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2011-01-26

IPC世界陸上競技選手権大会・3

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障害者陸上競技大会の世界最高峰であるIPC世界陸上競技選手権大会も、本格的な競技がはじまりました。月並みな言い方ですが、世界から集まったトップアスリートの技術や戦いは見ごたえ十分です。

特に、「立位」と言われている「視覚障害」、「脳性まひ」、「手足切断」のクラスは、一般の大会でもかなり上位で戦えるような好記録が次々にマークされており、ただただ驚くばかりです。

参考までに、全盲クラスの女子100m(T11/伴走有)や腕切断クラスの女子100mは、12秒台前半のタイムが普通に出ております。また、全盲クラスの男子1500m(T11/伴走有)は、4分4秒台、同じく弱視クラスの男子1万mは、30分台と、かなりのハイレベルです。

そんな中、日本選手たちも果敢に戦いを挑み、メダルも獲得するなど健闘しております。

さて、今大会に全盲クラスの男子1万mとマラソンにエントリーした和田選手について少し紹介します。彼は、昨年12月に中国広州で開催された「アジアパラ」にも日本代表選手として出場しました。至極当然のことですが、わずか1ヵ月弱のスパンで大きな国際大会を連戦することは、肉体的にもかなりの負担となります。もちろん、精神的にも自分自身の中で高いモチベーションをキープしていくことは、最も難しい調整だったに違いありません。

しかし、大会直前の千葉県富津合宿では、周りからの期待やプレッシャーに潰されることもなく、「1万mは、日本新記録が目標」と、具体的な目標を掲げていました。和田選手は、どんな不利な状況に対しても、常に冷静な判断と行動がとれるトップアスリートです。もちろん、彼の走力や調整の状況から判断しても十分に狙えると、こちらも大きな期待をして見ていました。

そして、大会2日目に全盲クラス(伴走有)の1万m決勝が実施され、和田選手も出場しました。スタート直後からハイペースな展開となりましたが、前半の5千m通過は、17分20秒前後と設定どおりです。ベテラン伴走者の中田氏と共に、後半は本当に少しずつペースアップしながら順位もあげていきました・・・。8千m以降は、かなり苦しい表情を見せながらの力走でしたが、マラソンランナーらしい粘り強さを余すことなく発揮してゴール。

残念ながらメダル獲得には、あと一歩及びませんでしたが、堂々の4位入賞です。そして、公式記録も「34分21秒89」と、公約どおりの日本新記録を、この大舞台で叩き出したのです。

今回の走りは、和田選手のもうひとつの目標である、「マラソンでメダル獲得」に向け、大きな自信となったに違いありません。

つづく。

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