- 2014-07-09 (水) 20:43
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・92】トラックレースが苦しいと感じる要因について考えていますが、前回はいきなり「AT値」が登場しました。今回もその続きになります。
前回、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、その平均スピードの90%に相当する4分27秒前後のペースで走ると理論上、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続することが可能と、話しをしました。
もちろん、走歴の浅い市民ランナーの場合、5000mの速度に対して70%かもしれません。この点は、必ずしも全てのランナーに当てはまる訳ではありませんが、上記したランナーの場合、4分27秒前後のペースはマラソンペースとほぼ一致しています。つまり、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続できる上限のペースがマラソンペースにもなります。
ところが、トラックレースで5000mを走る場合、自己記録を目指してスタートすると、至極当然ながらマラソンペースよりも速いペースになります。具体的には、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、自己記録を更新するためには、4分以内のペースが必要になります。
しかし、トラックレースの場合、スタート時の混雑等もないため、トップスピードでスタートすることが可能です。更に、最短で100m毎のペースを確認することも可能であり、正確なペースを保つことも可能です。したがって、スタートから4分切りペースを刻んでいくことは十分可能な状況が揃っています。
特に、トラックレースの経験が浅い市民ランナーは、このように考えスタートするケースが多いのですが、1000mを通過したあたりから急激に呼吸も苦しくなります。更に、手足も思うように動かなくなって、ほとんどのランナーはペースを保てなくなるだけでなく、大きく失速していくパターンに陥ります。
この時、体内では「AT値」を大きく上回るオーバーペースでスタートしたが故に乳酸を除去できる能力を発生量が上回り、過剰な酸素負債になっているのです。つまり、乳酸を除去するために必要な酸素量を取り込めない状況です。同時に、心拍数も頭打ちになり、酸素摂取量より酸素消費量が多くなるので、呼吸は苦しくなり、手足もうまく動かせない状況に陥っています。
これが、「トラックレースは苦しい」と、感じる大きな要因のひとつなのです。
つづく。
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