- 2008-06-24 (火) 5:49
- ランニング雑感
皆さんはトラックレースを走った経験はあるでしょうか?練習会等でペース走やスピード練習のため、トラックを走ることはあっても、トラックレースを走る機会は意外と少ないのでは?また、トラックは単調で走りにくく、ロードは景色が変化し、記録を出しやすいと思っている方も多いのでは?
はたして実際の世界記録や日本記録はどうなっているのでしょうか?そこで、まずは公認記録として扱われている1万m(トラック)と10k(ロード)の記録を比較してみます。
(1).世界記録男子1万m/10k:26分17秒(2005年)/27分02秒(2002年)。(2).世界記録女子1万m/10k:29分31秒(1993年)/30分21秒(2003年)。(3).日本記録男子1万m/10k:27分35秒(2001年)/28分05秒(2007年)。(4).日本記録女子1万m/10k:30分48秒(2002年)/31分44秒(1996年)。・・・以上のように、全てにおいてトラックの記録に軍配があがっています。しかし、これについては、1万mがオリンピック公式種目であるのと同時に、公認のロードレース大会で10kを走る機会が圧倒的に少ないことも影響していると推察されます。
続いて、20k以上の公認記録についても同じように比較してみます(但し、男子のみ)。
(5).世界記録男子2万m/20k:56分26秒(2007年)/55分48秒(2006年)。(6).日本記録男子2万m/20k:57分48秒(1985年)/57分24秒(2007年)。(7).世界記録男子3万m/30k:1時間29分19秒(1981年・瀬古選手)/1時間28分00秒(2005年・松宮選手)。・・・と、なっています。実は、3万mと30kの世界記録については、共に日本選手が保持しています(素晴らしい!)。そして、今度は全てにおいてロードの方に軍配があがっています。しかし、1万mと10kを比較した時より、走る距離が2倍以上になっているにも関わらず、そのタイム差は縮まっている感じがしますね。
そこで、公認記録として扱われている最長距離である100k(10万m)についてはどうでしょうか?男子100kロード世界記録は、「6時間13分13秒(1998年・砂田選手)」と、なっています(これまた日本選手です!)。では、トラックの記録は?あまり知られていませんが、驚くことに、「6時間10分20秒(1978年)」と、凄い記録が残っています。つまり、最も苦しくて長い100kについては、景色が単調なトラックの方が速いのです!
以上、いろいろな種目を比較してきましたが、トラックとロードとの最大の違いは、正確な距離と時間をより細かく把握できるかどうかの差です。よって、トラックの方がより細かく正確なラップタイムを刻むことが可能になります。もっと言うと、ある記録を目指した時、出足から正確なラップタイムを把握しながら走ることが可能になるので、無駄な動きもなく体力を温存しながら走ることができます。(ある目標タイムに対し、最高率な走りが可能となるので、実は長距離になるほどトラックの方が有利?)
このことは、日々の練習のなかでも応用できます。長距離走を実施する時もあえてトラックを使用することで、正確なラップを刻みながら体感的にこれは何分ペースと、身体で覚えていく作業がロードより効率的になってきます。また、トラックを周回するので、誰かにラップタイムを計測してもらうことも簡単になります(給水も簡単)。そこで、何人かでトラック練習を実施する際は、二人ずつのペアを作り、交代でお互いのラップタイムを計測したり、給水を渡したりする方法はいろいろな意味で効果的です。そして、この方法なら専門コーチ等が不在なクラブチームの方でも正確で効率的な練習を継続していくことも可能になります(是非ともお試しを)。
・・・もしも、トラックでフルマラソンの記録会があったなら、細かいラップ管理と精密なペースメークが可能となり、今よりもっと凄い記録が出るかもしれませんね(笑)。
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