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2022-06

夏を走る・4

【夏を走る・4】私の住んでいる千葉県も今年は梅雨らしい天候が続いています。そのため、気温も比較的高くない日もあるので、私のようにジョギングをするだけなら問題ないでしょうか……。

先日の日曜日は、富津合同練習会を実施しました。天候は曇っていたのですが、スタートした9時からゴールのお昼頃までは、ちょうど晴れました。したがって、気温も一気に上昇し、長い距離を走るには過酷なコンディションに……。

同練習会に参加しているメンバーの中には、8月に開催予定の北海道マラソンを目標にしている選手もいます。また、その大会にむけた準備(走り込みなど)を開始する時期にも入っています。

あらためて、夏マラソンは7月から8月あたりの暑い季節にマラソンを走るため過酷です。しかし、本当に過酷なのは、その夏マラソンを走るための準備(走り込みなど)です。なぜなら、8月のマラソンを目標にすると、その準備(走り込みなど)を開始するのは、遅くとも暑くなってくる6月からになるからです。

昨年の9月5日は東京パラのマラソンでしたが、メダルを獲得することができました。そのマラソンに向けた最後の追い込みを開始したのは、昨年の6月からでした。具体的なポイント練習のひとつは、6月から8月第1週までの間に実施した9本の40k走でした。

経験上の話になりますが、いわゆる冬のマラソンはハーフマラソンなどで調子が上がっている場合、スタミナに不安(走り込み不足)があっても、勢いで好記録をマークするケースが多々あります(トップ選手も含め)。

ところが、夏マラソンの場合、スピードが出せる調子に仕上がっていても、スタミナ(全身持久力)がないと最後まで走り切ることはかなり難しいといえます(大失速する)。つまり、暑さの中で長時間動き続けるには、スタミナがより重視されるのです(暑熱対策も含め)。

また、暑い中で長時間走ると、どんなレベルの選手でも脱水症状などの様々なリスクがともない、計画どおりに走り込むのが難しいのは確かです。しかし、計画どおりに走り込めていないと、夏マラソンで勝負するのが難しいのも確かです。

また、この相反するような課題を解消できる的確な方法を、私は見聞したことはありません。つまり、夏マラソンが無くならない限り、この矛盾(?)と向き合い続けていくのでしょうか……。

夏を走る・3

【夏を走る・3】先日の11日から12日の日程で、日本パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で開催されました。同大会に向け、4月後半から強化合宿を重ねてきたので、その成果を確認するために、私も神戸に行きました。

果たして結果は、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手が、5000mでアジア新記録を達成するなど、目標どおりの記録を残した選手を多数確認することができました。一方、うまく調子を合わせることができなかった選手もいました。

また、その結果を振り返ると、日本代表選手として東京パラを走った選手のほとんどは目標どおりの結果を残していました。ところが、出場できなかった選手ほど練習の成果を記録として残すことができなかったように見受けました。

やはり、大舞台を経験した選手たちは、「確実にひと回りもふた回りも成長した」と、レースをみていてもはっきり確認できました。あらためて、「人は大きな経験をすることで、大きな成長をする」と、感じました。

そして、我々は国から予算を頂戴して選手強化を継続している以上、最終目標は「パラリンピックでメダルを獲得する」です。それ以外はありません。もちろん、選手個々に走力やトレーニング環境が違うので、誰もが最初からその目標に到達することはできません。

陸上競技でパラリンピックを目指すパラ選手は、オリンピックを目指す一般選手に比べると、競技人口は圧倒的に少なく、いわゆる底辺が広いピラミッド型にもなっていません。したがって、一度パラリンピックに出場するレベルに到達した選手が、長期間に渡ってその地位をキープする傾向が強い特性を持っています(競争原理が働きにくい)。

逆の見方をするなら、パラリンピックに出場したことのない選手が、パラリンピック日本代表選手を倒すことは、一般のトップ選手がオリンピック日本代表選手に勝つこと以上に難しいと感じます(私の主観)。

2024年5月に今大会の会場において、WPA世界陸上競技選手権大会が開催されます。そして、この大会で上位入賞した数名の選手にはパリパラリンピックの出場切符が渡されます。今回、目標どおりのタイムに到達しなかった選手たちも、そのチャンスを手にできるよう、今日からさらに精進してほしいと願っております。

夏を走る・2

【夏を走る・2】関東も梅雨入りし、「今年の梅雨は〇〇」と毎年のように話していますが、まさに梅雨らしい天気が続いています。また、この梅雨の時期は、晴れたら気温が30度を超えますが、雨天になると逆にグッと下がります、

そのため、体調管理が難しい季節でもありますが、雨天時は長距離種目のレースには、うってつけともいえます。その主な理由として、雨が体温の上昇を抑えてくれるのと、呼吸が楽になるなど、思っている以上に走り易くなるからです。

私の現役時代の話で恐縮ですが、当時の6月に開催されていたトラック競技会において、5000mや10000mで何度か自己記録の更新をした経験があります。そして、その自己記録更新を達成したときの天候は、ほぼ雨でした。

また、当時も今も6月は晴れると30度を超える日もあり、レースやトレーニングには過酷なコンディションになります。しかし、梅雨の雨になると肌寒く感じる日もあり、そんな日にレースが重なると、暑い日のギャップもあってか体はよく動きます(私の経験上)。

特に、6月に出場した10000mのレース当日が雨天の場合、かなりの確率で好走(自己評価)していた記憶があります。もちろん、市民ランナーの皆さんがトラック競技会で、10000mを走る機会は少ないと思いますが……。

一方、10000mのレース当日が晴天で、気温が30度を超えるようなコンディションになった場合は、もちろん悲惨(地獄)でした。経験上、トラック競技の5000mまでは、気温が高くなってもパフォーマンスは極端に落ちませんが、10000mになるとトップ選手でも分単位で記録が悪くなります(夏はトラック表面温度が60度に達することもあるので……)。

したがって、スピード強化に軸を置いているこの時期は、市民ランナーの皆さんも積極的にトラックレースを走ってほしいと思いますが、暑さを考慮するなら距離は3000mから5000m程度までが良いでしょう。同様に、ロードレースは10k程度の距離まででしょうか。

簡単にまとめるなら、6月は「晴れれば地獄、雨天時はチャンス」ともいえます。しかし、チャンスを願って、トラックレースの10000mやロードレースのハーフマラソンなどの距離に挑戦するのは、個人的には推奨しません。

なぜなら、上記してきたように晴れたときのリスクが大き過ぎるからです(想像以上にタイムが悪化するのと体へのダメージが大きい)。やはり、6月のレースは、天候がどちらに転んでも目標タイムと実績タイムとの乖離が少なくなるような距離を選択してほしいと思います。

夏を走る・1

【夏を走る・1】5月28日から4泊5日の日程でいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。今回の強化合宿は、6月11日から開催される日本パラ陸上競技選手権大会に向けたスピード強化がテーマでした。

5日間の中で実施したポイント練習は、ロードでの距離走が1回、トラックでのスピード練習が2回。ところが、実施したその3日間とも快晴となり、気温も30度を超えるなど、長距離選手にとっては過酷なコンディションになりました。

さて、今回の強化合宿に参加した選手は、東京パラT12マラソンでメダルを獲得した堀越選手、道下選手。同じく東京パラT11トラックでメダルを獲得した和田選手など、主力選手が揃いました。

また、今回の強化合宿に参加したガイドランナーもエース級が揃い、質の高いトレーニングを切磋琢磨しながら消化することができました。その強化合宿中の具体的なトレーニング内容は割愛しますが、私が強化合宿を見てきた中でも歴代トップ5に入るような充実ぶりだったことは間違いありません。

とくに、合宿最終日に実施した「ペース走+インターバル走」は、全選手がこちらの指示した設定タイムを上回る積極的な走りをしていました。また、いつものように強化合宿を見ていて久々に「これは強い!」と、選手たちの成長に手ごたえを感じました。

そして、選手たちの快走には、常にガイドランナーたちの支えがありますが、今回のようにトップガイドランナーが揃うと、強化合宿(トレーニング)が引き締まります。その結果、選手たちも消極的な姿勢や走りを見せなくなります。

あらためて、マラソンや長距離は個人競技ではなく、「チーム競技」であると強く感じました。もちろん、レース中は個人ですが、過酷で単調なマラソントレーニングを単独で乗り越えていくには限界があります。

つまり、強化合宿(定期練習会も)のように仲間と切磋琢磨しながら厳しいトレーニングを重ねていくことで、はじめて個人の力も上がっていくのです。少なくとも私はそう確信しております。これからも目の前に立ちはだかってくる困難を「チーム力」で乗り越えいきます。

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