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2009-03-17

粘りのトラックレース

先日の15日(日)は、熊本県熊本市にあるKKWINGにおいて、身障者の陸上競技大会である「九州チャレンジ陸上競技場選手権大会」が開催されました。この大会に向け、強化合宿を実施してきた日本盲人マラソン協会からも5名の選手が出場しました。

以前に、このブログでも紹介したトラックレースへの参戦です。5千メートルに1名、1万メートルに4名が出場しました。ところが、障害者の陸上競技大会は障害別のカテゴリーが細かくわかれている関係で、各種目とも少人数になるケースが多々あります。

案の定、今回5名がエントリーした種目においても、彼らだけの出場となりました。つまり単調な400メートルトラックをほとんど競い合うこともなく、ただひたすら単独で周回を重ねて走ることになります。それは肉体的にも精神的にも想像以上に辛く、特にメンタル面が大きく影響する長距離レースにおいては、とても厳しい条件になることは間違いありません。

しかし、そのことが逆に選手達を鍛える貴重な実戦練習になることも確実です。私は、それぞれが単独走になる中、どこまで粘り強さを発揮するのかを注視しました。特に、4千メートルから7千メートルあたりまでの最も苦しい局面をどう乗り切っていくのか・・・。コーチとして最も重要な評価ポイントのひとつとなります。実はこの粘り強さを発揮できる選手は、マラソンに移行しても、その持ち味を十分に発揮できるタイプが多いのです(経験上)。

最初に、5名のトップバッターとして加治佐選手(T12)が、5千メートルに出場しました・・・。

◆5千メートル(T12):加治佐博昭/優勝/17分43秒81。

彼の走力からするとやや物足りない記録でしたが、スタートから独走だったにも関わらず終始安定して刻んだ正確なラップは、4月のマラソンにつながります。・・・そして、いよいよ1万メートルです。

◆1万メートル(T11):高橋勇市/優勝/36分03秒80、新野正仁/2位/36分59秒54(自己新記録)。◆1万メートル(T12):堀越信司/優勝/33分56秒76(日本新、大会新、自己新記録)。◆1万メートル(T13):岡村正広/優勝/32分37秒78(日本新、大会新)。

4名とも粘りのある素晴らしい走りを披露してくれました。特に、堀越選手と新野選手の中盤からの粘りは力強く、更に残り2千メートルも驚異の粘りを発揮し、見事な自己新記録を達成しました。

ここでもうひとつ注目する点として、それぞれが34分と37分の大台をラストのキックで突破した点です。このように数秒単位で大台を突破していく走りは大きな自信となり、次のレースに必ず活きてきます。

実は、パラリンピックをはじめ国際大会や国際マラソン大会には、必ず標準記録が設定されており、その記録を突破した選手にしか出場する権利を与えません。特に、パラリンピックやオリンピックのように、4年に一度しか開催されない大会を目指す場合、数秒差で出場の明暗をわけるケースが多くなります。

だからこそ、日々のトレーニングやたとえ小さな大会出場においても、「1秒」にこだわる姿勢が大切になってくるのです・・・。

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