安田享平のランニングライフ
2023夏を走る・3
- 2023-06-16 (金)
- 未分類
【2023夏を走る・3】コロナ禍から解放され、各種マラソン大会が復活してきました。一方、多くの方がコロナ禍の間、レースから遠のいていたのも確かです。したがって、久々の大会でハーフマラソンやマラソンのレース感覚を取り戻すことは難しく、どんなレベルのランナーも段階的な実戦経験が不可欠です。
今週末の日曜日は千葉県富里市において「富里スイカロードレース大会」が開催されますが、コロナ禍の影響を受け、2020年から中止になっていたので、久々の開催です。また、同大会は「10kの部」が最長距離にもかかわらず、過去に大会エントリー者数が1万人を突破したことでも有名です。
すでに何度も記載してきましたが、6月は気温も湿度も高くなるので長距離やマラソンにとっては過酷なコンディションに入っていきます。しかし、6月の雨天時は逆に走り易く、記録を狙えるメリットもあります。
果たして今度の日曜日、千葉県富里市の天候は「晴時々曇、最高気温33度(6月16日現在)」の予報となっております。残念ながら相当厳しいコンディションになる可能性が高いと言えます。大会当日は暑さ対策の準備をお忘れなく……。
さて、秋からのマラソンシーズンを考えたとき、この時期はどんな距離のレースを走ったら良いかの質問を多く受けます。もちろん、正解はなく、大会をエントリーする本人が好きな距離を自由に走れば良いのです。しかし、晴れて気温が30度を超えるコンディション下において、ハーフマラソン以上の距離は、かなりの危険を伴うことは想像に難くありません。
また、雨天時は走り易いと言っても、レースでハーフマラソン以上の距離になると、逆に様々なデメリットも出てきます(詳細は割愛します)。そう考えると、暑い季節は10k程度までのレースが、どんなコンディション下でも比較的安全に完走できる距離と言えるでしょう。
以上のように、コロナ禍の影響から久々のレース出場である点も考慮すると、暑い季節の大会は10k程度までの距離が良いでしょうか。さらに、秋以降のマラソンシーズンを目標にした場合、この時期は「スピード養成」に適した時期にもなります。まさに、10kまでのレースは、その目的にも合致します。
今週末に開催される「富里スイカロードレース大会」は、この時期に最も相応しい大会のひとつと言えるでしょう。
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2023夏を走る・2
- 2023-06-09 (金)
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【2023夏を走る・2】千葉県も雨の日が多くなり、そろそろ梅雨入りでしょうか。前回記載したように、この時期は雨天時をうまく活用することで、逆に長い距離が走り易くなります。と、言いながらも晴れの日は、もはや夏のような気温と湿度に上がるので、長距離やマラソンにとっては厳しいコンディションであるのは確かです。
そして、これも毎年の課題になりますが、いわゆる「暑熱順化」です。つまり、暑さを避けられない季節に移っていくなら、その暑さに体を慣らしていく必要があり、それが暑熱順化です。
この暑熱順化ができてくると、暑さに適した発汗が可能になっていくことで、体温の上昇や塩分損失を抑えられるようになっていきます(詳細は割愛)。特に、この6月は日々の練習はもちろんですが、暑熱順化も含めた練習内容を考えていく必要があります。
では、暑熱順化はどのようにしていくのでしょうか?
最も理にかなった方法は、「暑い環境で運動をする」。要は、暑い環境に慣れるには、暑い環境で練習をすることが推奨されています。具体的には、暑さを利用した環境下でのランニングを一定期間繰り返す。すると、暑さへの抵抗力が強まり、体が暑さに慣れていくのが自覚できると言われています。
このほかにも専門的な話を見聞しても、ほぼ同じような内容に終始します。つまり、より厳しい環境下に体を慣らしていくには、我慢や根性も必要であると……。
そんな中、暑い中では「ゆっくり長く走る」ことが推奨されています。具体的には「LSD」と呼ばれるランニングです。特に、6月は、晴天時は「LSD」。そして、雨天時は「ビルドアップ走」などを取り入れながら暑熱順化を進めてほしいと思います。
もちろん、暑さに強い弱いは幼少時の育った環境にも影響を受けると言われているので、同じ暑熱対策を実施しても暑さが苦手な人は必ずいます。この点は個人差が大きく、明らかに暑さが苦手と感じる人は、炎天下でのランニングを控えるのが賢明でしょう。
また、暑さが苦手にもかかわらず、夏のマラソンにエントリーしたり、夏のレースを積極的に走ることは、肉体的にも精神的にもダメージを残すだけになります。この点は、自分自身をよく振り返り、個々に吟味してほしいと思います。
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2023夏を走る・1
- 2023-06-03 (土)
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【2023夏を走る・1】今年も6月に突入しました。そして、梅雨に入っていきます。また、これも毎年のことですが、気温も湿度も高くなっていくので、長距離やマラソンにとっては、より過酷なコンディションへと移っていきます。
しかし、夏に向かっていくこの時期は、逆に雨天時を活用することで距離走など、スタミナ系の練習負担を軽減できます。ご存知のとおり、気温が上がると長距離やマラソンを走ることが苦痛に感じる主な理由は、体温が上昇するからです(詳細は割愛します)。
つまり、体温上昇を抑えることが可能なら、気温がある程度高い中でも走り続けることは可能とも言えるでしょうか。そして、その体温上昇を抑える条件に最も適しているのは雨天です。したがって、これから夏に向かっていく季節においては、雨天時をうまく活用することで、上記したようにスタミナ系(距離走など)の練習負荷を軽減することも可能になります。
もちろん、雨天時と言っても気温が高いのは変わりないので、冬のマラソンシーズンと同じような設定タイムで走ることは、身体への負担が大き過ぎます。また、具体的な数値を示すことは難しいですが、ゆっくり目のスピードからスタートし、中間点あたりから少しずつペースを上げていく「ビルドアップ走」が良いでしょう。
特に、この時期の距離走は、マラソンのスタミナ養成をすることではなく、「スピード練習を継続していくためのスタミナを維持する」ことが主な目的になります。すなわち、質の高いスピード練習を実施していくために必要なスタミナをキープしていくことになります(夏マラソンを目標にしている選手は違ってきますが)。
同様に、雨天時の各種ロードレースやトラックレースは、スタートするまでのウォーミングアップや着替えなどは負担を感じますが、逆にスタートしたら最初から目標タイムを狙った攻めのレースができるチャンスになります。特に、6月のレースは、1週間前あたりから天気予報を注視し、雨天になる確率が高そうなときは、記録を狙える調整にシフトしていくことを推奨します。
意外な感じがしますが、6月は10k前後までのロードレースやトラックレースにおいて、自己記録更新を狙い易い月でもあるのです(私の経験上)。
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2023春を走る・13
- 2023-05-26 (金)
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【2023春を走る・13】第65回東日本実業団陸上選手権大会が栃木県の「カンセキスタジアムとちぎ」において開催されました。そして、今大会も男女視覚障がいの部(1500mと5000m)を実施いただきました。まずは大会関係者の皆様に御礼申し上げます。
視覚障がい男子5000mは、東京パラT12男子マラソン・銅メダリストの堀越選手と、東京パラT11男子5000m・銅メダリストの和田選手の直接対決となりました。結果は、3000mから先頭に立った堀越選手がそのまま大会新記録でゴール。
また、同じレースでT11クラスの米岡選手とT12クラスの大石選手が、それぞれセカンド記録をマーク。気温が高く、湿度も高い中での5000mでしたが、どの選手も暑さや湿度に負けることなく、最後までしっかりとしたフォームでゴールしていました。
引き続き、6月の「2023ジャパンパラ陸上」と、7月の「ホクレンディスタンス」でのトラックレースが残っているので、トラック種目での自己記録更新を目標に強化していきます。
さて、すでに何度も記載していますが、マラソンのスピード基準のひとつが「5000m」です。グラフに例えると、縦軸がスピードで横軸が持久力です。この時期は縦軸のスピード強化をメインにしているので、縦軸を可能な限り、上へのばそうとしているイメージです。
最終的には、上記した縦軸の到達点と横軸の到達点で囲った四角形の面積がマラソンに必要な走力(スピード持久力)になるイメージです。このように言葉で言うと簡単にイメージできますが、実際の練習ではそう簡単にいかないのがマラソンです。
人の体は、縦軸のスピードを上へのばしていくと、横軸のスタミナは右から左(0方向)へと縮んでいきます。逆に、横軸のスタミナを右へのばしていくと、縦軸のスピードは下(0方向)へ落ちていく傾向があるので、四角形の面積を簡単に広げることはできません。
つまり、スピード練習だけではマラソンに必要な走力は身につかない。逆に走り込みだけでもマラソンに必要な走力は身につかない。この縦軸と横軸の「いい塩梅」を、つかみながら四角形の面積を大きくしていけるか否かが、マラソン攻略のカギになると考えます(イメージとして)。
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2023春を走る・12
- 2023-05-18 (木)
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【2023春を走る・12】福島県会津若松市において開催された伴走者養成研修会のお手伝いをしてきました。今回の研修会も伴走に関すること、視覚障がいに関することなどの講義と、視覚障がい者に対する介助や伴走の実技からなる2本立ての内容でした。また、今回は視覚障がいランナーの参加者も多く、どの参加者も熱心に受講していました。
あらためて、視覚障がい者が歩いたり、走ったりするには、横でエスコートする伴走者が必要になります(単独行動が可能な弱視の方は除く)。そして、その伴走者の役目は「安全の確保」であり、何よりもこれが最優先されます。
もちろん、伴走者は誰でも簡単にできるので、難しく考える必要はありません。実際に、各種マラソン大会では、視覚障がいランナーが伴走者と一緒に走っている姿を目にすることは一般的な光景になりました。それだけ全国各地にも普及し、視覚障がいランナーに対する垣根が無くなってきた点は、たいへん喜ばしいことです。
一方、正しい伴走ができていないケースを拝見することが多いのも確かです。よくあるケースのひとつとして、伴走者の方が記録や順位への気持ちが先行し、最後は「気合と根性」で視覚障がいランナーを強引に走らせている姿は、意外に多いと感じます。
また、そんな姿を拝見していると、単に「気合と根性」だけでなく、伴走者としての技術や知識が不足しているがゆえに、視覚障がいランナーは単に苦しいだけで、自身の力を出し切れていないことが多いのです。これは、パラリンピックなどの国際大会を目指している視覚障がいランナーの伴走者にも該当することです。
かくいう私も25年以上、ブラインドマラソン(パラ陸上)の国際大会などに帯同してきましたが、伴走者の要因で視覚障がい選手が失格や途中棄権に陥った事例は、私が把握しているだけでも両手では足りません。また、その要因を振り返っていくと、そのほとんどが伴走者の「技術と知識不足」に起因するのです。
今回の伴走者養成研修会で、誰よりも私自身が刺激を受けましたが、来年のパリパラを目指している視覚障がいランナーやその伴走者たちにも、伴走などに関する「知識と技術」の学びなおしが必須であると、強く感じた次第です……。
最後になりましたが、今回の伴走者養成研修会の開催にご尽力いただいた地元関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
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2023春を走る・11
- 2023-05-12 (金)
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【2023春を走る・10】GW中に実施した菅平合宿は無事に終了しました。もちろん、計画していた練習はほぼ予定どおりに消化することができましたが、合宿後半は天候が崩れ、気温も著しく低下しました。
具体的には、合宿前半は平地と変わらないほど気温も上昇し、練習時の気温は手元で25度を超えていました。また、朝晩の冷え込みも例年ほどではなく、逆に快適な感じでした。しかし、週間天気予報どおり、合宿中盤から天気が下り坂に入り、練習時の気温も15度以下に……。
そして、最終日の練習時は、手元の気温は5度。更に強い寒風が吹き荒れ、体感温度は0度相当まで下がっていました。さすがに、ここまで下がると、練習にも支障をきたすことになり、実際の練習計画も修正しました。
このように、寒暖の差が大きい今年のGW合宿でしたが、途中で離脱する選手(故障やケガ)が皆無だった点は良かったです。また、新しくなった「きずな家」の皆様は、とても快適な環境を提供してくれました。
さて、毎年のことですが、GW中の菅平合宿は必ず実業団選手や学生選手たちの姿があります。案の定、トラックでは今年も国内トップ選手たちが揃って走り込んでいました。もちろん、これも毎年のことですが、とても参考になります。
最初は単に、洗礼されたそのフォームばかりに目がいきます。しかし、疾走タイムやリカバリータイムなどを確認しながら拝見していると、「理にかなった練習」の意味が見えてきます。
詳細は割愛しますが、「最初から最後まで決めた設定タイム(適正タイム)で走り切る」。これは誰もが意識してる基本中の基本に該当することですが、実はこれが練習の中では最も難しく、これをつかめていないがゆえに記録も停滞します。
毎年、菅平高原で拝見するトップ選手たちは、このシンプルなことを確実に実行し、継続しています。つまり、「量が多い練習は設定タイムを落とし、量が少ない練習は設定タイムを上げて、最後まで確実にやり遂げる」。実にシンプルなことです。
これから夏に向かって、気温や湿度が高くなっていきます。長距離やマラソンにとっては厳しい季節に移っていきますが、菅平合宿で拝見したトップ選手たちの練習を参考にしながら個々の適正タイムで走り込んでいきます。
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2023春を走る・10
- 2023-05-05 (金)
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【2023春を走る・10】今年も長野県上田市菅平高原において強化合宿を実施することができます。また、同地の合宿拠点として20数年来お世話になってきた福美津屋旅館は、「きずな家」に引き継がれることに……。そして、来年のパリパラに向け、さらに強固なサポート体制が構築されることにもなりました。
今回の菅平合宿は、トラックでのトレーニングになります。つまり、スピード練習はもちろん、ペース走や距離走、ロングジョグに至るまでの全てをトラックにおいて実施します。また、菅平高原は準高地と呼ばれる標高もあるので、それぞれの設定タイムも抑え気味になります。
ところが、準高地と言っても呼吸が乱れ、思うような走りが難しくなる選手もおり、うまく順応できない選手もいます。このように、専門的な文献に掲載されているデータなどを参考にしても、実際の練習現場においてはそれらとの相違が多々発生するので、やはり経験を重ね、独自のデータを蓄積していくことが最重要です。
また、今回は強化指定女子選手がほぼ揃い、久々に活気のある強化合宿となります。もちろん、ガイドランナーや強化スタッフも揃っているので、単に走り込むだけでなく、大いに語り合える良い機会にもなります。至極当然のことですが、お互いを知ることで、そこに化学反応がおこります。
「そんな考え方があったのか!」
それぞれが地元で日々継続している練習の中において、何かうまくかみ合わないことは誰にでもあります。しかし、お互いをさらけ出し、様々な角度から語り合うことで、意外と腑に落ちる考え方のヒントを得ることがあります。
同じ目標を持った仲間同士が集い、切磋琢磨する最大のメリットは、まさにそこかもしれません。我々の強化合宿の目的のひとつに、「仲間意識の見える化」がありますが、新しい「きずな家」にふさわしい最初の強化合宿となります……。
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2023春を走る・9
- 2023-04-27 (木)
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【2023春を走る・9】今年もGWがやってきます。そして、今年もGWは強化合宿を実施します。場所が長野県上田市菅平高原なのも、いつもと変わりません。また、すでにトラックシーズンに入っていますが、ブラインドマラソン選手の多くは4月までマラソンを走るので、この合宿からトラックシーズンにシフトしていくのも、例年通りです。
あらためて言うまでもありませんが、マラソンを目指す上でトラックレースを欠かすことはできません。いわゆるスピード強化と言われる部分に該当するからです。しかし、やみくもにスピード練習やトラックレースを走るだけでは、マラソンにはつながりません。
なぜならトラック種目の5000m(5k)や10000m(10k)と、マラソンのタイムには密接な関係があり、目標のマラソンタイムを達成するために必要なそれらの必須タイムが存在するからです。詳細は割愛しますが、マラソンで、あるタイムを目標にした場合、それに必要な5000mや10000mのタイムがあります。そして、その5000mや10000mのタイムに到達するためのトラック練習が、いわゆるマラソンに必要な個々のスピード練習に該当するのです。
そして、この5000mや10000mのタイムをクリアしているのに、目標のマラソンタイムに到達できない選手はスタミナが不足している(スピードタイプ)。逆に、目標のマラソンタイムを達成しているのに、トラックの必須タイムに到達していない選手は、スピードが不足しているとも言えます(スタミナタイプ)。もちろん、そう単純な話ではありませんが、ひとつの目安として捉えることはできます(私の経験上)。
しかし、この関係をよく理解していない選手は意外に多く、スピードがあるのにマラソンをうまく走れない。逆に、マラソンを走れるスタミナがあるのにトラックレースでは苦手意識が先行してしまう選手など、「もったいない」と感じるケースが多いのは確かです。
特に、5000mのタイムはマラソンに必要なスピード練習の基準となるので、それに該当するタイムを個々に確認しておくことは必須です。今回の菅平合宿においてはこの点も含め、個々の課題などを確認し、どの選手も7月前半までのトラックレースを、充実させてほしいと願っております……。
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2023春を走る・8
- 2023-04-20 (木)
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【2023春を走る・8】かすみがうらマラソン大会は無事に実施されました。いわゆるコロナの影響がここ数年続きましたが、久々に本来の姿での開催となりました。まずは、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。
さて、大会当日の天候ですが、スタート時は曇っていました。しかし、晴れ間が出てくると、気温がグングン上昇し、男子の先頭が30kを過ぎたあたりに差し掛かると、手元で27度を超えていました。さらに湿度も60%前後。
そんな過酷なコンディションでしたが、ブラインドマラソンの主力選手たちは経験豊富なところを存分に発揮し、ほぼ予定どおりのタイムでゴール。これにより、来年開催されるパリパラへつながる道筋も見えてきたことが、大きな収穫となりました。
また、今回は期待の若手男子選手が初マラソンに挑戦し、設定タイムどおりにゴールすることができました。もちろん、今後の課題はたくさんありますが、今の力を誰よりも自分自身が理解し、それに見合ったラップタイムを最後まで刻めた点は次につながります。
特に初マラソンの場合、想定したタイムと大きく乖離すると、2回目以降のマラソンで苦労することになります。詳細は割愛しますが、これは予想よりも良過ぎたタイムにも言えます。最近はシューズの性能が格段にアップしたこともあり、初マラソンから好タイムをマークする選手が増えてきました。しかし、その選手たちの多くが2回目以降のマラソンでは……。
今回、初マラソンに挑んだその男子選手は、今月から社会人になったばかりでしたが、新しい環境にもうまく順応している様子だった点も成功につながった要因でした。しかし、マラソンを目標にした練習量とそれに伴う練習時間は想像以上に多く、目に見える成果を手にするまでには相応の期間が必須です。
したがって、逆により良い環境を求めて転職したり、チームを移籍する選手が比較的多い競技と感じます。しかし、良い環境と考えて移っても、その環境に自分自身が順応できなければ、記録や結果にはつながりません。
ここで言う環境と言うのは、単なる練習環境や待遇面ではありません。選手が最も影響を受けるのは「人間関係」と「生活環境(日常生活)」でしょうか(私の経験上)。今回、初マラソンに挑んだ男子選手も、じっくりと今の環境に溶け込ませながら根気よく走り込ませていきます。
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2023春を走る・7
- 2023-04-15 (土)
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【2023春を走る・7】今年度最初のターゲットとなる「かすみがうらマラソン大会」が、明日となりました。昨年の夏以降、調子を落としていた主力選手たちもようやく底を打ち、その調子が戻ってきているところです。
さて、今大会は「国際クラス分け」を実施しております。その実施についての詳細は割愛しますが、視覚障がいマラソンはもちろん、パラスポーツの中において最も重要な決め事は、この「国際クラス分け」です。これは、障がいの程度が競技の成績に影響しないよう、障がいの程度ごとに区分しているものです。
特に、パラリンピックについては、予めこの国際クラス分けの判定を受けていないと、出場することはできません。もちろん、記録も公認にはなりません。また、クラス分けの規則は競技ごとに異なります。
パラリンピックで採用されている競技は、IPC(国際パラリンピック委員会)が決めた「国際クラス分け基準」に準じて、規則が定められています。そして、国際クラス分けの判定は、「クラシファイヤー」と呼ばれる資格(医師免許とは違う)を有している人が判定をします。
パラリンピックの場合、IPC公認の「国際クラシファイヤー」の資格を有した人しかクラス分けの判定をすることができません。したがって、国内のクラス分けを受けていても、パラリンピックに出場することはできないのです。
このように、パラスポーツはどんな障がいの方でもスポーツを楽しめる反面、公式な国際大会を目指すレベルに達してくると、この「国際クラス分け」の問題に必ず直面することになります。
参考までに視覚障がいマラソンの場合、障がいの重たい方から「T11、T12、T13」と3つのクラスに分かれています。また、障がいの軽いクラスの選手が、障がいの重いクラスで一緒に競技を競うこと(T12クラスの選手がT11クラスで競技するなど)は、原則としてできません。
しかし、逆のケースは許可されることがあり、パラリンピックにおいての視覚障がいマラソンは、T12クラスのみの実施となっていますが、T11クラスの選手も一緒に走ることができます(T13クラスはマラソンに出場できない)。
つまり、自分が得意としている種目(100mや砲丸投げなど)だったとしても、パラリンピックでは障がいのクラスによって実施されない種目であることも多々あります。
パラリンピックなどの国際大会を目指している選手たちは、この「国際クラス分け」を十分に理解し、自分自身の専門種目が実施されるか否かについても、予め確認しておく必要があるのです。
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