前回は実際のマラソンを走るうえで、大きく3つのパターンについて考えましたが、今回もそのパターンについてです。※下記参照
◆パターン1).イーブンペース型。◆パターン2).前半突っ込み型。◆パターン3).後半ビルドアップ型。
はじめに前回の続きで、ペースメーカーが存在しなかった10数年前のマラソンは、どんなレース展開だったのかを振り返ってみます。
当時のマラソン大会の多くは、スタート直後から有力選手を軸に大集団が形成されるレース展開が主流でした。そして、10k、20kと通過していく毎に集団からランナーが次々と脱落していき、最後に残ったひとりが優勝する典型的なサバイバルレースだったと記憶します。
そのため、このサバイバルレースはゴールに向かってどんどんビルドアップしていき、最後は最も速いランナーが優勝するパターン3のように見えます。しかし、当時の5k毎ラップタイムを分析していくと決してそうでないことがわかります。
詳細は割愛しますが、特にマラソンの場合、30k前後までは駅伝のように意図的なペースの上げ下げはほとんどありません。そのため、力のあるランナーが他のランナーを振り落していくのではなく、力のないランナーが自然に脱落していく流れになります。
つまり、スタートから30kあたりまでは、大きな集団が形成されるのでペースは思ったほど上がらず、逆にややペースダウンしている流れが多かったと記憶します。そして、集団の人数が絞られてくる35kあたりからレースが動きだし、最後に残ったランナーが優勝となるレース展開でした。
これを上記パターンに当てはめると、パターン3の後半ビルドアップ型に見えます。しかし、35k付近まではお互いがけん制し合うのでペースは思ったように上がりません。そして、そこからペースアップしても結果的にはパターン1のイーブンペース型が最も近くなります。
さて、前回記載したとおり、近年のマラソン大会はペースメーカーを付け、記録を重視する傾向が強くなっています。その結果、上位数名が好記録をマークする確率は高まりましたが、逆に全選手がつぶれて凡レースとなる展開も多くなったと感じます。※全体的には雑なレース展開が多く、一気に好記録が出る反面、安定感のある選手が育ち難い。
一方、上記したように10数年前のマラソン大会は、前半は大集団を形成し、抑え気味のペースで後半に突入する展開が主流でした。そのため、記録よりも勝負重視となり、見ごたえのあるレースが多かったと感じます。※2時間15分前後の若手ランナーが育ちやすく、次世代を担う選手層を確保し易い。
はたして、どちらのレース展開が良いのかを簡単に決めることはできません。しかし、身の丈をこえる速いペースメーカーの後ろを積極果敢に付いていくことは、後半の大きな失速に直結する確率が相当高まることは事実です。そして同時に、前半のオーバーペースによる失速は、マラソンの場合、単に完走することも困難にします。この点は駅伝と決定的に違う点であり、マラソンを成功に導くためのペース配分を考える大きなヒントになります。
つづく。
※おかげさまで、このブログも200話目となりました。
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