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2022-08

夏を走る・13

【夏を走る・13】先日の土曜日から2泊3日の日程で、長野県菅平高原において合宿を実施しました。合宿中は概ね天候にも恵まれ、計画どおりの走り込みを消化することができました。そして、秋からのマラソンシーズンに向け、9月にもう一度、菅平合宿を実施する予定です。

いわゆる温暖化の影響なのでしょうか、ここ数年は9月に入っても気温の高い日が多くなり、走り込みに適さない日も増えてきた感じがします。しかし、11月以降のマラソン大会を目標にした場合、9月と10月はとても重要なトレーニング期間に位置します。

具体的には、春先に培った「スピード」と、夏に培った「スタミナ」を融合させ、マラソンを目標タイムで走り切るための「スピード持久力」を養成していく期間に当たるからです。7月と8月は暑い中での走り込みだったので、あえて設定タイムを落とし、時間をかけてじっくりと走り込む期間としましたが、9月からの走り込みを夏と同じにすることはできません。

しかし、上記したように9月も暑い日が多くなり、スピード持久力養成を目的にした距離走を確実に実施するためにも、菅平合宿を9月に実施するようになりました。もちろん、短期合宿なので距離走の回数は少ないですが、とても重要な合宿と考えます(私の経験上)。

さて、今週末は北海道マラソン大会が3年振りに開催されます。コースも昨年の東京五輪コースが一部加わるなど、リニューアルされました。また、パリ五輪マラソン日本代表選考会である「MGC」の出場権を獲得できる大会にも指定されているので、男女とも国内トップ選手が多数出場します。

このように3年振りの開催ですが、とても注目される大会になっています。出場される市民ランナーの皆様にとっても久々の厳しい夏マラソンになると思いますが、まずは無事に完走してほしいと願っております……。

夏を走る・12

【夏を走る・12】厳しい残暑が続いております。気温が高いのはもちろんですが、湿度も70%を超えており、走る選手にとってはそちらの方が負担になっているに違いありません。

暑い国といわれる海外の大会に参加しても、日本のような高温多湿の環境に遭遇することはほとんどなかったので、やはり日本の夏は最強でしょうか(私の経験上)。もちろん、厳しい残暑が続く中においても、選手はたんたんと走り込みを継続しております。

また、上記したように夏は暑さだけでなく、この湿度の高さも加味した設定タイムに調整するのが、大きなカギになります。何度も記載してきたとおり、気温や湿度をタイム換算できる指標は存在しないので、経験と感覚にたよるしかありません。

一方、暑さを避けて涼しい環境で走り込みを実施する場合は逆に、どのタイミングで暑い環境に体を戻していくかが、大きなカギになります。実は、こちらのパターンも涼しい気温から暑い気温に暑熱順化させるための具体的な日数やタイム換算した指標は存在しないので、最後は経験と感覚にたよることになります。

さて、年間を通じて強化合宿中は、毎朝5時30分に採尿して尿比重などを測定し、選手ごとの脱水状態や体調などを確認しています。もう何年も継続しているので、選手ごとの特性もつかめています。そのため、尿を見ただけで、どの選手なのかの検討もつくようになりました。

また、単に数値が脱水状態だからといって、記録などのパフォーマンスに直結しないこともわかっています。先日の強化合宿である男子選手が足の不調を訴えたので、最初から散歩程度の練習に切り替えました。

その選手は年間を通じて尿比重が高く、尿の色もかなり濃い傾向です。ところが、練習を落とした翌朝の尿は、まるで別人のように透明になり、尿比重も驚くほど低い数値に……。振り返ると、この選手は合宿期間中に練習を意図的に落としたことは、私の記憶にもほとんどありませんでした。

もちろん、私は医者でも専門家でもありませんが、常に高強度の負荷を体にかけている選手の数値は、異常値に近い感じが普通です。しかし、少しでも負荷をゆるめると、その数値は劇的に回復します……。

暑さなど過酷な環境で勝負を求められる選手にとっては、理屈抜きにそこで戦うしかありません。しかし、どんなに厳しい環境にさらされても、人の体はそれに必ず順化していきます。あらためて、理論や理屈でない世界がそこにはあるのでしょう……。

※先日の富津強化合宿中、選手に給水を渡していたら足元にタヌキが……。

夏を走る・11

【夏を走る・11】この1週間も残暑の厳しい日が続きましたが、特に変わることなく走り込みを継続しました。富津合同練習会においても、いつものように距離走を実施しましたが、コンスタントに参加しているメンバーは厳しい暑さの中においても難なく走り込めています。

暑さに慣れて、暑さに強くなっていくことを暑熱順化といいますが、富津合同練習会を拝見していると、まさにそう感じます。同時に、人の適応能力のすごさも実感します。とはいうものの、もちろん走る距離やその設定タイムの調整は都度実施しますが……。

ところが、夏の走り込みは秋や冬のマラソンシーズンではあり得ないほど設定タイムなどを落とすので、逆にランナーにとっては「こんなに落としたら意味がないのでは?」と、不安な気持ちに陥り易いのも確かです。

これも毎年のことですが、不安な気持ちが先行し、設定タイムを落とさずにスタートした多くのランナーは、残念ながら途中で失速してやめてしまいます。その結果、更に落ち込んでしまうのです。まさに「負の連鎖」ともいえるでしょう。

また、暑くなると「走る距離を極端に短くし、逆に設定タイムを速くして走る」。こんな方法で夏の走り込みを実施するランナーも見受けます。走り込みの方法や考え方はそれぞれなので、秋以降のマラソンシーズンに結びつけば問題ありません。

しかし、マラソンはスタートしたら「42.195キロ」を最後まで走り続ける競技なので、連続で長距離や長時間動き続けるスタミナは必須になります。その視点から考えると、暑い中とはいえ「走る距離を極端に短くし、逆に設定タイムを速くして走る」だけでは、目的のスタミナを身に付けることは……。

このように、暑い中での走り込みは、どんなレベルのランナーも常に不安定な精神状態ともいえるでしょうか。また、その日の気温や湿度を具体的なタイム換算できる指標は存在しないので、常に思考錯誤のような状況です。

確実にいえるのは、暑い中での走り込みは「速くなって途中でやめる」より、「遅くても最後まで走り切る」ほうが、少なくともスタミナ面(精神的なスタミナも)では、プラスになります。

夏を走る・10

【夏を走る・10】猛暑の続いた今週の水曜日まで強化合宿を実施しましたが、今年の8月はいつもの千葉県富津市富津公園です。その千葉県富津市は房総半島に位置しますが、猛暑になる日の暑さは都内と変わりません。

そのため、本来であるなら暑さを避けるために、比較的涼しい場所へ移動し、そこで夏の走り込みを実施します。ところが、近年は涼しいといわれている地域においても、30度を優に超える日も珍しくなく、「暑熱対策」は全国共通になってきました。

そんな状況も考慮し、今年の8月はあえて上記した千葉県富津市で強化合宿を実施し、8月28日の北海道マラソンに挑む流れにしました。昨年は東京パラに向け、6月から8月までの間は涼しい長野県や北海道で走り込み、最後の調整と暑熱対策はこの千葉県富津市で実施しました。

果たして東京パラのマラソン当日は、逆に気温が20度弱と全く想定していなかった涼しいコンディションに……。何年もかけて準備してきた暑熱対策などは、ほぼ使うことなく東京パラのマラソンを終えることになりました。もちろん、今年の北海道マラソンがどのようなコンディションになるかは誰にも予測できませんが……。

さて、今回の強化合宿ですが、連日猛暑となる過酷なコンディションとなりました。本来なら屋外での運動そのものも控える気温でしたが、練習は計画どおりに実施しました。もちろん、設定タイムをかなり落とすなど、暑さを考慮しましたが、予想どおりの厳しい練習になりました。

また、8月28日の北海道マラソンから逆算すると今回は、量をこなせる最後の合宿に当たります(私の経験上)。しかし、上記したように猛暑のため、設定タイムなどの下方修正もよぎなく、逆にどの程度修正するかの判断が練習のポイントでした。

特に、夏マラソンを目標にした場合、上記した「どの程度修正するか」の判断が大きなカギを握ります。もちろん、無理に設定タイムどおりに押し切ろうと頑張り、結果的には暑さで大失速などした場合、そのダメージは体だけでなく心にも刻まれます。と、いいながら逆に抑え過ぎると、今度は練習強度が足りず、当初の目的から逸脱してしまうことにもなります。

夏マラソンが難しいといわれるゆえんは、気温と湿度が高くなっても、それを具体的なタイム換算した明確な指標がないことかもしれません。だからこそ、逆に夏マラソンは誰にでもチャンスがあると……。

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