Home > Archives > 2017-07-26

2017-07-26

夏の走り込み・2

【夏の走り込み・2】今回は「暑熱順化」についてもう少し詳しく考えていきます。

はじめに、久々に運動すると汗がベタベタするような経験はないでしょうか。これは水分と一緒に、身体に必要なナトリウムが対外に排出されている悪い汗だからと言われています。

ところが、暑熱順化すると、汗腺の働きが改善され、汗が対外へ出ていく前にナトリウムを体内へ再吸収できるようになり、大汗をかいても適切な水分補給をすれば回復し易い身体になると言われています。これにより、脱水症状や熱中症のリスクが大幅に下がるのは言うまでもありません。

では、どのようにすれば暑さに慣れていくのでしょうか。専門的な文献には様々なことが書かれていますが、やはり普段の生活を改善していくことが最も重要なようです。具体的には冷房の温度を高く設定したり、入浴時は湯船につかり、汗をじっくりと出すことは効果的と言われています。

そして何より、ウォーキングやジョギングのように汗をかきながら行う有酸素運動は最も効果的に暑熱順化を促進すると言われています。もちろん、高温多湿の環境下や体調不良時の無理は厳禁であり、常に適切な水分補給は必須です。

暑い中で積極的に走ることは何か矛盾を感じますが、これまでに私が経験したことからも一致します。今月上旬に実施した北海道での盲人マラソン強化合宿では、暑さに対し極端に苦手意識を持っている全盲の女子選手がいました。この選手は確かに暑くなると極端にタイムが落ちます。

合宿最初の距離走は、30度をこえる中で実施しました。案の定、最後は脱水症状でかなり危険な状況になりました。その後も2回距離走を実施し、何れも30度をこれる炎天下での練習でしたが、1週間後の3本目は多少ゆとりを持ってゴールできたのです。

もちろん、疲労も蓄積している中でしたが、見るからに発汗量も少なくなり、ゴール後も余裕がありました。まさに、この合宿中に暑熱順化ができた様子でした。

ただし、一度暑さに順化しても、やめてしばらくすると、その効果は元に戻ると言われています。そのため、この時期だけでなく、年間を通じて普段から日中に汗を流すトレーニング環境を作り、継続することがポイントになります。

ここ数年、温暖化の影響もあって、10月以降のレースも気温が高く、危険なコンディションが増えています。つまり、暑熱順化は年間を通じた課題と捉え、秋からのマラソンシーズンに対応するためにも、この夏を活用して暑さに強い身体をつくっていきましょう。

Home > Archives > 2017-07-26

Search
Feeds

ページの先頭へ