Home > Archives > 2011-09-28

2011-09-28

ロンドンパラリンピックへの道・3

h23-9-28-13h23-9-28-22h23-9-28-32

先日の9月24日(土)から25日(日)にかけて、大分県で身障者陸上競技大会である「ジャパンパラリンピック」が開催されました。この大会は、身障者陸上競技大会の中においては日本選手権大会と並ぶ国内最高峰の大会です。もちろん、来年に迫ったロンドンパラリンピック代表選考大会のひとつにも指定されています。

また、コンディション的には厳しい残暑の影響が懸念されていました。しかし、選手への影響は心配するほとではなく、逆に各種目において日本新記録をはじめ、ロンドンパラリンピック参加A標準記録を突破する選手も多く、大会は大いに盛り上がりました。

特に、車イス男子(T53&T54クラス)の1500mにおいては上位8位までが、ロンドンパラリンピック参加A標準記録である「3分2秒00」を突破する世界的にも価値あるレースとなりました。実は、このA標準記録である「3分2秒00」を突破した選手は、この時点において世界でもたったの2名しかおらず、標準記録の見直し論まで出ていた種目だったのです。

では、なぜ今大会において一気に8名の選手がA標準記録突破となったのでしょうか?

最大の理由は出場選手全員が、「勝負から記録」へと、気持ちと走りをシフトして挑んだからです。至極当然のことですが、仮にこの大会で優勝してもロンドンパラリンピック参加A標準記録を突破していないと、来年のロンドンパラリンピックにはつながりません。ところが、出場選手の誰かがペースメーカーを請け負い、「同じ土俵で勝負している仲間から一人でも多くのA標準記録突破者を出す」と、果敢にレースを引っ張り、更にその後を全員で必ず付いていくレースになったから好記録が誕生したのです。

このようなレースは、一般の国際マラソン大会をはじめ、各種トラックの中長距離レースでは、記録を狙うための一般的な方法です。また、このペースメーカーや一流選手の練習パートナーを経験することで後に世界的な選手へと成長した例は数多く、むしろその流れが世界の常識となっている感もあります。

少し古い話しになりますが、1980年代に世界の中長距離種目を総なめにしていたモロッコのS・アウィータ選手は、ロス五輪5000金メダル、ソウル五輪800銅メダルをはじめ、1500m、2000m、3000m、5000mで世界記録を何度も更新した伝説の選手です。そして、そのS・アウィータ選手の練習パートナーやペースメーカーとして力を付けていった同じモロッコのB・ブータイブ選手は、ソウル五輪1万mで金メダルを獲得するまでに成長したことは有名な話しです。

さて、今回のジャパンパラリンピックの車イス男子(T53&T54クラス)の1500mで、出場選手全員が力を結集することで好記録に結びつけた実績はとても大きいと感じます。それは、今後も5000mや1万mをはじめ、ロードでのマラソンにおいても、日本選手だけのレースでも世界に通用する好記録をマークしていける可能性を示せたからです。そして、今回のようなレース内容を今後も継続していくことで、車イス種目の世界的中心が日本の大会になることも夢ではないと、強く感じたレースでした。

Home > Archives > 2011-09-28

Search
Feeds

ページの先頭へ