Home > Archives > 2022-07

2022-07

夏を走る・9

【夏を走る・9】夏のミニ合宿について前回からの続きになりますが、あらためて前回の注意点をまとめると、ミニ合宿を効果的に実施するために不可欠な練習環境についてでした。そして、今回もそのミニ合宿について考えていきます。

はじめに至極当然のことですが、どんな短期間の合宿であっても、どんな練習をどんな目的で実施するかの練習計画が不可欠になります。もちろん、その計画を実施することが可能な走力を有した個人や、その仲間たちが集まっていることが大前提になります。

実は、誰もが「そんなことは当たり前」と思っていますが、実際にミニ合宿を計画し、参加メンバーを集うと、そうならないことの方が多いのです。したがって、合宿参加者の走力差が広がり過ぎてしまい、一緒に練習をしているつもりなのに、実際はそうではない状況の方が意外と多かったりします。

また、ミニ合宿は仲間も多くいた方が、モチベーションも高まり、充実した合宿になることは確かです。しかし、上記したように合宿参加メンバーの走力差が大き過ぎた場合、長い距離をそれぞれのペースで走ると、ゴール時間に大差がついてしまいます。その結果、その後の合宿計画に影響を及ぼすこともあります。

同様に、合宿時の給水準備やロードコース上の監視をしてくれる仲間もいた方が安心です。私の経験談になりますが、ロードの周回コースで長い距離を走る練習をしていたとき、コースを間違えて行方不明になってしまった合宿参加者が過去にいました(もちろん、無事に保護しましたが……)。

他にも現地入りしたあと、練習計画の意見相違があったため、いくつかのグループにわかれて別々の練習をすることになったこともありました。その結果、それぞれのグループをサポートできる人が足りなくなり、逆にどのグループも満足な練習ができなかったこともありました……。

以上のようなトラブルを避けるためにも、事前に参加者の走力や調子などを細かく把握しておくことはもちろん、無謀な合宿計画ではなく、ゆとりを持った合宿計画が何よりも重要です。

余談になりますが、ミニ合宿の参加者は二十歳前後の学生たちとは違い、ある程度年齢を重ねてきた方々が多くなります。したがって、それぞれが違う仕事を通じて別々の人生を歩んできた者同士の集まりになるので、世の中の捉え方や価値観などが微妙に違ったりします。そんな方々が、お互いにじっくりと語り合えるのもミニ合宿の醍醐味ともいえます。

夏を走る・8

【夏を走る・8】7月16日からの3連休は、長野県上田市菅平高原において合宿を実施しました。この間、関東地方は天気が今一つでしたが、菅平高原も雨が降ったりやんだりの天気でした。

また、菅平高原は、元々ラグビーの聖地ともいえる場所ですが、コロナの影響で昨年はラグビー選手たちを見かけることはありませんでした。しかし、今年はそのラグビー選手たちも戻りつつある様子で、活気も戻ってきていました……。

さて、ここから9月中旬あたりまでは、暑い日々が続きます。したがって、長距離走やマラソントレーニングを継続していくには、過酷なコンディションが続くことにもなります。もちろん、暑い中でも工夫をしながら走り込んでいくことは必要です。

しかし、暑い中で我慢して走り込むより、夏の休暇や連休を活用し、比較的涼しい高原などでミニ合宿を実施するのはいかがでしょうか。私が住んでいる千葉県や都内などから見ると、この長野県菅平高原は手ごろな場所といえるでしょう。

もちろん、実業団選手たちのように1週間以上滞在することはできないので、上記したように1泊2日など、短期間になりますが、その効果は十分得ることはできます。そこで、1泊2日などの短期間で実施するミニ合宿の注意点をあらためて考えていきます。

1つ目は場所の選定です。もちろん涼しい場所などが理想的ですが、移動時間がかかりすぎるような場所では、到着しても走り込む時間が少なくなるのと、移動で体力を消耗してしまいます。目安としては、自宅を出発したら午前中には到着してる距離がギリギリでしょうか。

2つ目は宿泊先の選定です。やはり、陸上選手などのスポーツ選手を受け入れることに慣れている宿泊先が間違いありません。例として、長い距離を走るためには、スタート時間がポイントになります。そのためには、宿泊先と食事の時間やお風呂の時間など、様々な調整が必要になります。

3つ目は現地での練習環境です。宿泊先に到着した後、計画していた練習を開始しようとしても、競技場やロードコースまでの移動距離があり過ぎた場合です。徒歩やジョギングで移動することが困難な状況では何もできなくなってしまいます。この点も事前に確認し、自家用車やレンタカーなども必要になる場合もあります。

他にもいくつかありそうなので、次回に続きます。

夏を走る・7

【夏を走る・7】7月8日から1週間の日程で、北海道北見市において毎年恒例の強化合宿を実施しました。今年も宿泊先のプラザホテルの皆様、北見市の皆様方の絶大なるご支援のおかげで、充実した内容で終えることができました。まずは、厚く御礼申し上げます。

また、この間、ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会と網走大会に出場することもできました。これも毎年恒例のことですが、日本陸連様、地元関係者の皆様方のご尽力のおかげであり、重ねて御礼申し上げます。

昨年の7月から8月の間は、東京パラに向けた最後の走り込みと調整をこの北見市内で行い、男女とも目標のメダル獲得を達成することができました。もちろん、今年の強化合宿も走り込みをメインにした内容でしたが、特に最初のレースとなった北見大会の5000mについては、それぞれが記録を狙って挑みました。

さて、同大会には、2017年からブラインド部門を加えていただき、パラ選手たちも出場できるようになりました。ところが、昨年までの間、天候や気温など大会当日のコンディションに恵まれなかったこともあり、日本記録や個々の自己記録更新もほとんど残せてきませんでした……。

しかし、今年は昨年の東京パラで金メダルを獲得した女子の道下選手、同じく銅メダルを獲得した男子の堀越選手をはじめ、男女ともT12マラソン代表選手が揃い、「お世話になってきたこの北見大会で今年こそは自己記録更新を!」と、その思いは過去最高潮でした。

果たして大会当日は、選手たちのその思いが通じたのか、天候などのコンディションは我々が参加してきた中では過去最高に整ったこともあり、自己記録更新を達成した選手が複数でました。

特に、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手と5位に入賞した藤井選手は、6月の日本パラ陸上競技選手権大会に引き続き、2大会連続の自己新記録を達成。その道下選手の「18分21秒75(5000m)」は、2大会連続のアジア新記録(日本新記録)でもありました。また、今年58歳の藤井選手は「20分22秒53(5000m)」と、自己記録を最更新しましたが、まだまだ発展途上です。

さらに、東京パラのT12男子マラソンで銅メダルを獲得した堀越選手は、惜しくも自己記録更新には届きませんでしたが、5月から3大会連続の14分台(3大会ともセカンド記録)を達成しました。

このように、地元開催の大舞台を経験し、さらに同大会で結果を残した選手たちは、心身ともにもう一段上のレベルに到達したといえるでしょう……。

夏を走る・6

【夏を走る・6】いよいよ本格的な夏の到来です。しかし、長距離走やマラソンのような持久系スポーツは、暑さの中では様々な危険が伴うスポーツといえるでしょう。一方、この暑い時期も秋以降のマラソンシーズンに向けた準備ととらえると、夏はとても重要な季節ともいえます。

これも毎年のことになりますが、いわゆる「夏の走り込み」です。基本的なトレーニング内容はそれぞれのチームや個々によって異なりますが、暑さに負けない工夫をしながらそれぞれが走り込んでいることでしょう。

その結果、秋以降のマラソンで目標の記録や成績を達成するランナーも数多く見受けます。このように暑さの中での長距離走やマラソンのトレーニングには危険もともないますが、とても重要であるともいえるでしょう。この点は、市民ランナーの皆さまもよく理解していることと思います。

ところが、毎年夏の走り込みは充実していたにもかかわらず、秋のマラソンシーズンに入っていくと、なぜか調子が悪くなっていくランナーを、毎年見受けるのも確かです。また、その原因を単に夏の走り込みと、決めつけることが難しいのも確かです。

しかし、夏をはさんで逆に調子が悪くなっていくランナーがいるもの間違いなく、この点は理解しておく必要はあります。特に、暑さが苦手と自覚している方は要注意です。詳細な説明は割愛しますが、「暑さに強いか否かは、生まれ育った場所の環境に強く影響される」と説明する専門家もいます。つまり、寒い地方で生まれ育った方は大人になっても暑さが苦手と……。

毎年、「夏の走り込みを実施しても秋から調子が上がらない」と自覚している方は、今年の夏は思い切ってその走り込みを見直してみるのも、ひとつの選択かもしれません。つまり、秋から良い体調で走り込めるよう、夏は体調重視で軽めのランニングに抑えていくなど、例年とは逆の考え方で試してみるのです。

その場合、目標のマラソンも例年よりも少し後ろにずらしていくことも必要になるかもしれません。しかし、これから苦手な夏に立ち向かうより、思い切って苦手な夏を見送ることの方が、実は良い結果に結びつくかもしれません。

もちろん、やるかやらないかは、あなた次第……。

夏を走る・5

【夏を走る・5】先週は梅雨らしい季節と話していたところ、なんと梅雨が明けました。また、雨天で走り易い日もあると、選手にも話しをしていましたが、梅雨が明けると連日35度前後の猛暑日です……。

その梅雨明けとほぼ同じタイミングの6月25日から29日の日程で強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。もちろん初日から最終日までの間、連日30度を超える厳しコンディション下でのトレーニングになりました。

今回の強化合宿には順天堂大学から3選手がガイドランナーなどのサポートとして参加頂きましたが、その3選手は今年の箱根駅伝で3位入賞を果たした主力メンバーです。また、その3選手を大学で指導している順天堂大学コーチの仲村先生にも帯同頂き、動きつくりなどの指導や選手個々にアドバイスなども頂戴しました。

駅伝強豪大学なので、「何か特別なノウハウがあるのかも?」と思いがちですが、仲村先生の指導やアドバイスはシンプルで的確であり、何よりも「日々の継続」を強調していました。我々はどうしても新しい情報ばかりに目が向きますが、地道に足元を固めていくことの大切さを再認識することができました。

さて、今回の合宿は連日30度を超える厳しい暑さの中でのトレーニングでしたが、どの選手も既に暑熱順化ができており、暑さを理由に途中で大きく離脱する選手は皆無でした。これは、昨年の東京パラを目指していた同時期よりも明らかに調子が良く、どの選手も毎年積み重ねてきた経験や実績を活かせています。

そして、来週末からは恒例の北海道北見合宿に入ります。同合宿中は、今年もホクレン・チャレンジディスタンス大会に出場し、5000mを2本走りますが、間に40k走をセットにして走り込んでいきます。

その後、8月下旬に開催予定の北海道マラソンを目標にした調整に入ります。ただし、7月後半からの強化合宿は涼しい北海度ではなく、再び千葉県富津市富津公園に場所を戻します。今年は夏マラソンに向けた最後の調整をあえて暑い場所で実施します。

2024年のパリパラに向けた暑熱対策もこれまでの経験と実績を活かしながら、あらたな経験と実績も加味していきます。

Home > Archives > 2022-07

Search
Feeds

ページの先頭へ