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2023-06

2023夏を走る・5

【2023夏を走る・5】千葉県も梅雨入りし、蒸し暑い日々が続いております。そんな中、強化合宿をいつもの千葉県富津市で実施しました。もちろん、合宿期間中の天気も予報どおり、気温は30度前後で推移し、湿度も70%以上とマラソントレーニングを実施するには過酷なコンディションでした。

さて、来年に迫ったパリパラリンピックも過去の気象実績を見る限り、暑さ対策は必須です。また、8月の北海道マラソンなどの夏マラソンを目標にした場合も過去の気象実績を振り返り、暑さ対策などを検討します。

至極当然のことですが、夏マラソンの難しいところは、大会当日の暑さ対策だけではありません。つまり、大会当日に向けた走り込みを、暑い中で実施していく必要がある点です。前述した8月の北海道マラソンを目標にした場合、まさにこの6月から7月が走り込みのピークになります。

しかし、連日30度以上の気温が続く場所で走り込むのは危険も伴い、相当過酷になる点は想像に難くない……。逆に、涼しい場所に移動して走り込みを実施したとしても、大会当日は暑い中で走るので、どこかのタイミングで体を暑さに慣れさせる必要があります。しかし、その絶妙なタイミングを計るのが、相当難しい点も想像に難くない……。

また、オリンピックやパラリンピック、あるいは陸上競技の世界選手権大会などは、ほぼ真夏に開催されます。そのため、いろいろな意味で常に問題視されてきたのは「マラソン」です。したがって、夏マラソンに向けたトレーニング方法を確立し、うまく実践できたか否かが、国際大会でのメダル獲得にも影響してきました。

来年に迫ったパリパラリンピックに向け、残された夏は今年だけです。しかも、すでに6月が終わろうとしています。このあと、7月と8月は北海道で強化合宿を実施し、8月の北海道マラソンに参戦します。

この流れは、何年も変えておりません。そして、この流れを確実に踏襲し、暑さに対する対処方法などを確立してきた選手は、夏の国際大会でも結果を残してきた実績があります。

一方、夏マラソンは冬マラソンと違い、暑い中で走り込む距離やその設定タイムの見極めが難しく、過去のデータよりも、その日その場の状況判断に頼る部分が多いのも確かです。

いよいよ今年も「暑くて難しい夏」の到来です……。

2023夏を走る・4

【2023夏を走る・4】先日の「富里スイカロードレース大会」は、予報どおりの暑い一日でした。かくいう私も久々に現地で応援しましたが、どのランナーも暑さに負けない力走を見せていました。また、暑い中でも期待どおりの仮装で大会を盛り上げた皆様も、無事(?)にゴールしていました……。

さて、同大会もコロナ禍の影響で久々の開催でしたが、エントリー数はかなり減少していたようです。同様に、コロナ禍で延長や中止に追い込まれた大会は多く、大会を走れないことが、ランニングから遠のいていくことに直結した方も多かったようです。

ランニングは、誰でもどこでも簡単にはじめることが可能なスポーツです。また、道具を使わないので、技術面やルールなども無いに等しく、敷居が低いのも魅力です。したがって、各種マラソン大会にエントリーして走ることは、原則として誰でも簡単にできます。

一方、道具を使わない分、己の肉体と精神だけが頼りのスポーツとも言えます。逆に言えば、いかなる理由があっても、走るのをやめればただの人になってしまう残酷なスポーツとも言えます。まさに「継続は力なり」のスポーツでしょうか。

ところが、経験の少ない方々が単調なランニングを日々継続していくには、「頭で考えているよりも簡単で難しい」。特に、この時期のように暑い中では、そもそも走る気力もわきにくく、逆に冬の冷雨や寒風の中では更に意欲や気力は失せることでしょう。

しかし、それらのマイナス面を補ってきたのが、各地で開催されているマラソン大会だったでしょうか。日々のランニングを継続していくことは難しくても、マラソン大会に申し込みをしてしまえば、少なくともその大会は走ります。

このように各種マラソン大会を定期的に走ることで、モチベーションをキープし、走力向上につなげてきた方も多かったことでしょう。そして、今回の「富里スイカロードレース大会」が久々のレースだった方も多かったと思いますが、これを期に各種マラソン大会への本格復帰につながることを祈念しております。

2023夏を走る・3

【2023夏を走る・3】コロナ禍から解放され、各種マラソン大会が復活してきました。一方、多くの方がコロナ禍の間、レースから遠のいていたのも確かです。したがって、久々の大会でハーフマラソンやマラソンのレース感覚を取り戻すことは難しく、どんなレベルのランナーも段階的な実戦経験が不可欠です。

今週末の日曜日は千葉県富里市において「富里スイカロードレース大会」が開催されますが、コロナ禍の影響を受け、2020年から中止になっていたので、久々の開催です。また、同大会は「10kの部」が最長距離にもかかわらず、過去に大会エントリー者数が1万人を突破したことでも有名です。

すでに何度も記載してきましたが、6月は気温も湿度も高くなるので長距離やマラソンにとっては過酷なコンディションに入っていきます。しかし、6月の雨天時は逆に走り易く、記録を狙えるメリットもあります。

果たして今度の日曜日、千葉県富里市の天候は「晴時々曇、最高気温33度(6月16日現在)」の予報となっております。残念ながら相当厳しいコンディションになる可能性が高いと言えます。大会当日は暑さ対策の準備をお忘れなく……。

さて、秋からのマラソンシーズンを考えたとき、この時期はどんな距離のレースを走ったら良いかの質問を多く受けます。もちろん、正解はなく、大会をエントリーする本人が好きな距離を自由に走れば良いのです。しかし、晴れて気温が30度を超えるコンディション下において、ハーフマラソン以上の距離は、かなりの危険を伴うことは想像に難くありません。

また、雨天時は走り易いと言っても、レースでハーフマラソン以上の距離になると、逆に様々なデメリットも出てきます(詳細は割愛します)。そう考えると、暑い季節は10k程度までのレースが、どんなコンディション下でも比較的安全に完走できる距離と言えるでしょう。

以上のように、コロナ禍の影響から久々のレース出場である点も考慮すると、暑い季節の大会は10k程度までの距離が良いでしょうか。さらに、秋以降のマラソンシーズンを目標にした場合、この時期は「スピード養成」に適した時期にもなります。まさに、10kまでのレースは、その目的にも合致します。

今週末に開催される「富里スイカロードレース大会」は、この時期に最も相応しい大会のひとつと言えるでしょう。

2023夏を走る・2

【2023夏を走る・2】千葉県も雨の日が多くなり、そろそろ梅雨入りでしょうか。前回記載したように、この時期は雨天時をうまく活用することで、逆に長い距離が走り易くなります。と、言いながらも晴れの日は、もはや夏のような気温と湿度に上がるので、長距離やマラソンにとっては厳しいコンディションであるのは確かです。

そして、これも毎年の課題になりますが、いわゆる「暑熱順化」です。つまり、暑さを避けられない季節に移っていくなら、その暑さに体を慣らしていく必要があり、それが暑熱順化です。

この暑熱順化ができてくると、暑さに適した発汗が可能になっていくことで、体温の上昇や塩分損失を抑えられるようになっていきます(詳細は割愛)。特に、この6月は日々の練習はもちろんですが、暑熱順化も含めた練習内容を考えていく必要があります。

では、暑熱順化はどのようにしていくのでしょうか?

最も理にかなった方法は、「暑い環境で運動をする」。要は、暑い環境に慣れるには、暑い環境で練習をすることが推奨されています。具体的には、暑さを利用した環境下でのランニングを一定期間繰り返す。すると、暑さへの抵抗力が強まり、体が暑さに慣れていくのが自覚できると言われています。

このほかにも専門的な話を見聞しても、ほぼ同じような内容に終始します。つまり、より厳しい環境下に体を慣らしていくには、我慢や根性も必要であると……。

そんな中、暑い中では「ゆっくり長く走る」ことが推奨されています。具体的には「LSD」と呼ばれるランニングです。特に、6月は、晴天時は「LSD」。そして、雨天時は「ビルドアップ走」などを取り入れながら暑熱順化を進めてほしいと思います。

もちろん、暑さに強い弱いは幼少時の育った環境にも影響を受けると言われているので、同じ暑熱対策を実施しても暑さが苦手な人は必ずいます。この点は個人差が大きく、明らかに暑さが苦手と感じる人は、炎天下でのランニングを控えるのが賢明でしょう。

また、暑さが苦手にもかかわらず、夏のマラソンにエントリーしたり、夏のレースを積極的に走ることは、肉体的にも精神的にもダメージを残すだけになります。この点は、自分自身をよく振り返り、個々に吟味してほしいと思います。

2023夏を走る・1

【2023夏を走る・1】今年も6月に突入しました。そして、梅雨に入っていきます。また、これも毎年のことですが、気温も湿度も高くなっていくので、長距離やマラソンにとっては、より過酷なコンディションへと移っていきます。

しかし、夏に向かっていくこの時期は、逆に雨天時を活用することで距離走など、スタミナ系の練習負担を軽減できます。ご存知のとおり、気温が上がると長距離やマラソンを走ることが苦痛に感じる主な理由は、体温が上昇するからです(詳細は割愛します)。

つまり、体温上昇を抑えることが可能なら、気温がある程度高い中でも走り続けることは可能とも言えるでしょうか。そして、その体温上昇を抑える条件に最も適しているのは雨天です。したがって、これから夏に向かっていく季節においては、雨天時をうまく活用することで、上記したようにスタミナ系(距離走など)の練習負荷を軽減することも可能になります。

もちろん、雨天時と言っても気温が高いのは変わりないので、冬のマラソンシーズンと同じような設定タイムで走ることは、身体への負担が大き過ぎます。また、具体的な数値を示すことは難しいですが、ゆっくり目のスピードからスタートし、中間点あたりから少しずつペースを上げていく「ビルドアップ走」が良いでしょう。

特に、この時期の距離走は、マラソンのスタミナ養成をすることではなく、「スピード練習を継続していくためのスタミナを維持する」ことが主な目的になります。すなわち、質の高いスピード練習を実施していくために必要なスタミナをキープしていくことになります(夏マラソンを目標にしている選手は違ってきますが)。

同様に、雨天時の各種ロードレースやトラックレースは、スタートするまでのウォーミングアップや着替えなどは負担を感じますが、逆にスタートしたら最初から目標タイムを狙った攻めのレースができるチャンスになります。特に、6月のレースは、1週間前あたりから天気予報を注視し、雨天になる確率が高そうなときは、記録を狙える調整にシフトしていくことを推奨します。

意外な感じがしますが、6月は10k前後までのロードレースやトラックレースにおいて、自己記録更新を狙い易い月でもあるのです(私の経験上)。

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