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福岡国際マラソン

12月を走る・2

【12月を走る・2】最後の福岡国際マラソン選手権大会が終わりました。私も沿道で最後の応援をすることができました。しかし、「来年はもうないのか」。そう考えると、とても複雑な思いでした……。

その最後の福岡国際マラソン選手権大会は、国内のトップ選手たちを軸にハイペースな流れで序盤を刻みました。しかし、後半は気温が上昇し(私もかなり暑いと感じた)、ハイペースを維持していくことが難しい状況となりました。

その結果、後半は好記録の期待は薄れていきましたが、マラソンレース本来の醍醐味でもある「サバイバルレース」に流れがシフトし、逆に見応えのあるマラソンだったと思います。あらためて、出場された選手の皆様、最後の最後まで感動をありがとうございました。

また、今回出場した選手たちのほとんどは、いわゆるカーボンプレート内臓の厚底シューズを履いていました。それも相まってか、前半はかなりのハイペースにもかかわらず、どの選手も快調に走っていました。

しかし、上記したように後半は気温が上がり、今度は多くの選手が厳しい状況に追い込まれていきました。コンディションが良く、トラックレースのような平坦な路面ならカーボンプレート内臓の厚底シューズによるメリットが相当なものであることは、既に証明されています。

ところが、今回のように気温が一気に上がると、期待したようなメリットを受けることは難しいと感じます。特に、マラソンのような長時間屋外で実施される競技は自然との戦いでもあり、その自然をコントロールすることは、もちろんできないからです。

今後、暑さ(気温の変化)や強風(風向き)などに対応できる厚底シューズが開発されるとしたなら安心ですが、今時点においてはかなり難しいと思われます(勝手ながら)。したがって、シューズで対応できない部分は、今も昔も選手自身の心と体で補っていくしかありません。

さらに、マラソンは超高速時代に突入していますが、今回のような気温の上昇に対応できるか否かも、やはり選手自身の心と体に直結します。つまり、マラソンもスピードを追求していくことは大切ですが、いつの時代も「地道な(泥臭い)走り込み」がマラソントレーニングの基礎であり、不可欠だと……(五輪や国際大会の多くは暑い夏に開催される)。

最後の福岡国際マラソン選手権大会は、全てのランナーにその大切なメッセージを伝えたのかもしれません。

第71回福岡国際マラソン

【第71回福岡国際マラソン】12月3日に開催された福岡国際マラソン選手権大会は、国内の期待される選手たちが多数参戦し、久々に活気あるレースとなりました。そして、結果も期待どおりに大迫選手が日本歴代5位の好記録をマークしました。

さて、その伝統ある大会に今年も日本ブラインドマラソン協会の強化指定選手が3名エントリーしました。しかし、その内2名の選手が体調不良のため、無念の欠場と途中リタイヤする厳しい状況となりました。

平和台陸上競技場で選手のゴールを待っている身としては、とても不安な気持ちに包まれていましたが、コーチとしてレース中は何もできません。そんな中、予定どおりのラップをキッチリと刻んでいた、弱視の熊谷選手(伴走無)の快走を祈る思いでした。

果たして、競技場の時計が2時間25分を過ぎたころ、続々と競技場に戻ってくる選手たちの中で唯一ラストスパートを利かせた選手が目に入ってきました。何とそれが熊谷選手でした。残り300mから更に猛スパートをかけ、前を走る選手を次々にゴボウ抜きし、まるで短距離選手のようなフィニッシュでゴール。

記録は、自己記録を大幅に更新する「2時間27分35秒」。もちろん、熊谷選手自身にとっても初の2時間30分突破です。また、この記録は今年のIPC世界ランキング1位に輝く好記録でもありました。

ようやく強化合宿をはじめ日々の走り込みが成果となった瞬間でもありました。コーチの私が言うことではありませんが、熊谷選手ほど走り込んでいる選手をあまり目にしたことがありません。特に強化合宿においては、1日の走行距離が50kから70kになるのは普通で、量も質も確実に消化できる選手です。

今大会は、悲願の2時間30分突破を目標にスタートしましたが、練習量に裏打ちされた安定した走りが光りました。実は、当日のコンディションとしては、後半の気温がかなり上がり、暑さも厳しかったようにも感じました。特に、2時間30分前後の記録を目標に走っていた市民ランナーの多くは30k以降失速していました。

そんな中、熊谷選手は最初から設定タイムをキープし、30k付近で一旦落ちた5kラップを35kからもう一度立て直して粘りました。更に中間点からは誰にも抜かれず、逆に70名以上のランナーをゴボウ抜きする激走。

これまで、練習の成果を実戦で発揮できず苦しんでいましたが、今回のマラソンで良い流れを自らの力で呼び寄せたと、納得できる内容の走りでした。更なる飛躍を期待したいと思います。

福岡国際マラソン・2

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【福岡国際マラソン・2】伝統の福岡国際マラソン選手権大会が、12月6日に開催され、今大会は来年開催されるリオ五輪の日本代表選考レースでもありました。結果は、日本人1位は佐々木選手が「2時間8分56秒」。また、注目の公務員ランナー川内選手は8位に終わりました。

さて、かくいう私もほぼ毎年この大会に選手のコーチとして帯同しており、もちろん今年も沿道から応援しました。ところが、男子マラソンの場合、女子マラソンの応援と違い、全体的にスピード感があります。したがって、地下鉄等の交通機関を活用しても直接応援できる箇所は限られてきます。

ここ数年は、スタートを見届けた後は18k付近で応援し、ゴールの平和台陸上競技場に戻って残り300m付近で応援するのが通例になっております。最初のスタート地点では緊張感とリラックスしたマラソン独特の雰囲気が入り混じっており、選手の顔からも笑顔が見られます。

18k付近では、どの選手も記録を目指す気迫が表情や走りから感じることができ、それぞれの集団で通過していくのが特徴的です。なかでも市民ランナーの大きな集団としては、2時間20分突破を目指す集団、2時間27分突破を目指す集団、2時間30分突破を目指す集団の3つが沿道からも確認できます。そして、2時間40分突破を目指す集団は、どの集団よりも大きくなっています。これらの集団は毎年恒例となっており、今年もそれぞれの集団が目の前を駆け抜けていきました。

もちろん、この地点ではどのランナーも元気です。

スタートして2時間5分あたりが経過すると、先頭のランナーが平和台陸上競技場に戻ってきます。今年は3位に入賞した佐々木選手が、2時間8分台に入るか否かの微妙なタイムで残り300mを通過しましたが、渾身のラストスパートで見事に2時間8分台を達成しました。

競技場に帰ってきたランナーたちにとって残り300m地点は目標の記録を突破できるか否か、最後の見えない関門です。まるでトラック競技のような猛スパートで壁を突破するランナーがいます…。逆にそこで立ち止まってしまうランナーがいます…。まさに人間ドラマです…。涙が出てきます…。

■2時間20分突破の市民ランナー数:0人。■2時間27分突破者数:74名、2時間30分突破者数:115名、2時間40分突破者数:430名。

出場されたランナーの皆様、たくさんの感動ありがとうございました!

ゴボウ抜き!

2014-12-10

【ゴボウ抜き!】12月の第1日曜日は、国内最高峰のマラソン大会である福岡国際マラソン選手権大会が開催されます。今年も12月7日(日)に開催され、国内外から実力のあるランナーたちが福岡の街を駆け抜けました。

そして今年も、私がコーチする3名の選手(市民ランナー)も出走しました。結果は、2名が自己新記録でゴールし、1名は35k過ぎにリタイヤでした。もちろん、3選手とも夏からこの福岡を意識した走り込みを積み重ねてきました。今回の結果は、その成果をしっかりと発揮した内容でした。残念ながらリタイヤとなった選手についても練習どおりの内容でした…。

今回の福岡国際マラソンは曇り空で風もなく、絶好のコンディションでした。特に沿道から応援していて、2時間20分から2時間30分前後を目標にしているランナーたちの前半がやや速いと感じました。実は、自己新をマークした私の選手たちもその付近のグループで予定どおりのラップを刻んで行きましたが、いつもより順位が後ろのような気がしたからです。

ゴールの競技場で選手たちを待っていると、続々と選手たちが帰ってきました。毎回のことながら最後の最後まで力走する姿は心を打たれます。しかし、2時間20分以降にゴールしてくる選手たちは、やはり失速しているケースが多いと感じました。スタート時のコンディションが良かったので、記録を意識して前半を予定より速く通過した選手たちが多かったのかもしれません。

そんな中、2時間28分台の自己新記録でゴールしたH選手は、中間点を1時間14分台で通過し、後半もほぼイーブンペースで帰ってきました。特筆は、中間点を通過した後、H選手はそこから何と103名のランナーを抜き去ってのゴールでした。マラソンでゴボウ抜きとは言いませんが、まさにそんな感じの走りでした。

さて、市民ランナーの方々がよく前半を予定より速く通過していくことを「貯金」と言っています。しかし、実際はトレーニングに裏付けされた根拠がない限り、前半で必要以上に体力を消耗するので、逆に「借金」をしてしまうことになります。同時に、前半はゆとりを持って「抜かれっぱなし!」、後半はリズムに乗って「抜きっぱなし!」のレース展開が、市民ランナーの方々にとっては理想のレース展開と考えます。

と、言いながら周りの状況に影響されることなく自分自身の目標ラップを刻んでゴールを目指すには、やはり日々の走り込みが大切なのは言うまでもありません…。

福岡国際マラソン

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【福岡国際マラソン】数々のドラマが繰り返されてきた伝統の「福岡国際マラソン」が、12月1日(日)に開催されました。今年も何かと話題の多い大会でしたが、終わってみれば今回も公務員ランナーである川内優希選手が話題を独占しました。

もちろん、私の選手たち(市民ランナー)も出場したので、今年も現地にて応援してきました。当日のコンディションですが、実はスタート直前まで雨が降っていました。しかし、スタート後は雨もあがり、天候は回復していきました。

また、沿道で応援している感覚では、雨が降っていたときは暖かく感じ、天候の回復と共に気温が下がっていったように感じました。その影響のためか、18k付近で応援したとき、どの選手も発汗が多く、前半で予想以上に体力を消耗しているように感じました。今回、私の選手たちは前半を抑え気味に入ったにも関わらず、気温の影響があったのか、後半は身体が固まって動かなくなったと振り返っていました…。

さて、レース結果はご存知のとおり、川内優希選手が中盤以降に見せた粘り強さばかりが目立つ内容でした。多くのマスコミや陸連関係者のコメントも川内優希選手を絶賛するものが多く、まさにそのとおりと感じる内容でした。

実は、今回の招待選手の中に松宮隆行選手の名前もありました。松宮選手は、5000mと30kの日本記録保持者で、北京五輪の5000mと10000mの日本代表選手です。つまり、日本最強のスピードランナーでもあります。しかし、今回の結果も含め、いまだにスピードを活かしたマラソンに移行できていません。

一方の川内優希選手は、どちらかと言えばスピードはなく、スタミナと自分自身の経験を頼りに粘り抜いていくマラソンを貫いています。まさに日本人気質である職人です。近年のマラソンは、黒人選手の台頭で驚異的に記録がのびています。その影響もあり、実業団関係者や他のマラソン関係者も口をそろえて「まずはスピード強化」と、コメントしております。しかし、そのコメントとは裏腹に、スピードを手にいれたランナーたちのマラソン挑戦は必ずしも成功しているとは言えません。

古い話しですが、1980年代から1990年代に活躍した児玉泰介選手や谷口浩美選手をはじめ当時のサブテンランナーの多くが、10000mは28分台半ば、5000mは13分台後半と、今の箱根駅伝常連大学のエースレベルにも届かないスピードでした。しかし、マラソンは川内優希選手のような粘りを身上とした職人気質に満ちたマラソンが多く、世界をリードしていました。

日本のお家芸であるマラソンは、今も昔も何かと話題になるスポーツですが、世界のスピード面ばかりに目が行き、日本人が本来得意とする「粘り強さ」が失われつつあるようにも感じます。そして、川内優希選手の時代に逆行するようなスタイルでの頑張りは、そんな日本人選手たちへの強いメッセージとも感じました…。

第66回福岡国際マラソン選手権大会

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【第66回福岡国際マラソン選手権大会】先日の12月2日(日)、国内最高峰のマラソン大会である「第66回福岡国際マラソン選手権大会」が開催されました。ロンドンオリンピック代表の藤原選手と公務員ランナーの川内選手との直接対決で何かと話題の多い大会でしたが、日本人トップは旭化成の堀端選手が2時間8分24秒の自己新記録での2位でした。

私も久々に現地にて応援をしましたが、曇り空でほぼ無風のコンディションに、記録への期待を込めての応援となりました。さて、私の選手は3名出場しましたが、3選手とも参加資格はマラソンを2時間42分以内のBグループです。そのため、スタートは平和台陸上競技場ではなく、隣の大濠公園となります。

実は、私自身にとっても大濠公園から選手を見送るのは初めての経験ですが、人数的に言うと、今回エントリーしたほとんどの選手は、この大濠公園からのスタートになります。また、今大会のようにスタート地点を分けてのスタートは、実際にどのようにスタートしていくのか、様々な視点から興味がありました。しかし、大濠公園からのスタートは陸上競技場とは違い、どの選手もスタート直前まで応援にかけつけた家族や仲間たちと談笑したり記念写真を撮ったりと、とてもリラックスした様子でした。

12時10分、号砲と共に一斉に福岡の街に駈け出していきました。途中、地下鉄を乗り継いで選手を応援しましたが、女子選手の応援と違って、スピードが速いのでゆっくり応援する時間はありません。数ヶ所のポイントで声をかけた後、ゴールの平和台陸上競技場に戻りました。果たして、私の3選手とも無事にゴールし、2選手は自己新記録をマークすることができました。

また、私がもうひとつ注目していた点として、川内選手を除く市民ランナーたちの中から何人の選手が「2時間20分」を突破してゴールするかです。しかし、残念ながら今回はそれに該当する選手はいませんでした。沿道で応援していると、ちょうど2時間20分突破を狙っている20数名の集団は形成されていたのですが…。

個人的な考えですが、高校時代や大学時代に陸上競技選手としての実績がほとんどない純粋な市民ランナーたちの中から「2時間20分」を突破できるランナーが次々に輩出される流れになったときが、本当の日本マラソン界の底上げだと思います。

と、言いながらマラソンの楽しみ方や価値観は様々です。同時に、仕事や家庭との合間をぬって走り込みを積み重ねている市民ランナーが、「2時間30分」を突破することも並大抵の努力ではありません。しかし、更にその上の「2時間20分の壁」に向かって本気で挑戦する市民ランナーが多くなることを期待するのと同時に、可能な限り応援していきたいと、強く感じた久々の福岡でした…。

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