Home > Archives > 2023-05

2023-05

2023春を走る・13

【2023春を走る・13】第65回東日本実業団陸上選手権大会が栃木県の「カンセキスタジアムとちぎ」において開催されました。そして、今大会も男女視覚障がいの部(1500mと5000m)を実施いただきました。まずは大会関係者の皆様に御礼申し上げます。

視覚障がい男子5000mは、東京パラT12男子マラソン・銅メダリストの堀越選手と、東京パラT11男子5000m・銅メダリストの和田選手の直接対決となりました。結果は、3000mから先頭に立った堀越選手がそのまま大会新記録でゴール。

また、同じレースでT11クラスの米岡選手とT12クラスの大石選手が、それぞれセカンド記録をマーク。気温が高く、湿度も高い中での5000mでしたが、どの選手も暑さや湿度に負けることなく、最後までしっかりとしたフォームでゴールしていました。

引き続き、6月の「2023ジャパンパラ陸上」と、7月の「ホクレンディスタンス」でのトラックレースが残っているので、トラック種目での自己記録更新を目標に強化していきます。

さて、すでに何度も記載していますが、マラソンのスピード基準のひとつが「5000m」です。グラフに例えると、縦軸がスピードで横軸が持久力です。この時期は縦軸のスピード強化をメインにしているので、縦軸を可能な限り、上へのばそうとしているイメージです。

最終的には、上記した縦軸の到達点と横軸の到達点で囲った四角形の面積がマラソンに必要な走力(スピード持久力)になるイメージです。このように言葉で言うと簡単にイメージできますが、実際の練習ではそう簡単にいかないのがマラソンです。

人の体は、縦軸のスピードを上へのばしていくと、横軸のスタミナは右から左(0方向)へと縮んでいきます。逆に、横軸のスタミナを右へのばしていくと、縦軸のスピードは下(0方向)へ落ちていく傾向があるので、四角形の面積を簡単に広げることはできません。

つまり、スピード練習だけではマラソンに必要な走力は身につかない。逆に走り込みだけでもマラソンに必要な走力は身につかない。この縦軸と横軸の「いい塩梅」を、つかみながら四角形の面積を大きくしていけるか否かが、マラソン攻略のカギになると考えます(イメージとして)。

第65回 東日本実業団陸上競技選手権大会【トラック競技 5/21】 – YouTube

2023春を走る・12

【2023春を走る・12】福島県会津若松市において開催された伴走者養成研修会のお手伝いをしてきました。今回の研修会も伴走に関すること、視覚障がいに関することなどの講義と、視覚障がい者に対する介助や伴走の実技からなる2本立ての内容でした。また、今回は視覚障がいランナーの参加者も多く、どの参加者も熱心に受講していました。

あらためて、視覚障がい者が歩いたり、走ったりするには、横でエスコートする伴走者が必要になります(単独行動が可能な弱視の方は除く)。そして、その伴走者の役目は「安全の確保」であり、何よりもこれが最優先されます。

もちろん、伴走者は誰でも簡単にできるので、難しく考える必要はありません。実際に、各種マラソン大会では、視覚障がいランナーが伴走者と一緒に走っている姿を目にすることは一般的な光景になりました。それだけ全国各地にも普及し、視覚障がいランナーに対する垣根が無くなってきた点は、たいへん喜ばしいことです。

一方、正しい伴走ができていないケースを拝見することが多いのも確かです。よくあるケースのひとつとして、伴走者の方が記録や順位への気持ちが先行し、最後は「気合と根性」で視覚障がいランナーを強引に走らせている姿は、意外に多いと感じます。

また、そんな姿を拝見していると、単に「気合と根性」だけでなく、伴走者としての技術や知識が不足しているがゆえに、視覚障がいランナーは単に苦しいだけで、自身の力を出し切れていないことが多いのです。これは、パラリンピックなどの国際大会を目指している視覚障がいランナーの伴走者にも該当することです。

かくいう私も25年以上、ブラインドマラソン(パラ陸上)の国際大会などに帯同してきましたが、伴走者の要因で視覚障がい選手が失格や途中棄権に陥った事例は、私が把握しているだけでも両手では足りません。また、その要因を振り返っていくと、そのほとんどが伴走者の「技術と知識不足」に起因するのです。

今回の伴走者養成研修会で、誰よりも私自身が刺激を受けましたが、来年のパリパラを目指している視覚障がいランナーやその伴走者たちにも、伴走などに関する「知識と技術」の学びなおしが必須であると、強く感じた次第です……。

最後になりましたが、今回の伴走者養成研修会の開催にご尽力いただいた地元関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

2023春を走る・11

【2023春を走る・10】GW中に実施した菅平合宿は無事に終了しました。もちろん、計画していた練習はほぼ予定どおりに消化することができましたが、合宿後半は天候が崩れ、気温も著しく低下しました。

具体的には、合宿前半は平地と変わらないほど気温も上昇し、練習時の気温は手元で25度を超えていました。また、朝晩の冷え込みも例年ほどではなく、逆に快適な感じでした。しかし、週間天気予報どおり、合宿中盤から天気が下り坂に入り、練習時の気温も15度以下に……。

そして、最終日の練習時は、手元の気温は5度。更に強い寒風が吹き荒れ、体感温度は0度相当まで下がっていました。さすがに、ここまで下がると、練習にも支障をきたすことになり、実際の練習計画も修正しました。

このように、寒暖の差が大きい今年のGW合宿でしたが、途中で離脱する選手(故障やケガ)が皆無だった点は良かったです。また、新しくなった「きずな家」の皆様は、とても快適な環境を提供してくれました。

さて、毎年のことですが、GW中の菅平合宿は必ず実業団選手や学生選手たちの姿があります。案の定、トラックでは今年も国内トップ選手たちが揃って走り込んでいました。もちろん、これも毎年のことですが、とても参考になります。

最初は単に、洗礼されたそのフォームばかりに目がいきます。しかし、疾走タイムやリカバリータイムなどを確認しながら拝見していると、「理にかなった練習」の意味が見えてきます。

詳細は割愛しますが、「最初から最後まで決めた設定タイム(適正タイム)で走り切る」。これは誰もが意識してる基本中の基本に該当することですが、実はこれが練習の中では最も難しく、これをつかめていないがゆえに記録も停滞します。

毎年、菅平高原で拝見するトップ選手たちは、このシンプルなことを確実に実行し、継続しています。つまり、「量が多い練習は設定タイムを落とし、量が少ない練習は設定タイムを上げて、最後まで確実にやり遂げる」。実にシンプルなことです。

これから夏に向かって、気温や湿度が高くなっていきます。長距離やマラソンにとっては厳しい季節に移っていきますが、菅平合宿で拝見したトップ選手たちの練習を参考にしながら個々の適正タイムで走り込んでいきます。

2023春を走る・10

【2023春を走る・10】今年も長野県上田市菅平高原において強化合宿を実施することができます。また、同地の合宿拠点として20数年来お世話になってきた福美津屋旅館は、「きずな家」に引き継がれることに……。そして、来年のパリパラに向け、さらに強固なサポート体制が構築されることにもなりました。

今回の菅平合宿は、トラックでのトレーニングになります。つまり、スピード練習はもちろん、ペース走や距離走、ロングジョグに至るまでの全てをトラックにおいて実施します。また、菅平高原は準高地と呼ばれる標高もあるので、それぞれの設定タイムも抑え気味になります。

ところが、準高地と言っても呼吸が乱れ、思うような走りが難しくなる選手もおり、うまく順応できない選手もいます。このように、専門的な文献に掲載されているデータなどを参考にしても、実際の練習現場においてはそれらとの相違が多々発生するので、やはり経験を重ね、独自のデータを蓄積していくことが最重要です。

また、今回は強化指定女子選手がほぼ揃い、久々に活気のある強化合宿となります。もちろん、ガイドランナーや強化スタッフも揃っているので、単に走り込むだけでなく、大いに語り合える良い機会にもなります。至極当然のことですが、お互いを知ることで、そこに化学反応がおこります。

「そんな考え方があったのか!」

それぞれが地元で日々継続している練習の中において、何かうまくかみ合わないことは誰にでもあります。しかし、お互いをさらけ出し、様々な角度から語り合うことで、意外と腑に落ちる考え方のヒントを得ることがあります。

同じ目標を持った仲間同士が集い、切磋琢磨する最大のメリットは、まさにそこかもしれません。我々の強化合宿の目的のひとつに、「仲間意識の見える化」がありますが、新しい「きずな家」にふさわしい最初の強化合宿となります……。

Home > Archives > 2023-05

Search
Feeds

ページの先頭へ