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暑さ対策

夏の走り込み・7

【夏の走り込み・7】夏マラソンの国内最高峰大会である北海道マラソン大会が、8月27日(日)に開催されました。特に、今大会から2020東京五輪・男女マラソンの選考大会に指定され、同マラソン大会は再びクローズアップされました。

かつて、1980年代から1990年代にかけて同マラソン大会は、五輪や世界選手権の重要な選考大会として位置付けられていました。実際にこの大会で優勝した当時の谷口選手や有森選手らは、世界選手権や五輪でメダルを手にしました。

その後、トラックの長距離種目やマラソンの記録はアフリカ選手たちの活躍で驚異的にアップしました。同時に、それに翻弄されてか、8月開催の北海道マラソン大会の重要性は影をひそめていきました。しかし、8月に開催される五輪マラソン(夏マラソン)攻略の基本は、実際に同時期のマラソン大会を走り、それを基準に判断していくのが至極当然のことであると考えます。

そんな視点からも今回の北海道マラソン大会は男女とも充実していたと、個人的には思います。偉そうに言えませんが…。

さて、日本ブラインドマラソン協会としては、2014年の北海道マラソン大会から同協会の強化指定選手を対象に、参加を公式に認めて頂けるようになりました。もちろん五輪同様、パラリンピックに向けた暑さ対策が目的なのは言うまでもありません。

今年は4回目の北海道マラソン大会でしたが、男子選手8名、女子選手5名の計13選手が夏の北海道に挑みました。記録や成績については、選手ごとに評価は違いますが、全選手が現状を把握するための貴重な経験を積めた点では良かったと思います。

2020年東京パラリンピックに向け、残された夏はあと2回です。たった2回の夏で、暑さをみかたにできる強靭な肉体と精神を身に付けることは、かなり厳しい面もありますが、逆にどの選手にもチャンスは平等にあるとも言えます。

この後、一旦秋からのマラソンシーズンに入っていきますが、この夏で走り込んだ力を確実に発揮し、どの選手もまずは自己記録更新。そして、来年の夏はどの選手も更に走力アップした姿で、再び北海道マラソン大会に挑みたいと思います。

秋からのマラソンシーズンに向け、怪我と故障に注意!

夏の走り込み・6

【夏の走り込み・6】8月19日(土)から2泊3日の日程で、再び長野県菅平高原で合宿を実施しました。今年は7月以降、同地において合宿を実施するのは4回目となりますが、例年と比較すると今年は涼しく、天候にも恵まれました。

今回の合宿は、私の主宰するランニングチームを中心に市民ランナーの方が集い、スタッフを加えて40名程度の方々と有意義な走り込みを実施することができました。実施内容は次の通りです。

1日目:インターバル走/200m×15本。2日目:距離走/最大40k走。3日目:クロカン走/最大2時間走。

内容的にはこれまでと大きく変わった点はなく、メインの距離走を2日目の午前中に置いた合宿です。ただし、今回の距離走はコースを起伏のある往復コースから起伏の少ない周回コースに移して実施しました。

特に、夏の走り込みは設定ペースを落として実施する点が重要なポイントになります。つまり、夏の距離走は、9月以降から実施していく本格的なマラソンの走り込みに向けた「脚つくり」になります。まさに走り込みに向けた走り込みになります。

具体的には、決めた距離や時間をキッチリと走り切ること、やり切ることが、最重要事項になります。そのためには、設定ペースをしっかりと落とし、ゆとりを持って走り切ることがポイントになります。

よく見かける失敗例として、最初から秋のマラソンを想定した設定ペースで走り出し、決めた距離の半分も行かないうちに止めてしまうケースです。こうなると、「脚つくり」どころか、精神的にも不安が残ります。

ところが、夏合宿での失敗を意外と引きずるランナーも多く、秋になっても「夏に走り込めなかった」と、マイナス面をずっと引きずっていくのです。そのため、夏合宿の距離走は秋の設定タイムより20秒から30秒程度は落として実施することをすすめています。

また、設定ペースを落とした結果、1kのペースが6分以上になってしまう方は、ロングジョグやLSDに切り替えて2時間から3時間程度の時間走に変更すると、最後までゆとりを持って走り込むことができます。

今年の8月も残り少なくなりましたが、有意義な走り込みを祈念しております…。

夏の走り込み・5

【夏の走り込み・5】8月10日(木)から4泊5日の日程で実施した日本ブラインドマラソン協会(※)主催の強化合宿は無事に終了しました。今回の合宿も夏の走り込みが最大の目的であることは言うまでもありませんが、今月27日に開催される北海道マラソンに出場する選手たちにとっては、重要なポイント合宿となりました。※日本盲人マラソン協会は、8月3日より「日本ブラインドマラソン協会(JBMA)」に名称変更しました。

特に、今回の合宿は北海道マラソンのちょうど2週間前にも当たり、出場する選手にとっては当日の目標タイムを見極める重要な時期と重なります。同時に、ここまで走り込んできた成果として、調子や体調がどのような状態なのかを正確に見極め、残りの調整をどのようにしていくかを決断するのが、この2週間前になります。

合宿初日はトラックで2万メートルを実施し、翌日は5千メートルを2本。特に、北海道マラソンに出場する選手たちは、それぞれの目標タイムに沿った設定タイムで走りました。当然ながらよく走れた選手、そうでなかった選手と様々ですが、それぞれの現状を把握することができました。

また、今回の合宿も血液検査、尿検査(脱水状態)等の各種測定も実施し、見かけの調子だけでなく、身体の状態を各数値で把握することもできました。もちろん、これらの測定は今後も継続していきます。

2020東京パラリンピックを見据えた時、今月27日に実施される北海道マラソンは様々な視点から極めて重要な大会に位置付けされます。今回、同大会を走る選手たちにとっては、夏のマラソンを経験できる点が何よりの成果であり、最大の目的である点は言うまでもありません。

暑さに対する身体面や精神面の反応は個人差が大きく、特に苦手意識の強い選手にとっては厳しいレースになることは必至です。しかし、2020東京パラリンピックのマラソンは過酷なコンディション下で実施されることは既に決定しており、避けて通る訳にはいきません。

まずは、夏マラソンの実戦を走ることで、自分自身の暑さに対応できる能力がどの程度かを正確に把握する必要があります。そのためにも、27日の北海道マラソン当日に向け、しっかりと調整し、何よりも万全の体調でスタート地点に立つことが最優先事項となります。

夏の走り込み・4

【夏の走り込み・4】8月10日(木)から4泊5日の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を長野県菅平高原において実施します。

今回も夏の走り込みですが、今月27日(日)に開催される北海道マラソンに向けた最後の強化合宿でもあります。実は数年前から関係者のご尽力により、北海道マラソンに視覚障がいの部(日本盲人マラソン協会・強化指定選手/IPC登録者のみ)を設置頂いております。

出場する目的はもちろん、「夏マラソンの克服」であります。今月は世界陸上がロンドンで開催されておりますが、オリンピック・パラリンピックをはじめ、世界選手権は間違いなく夏に開催されます。

2020東京オリンピック・パラリンピックも、まさにこの時期に開催されます。そして、この時期の東京は気温30度以上、湿度50%以上、路面温度50度以上の劣悪なコンディションになるのは必至です。避けてとおる訳にはいきません。

また、誰もが嫌がる悪コンディションだからこそ、逆に大きなチャンスもそこにはあります。間違いなくあります。そのチャンスを手にするためにも、まずは暑さを克服できる身体、更に調子のピークを夏に持っていくための期分け、詳細なトレーニングノウハウ等、科学的なデータも含め、必要事項はたくさんあります。

特に、2020東京オリンピック・パラリンピックを目指した場合、今年の夏を含めても経験できる夏は、たったの3回しかありません。この3回の夏を通じて勝ためのノウハウを確立させる必要もあるのです。

残された時間は多くありませんが、これまでパラリンピックの実戦で蓄えてきたノウハウも活かしながら、残りの夏も走り込んでいきます。

夏の走り込み・3

【夏の走り込み・3】7月28日(金)から7月31日(月)の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を長野県菅平高原で実施してきました。

今回も7月上旬に実施した北海道北見合宿に引き続いての走り込み合宿となります。違う点としては、同じ走り込みでも起伏のあるコースで走り込みを実施した点です。ただし、起伏と言ってもクロカンではありません。

目隠しをして路面の悪い不整地を走ることを想像すると理解できますが、選手たちは視覚に障がいがあるので、怪我や事故のリスクがとても高くなります。したがって、クロカンで走ることは選手の安全を確保することが難しくなるので、原則としてクロカンでは走らせません。

そのため、舗装された起伏のある片道4キロの道を、往復するコースで走り込みました。このコースでの走り込みは、昨年の同時期にリオパラ日本代表選手を対象にした強化合宿で実施しており、その時の実績データも残っています。

実は日々のトレーニングも同じですが、このような強化合宿も過去の実績と比較しながらトレーニングコースやタイムの設定等を導いていくことは、とても重要なポイントになります。比較することで、今の調子を把握するのはもちろん、走力が上がっている場合の要因、悪くなっている場合の要因等を解析し易くなり、好不調の波を最小限に抑えながら走り込んでいくことが可能になっていきます。

もちろん、強化合宿のトレーニング方法は様々ですが、思い付きで合宿場所やコース等を毎年変えることは成果を上げるより、リスクの方が高くなると考えます。特に、市民ランナーの中で、うまく走り込みができない方々の要因のひとつにも当てはまると思います。

さて、8月10日(木)から再び長野県菅平高原において、盲人マラソンの強化合宿を実施します。引き続き、目的意識を持った走り込みを継続していきます。

■7月28日(金)午後:12000m走/トラック。■7月29日(土)午前:ロングジョグ+200m×10本/トラック、午後:32k~40k起伏走/ロード。■7月30日(日)午前:32k~40k起伏走/ロード、午後:ロングジョグ+1000m/トラック。■7月31日(月)午前:坂道200m×10本/ロード。

夏の走り込み・2

【夏の走り込み・2】今回は「暑熱順化」についてもう少し詳しく考えていきます。

はじめに、久々に運動すると汗がベタベタするような経験はないでしょうか。これは水分と一緒に、身体に必要なナトリウムが対外に排出されている悪い汗だからと言われています。

ところが、暑熱順化すると、汗腺の働きが改善され、汗が対外へ出ていく前にナトリウムを体内へ再吸収できるようになり、大汗をかいても適切な水分補給をすれば回復し易い身体になると言われています。これにより、脱水症状や熱中症のリスクが大幅に下がるのは言うまでもありません。

では、どのようにすれば暑さに慣れていくのでしょうか。専門的な文献には様々なことが書かれていますが、やはり普段の生活を改善していくことが最も重要なようです。具体的には冷房の温度を高く設定したり、入浴時は湯船につかり、汗をじっくりと出すことは効果的と言われています。

そして何より、ウォーキングやジョギングのように汗をかきながら行う有酸素運動は最も効果的に暑熱順化を促進すると言われています。もちろん、高温多湿の環境下や体調不良時の無理は厳禁であり、常に適切な水分補給は必須です。

暑い中で積極的に走ることは何か矛盾を感じますが、これまでに私が経験したことからも一致します。今月上旬に実施した北海道での盲人マラソン強化合宿では、暑さに対し極端に苦手意識を持っている全盲の女子選手がいました。この選手は確かに暑くなると極端にタイムが落ちます。

合宿最初の距離走は、30度をこえる中で実施しました。案の定、最後は脱水症状でかなり危険な状況になりました。その後も2回距離走を実施し、何れも30度をこれる炎天下での練習でしたが、1週間後の3本目は多少ゆとりを持ってゴールできたのです。

もちろん、疲労も蓄積している中でしたが、見るからに発汗量も少なくなり、ゴール後も余裕がありました。まさに、この合宿中に暑熱順化ができた様子でした。

ただし、一度暑さに順化しても、やめてしばらくすると、その効果は元に戻ると言われています。そのため、この時期だけでなく、年間を通じて普段から日中に汗を流すトレーニング環境を作り、継続することがポイントになります。

ここ数年、温暖化の影響もあって、10月以降のレースも気温が高く、危険なコンディションが増えています。つまり、暑熱順化は年間を通じた課題と捉え、秋からのマラソンシーズンに対応するためにも、この夏を活用して暑さに強い身体をつくっていきましょう。

夏の走り込み

【夏の走り込み】今年も暑い夏の到来です。もちろん、暑い中で走るのは誰もが辛く避けたいと思いますが、暑さを理由に走ることを簡単に休む訳にはいきません。なぜなら、今年も秋からのマラソンシーズンに向け、走り込みを開始していく時期だからです。

このブログでも毎年のように、夏の走り込みについて考えてきましたが、今年も同じように考えていきます。

さて、走り込みを重ねていく前に必須なことがあります。それは、暑さに身体を慣らすことです。すなわち、「暑熱順化」と言われている「身体を暑さに順応」させること。まずは、この暑熱順化について考えていきます。

はじめに、「暑いと身体はどうなるか?」です。

暑い中で身体を動かし続けると体温が上昇していきます。通常は36度から37度前後に保たれている人の体温も身体を動かすときに筋肉から発生する多量の熱に加え、暑いときは対外からも熱が侵入してきます。この結果、体温は上昇し、40度前後に達してくると疲労困憊して動き続けることが困難になると言われています。

この時、身体は体温が上昇するのを防ぎ、熱を体外へ逃がすための2つの機能が備わっています。1つ目は「皮膚血流反応」と言い、皮膚の血管を拡張させ、血流を増やして皮膚の表面から熱を体外に放出させる機能。2つ目は「発汗反応」で、いわゆる発汗することで、汗が蒸発するときの気化熱で熱放散を行う機能です。

これらの熱放散機能は鍛えることによって、その機能を向上させることができます。日ごろから身体を暑さに慣らすことで、上手に体温を放散することができるようになり、これを「暑熱順化」と言っています。

熱放散機能を鍛え暑熱順化が整ってくると、暑い中での運動に対しても身体が反応できるようになっていきます。具体的には、皮膚の血流量が増え、多少の暑さであれば、汗をかかなくても熱を放出できるようになります。また、皮膚血流反応だけでは間に合わないと判断した場合、早いタイミングで多くの汗をかけるようになり、効率的に体熱を放出できるようになると言われています。

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