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2022-05

春を走る・13

【春を走る・13】全国各地で陸上競技会や記録会が盛り上がる季節に突入しています。まさにトラックシーズン真最中でしょうか。そして、これも毎年のことですが、この季節は短距離などの種目におても好記録のニュースが耳目に触れます。

もちろん、私は長距離マラソンが専門なので、それ以外の陸上競技種目については素人同然ですが、とても興味関心を持っております。特に、種目によって必要になる能力が全く異なる点は、野球やサッカーなどのスポーツと大きく違う点でもあり、おもしろいと思います。

具体例として、中距離選手とマラソン選手を比較しても、必要とされるその能力はかなり違うと思いますが、マラソン選手と投てき選手では全く異なります。したがって、マラソン選手が砲丸投の種目に出場することはあり得ないし、その逆もありません。

しかし、これが野球選手の場合、打者と投手に大きくわかれますが、投手が打席に立つこともあるし、打者でもマウンドに立つ選手もいます。また、高校や大学などで野球部といえば、みんな仲間であると感じますが、陸上部の場合、上記したように長距離選手と投てき選手の接点はほぼありません(個別の友人関係は別)。

同様に、指導する側のコーチなどの専門知識も大きく異なるので、指導者間の接点も極端に少ないのが現状でしょうか。そのため、高校や大学、さらに実業団チームなどで陸上部と掲げているにも関わらず、実態は長距離選手のみが所属し、それに特化した活動だけのチームも多数存在します(良し悪しは別)。

あらためて陸上競技は、人間が己の身体のみを使ってシンプルに、「どれだけ遠くに投げられるのか?」「どれだけ遠くに跳べるのか?」「どれだけ速く走れるのか?」を極める競技です。そのため、求める能力が種目ごとに大きく異なるので、長距離選手として活躍しながら、片手間に投てき選手としてトップに君臨することは、ほぼ不可能な競技といえるでしょう(十種競技の選手はかなり近いが……)。

さて、6月は陸上競技の日本選手権大会が開催されますが、駅伝やマラソンなどのロードレース大会の応援は、目の前を一瞬で通り過ぎれば終わります。しかし、日本選手権大会は競技場のスタンドから全ての種目を最初から最後まで応援することができます。

日ごろ、コツコツと走り込んでいる市民ランナーの皆様も、鍛え抜かれた超人たちが競い合う陸上競技をぜひとも観戦してほしいと思います。

春を走る・12

【春を走る・12】京都市の西京極陸上競技場において「ジャパンパラ陸上競技大会」が開催されました。同競技場は、全国高校駅伝大会や全国都道府県対抗女子駅伝大会など多くの主要大会を開催しており、陸上長距離界では有名な競技場です。

と、知ったかぶりの話しをしている当の本人は同競技場を訪れるのは、実は初めてでしたが……。

さて、大会は5月14日(土)から15日(日)の2日間で開催されました。また、天候は懸念されていた雨にはならず良かったと思いますが、逆に長距離種目にとっては厳しかったでしょうか。

そんなコンディション下での大会でしたが、東京パラのトラック種目でメダルを獲得したT11クラスの和田、唐澤両選手は積極的な走りを見せていました。同様に、マラソンでメダルを獲得したT12クラスの堀越、道下両選手も粘りの走りができていました。

もちろん、他の選手たちも記録へ挑戦する走りを見せていましたが、今の力を出し切るまでに至っていない様子でした。具体的には、今の調子や走力に見合ったペースをつかみ切れていないためか、スタート直後から安定したラップタイムやリズムを刻めていない選手が多かったように感じました。

トラックレースはロードのマラソンと違い、スタートから速いペースで進みます。したがって、一度リズムを崩してしまうと、そこから立て直して後半挽回することはかなり難しくなります。また、トラックレースに関しては、本命のレース当日までの間、記録会などの実戦をくぐりながら調整する方が良い面もあります。

今回、2日間のレースを視察し、練習不足というよりも実戦不足の選手が多かったように感じました。このあと、6月に神戸で日本パラ陸上競技選手権大会が開催されるので、調整にタイムトライアル(実戦形式)などを加味しながらスピード感覚をトラック仕様に切り替えてほしいと思います。

どの選手も地力はついているので、あとは自信を持って調整していきましょう!

春を走る・11

【春を走る・11】5月7日、東京国立競技場において「日本選手権10000m」が開催されましたが、同大会の女子10000mには、富津合同練習会で切磋琢磨している山口遥選手も出場しました。

ご存知のとおり、同大会は国内最高峰に位置付けられている大会なので、参加標準記録も国内最高レベルであり、実業団選手をもってしても簡単に参加することはできない大会です。そんなハイレベルな大会に彼女は、今年で3年連続の出場になりました。

また、女子10000mにエントリーしている選手の中において、実業団(駅伝強豪大学も)に所属していない選手は彼女だけです。もちろん、同大会に出場できることだけでも名誉なことなのに、昨年は8位入賞を果たしております。

そして、今年の目標は順位よりも記録を意識しました。具体的には「31分台」、イーブンペースの展開なら「31分40秒前後」を……。しかし、当日は湿度が高く、長距離には厳しいコンディションだったこともあり、結果は「32分20秒33」の記録で、8位入賞。目標記録には届きませんでしたが、2年連続の入賞は「すごい!」の一言です。

さて、日本選手権のようなタイトルのかかった大会は、各地で開催されている記録会や競技会とは雰囲気が異なります。長距離種目の場合、スタート直後からレースのかけ引きがはじまります。同時に、出場している選手個々が背負ってきた思い(欲望)やプレッシャーが、複雑に絡み合います。

とくに、日本代表選考大会に指定されている場合、確実に代表入りを狙う大本命の選手や、一発逆転を狙って捨て身で挑む選手が直接ぶつかり合うので、個々のレースプランや目標と、かけ離れたレース展開になるケースが多いと感じます。また、言い方を変えるなら、ライバルと競い合うことで逆に、持てる力を「発揮できない、阻止される、つぶされる」……。

しかし、男女とも優勝(2位まで)したのは、東京五輪代表選手たちでした。もちろん、下馬評の高い選手たちもいましたが、東京五輪代表選手たちを倒すことはできなかったのです。やはり、東京五輪代表選考を勝ち抜き、さらに大会当日までの長期間にわたって国民からの期待を背負わされ、様々な風評にさらされながらトレーニングを重ねた経験と実績や、その精神力は他の選手たちとは次元が違うのでしょう……。

最後になりましたが、出場された選手の皆様、今年も見ごたえのある素晴らしいレースと感動をありがとうございました。

春を走る・10

【春を走る・10】今年のGWも長野県菅平高原において強化合宿を実施しております。また、コロナに関する規制も一旦解除されたこともあってか、サッカーチームなどの姿も多く見受けます。そして、このまま元の状態に戻っていくことを願っております……。

さて、今年もGW期間中の菅平高原は、実業団チームや大学チームの姿も多く、どのチームも質の高いトレーニングを積んでいます。そして、これも毎年のことですが、それらの様子を拝見しているだけでも、いろいろと参考になります。

特に、今年はGWの前半に実業団チームの選手たちが集中していたので、菅平高原のトラックは、その選手たちでにぎわっていました。そんな中、ひときわキレのある動きをしている選手がいたので、しばらく見入っていましたが、よく見ると住友電工の遠藤選手でした。

もちろん、私が偉そうに評価することはできませんが、やはり他の選手たちとは違って見えました。特に、短い距離のスピードやそのフォームは他の選手よりも洗礼されていました……。

そして、その数日後の5月4日、宮崎県延岡市で開催された「ゴールデンゲームズinのべおか」において、その遠藤選手が5000mで快走。特にラスト200mからのスパートは菅平で拝見したキレのある動きのままでした(LIVE配信より)。

後半のGWは、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しております。今回はトラックでのトレーニングに終始し、今月14日からのトラックレースに向けた最後の追い込みです。さいわい、どの選手も好調で、質を高めたスピードトレーニングも順調に消化しております。

先日の「かすみがうらマラソン」で快走した弱視の堀越選手と熊谷選手も、そのときの疲れも抜け、スピードに乗れる動きをしています。また、東京パラで金メダルを獲得した道下選手も好調で、5000mで自身の持つ日本記録更新が可能なゾーンに入っています。

どの選手も久々のトラックレースになりますが、最後まで怪我と故障に注意しながら最終調整に移行していきます。

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