【ロンドンパラリンピック・2】ロンドン入りしてほぼ1週間が経過し、こちらの生活にも慣れてきました。おかげ様で、ここまでは選手及び伴走者共々大きなトラブルも無くほぼ順調です。また、マラソンの試走も数回実施し、路面状況やアップダウンやコーナー個所等も、ある程度把握することができました。もちろん、マラソンスタート当日までに、まだ何度か試走を予定しています。
さて、パラリンピックをはじめ国際大会に参加すると、日々刻々と新しい情報が入り、情報収集はとても大切になってきます。特に、選手に直結する競技のタイムテーブルについては、現地での最終調整に大きく影響するので、とても敏感になります。事実、選手村に入ってから競技のタイムテーブルに大きな変更がありました。
◆変更点1).T11クラス(全盲)/1500m:予選+準決勝+決勝=計3本 → 予選+決勝=計2本。◆変更点2).T11クラス(全盲)/5000m:予選+決勝=計2本 → 決勝=計1本。◆変更点3).T12クラス(弱視)/5000m:予選+決勝=計2本 → 決勝=計1本。
以上のように、それぞれの予選や準決勝が割愛され、レースの本数が減りました。これにより、全盲の和田選手、弱視の岡村選手と堀越選手のレースは少なくなり、タイムテーブルも変更になります。
一見すると、本数が減ることで身体への負担が軽減されるので良いように感じます。実際に全盲の和田選手と弱視の岡村選手にとっては、最終日にマラソンが控えているので、今回の変更はプラスに受け取ることができます。
ところが、トラック種目の5000mのみにエントリーを絞って勝負をかけている弱視の堀越選手にとっては、若干状況が違ってきます。具体的には、現地に入って10日程度の間に5000mを2本(予選+決勝)走る調整計画だったのを1本に修正するからです。
既にこのブログでも記載していますが、最終調整の原則は、「迷ったら休養」です。しかし、今回のように、10日間の短いスパンで調子のピークを2回合わせる流れを1回に変更することは、意外と難しい修正になります。特に今回は、予選を走ることで現地に入ってからの調子を正確に把握することと、大会の雰囲気やトラックの状態を確認し、決勝へ向けたピーキングの精度をより確実にしたかったからです。
また、今回のようにレースを組込んでのピーキングは、予定していたレースが無くなった場合の代替えとなるトレーニングの選択はとても難しく、今回もかなり悩み、選手自身も迷います。ところが、上記しているように「迷ったら休養」とはいきません。なぜなら、今回のように短期間の調整スパンでは、それ相応の負荷を身体にかけておかないと、調子のピークが大幅にズレ、修正が極めて難しくなる可能性が高いからです。
と、言いながら通常のトレーニング感覚で追い込み過ぎることはご法度です。ここのサジ加減は、どんな有名なコーチでも悩むところですが、最後は選手自身が自ら決断し、「大丈夫」と思い込むことが大切です。同時に、4年に1回のこの大舞台で、ここまで蓄えてきた力を全て出し切れるよう、選手及び伴走者をサポートしていきます。
つづく。
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