今年も3万人以上のランナーが東京を駆け抜けました。そして、今年も悪天候でした(涙)。
私は昨年同様、沿道からの応援&サポートです。また、今回の東京マラソンに私が直接コーチしている選手(※)は3名(男子1名、女子2名)出場しました。3名とも今回の東京マラソンに向け、順調にトレーニングを消化してきました。同時に、3名とも一度も風邪をひいたり、故障や怪我をすることもなく、体調管理もほぼ完璧でした。※選手と言っても市民ランナーです。
更に、この1年間を振り返っても、3名とも確実にトレーニングを継続できていました。もちろん私は、他の選手も同じようにコーチしています。しかし、年間を通じて「健康に毎日走れる選手」は、意外と少ないのです。これは、実業団選手(プロ)や学生選手にも当てはまります。
◆2010東京マラソン結果:男子N・T選手/2時間45分42秒(自己新記録・△4分15秒)、女子M・K選手/2時間39分1秒(4位入賞・日本人1位)、女子M・Y選手/2時間52分9秒(自己新記録・△37秒)。
結果は上記のように、最悪のコンディションにも関わらず、3選手ともトレーニングの成果を十分に出し切った素晴らしい内容でした。そして、コーチとして至極当然のことですが、その3選手の東京マラソン(※)を振り返ってみました。※参考までに今回の成功した要因を下記にいくつかあげてみます。
◆要因1).自分自身が走っているペース感覚を正確に把握できていた。⇒ 特に、N・T選手は、かなり好調だったので最初の5kを目標設定タイムより30数秒速く通過。しかし、10kまでにうまく減速し、その後は目標設定ラップを刻みゴール。前半ハーフの通過タイムに対し、後半ハーフの落ち込みは僅か1分弱だった。※マラソンを攻略していく上で、最も理想的なペース配分。
◆要因2).スタート前に体力を温存していた。⇒ 私はフルマラソンに限って、原則として選手にウォーミングアップをさせない。今回も2名の女子選手は、それを忠実に守った。今回、エリートの部でアップを実施せず、控室に最後まで残っていた選手は、この2名のみだった。今回のような悪コンディションになると、特に身体を温めようとアップを入念に実施する傾向にある。しかしその結果、前半で体力を大きく消耗し、逆に後半の失速に拍車をかける可能性が高くなる。※特に、悪天候時は要注意。
◆要因3).レース中も体温(体力)を保っていた。⇒ アームウォーマーはもちろんだが、ネックウォーマー(首)を最後まで着用して走りきった。今回、2名の女子選手は、スタート直前までネックウォーマーを着用するかどうか迷っていた。しかし、着用したことで、首や肩が極端に冷えることを回避でき、最後までしっかりと腕を振っていた。そして翌日は、上腕部がこれまでにない筋肉痛と話していたので、寒さで動かなくなった脚を、最後までしっかりした腕振りで、カバーしていた証とも言える。
以上、大きく3つの要因をあげてみましたが、皆さんはいかがだったでしょうか?
もちろん、これらの要因は全ての人には当てはまりません。むしろ専門的な常識からすると、かなりずれている部分もあるかもしれません。しかし、マラソンは自分自身の体験から学ぶことの方が多く、非常識のような対策でもその人にとってはベストなことも意外と多かったりします。
今回、厳しいコンディションの中、東京マラソンを走られた皆さんも、その貴重な経験を次回以降のマラソンやトレーニングに是非とも活かしてほしいと思います。
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- 2010東京マラソン from 安田享平のランニングライフ