【絆・20】6月7日(土)から2日間の日程で、日本身体障害者陸上競技選手権大会が大阪長居で開催されました。日本盲人マラソン協会の強化指定選手たちも多数参加し、自己記録の更新に挑みました。
ご存知のとおり、既に梅雨入りして全国各地で記録的な雨量も観測しております。しかし、6月は梅雨の晴れ間になると、気温は30度をこえ真夏と変わらない厳しい暑さにもなります。特に、中長距離種目にとって梅雨らしい雨天の場合、雨がラジエターの役割を果たし、体温の上昇を抑えてくれるので、逆に好記録が期待できます。私自身も現役時代、6月の大会において、雨天の中で自己記録を更新した経験が何度かあります。
ところが、梅雨の晴れ間にぶつかると、気温は30度を大きくこえ、特にトラック上の気温は体温を上回る厳しいコンディションとなります。もちろん、そんな中で長距離種目を実施すること自体が自殺行為と言えます。
果たして、6月7日(土)と6月8日(日)の大阪長居は、見事に晴れました!
大会1日目は、5千メートル。T12クラス(弱視)の堀越選手を筆頭に、T11クラス(全盲)の和田選手や谷口選手たちが出走しました。スタートから記録を意識した積極的な走りを見せていましたが、暑さの影響が大きく、どの選手も後半は失速。特に、堀越選手と和田選手については、単に暑さだけの影響ではなく、動き自体にかたさも見られました。
大会2日目は、1500メートル。前日同様、堀越選手がスタートから先頭に立ち、積極的な走りを展開しましたが、残り300メートルから失速。逆に、和田選手はスタートから抑え気味に入り、残り300メートルからラストスパートを効かせてのゴール。堀越選手は前日以上に動きがかたく、和田選手は本来ののびやかな動きを取り戻していました。
堀越選手も和田選手も陸上競技に対する意欲や意識の高さはトップクラスで、まさに「命をかけて」います。一方で意欲や意識の高い選手ほど、調子の歯車が少しずれると、それが焦りとなって気持ちや感情をうまくコントロールできなくなってくるケースも意外と見受けます。
両選手にとって、この2日間の記録と成績のため、直ちに大きな痛手を受けることはありませんが、気持ちや感情をどのようにコントロールしていくかは、課題のひとつと感じました…。
さて、同じ日程で福島県において開催された一般の日本陸上競技選手権大会で、前人未到の20連覇を達成したハンマー投の室伏選手を筆頭に連覇を重ねた選手が複数いました。同じ大会に毎年連続して出場すること自体、自己管理と節制が必要不可欠となり、誰にでもできる偉業ではありません。
そして更に、勝ち続けることは、ライバルとの駆け引きや外部からのプレッシャーは相当大きくなりますが、最後は自分自身の気持ちと感情をどのようにコントロールしていけるかが重要なカギです。
至極当然のことですが、我々としては同じ陸上選手として学ばせていただく点ばかりです。しかし、それは単に技術やトレーニング理論だけでないことを、世界を相手に戦う真のトップアスリートたちから学ばなくてはいけない…。
つづく。
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