選手が後半も粘り抜いて復活の3位と、見どころの多い大会となりました。
私が直接コーチする選手(市民ランナー)も2名参加しました。ともに設定タイムどおりの落ち着いた走りで無事にゴールしました。実は、今回参加した2選手とも自己ベスト記録は、2時間49分台と実力者です。しかし、ともにこの1年間は不調に苦しみました。
特に、昨年11月のマラソンでは揃って3時間10分オーバーと不振を極めましたが、気持ちを切り替えて走り込み、今回の大会に挑みました。
当日はともに、目標タイムを「サブスリー」に設定し、「はじめてサブスリーを達成したときのような気持ちでゴールしてほしい」と、祈る気持ちで送り出しました。そして、途中で何度か応援した後、ゴールの競技場に戻って2選手を待つことにしました。
毎度のことですが、選手を待つ気持ちは様々な思いが交錯し、何とも言えない気持ちになります。今回もゴールタイマーが、2時間58分を経過し、「やはり潰れたか」と諦めかけたとき、2選手は競技場に帰ってきました。
最後の力を振り絞り、Y選手が「2時間59分25秒」、K選手が「2時間59分45秒」と、目標タイムどおりにゴール!
2選手とも私が直接コーチするようになって10年以上になります。この間、Y選手が初めてサブスリーを達成したのは2006年11月、K選手が2004年1月。今回の記録を含めてY選手が11回目、K選手が16回目のサブスリー達成となります。
同時に、2選手にとって今回の記録は「サブスリー以内ワースト記録」になりますが、再び上昇するきっかけをつかんでくれたに違いありません。
常に自己記録更新を狙っていくことは難しいことですが、ある一定の記録(走力)を長期にわたって維持していくことはもっと難しいことです。今回の大阪国際女子マラソンに出場した女性市民ランナーたちの中には毎年出場し、安定した走りを披露している方も多く、これからもこの大会を走り続けてほしいと心から願っております…。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
第45回防府読売マラソン大会
【第45回防府読売マラソン大会】私の選手が出場する年内最後のマラソン大会が、今月21日に開催された伝統の「第45回防府読売マラソン大会」でした。実は、昨年から日本盲人マラソン協会の強化指定選手も参加させて頂けるようになり、今年も男子10名、女子4名の強化指定選手たちが出場しました。
当日のコンディションは気温が低く北風も強く、厳しい状況下でのレースとなりました。総合結果は、公務員ランナーの川内優輝選手が抜群の強さを発揮し、2時間9分46秒の好タイムで圧勝しました。スタートから強風の影響もあり、ペースが上がらない30k過ぎからスパートし、他を全く寄せ付けない圧巻の走りは、現時点では国内最強のマラソンランナーである印象を強く受けました。
一方、日本盲人マラソン協会の選手たちも川内優輝選手に負けない走りを披露してくれました。ゴール順の記録(男子)は次のとおりです。
1位/岡村正広(T12弱視)/2時間27分48秒(SB)
2位/和田伸也(T11全盲)/2時間35分39秒(日本新)
3位/堀越信司(T12弱視)/2時間39分33秒(初マラソン)
4位/谷口真大(T11全盲)/2時間41分21秒(PB)
5位/熊谷豊(T12弱視)/2時間47分57秒(PB)
6位/米岡聡(T11全盲)/2時間53分25秒(PB)
7位/加治佐博昭(T11全盲)/2時間55分22秒(SB)
8位/芝野寛仁(T13弱視)/2時間58分24秒(PB)
9位/新野正仁(T11全盲)/2時間59分19秒(SB)
※PB=自己新記録、SB=シーズンベスト記録
また、女子の道下美里選手は、「2時間59分21秒」の視覚障害者女子では国内初となるサブスリーを達成し、世界トップクラスの仲間入りを果たしました。
これだけの記録ラッシュは、私自身も記憶にありません。それだけ選手たちのピーキングが優れていた点と、それを支えた伴走者との目的意識がピタリと一致したからに違いありません。同時に、これまでの強化合宿で共に切磋琢磨してきた成果が、「チーム力」として発揮された大会でもありました。
今後とも皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます!
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ゴボウ抜き!
【ゴボウ抜き!】12月の第1日曜日は、国内最高峰のマラソン大会である福岡国際マラソン選手権大会が開催されます。今年も12月7日(日)に開催され、国内外から実力のあるランナーたちが福岡の街を駆け抜けました。
そして今年も、私がコーチする3名の選手(市民ランナー)も出走しました。結果は、2名が自己新記録でゴールし、1名は35k過ぎにリタイヤでした。もちろん、3選手とも夏からこの福岡を意識した走り込みを積み重ねてきました。今回の結果は、その成果をしっかりと発揮した内容でした。残念ながらリタイヤとなった選手についても練習どおりの内容でした…。
今回の福岡国際マラソンは曇り空で風もなく、絶好のコンディションでした。特に沿道から応援していて、2時間20分から2時間30分前後を目標にしているランナーたちの前半がやや速いと感じました。実は、自己新をマークした私の選手たちもその付近のグループで予定どおりのラップを刻んで行きましたが、いつもより順位が後ろのような気がしたからです。
ゴールの競技場で選手たちを待っていると、続々と選手たちが帰ってきました。毎回のことながら最後の最後まで力走する姿は心を打たれます。しかし、2時間20分以降にゴールしてくる選手たちは、やはり失速しているケースが多いと感じました。スタート時のコンディションが良かったので、記録を意識して前半を予定より速く通過した選手たちが多かったのかもしれません。
そんな中、2時間28分台の自己新記録でゴールしたH選手は、中間点を1時間14分台で通過し、後半もほぼイーブンペースで帰ってきました。特筆は、中間点を通過した後、H選手はそこから何と103名のランナーを抜き去ってのゴールでした。マラソンでゴボウ抜きとは言いませんが、まさにそんな感じの走りでした。
さて、市民ランナーの方々がよく前半を予定より速く通過していくことを「貯金」と言っています。しかし、実際はトレーニングに裏付けされた根拠がない限り、前半で必要以上に体力を消耗するので、逆に「借金」をしてしまうことになります。同時に、前半はゆとりを持って「抜かれっぱなし!」、後半はリズムに乗って「抜きっぱなし!」のレース展開が、市民ランナーの方々にとっては理想のレース展開と考えます。
と、言いながら周りの状況に影響されることなく自分自身の目標ラップを刻んでゴールを目指すには、やはり日々の走り込みが大切なのは言うまでもありません…。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ゴールは笑顔で!
【ゴールは笑顔で!】早いもので、今年も残すところあと1ヶ月を切りました。同時に、マラソンシーズンに突入し、それぞれが目標の記録や成績を目指して熱い走りを展開していることと思いますが、いかがでしょうか。
かくいう私は、いつもゴールで選手たちを待っている側ですが、どの大会のどのゴールも感動的です。最後まで必死に駆け抜けてくるランナー、ゴール前から手を振りながら笑顔で走ってくるランナー、脚を引きずりながらやっとゴールするランナー等々、どのゴールもそれぞれの思いが伝わってきます。
そんな姿に沿道からは、たくさんの応援が自然に聞こえてきます。同時に、マラソンの応援は記録に関係なく目の前を一瞬で通り過ぎてしまうため、特に仲間の応援は必死になります。そのため、沿道ではチーム名入りの旗や選手名の入った横断幕を振りながら声をからして応援している姿は、逆にマラソンの風物詩でもあります。
もちろん、その応援を力にゴールしてくるランナーたちの表情も様々で、喜びもあり、涙もあります。しかし、マラソンのゴールは、やはり笑顔が一番似合います。ゴールしたランナーの中には、目標タイムから大きく遅れてしまった方、前日に風邪をひいてやっとゴールした方、様々だと思いますが、それでも笑顔でのゴールが似合います。
それぞれがそれぞれの思いでゴールしますが、沿道からたくさんの力を受けてゴールできたことに対する感謝の気持ちと、次のマラソンにつなげる意味でもやはり笑顔が必要です。
私の経験上の話しになりますが、毎年各地のマラソン大会へ帯同してゴールを見守っていると、面白いことに気が付いてきます。それは、どんな記録でゴールしても必ず笑顔を見せてくれるランナーは、その後も躍進していきます。反対にどんな記録に対しても納得できない表情しかできないランナーは、数年後には行き詰まっていくケースが多いと感じます…。
「ゴールは笑顔で!」
今週末は、伝統の福岡国際マラソンに帯同しますが、たくさんの笑顔に出会いたいと思います。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
新しい挑戦!
【新しい挑戦!】去る11月22日(土)から11月24日(月)までの3連休は天候にも恵まれ、全国各地でマラソン大会やランニングイベントが数多く開催されていました。かくいう私の3連休も、東京、茨木、大阪とランニング・イベント会場を転々としてきました。
22日の東京はトラックでの「5000m記録会」、23日の茨木は「つくばマラソン大会」。そして、24日の大阪は「駅伝大会」と、3日間で違う種目をそれぞれ経験する珍しい遠征となりました。
なかでも23日のつくばマラソン大会には、私の選手(市民ランナー)も多数出走しました。そして、それぞれが自己記録に挑戦し、最後まで粘り強い走りを見せてくれました。特に、今回は男子マラソンに22歳の若手選手(市民ランナー)が初マラソンに挑戦するなど、楽しみな大会でもありました。
さて、空前のマラソンブームが続いていますが、実は実業団や学生を見ても20代前半でマラソンに挑戦する選手は少なく、同様に市民ランナーでも20代ランナーは極端に少ないのが現状です。だからこそ、20代前半からマラソンに挑戦することは、いろいろな意味でチャンスが多いと考えます。
今回送り出した、22歳の選手(市民ランナー)もそんな期待と夢を持っての初マラソンでした。当日は快晴となりましたが、気温は高く、先頭集団も次々に失速していく厳しいコンディションでした。そんな厳しい状況の中、初マラソンとは思えない終始落ち着いて設定どおりのラップタイムを刻み、堂々の7位でゴールしました。
今の時代、20歳前後の若者が仕事をしながらマラソンに挑戦している姿は、ランニングブームと言いながらほとんど目にすることはありません。今回、見事に初マラソンを走りきった彼が、公務員ランナーである川内優輝選手のような気概を持ってこれからも躍進してほしいと願っております…。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
第6回横浜国際女子マラソン大会
【第6回横浜国際女子マラソン大会】11月16日(日)、第6回横浜国際女子マラソン大会が開催され、今年も多くの女性ランナーが華麗な走りを披露しました。この大会は1979年に東京でスタートした東京国際女子マラソン大会から継承された世界屈指の女子マラソン大会ですが、残念ながら今年で幕を下ろすことになりました。
私にとってもこの大会は、2002年東京国際女子マラソン大会からの縁であり、私が市民ランナーのコーチをさせて頂く切っ掛けとなった大切な大会でもあります。同時に、この大会を通じて市民ランナーを指導していくことの難しさと喜びを学びました。
最後の大会となった今回も、5名の選手(市民ランナー)を送り出すことができました。中でも14位でゴールした山口選手(AC・KITA)は日本人8位となり、日本陸上競技選手権大会女子マラソンも兼ねていたので、8位入賞の表彰を受けました。まさに有終の美を飾ることができました。
その山口選手も初マラソンは、この横浜国際女子マラソンの第2回大会でした。当時も自信を持って送り出しましたが、マラソンの洗礼をもろに受け、最後は歩くようにゴール。そのまま、医務室テントに運ばれたことも、今となっては良い思い出です…。
その時のゴールタイムは「3時間3分」でしたが、今回は「2時間42分33秒」と、このコースでの自己最高タイムでした。彼女にとってもこの大会は、マラソンのイロハを学んだ「マラソン学校」のような存在だったに違いありません。
来年以降も必ずどこかで開催してほしいのと、ここまで受け継いできた伝統を継承してほしいと切に願っております。
参加されたランナーの皆様、大会関係者の皆様、沿道から応援の皆様、ありがとうございました。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
かすみがうらマラソン
【かすみがうらマラソン】先日の4月20日も全国各地でマラソン大会が開催されていました。茨城県土浦市においても、伝統の「かすみがうらマラソン大会」が開催されました。この大会は都心から1時間前後で会場に到達できる便利さからも、参加者は年々増加しています。そして、今年は2万2千名のランナーが参加し、大会を盛り上げていました。また、今年の大会は曇り空で、少し肌寒い気温でしたが、ほとんど風もなく絶好のマラソン日和となりました。
今年で24回目となる同大会は、国際盲人マラソン大会も兼ねており、こちらも20回目となりました。さまに盲人マラソン大会の普及と発展にたいへんご尽力いただいた大会でもあります。あらためて大会関係の皆様方に御礼申し上げます。
さて、今年の大会ですが、コンディションが良かったこともあり、好記録もいくつか誕生しました。特に、フルマラソン男子の部では、実業団選手が積極的に走り、2時間14分20秒の大会新記録(自己新記録)をマークしました。もちろん、テレビ中継される国際マラソン大会では、2時間10分突破が当たり前のように感じますが、かすみがうらマラソン大会のような一般の大会では、2時間20分を突破すること自体まれなことです。
したがって、今回の2時間14分20秒は、まさに驚異的です。また、かすみがうらマラソン大会を含め、一般の大会は記録重視のコース設定をしていないケースが多いので、起伏も多く難コースになるのも特徴で、実力のある実業団選手が招待や練習のつもりで参加しても、簡単に記録を出せない理由のひとつでもあります。
しかし、公務員ランナーの川内優希選手が全国各地のマラソン大会を積極的に走ることで実力を付けてきた影響もあってか、最近は一般のマラソン大会に実業団選手が参加している姿も見受けるようになってきました。今更ながら、マラソンは走り込みも大切ですが、経験に頼る点が多く、実業団選手と言ってもやはり実戦を経験していくことは重要と感じます。来年以降も積極的に参加いただき、大会を盛り上げてほしいと思います。
一方、盲人マラソンの部は、少し低調気味でした。そんな中、20代の若手選手2名が、3時間を突破する自己新記録をマークしました。もちろん、2選手とも以前から期待をしていましたが、思うような記録に結びつかないレースが多く、大いに悩み苦労をしていました。しかし今回、IPC公認大会でもあるこの大会で記録を残せたことは、今後の国際大会へつながる道を自ら開拓できたと確信しております。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
2014名古屋ウィメンズマラソン
【2014名古屋ウィメンズマラソン】今年の名古屋は天候もよく、何より風がほとんど無い絶好のコンディションの中、スタートしました。そして、参加人数も1万4675名と、女性だけのフルマラソン参加者数として、昨年の同大会のギネス世界記録を更新したとのことでした。(2012年大会の参加人数は1万3114名、2013年大会は1万4554名。)
「日本女子マラソンの低迷」と言われていますが、同大会を沿道から応援する限り、そんな不安を感じることすらできない盛り上がりでした。また、国内で開催される国際女子マラソンの参加標準記録の目安となる「3時間15分以内」で完走した人数は314名と、昨年の264名を大きく上回っています。更に、3時間以内(サブスリー)で完走した人数も昨年の74名を上回る92名と、日本女子マラソンのボトムアップにも大きく貢献している大会とも言えます。
今回、私の選手(市民ランナー)は4名出場し、全員が無事に完走しましたが、88位でゴールしたK選手の頑張りは、特に印象的でした。ゴールタイムは「2時間59分43秒」と、ギリギリのところで3時間突破(サブスリー)でしたが、注目したいのは上記した3時間突破完走者92名の中で、中間点の通過タイムが1時間30分をこえていたのは、K選手を含めたったの2名です。同様に、2時間50分を突破した選手は今回41名ですが、中間点の通過タイムが1時間25分をこえて、2時間50分突破を達成した選手はいませんでした。参考までに、中間点の通過タイムが1時間37分30秒をこえて、3時間15分を突破した選手もたったの2名でした。
一般的に、マラソンを効率よく完走するには、最初から最後までイーブンペースでラップを刻んでいくか、前半を抑え気味に通過するのが良いと言われています。しかし、3時間や2時間50分、あるいは3時間15分と、ある壁(記録)を狙うとき、多くのランナーはその壁に不安やプレッシャーを感じ、万が一のことを考えだします。つまり、後半の失速が怖くなり、前半に「貯金」を作ろうとします。しかし、マラソンに限っては前半の貯金はオーバーペースを意味し、逆に後半での「借金(失速)」につながるケースが圧倒的に多く、判断の難しい点でもあります。
さて、3時間突破(サブスリー)でゴールしたK選手は、今回で15回目の3時間突破となりました。初めて3時間突破を達成したのは、2004年1月の大阪国際女子マラソンでした。それからちょうど10年です。この間、コンスタントに3時間突破を積み重ねてきた経験と実績があるからこそ、今回も周りのランナーに惑わされることなく、冷静かつ正確な自分自身の走りができたと言えます。
今後、単に自己記録更新だけでなく、K選手のような何年も安定したパフォーマンスを発揮し続ける価値を、もっと大切にしていこうと感じた名古屋でした…。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
東京マラソン
【東京マラソン】ランニングブームの火付け役となった「東京マラソン」も今年で8回目となりました。毎年、沿道から応援してきましたが、3万人のランナーたちが都心を駆け抜けていく様子は圧巻です。同時に、30万人をこえる応募の中から抽選に当たることは年々厳しくなってきており、エリートの部でも男女の参加標準記録が引き上げられ、更に狭き門となりました。
今年は、そのエリート女子の部に、私の2選手(市民ランナー)も出場しました。もちろん、両選手とも実力者で、Y選手は先日の別大マラソンで初優勝し、短期間での出場。I選手も2010年の同大会で日本人1位になった実績のある市民ランナーです。ところが、今回の東京マラソンに向けては、両選手の調子を把握するのに苦労しました。
至極当然のことですが、どのマラソンに向けても単に「自己新記録を狙って頑張れ!」と、自分自身がコーチしている選手を安易に送り出すことは絶対にしません。それまでの走り込みや体調、更には精神状態等々を加味した上で、目安となる5k毎のラップ表を必ず選手毎に設定します。そして、ゴール後はそのラップ表との比較で反省をします。
今回出場するY選手は別大マラソン後も好調をキープしていました。しかし、自己記録更新と優勝の大きな目標を2つも達成した後だけに、肉体的スタミナではなく精神的スタミナの消耗が大きく、別大マラソンと同じ設定タイムで走らせることは難しいと判断しました。
一方、I選手は一昨年に出産し、ママさんランナーとなりました。その後、一旦は復活したのですが、昨年は故障や育児も重なり、どん底の状態でした。それでも昨年10月以降から少しずつ距離走ができるまでに回復してきましたが、万全な調子ではありません。
以上のことから、「どのような設定タイムで走るのがベストか?」を、東京マラソンの数日前まで迷いましたが、今回はY選手とI選手を同じ設定タイムにしました。それも後半ペースアップする設定タイムです。実は、マラソンの走り方としては前半おさえて後半ペースアップするのは理想的な感じを受けます。ところが、マラソンは当日のコンディションやレースの流れに大きく左右されるため、特に後半ペースアップする流れは偶発的にはまるケースが多く、次回以降の再現性が極めて難しいのです。
しかし、今回はマラソンに対する自信をより強固にする意味でも次のような設定タイムにしました。◆設定タイム1:1時間23分41秒(前半ハーフ)+1時間22分18秒(後半ハーフ)=2時間45分59秒(1分23秒のペースアップ/無風の場合)。◆設定タイム2:1時間23分41秒(前半ハーフ)+1時間23分41秒(後半ハーフ)=2時間47分22秒(イーブンペース/強風の場合)。※設定タイム1と2の間でゴールする。
果たして当日のコンディションは、気温がやや低い感じもしましたが、最も懸念していた風はほとんど無く、両選手とも設定タイムどおりの走りでゴールしてくれました。◆Y選手結果:1時間23分23秒(前半ハーフ)+1時間22分40秒(後半ハーフ)=2時間46分3秒(43秒のペースアップ/18位)。◆I選手結果:1時間23分25秒(前半ハーフ)+1時間23分13秒(後半ハーフ)=2時間46分38秒(12秒のペースアップ/19位)。
両選手ともゴール後は達成感に満ち溢れており、次のマラソンにつながる大きな自信を手にすることができた様子でした。もちろん、次回マラソンは「自己記録更新」を達成できるよう、引き続き地道な走り込みを継続していきます。
たくさんのご声援をありがとうございました。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ホーム > マラソン大会
- Search
- Feeds