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2024-07
2024夏を走る・9
- 2024-07-26 (金)
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【2024夏を走る・9】予想どおりと言うか、予報どおりの猛暑が続きましたが、千葉県富津市での強化合宿を終えることができました。合宿中の気温は連日30度を超え、さらに湿度が70%前後で推移していたのが、選手たちをより過酷な状況に追いやっていました。
強化合宿中の具体的なポイント練習は、「40k走(距離走)」「インターバル(スピード)」「16k走(ペース走)」の3回(3日)。しかし、上記したとおり、3回とも気温は30度を超え、湿度も70%を超える過酷なコンディションでした。
本来なら気温が30度を超えている時点で、ランニングどころか屋外での運動は禁止です。したがって、気温が30度を超える過酷なコンディション下における「正しいマラソントレーニング理論」など、原則として存在しないのです。少なくとも私自身は見たことがありません。
もちろん、それに近い理論はあります。暑さ対策の専門事例として「暑熱順化」「給水」「手掌冷却」「深部体温」などなど、猛暑の中で体を動かし続けるための理論と言うよりも、先人たちの経験から導かれたノウハウは多数存在します。
ところが、これらの対策をほどこしてもその効果は個々によって大きく異なり、そもそも暑さに強い身体(個体)なのか否かになります。あくまでも私の主観ですが、夏マラソンに長くかかわっていると、そもそも暑さに強い弱いは生まれた場所(暑い地域か寒い地域か)や、生まれた月(夏なのか冬なのか)など、幼少期の生活環境にも左右されていると感じます。
さらに、暑さ対策の技術的な項目のひとつにランニングフォームがあります。いわゆるランニングエコノミーと言われる部分です。これは単にフォームがキレイとかではなく、コンパクトな動きが身についているか否かです。
これも私の主観ですが、いわゆる「力強い走り」をしているランナーは意外と暑さに弱い……。その具体例のひとつに、腕振りが力強く(前後に大きく振る)、腕振りの力で前に進んでいるようなフォームのランナーはそれに該当します。逆に、体幹に近い位置で、コンパクトにリズムをとるような腕振り(腕を大きく振らない)のランナーは、暑い中でも安定した走りが持続できるように感じます。
しかし、これが冬マラソンの場合、力強いフォームのランナーは、30k以降の苦しい局面では粘り強さを発揮します。ところが、夏マラソンの場合、その力強いフォームがゆえに、逆に筋肉の発熱と発汗を促進させ、前半から深部体温の上昇や脱水に陥る傾向が強くなるのでしょうか。
もちろん、これらについても正確なことはわかりませんが、言えることは何度経験しても「夏マラソンを攻略していくこと」は難しい……。
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2024夏を走る・8
- 2024-07-20 (土)
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【2024夏を走る・8】関東地方も梅雨が明け、連日30度を超える猛暑です。いよいよ本格的な夏の到来でしょうか。そんな中、本日から千葉県富津市富津公園においてパリパラ強化合宿を実施します。
本来なら涼しい場所で合宿をしますが、あえて暑い千葉県で実施します。その目的は、暑さ対策になります。専門的な話は割愛しますが、一度は暑熱順化した身体も、長期間涼しい場所にいると、その効果はどんどん薄まっていくと言われています。
パリパラマラソン代表選手たちは、今月の前半は北海道北見市で強化合宿を実施しましたが、このタイミングでもう一度暑い中で走り込んで、身体を暑熱順化させます。もちろん、無理をして調子を崩すようなことはしませんが、暑さに慣れるためには、科学的と言うよりも根性論寄りのトレーニングが推奨されています(そもそも気温が30度を超える中で運動をしていはいけない)。
実際に暑熱対策の専門的な話を見聞しても、最終的には「気持ちの持ち方」「慣れるまで我慢」など、「そんなんで大丈夫かな?」と思ってしまう文献などが多いと感じます(繰り返しになりますが、気温が30度を超える中で運動をしてはいけない)。しかし、何年も夏マラソン対策のトレーニングを繰り返し、その経験を重ねてくると「確かにそのとおりだ」と、腑に落ちます。
また、8月から9月上旬のパリの気温は、日本ほど暑くなりません。少なくとも過去のデータ上では……。しかし、最近の異常気象を受け、パリをはじめヨーロッパは熱波の影響で40度を超える日があったりもします。要は、パリパラマラソン代表選手たちがパリ入りした時、「ここは涼しくて快適だ」と、思える状態に仕上がっていれば、個々の目標を達成できる確率は高くなります。
そして、今日からの千葉県富津市での強化合宿を終えると、8月は再び北海道北見市で合宿を実施します。そのあとは、長野県上田市菅平高原に移動し、8月下旬は、千葉県富津市で最後の調整合宿を……。そして、そのままパリへ飛ぶ予定です。
さて、9月8日のパリパラマラソン当日から逆算すると、ある程度の量(距離)を追える最後の強化期間に入ります。富津強化合宿2日目となる明日は、早朝6時スタートで「40k走」を予定しています。この期間に入って、パリパラ代表選手たちの走りを見るのは、いろいろな意味で緊張もします。
そんな中、上記したように身体が暑さに順化しているか否かよりも、気温が30度の中でも「たいした暑さではない」と、選手たちが心の中で思いながら走れる状態になっていれば合格です。そこを今日からの強化合宿で見ていきたい。
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2024夏を走る・7
- 2024-07-12 (金)
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【2024夏を走る・7】パリパラマラソンのちょうど2ヵ月前に当たるこの日程で実施した北海道北見市での強化合宿は無事に終了しました。その合宿中の主なポイント練習は42k走を3本。さらに、ホクレンディスタンス北見大会と網走大会の5000mに出場。
毎年のことながら、この7月の北見合宿はかなりハードな内容になりました。特に、40k以上の長距離を短期間で3本走ることは、設定タイムを抑えて走ったとしても相応のダメージが蓄積されていきます。そのイメージとしては、まさに「じわじわと真綿でしめていく」。そんな感じでしょうか。
至極当然のことながら、マラソンに向けたトレーニング方法は様々で、どれが正しいかの判断がつかないのは、いつの時代も同じです。その中においても、特に夏マラソンに特化した的確なトレーニング方法や理論を目にすることは、ほとんどありません。
ましてや4年に1回しか開催されないオリパラマラソンに対する専門的なノウハウを見聞することなど、なおさら難しいことです。かくいう私は、4年に1回のパラマラソンにかかわるのは、今回のパリパラで8回目になります。
もちろん、私自身が夏マラソンに向けた確固たるトレーニング理論などを持っているわけではありません。しかし、長くかかわってきた分、暑い中で走り込むためには「どの程度の強度で、どの程度の距離を走るとどうなるのか?」は多少経験してきましたが……。
その中においてひとつ言えることは、指示している側(監督やコーチ)がどれだけ我慢できるか否か。つまり「こんなに暑い中で走らせて良いのか?」「こんなに遅い設定タイムで意味があるのか?」など、どうしても冬マラソンと比較し、選手のシャープな動きや速い設定タイムなどを追いかけてしまうからです。
また、「涼しい時間帯で走る方が身体への負担がすくない」「量より質を上げた方が良い」など夏のトレーニングにおいてはよく見聞しますが……。実は、これまでの経験から夏マラソン攻略にはあまり効果的ではないかもしれないと、個人的に思うトレーニング方法も多々あります……。
そもそも、気温が30度をこえる中で運動すること自体が命の危険にさらされます。ましてやマラソンなど……。しかし、そんな過酷な状況下で、日本代表選手として日の丸をつけ、メダル獲得を目指してマラソンを走るためには「何をどうするのか?」。
パリパラマラソンまであと2ヵ月。しっかりと取り組んでいきます。
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2024夏を走る・6
- 2024-07-07 (日)
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【2024夏を走る・6】7月3日から北海道北見市で強化合宿を実施しております。毎年のことながら、北見市の皆様をはじめとする多くの方々のご理解とご支援により、今年も強化合宿を実施することができました。あらためて、厚く御礼申し上げます。
また、今回の強化合宿はパリパラマラソンに向けた最重点合宿のひとつでもあり、特に日本代表に選考された選手たちは、メダル獲得を目標に意欲的に走り込んでいます。具体的には、本日までの合宿前半で、40k走を2本。そして、ホクレンディスタンス北見大会の5000mに出場。
さて、今回のパリパラマラソン代表枠を獲得するための基準が、WPAの不手際により最後まで迷走しました。そのため、東京パラマラソンで金メダルを獲得した女子の道下選手と銅メダルを獲得した男子の堀越選手(他の選手も)は、パリパラマラソンの代表枠獲得のため、4月の「かすみがうらマラソン」も走らざるを得ない状況に追い込まれました。
大会当日は、想定どおりの暑さが選手たちを苦しめ、消耗戦となる激しいレースになりました。しかし、両選手ともパリパラマラソン日本代表につながる記録でフィニッシュ。ところが、懸念していたとおりのダメージが身体にも残り……。
結局6月から開始したパリパラマラソンに向けた走り込みにもその影響を引きずっていました。しかし、前述した3回のポイント練習は何とか無事に消化することができました。特に、パリパラマラソン代表に選考された選手たちは、パラマラソンの経験もあり、ここまで多くの困難を乗り越えてきた実績があります。
そのパラマラソンは、いわゆる夏マラソンであり、速さよりも強さが求められます。そして、その強さの裏付けは経験になります。その経験は、単に夏マラソンを走ったことだけでなく、その夏マラソンに向けたトレーニングの経験と実績が重要になります。
8月後半から9月前半に開催予定のマラソンを目標にした場合、多くは5月から6月に本格的なマラソントレーニングを開始します。つまり、夏マラソンで戦うためには、気温や湿度がどんどん高くなっていく春から夏に向かって、トレーニングの量と質を上げていく過酷な作業にもなります。
さらに、9月8日に開催予定のパリパラマラソンのコースは、鋭角に曲がる箇所や石畳の路面が多く、そのうえ小刻みなアップダウンが連続する難コース。それらの点を踏まえると、これまでのパラマラソン以上にスタミナ強化がメダル獲得へのカギとなります。
今回の強化合宿後半は、ホクレンディスタンス網走大会で5000mを走り、翌日に3本目の40k走を実施予定です。そして、夏マラソンを攻略する最大のポイントである「ナタの切れ味」を身につけるため、今回の強化合宿から8月14日までの間、さらに走り込む量を増やしていきます。
※写真:選手たちが走っている両端の雑草は我々の練習日程に合わせ、地元の関係者が除草作業など、コース整備を行っているのです(毎年)。感謝です!
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