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2013-02-05

第62回別府大分毎日マラソン

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【第62回別府大分毎日マラソン】2月3日に開催された伝統の別大マラソンは、期待どおりに川内選手と中本選手の一騎打ちとなり、川内選手が見事な大会新記録で優勝しました。

さて、「あの選手は勝負強いランナー」と、よく耳にします。その強さとは、一般的には勝負に勝つことを指します。ところが、どんなに小さな市民マラソン大会においても「優勝」することは、簡単ではありません。しかし、優勝すると、大会会場にいる大勢の前でインタビューを受けたり、表彰されます。また、大会によってはテレビ中継があり、翌日の新聞に名前や写真が掲載されたりもします。これは、誰もが本来持っている「認められたい」と言う欲求を見事に満たしてくれます。そして、一度でもこの経験(蜜の味)をしたランナーは、最も苦しい勝負どころでも最後まで優勝をあきらめません。すなわち、勝負強くなります。

川内選手は、2009年の別大マラソンでマラソンデビューをし、この4年間で実に21回もマラソンを走ってきました。特に、今回の別大マラソンを含め、この1年間だけで何と11回も走っております。そして、特筆すべきは、この1年間で優勝を7回も経験したことです。私が偉そうに言える立場ではありませんが、間違いなく現役日本人選手で最も勝負強いランナーのひとりであると言えます。

また、「あの選手は安定しているランナー」と、よく耳にします。その安定とは、一般的にはどんな大会でも上位でゴールしたり、記録にムラがないことを指します。その指標のひとつにマラソンを走った回数に対し、自己記録を何回達成したかを見ます。実は、実業団選手(プロ)をはじめ、市民ランナーの中でも既に10回以上マラソンを完走しているにも関わらず、自己記録更新を一度も経験したことのないランナーは意外と多くいます。つまり、初マラソンが生涯記録となっているケースです。もちろん、最初からレベルの高い記録をマークした場合、記録を更新することは簡単ではありません。

しかし、自己記録を達成したことの無いランナーは、一発狙いの雑なレース内容が多く、自分自身の力を出し切る能力やレース状況を的確に判断する能力が不足しているケースが多いとも感じます。

中本選手は、今回の別大マラソンで10回目のマラソンでした。そして、5回目の自己記録更新です。ハイレベルな記録を目指している実業団選手(プロ)の中において、自己記録達成率が5割と言うのは、驚異的な安定感とも言えます。その真骨頂が、昨年のロンドン五輪での6位入賞と、中本選手は歴史に名前を刻みました。

このようにタイプの異なる川内選手と中本選手の直接対決が実現した今回の別大マラソンは、様々な意味で歴史に残る大会だったと感じます。また、かつての別大マラソンは、エリートランナーのみの大会でしたが、数年前から参加資格を3時間30分まで広げ、女子の部も新設しました。その結果、今大会は3千名以上のランナーが伝統ある別大マラソンに挑戦し、あらためて「新人の登竜門」と呼ぶに相応しい大会へと進化しました。

そして、川内選手と中本選手の歴史に残る一騎打ちは、一緒に別大マラソンを走った多くの市民ランナーたちへ、勇気と希望のメッセージを残したに違いありません。

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