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2014-05
期分け・88
- 2014-05-27 (火)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・88】今回も市民ランナーの方が、トラックレースに参加することについて考えていきます。まずは、前回も記載しましたが、社会人になってからランニングを開始した市民ランナーの方が、最初からハーフマラソンに挑戦するケースを多く見受けます。実際にランニングクリニック等のお手伝いをさせていただき、参加者の方と話をすると、5kや10kのレースに出場したことのない方も意外と多いのです。
もちろん、どんなレースに参加するかは個々の自由なので、ハーフマラソン以上のレースばかり参加していても問題ありません。しかし、ランニングクリニックに参加するような方の多くは、「マラソンで自己記録の更新」を目標にしている方がほとんどです。
同時に、多くの参加者が、「スピードが無いのでマラソンの記録が縮まらない」とも考えており、「スピードを付けるには?」と、多くの質問を受けます。また、クリニックに参加された方の走りを観察していると、どの距離に対しても同じようなフォームで、同じようなスピードになってしまう方が多いことに気が付きます。
もちろん、その原因は様々で、単にランニングフォームが良くないとか、単に加齢による衰え等、見た目に起因したことも多いと感じます。ところが、ランニングフォームの改善だけに目がいき、そこだけを意識してしまう方も多く、結果的にはスピードの改善に結びつかないケースも多く見受けます。
では、何が足りないのでしょうか?
ヒントは、冒頭に記載した、「5kや10kのレースに出場したことがない」ことにあります。つまり、ランニングをはじめてから全力疾走の経験がほとんど皆無な方が多いのです。もちろん、ここで言う全力疾走は、短距離の100mを指しているのではなく、長距離的な視点から1kを意味します。
経験的な話しになりますが、この1kと言う距離はとても都合よく、最初から全力で突っ込み、途中でバテても何とか惰力でゴールできる距離です。また、中途半端なインターバルトレーニングを実施するより、単に1kを全力で1本実施することで、わずか数分間で手足や心肺に強い刺激を入れることが可能です。つまり、1kは長距離種目にとっての最小単位であると、私自身はとらえています。
そして、ハーフマラソン以上のレースばかりに参加しているランナーに、1kを全力で1本実施していただくと、ハーフマラソンのペースとほとんど変わらないランナーが、意外に多いことにも気が付きます。つまり、ここにスピード強化のヒントがあり、トラックレースにリンクしていく部分でもあると考えます。
つづく。
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絆・19
【絆・19】5月に入り、全国各地で学生や実業団をはじめとする陸上競技大会が最盛期となりました。伝統の東日本実業団陸上競技選手権大会も福島県において、5月17日(土)から2日間の日程で開催されました。そして、今年も視覚障害者1500mを実施していただき、日本盲人マラソン協会からも3年連続の参加となりました。あらためて、大会関係の皆様方に感謝申し上げます。
初めて参加した2012年大会は8名の出場、昨年は4名、そして今大会は7名の出場と、参加人数的には低迷しており、来年以降の課題でもあります。特に、オリンピックを視野に入れた国内トップ選手たちや関係者が集う前で走る機会は貴重であり、視覚障害者ランナーたちの走る姿を直接披露することは、強化と普及の大きな一歩につながるからです。
さて、昨年優勝した和田選手や今年4位に入った谷口選手をはじめとする全盲選手にとって、伴走者の確保は常に課題となります。特に、パラリンピックを目指す高いレベルの全盲選手は、日々のトレーニングにおいても走力のある伴走者が不足しているため、質の高いトレーニングも不足気味になっております。
一方、実業団選手として活躍している選手たちの多くは、5千メートルを常に13分台で走る走力をキープしています。同時に、その走力をキープできなくなると、走ることを簡単に断念してしまう選手も多く見受けます。もちろん、仕事として走っているので至極当然なのですが…。
盲人マラソン協会が主催する強化合宿や国際大会に帯同していただく伴走者の多くは一般の市民ランナーたちで、5千メートルの走力も15分前後となります。しかし、パラリンピックを目指す全盲選手たちの5千メートルは、既に15分台に突入しており、伴走者との差も急激に縮まりつつあるのが現状です。そのため、もう一段上の走力を兼ね備えた伴走者の確保が急務となってきております。
そんな状況の中、実業団の大会に参加させていただくことで、まずは実業団選手や関係者の方々が視覚障害者選手に興味と関心を持っていただくきっかけになればと願っております。また、世の中ではスポーツ選手たちが引退した後のセカンドキャリアについても真剣に考える時代になってきました。何かのきっかけにつながればとも考えます…。
単に、毎年恒例の参加ではなく、東日本実業団陸上競技選手権大会に視覚障害者選手が参加できる意味をよく考え、お互いが更に踏み込んだ関係を構築できるよう、選手と共に切磋琢磨していければ…。
つづく。
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期分け・87
- 2014-05-14 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・87】今回からトラック競技に出場することについて考えていきます。はじめに、皆さんはトラック競技に出場した経験はあるでしょうか?
至極当然のことですが、学生時代に陸上競技部に所属していたランナーなら誰もが経験していると思います。しかし、社会人になってから市民ランナーとしてランニングを開始し、ハーフマラソンやマラソンに挑戦している方々は、トラック競技の経験はほとんど無いと思いますが、いかがでしょうか。
また、競技として学生時代から陸上競技部に所属し、長距離を志してきたランナーたちは、スピードを付けてからマラソンに移行していく流れが一般的です。そして、この「スピードを付ける」と言っている意味が、トラック競技を指します。したがって、学生時代から陸上競技部として長距離を志しているランナーにとっては、マラソンと言うより5千メートルや1万メートル等のトラック競技のイメージが強いと思います。
実は、この点が面白いところで、学生時代に陸上競技部として長距離を走り、卒業と同時に引退した方はマラソンの経験がほとんど無く、陸上競技を知っているがマラソンを知らない方が多いと感じます。
逆に、社会人になってから市民ランナーとしてランニングを開始した方は、最初からハーフマラソンやマラソンのロード競技から入ります。したがって、トラック競技を走ったことの無い方が多く、市民ランナーの人口は増えているにも関わらず、陸上競技人口がそれほど増えていない理由のひとつとも感じます。
更に、トラック競技と聞くと、陸上競技場で走ることになるため、「遅いランナーが走ってはいけない」と、勝手に思い込んでいる方は私のクラブチームにもいました。また、一般的な市民ランナーの雑誌やランニング関係のHPからトラック競技の申込案内を目にすることも少なく、市民ランナーの方が出場しようと思い立っても、その申込方法すらよく分からないと言うのが現状でしょうか…。
では、最初からハーフマラソンやマラソンのロード競技から入った市民ランナーの方が、これからトラック競技に参加するパターンはどんな効果があるのでしょうか?また、学生時代から陸上競技部に所属していた方々のように、今からスピード強化につながるのでしょうか?
次回も引き続き考えていきます。
つづく。
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絆・18
【絆・18】GW中は、恒例となった日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を、千葉県富津市において実施しました。また、女子選手の強化をスタートしてちょうど1年が経過しました。この1年間で自己記録を更新した選手、怪我や故障に悩まされた選手もいましたが、今年度も無事にスタートすることができました。
あらためて、皆様方のご支援ご協力に感謝申し上げます。
さて、盲人マラソンだけでなく、障害者陸上競技全体の最重要課題のひとつに、選手の「強化と育成」があります。盲人マラソンとして女子選手の強化をスタートしたのも、その理由のひとつです。ところが、それに該当する選手を発掘することは想像以上に難しいのが現状です。特に、選手層が極端に薄いため、選手間の年齢や競技歴のひらきがあり、強化・育成していく選手を増やすほど、そのひらきは大きくなっていきます。※「絆・16」を参照。
一般の競技においては20代が主力となり、30代あたりからベテラン選手と言われ、だんだんとフェードアウトしていくのが、一般的な競技歴になるかと思います。ところが、盲人マラソンは、この1年間で新しく強化指定に加えた選手の最年少は17歳、最年長は60歳と、親子以上のひらきがあります。
もちろん、一般選手も含めて、単に競技力を年齢や性別で判断することはできません。また、その必要もありませんが、年齢差によって日々の生活環境の違いも大きくなり、それが競技に対する意識の違いとなってくるのも事実です。そして、合宿を重ねれば重ねるほど、その意識のズレもお互いに見えてくるので、同じチームとしてベクトルを合わせていくことが、難しくなっていきます。
今後の課題として、この意識のズレを修正していく必要もあります。そのためには、ガイドランナー(伴走者)を含めたスタッフの意識改革も必要不可欠になります。しかし、この年齢差が大きなところも、逆にこの世界の特徴でもあり、様々な可能性を秘めている点であります。
道は年々険しくなっていますが、今年度も新しい選手や協力者を積極的に取り込みながら切磋琢磨していける環境を、更に向上させていきます。
引き続き、皆様方のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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