【絆】ロンドンパラリンピックが閉幕し、ちょうど1ヶ月が経ちました。帰国後、各種報告会や慰労会等々、慌ただしかった選手及び関係者の方々も少しは落ち着いてきた時期でしょうか。また、次のパラリンピックであるブラジル・リオに向けた課題や対策についても、より具体的な方針等がそろそろ見えてくる頃でもあります。
さて、先日の10月6日(土)から2泊3日の日程で、千葉県富津市において盲人マラソン強化合宿を実施しました。この合宿は、先日のロンドンパラリンピック強化とは別に、今年度の強化計画に予め組み込んでいたもので、特別な合宿ではありません。しかし、来年には、はやくもIPC世界陸上競技選手権がフランスで開催されます。したがって、今回の合宿はその大会に向けた最初の強化合宿でもあります。
既にご報告したとおり、ロンドンパラリンピックへは、日本盲人マラソン協会から4名の選手が選出され、それぞれが素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。そして、今回の合宿には、そのロンドンで戦ってきた全盲の和田選手、弱視の堀越選手の2選手をはじめ、期待の若手選手やパラリンピックを経験したベテラン選手たちと、久々に多彩な顔ぶれがそろいました。同時に、選手を支える伴走者も箱根駅伝を目指す現役学生ランナーにも多数ご協力いただき、量と質ともに充実した合宿でした。
しかし、一方で盲人マラソンと言っても一般ランナーたちのように全国各地に何万人もの視覚障害者ランナーは存在しません。そのため、マラソンでサブスリーレベルの視覚障害者ランナーは、全国的にも今回の合宿に参加した7名のランナーと、あと数名程度と圧倒的に数は少ないのです。したがって、言葉は不適切ですが、選ばれた選手と言うより、数少ないビックリ人間と言った表現が近いかもしれません。
ところが、この4年間で本当にビックリするほど選手たちは成長しました。それは、今回の合宿でも、選手たちの粘り強い走りを目の当たりすることで、その成長を強く感じることができました。また、若い選手と話しをしている中で、マラソンに対するモチベーションが高くなっていることを強く感じることもできました。
と、言いながら来年のIPC世界陸上競技選手権をはじめ、4年後のブラジル・リオに向け、課題はたくさんあります。しかし、少ない人数でもお互いがお互いを意識し、切磋琢磨していくことで、仲間意識や絆はより深まります。そして、その深い絆こそが、選手たちを大きく飛躍させる最大のエネルギーとなり、大きな目標へと向かっていく原動力となるのです。
これから4年後のブラジル・リオを目指していきますが、仮に強化費や環境が大きく改善されたとしても世界を目指せる視覚障害者ランナーが劇的に増加することは簡単なことではないと感じます。しかし、これまで以上に選手間や伴走者との絆が深まるなら、世界との距離は更に縮まっていくと確信しております。
今後とも皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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