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マラソン

期分け・90

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【期分け・90】前回は、ロードレースとトラックレースの相違点を3つあげました。更に、ロードレースから出場した市民ランナーの視点からまとめると、ロードレースと比較した場合、トラックレースの方がより厳格に実施される競技会であると言えます。

さて、今回もその違いについて、もう少し考えていきますが、実際にトラックレースの5,000mを初めて走った市民ランナー方に話しを聞くと、ほとんどの方が次のような感想を話します。

◆感想1).日本陸連の公認審判員からスタートまでの間、時間厳守で招集や腰ゼッケンの確認等を何度も受けるので、スタートまでに物凄く緊張した。◆感想2).スタート時の混雑が無いので、スタート直後から一気にスピードが上がってしまった。そして、1,000mを通過したあたりから今度は一気に苦しくなり、ゴールまでは経験したことのない苦しさだった。◆感想3).同じトラック上を12周半も走るのでコースを全て見渡せて変化が全くない。更に、ゴール地点に何度も戻ってくるので精神的に辛く、ゴールまでがとても長く感じた。また、仲間の応援にも全く反応できなかった…。

さて、皆さんはいかがでしょうか?

実は、トラックレースを経験したことのある方なら誰もが経験していることなのです。もちろん、実業団選手(プロ)や箱根駅伝を目指している学生ランナーも同じような苦しみを常に味わっています。

では、こんなにつらく苦しいトラックレースが、どうしてスピード強化につながるのでしょうか?

誰もが単純に思うことですが、まずは上記したトラックレースの感想を元に、ロードレースに出場した場合と、感じ方の違いをいくつかあげてみます。

◆違い1).ロードレースは、スタート直後まで音楽を聞いたり、仲間と談笑したりと、自分のリズムで過ごすことが比較的可能なため、精神的にリラックスできる。◆違い2).ロードレースは参加人数も多く、同じ目標タイムのランナーと一緒にスタートすることも可能で、個々のペースでスタートできる。◆違い3).一部の周回コースを除いてゴールまでの間、景色や沿道の応援が変化し、途中で苦しくなってもゴールまでは何度でも立て直すキッカケをつかめる。

次回は、上記した違いを更に掘り下げていきます。

つづく。

期分け・89

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【期分け・89】今回からトラックレースを実際に走る視点から考えていきます。はじめに、ロードレースとトラックレースの大きな違いをいくつかあげてみますので、それぞれがイメージして下さい。

◆相違点1).開催会場の違い。

まさに、見たままのことになりますが、トラックレースは会場や受付等全てが陸上競技場になります。一方のマラソンや各種ロードレースは、ご存知のとおり様々です。大会によってはトラックレース同様、陸上競技場を発着点にする場合もありますが、多くの大会は体育館であったり、公園であったりと大会毎に違いがあります。

◆相違点2).受付(コール)の違い。

マラソン大会を含め、ほとんどのロードレース大会では会場に到着後、受付場所で自分自身のゼッケンを受け取ることで全てが完了します。すなわち、あとはスタート時間に合わせて、ゼッケン番号やチップを付けて並べば、スタート可能となります。

ところが、トラックレースは違います。会場において自分自身のゼッケンを受け取るまでは同じですが、ここから大きく異なります。スタート前にコールと呼ばれる点呼が必ずあり、これを忘れると失格となります。一般的なコールの例として、1次コールと2次コールがあり、1次コールは招集所に掲示してある自分自身の氏名にマークをします。2次コールは招集係にゼッケンを付けたユニフォーム姿でチェックを受けます。全ては時間厳守になっており、招集時間に遅れると失格になります。もちろん、このコールを代理人にさせても失格となります。

◆相違点3).スタートからゴールまでの違い。

マラソン大会やロードレース大会は、スタート時間に合わせ、各自がスタート地点に並びます。同時にスタート地点から後方に向かって長蛇の列となって参加者たちが並んでいきます。したがって、スタート地点を通過するまで相応のロスタイムが必ず発生します。特に、後方に並ぶことの多い市民ランナーは、スタート後も足踏み状態が続くケースも多く、出足からどんどん前にいくことは困難な状況です。しかし、順調に走り出すと、周りの景色を楽しんだり、途中の距離表示を確認しながら自分自身のペースでゴールを目指すことも可能です。

一方のトラックレースは、スタート地点に集まると言うより、出発係からゼッケン順に並ばされます。もちろん、時間に遅れると失格になります。また、このときゼッケン番号とは別に腰ゼッケンを渡され、それをパンツに付けます。更に、トラックレースはロードレースと違い、一緒にスタートできる人数は予めルールで決められており、多くても30名前後となります。そのため、スタートロスはほぼ皆無となり、スタートからどの選手も脱兎のごとく飛び出していきます。同時に、レース中はトラック内のため、景色は変わらず、応援も変わりません。また、ロードレースは「キロ表示」ですが、トラックは「周回表示」になります。つまり、400mトラックでの5千メートルは「12周半」となり、ゴール地点での表示は残りの周回表示となります。

上記以外にも違いはありますが、トラックレースを走ることで、市民ランナーの方はこれまでと違う緊張感や苦しみも体験することに…。

つづく。

期分け・88

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【期分け・88】今回も市民ランナーの方が、トラックレースに参加することについて考えていきます。まずは、前回も記載しましたが、社会人になってからランニングを開始した市民ランナーの方が、最初からハーフマラソンに挑戦するケースを多く見受けます。実際にランニングクリニック等のお手伝いをさせていただき、参加者の方と話をすると、5kや10kのレースに出場したことのない方も意外と多いのです。

もちろん、どんなレースに参加するかは個々の自由なので、ハーフマラソン以上のレースばかり参加していても問題ありません。しかし、ランニングクリニックに参加するような方の多くは、「マラソンで自己記録の更新」を目標にしている方がほとんどです。

同時に、多くの参加者が、「スピードが無いのでマラソンの記録が縮まらない」とも考えており、「スピードを付けるには?」と、多くの質問を受けます。また、クリニックに参加された方の走りを観察していると、どの距離に対しても同じようなフォームで、同じようなスピードになってしまう方が多いことに気が付きます。

もちろん、その原因は様々で、単にランニングフォームが良くないとか、単に加齢による衰え等、見た目に起因したことも多いと感じます。ところが、ランニングフォームの改善だけに目がいき、そこだけを意識してしまう方も多く、結果的にはスピードの改善に結びつかないケースも多く見受けます。

では、何が足りないのでしょうか?

ヒントは、冒頭に記載した、「5kや10kのレースに出場したことがない」ことにあります。つまり、ランニングをはじめてから全力疾走の経験がほとんど皆無な方が多いのです。もちろん、ここで言う全力疾走は、短距離の100mを指しているのではなく、長距離的な視点から1kを意味します。

経験的な話しになりますが、この1kと言う距離はとても都合よく、最初から全力で突っ込み、途中でバテても何とか惰力でゴールできる距離です。また、中途半端なインターバルトレーニングを実施するより、単に1kを全力で1本実施することで、わずか数分間で手足や心肺に強い刺激を入れることが可能です。つまり、1kは長距離種目にとっての最小単位であると、私自身はとらえています。

そして、ハーフマラソン以上のレースばかりに参加しているランナーに、1kを全力で1本実施していただくと、ハーフマラソンのペースとほとんど変わらないランナーが、意外に多いことにも気が付きます。つまり、ここにスピード強化のヒントがあり、トラックレースにリンクしていく部分でもあると考えます。

つづく。

期分け・84

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【期分け・84】いよいよ新年度がスタートしました。それに伴い職場や生活環境が変わる方も多いかと思います。もちろん、ランナーの方々にとってランニングは生活の重要な一部なので、「自分自身を取り巻く生活環境の変化に左右されることはない」と、誰もが考えます。しかし、「ランニングほど生活環境の変化から影響を受けるスポーツは珍しい」と、思う例をこれまで数多く見てきました。

考えられる理由は様々ですが、最も大きな要因のひとつは、「自分自身の身体と心だけで勝負するスポーツ」だからではないでしょうか。つまり、マラソン(長距離)は、道具を使わず、シンプルに自分自身の身体を如何に速く遠くに運ぶスポーツだからです。そこには、ランニングフォームとかペース配分とかでなく、とにかく1番最初にゴールしたランナーが最も讃えられ、過去の実績やどこに所属し、どんなトレーニングを積んできたかは全く問われない世界でもあるからです。

まさに、公務員ランナーとして日本マラソン界を牽引している川内優希選手のランニングライフがそれを証明していると言えます。それは上記したように「生活環境の変化から大きな影響を受けるスポーツ」と言いつつ逆に、その生活環境をどのようにとらえるかは個々の問題であり、マラソン(長距離)は、「どんな環境からでもトップを目指せる数少ないスポーツである」とも言えるからです。

同様に、新年度から職場や生活環境が変わったランナーの方々にとっては、その変化こそがこれまでのマンネリ化や記録の頭打ちを打開するチャンスかもしれません。もちろん、そんな簡単な話しではありませんが、少なくともそのようなとらえ方は重要です。川内優希選手も4月から転勤となり、新しい職場環境からの世界挑戦となります。そして、新年度も変わりなく、その川内優希選手が日本マラソン界を牽引していくと…。

さて、4月に入り、国内の大きなマラソンや駅伝大会はほぼひと段落ついた感じです。同時に、陸上競技としては、いわゆるトラックシーズンの開幕となります。マラソンブームが到来し、それを期にランニングをはじめた方々にとっては、馴染みの薄い感もあるかと思います。本来、陸上競技は、100mからはじまる短、中、長距離種目、走幅跳等の跳躍種目、ハンマー投等の投てき種目などがあり、陸上競技場で実施する競技です。つまり、マラソンはそのひとつに過ぎないのです。しかもマラソンは、公道(ロード)で競う特殊な種目とも言えます。

そして、4月からは、「スピード養成期」と位置付け、積極的に10k以下の短いレースに出場したり、スピード系のトレーニングを多く取り込む時期となります。まさに、トラックシーズンと一致します。次回からは、スピード養成期の一環としてトラックを積極的に走る点にスポットを当てて考えていきます。

つづく。

期分け・83

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【期分け・83】前回は少し話が脱線しましたが、あらためて「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」と、3時間突破(サブスリー)について考えていきます。

はじめに、疲労回復を主な目的とし、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」を取り込んだトレーニング計画例を記載します。◆パターン1).月/休養、火/調整ジョグ、水/スピード、木/90分~120分LSD、金/調整ジョグ、土/距離走、日/90分~120分LSD。◆パターン2).月/調整ジョグ、火/スピード、水/90分~120分LSD、木/調整ジョグ、金/休養、土/距離走、日/90分~120分LSD。パターン3).月/調整ジョグ、火/16k~20kペース走、水/スピード、木/90分~120分LSD、金/調整ジョグ、土/スピード、日/90分~120分LSD。

どのパターンも全体的にかなり詰め込んでいる感じもしますが、1週間の流れを注視して下さい。そして、疲労回復が主な目的となるため、いわゆるポイント練習と呼ばれている「スピード」や「ペース走&距離走」の後にLSDを実施するパターンとなります。

では、上記パターンのようにLSDを実施する際のポイントを、段階を追って説明していきます。◆段階1).ポイント練習の疲労が残る中、「速く走ろう」、「何キロ走ろう」との意識を放棄し、とにかくゆっくりと走り出す。◆段階2).疲労の影響から出足は身体のだるさを感じることが多く、集中力も散漫し易い状況になるが、ゆっくりじっくりと走り続ける。◆段階3).自分自身の身体と対話することに意識を集中し、「疲労はどの筋肉にどの程度か?」、「身体の芯に疲労は残っていないか?」等々、身体からかえってくる感覚を意識し、ペースを上げずに走り続ける。

◆段階4).40分~60分前後から身体の芯から疲労と汗が一緒に出てくる感覚で、身体が少しずつ軽くなってくる。◆段階5).「疲労が抜けて軽くなってきた」と、実感できてもペースを絶対に上げず、ゆっくりじっくりと走り続ける。◆段階6).90分前後から更に走り続けることで、今度は逆に「力(スタミナ)を身体に蓄えていく感覚」にかわってくる。

以上のように感覚的な部分が多く、数値で表すことが難しい点が特徴であり、逆に疲労回復を目的としたLSDの難しさであると感じます。また、感覚的な部分が多いが故に個人差も大きく、ペースが途中から速くなったり、疲労が抜けてくる感覚の前に止めてしまったりと、トレーニング計画の一部として定着させるまでに相応の時間が掛かるのも事実です。

しかし、疲労回復が目的のLSDと言っても、後半の部分は「力(スタミナ)を身体に蓄えていく感覚」からスタミナ強化の部分も期待できます。実際に私がコーチしている市民ランナーも上記したトレーニングパターンがベースになっており、LSDの効果は間違いないと実感しております。

つづく。

期分け・82

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【期分け・82】前回も記載したとおり、単に「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」だけで、3時間突破(サブスリー)のレベルに到達することは、やはり難しいと考えるのが一般的です。したがって、「ペース走」や「インターバル」と言ったスピード系トレーニングもある程度取り込んでいくことになります。もちろん、何をどんな設定タイム(スピード)で、どの程度(距離)取り込んでいくのかは、個々の走力やランニング環境によっても違ってきます。

しかし、逆に「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」を取り込むタイミングは大きく2パターンがメインになります。すなわち、スピード系トレーニングの前にするか後にするかですが、3時間突破(サブスリー)を目指すランナーにとって、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」の主な目的は、疲労回復にシフトしていきます。この点が、4時間突破(サブフォー)を目指すランナーと大きく違ってきます。つまり、スピード系トレーニングの後に取り入れるパターンが、疲労回復には効果的と考えます。

では早速、具体的なトレーニングパターンを考えていきますが、はじめに話しが少し脱線します。それは、これまであまり触れてこなかった部分でもあり、このブログで取り上げている3時間突破(サブスリー)を目指しているランナーの前提条件についてです。まずは、次の点を確認しておきます。

◆前提条件1).月曜日から金曜日までの5日間(一般的に言う平日)において、仕事やプライベートな私用が立て込んだとしても、コンスタントに3日以上は走る時間を捻出している。◆前提条件2).原則として、休日の優先順位はランニングからである。◆前提条件3).あらかじめ正確な距離を確認し、スピードを上げて走れる自分自身のランニングコース(トラックや公園・河川敷等)を確保してある。

以上の3点についてですが、いかがでしょうか。かなりハードルが高いと感じる方、逆にこの条件を満たしていなくても、3時間突破(サブスリー)を達成できた方もいることでしょう。

また、統計的にみると、1年間で3時間突破(サブスリー)を達成しているランナー数は、国内のフルマラソンを完走した全ランナーの中においても、たったの5%以下であるとも言われています。実際に私が市民ランナーを指導してきた経験からも、誰もが簡単に到達できるレベルではありません。

なぜなら、3時間突破(サブスリー)を目指すためのトレーニングは冒頭に記載したように、量(距離)だけでなく、質(スピード)も加味されてくるからです。そして同時に、レベルの高いトレーニングを継続していくには、上記した3つの前提条件となる「自分自身の環境を整えていく力」も、必要不可欠になってくるからなのです。

つづく。

期分け・80

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【期分け・80】今回は、マラソンで4時間突破(サブフォー)を目指すための週末集中型によるトレーニングパターンのまとめです。

前回も説明したとおり、「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングを週末集中型にシフトする主な理由として、仕事等による諸事情から時間を確保することが難しいからです。したがって、平日にまとまった時間を確保できるランナーは無理に週末集中型にシフトする必要はないと考えます。

このブログの「期分け・78」に記載した「週間トレーニング例1」か「週間トレーニング例2」のパターンを参考に、それぞれの生活パターンに応じた流れを構築してほしいと思います。

では、「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングを週末集中型にシフトした週間トレーニングパターンを考えていきます。

はじめに、平日にあたる月曜日から金曜日までの捉え方についてです。上記したように平日にランニングの時間を確保することが難しいランナーにおすすめなのが、この週末集中型なのですが、平日でも何とか30分から60分程度の時間は捻出することが可能であることを前提に話しをすすめていきます。もちろん、ランナーとして、その程度の時間は早朝等の時間を活用して捻出してほしいところです。

◆週末集中型パターン1).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/30分~60分LSD、金/30分~60分LSD、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。◆週末集中型パターン2).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/30分~60分LSD、金/休養、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。◆週末集中型パターン3).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/休養、金/休養、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。

以上のように、スピード系のトレーニングは組込んでいません。代わりに30分から60分程度のLSD(軽めのジョギング)と、休養で平日をつなぐ流れです。そして、ポイントになるのは休養の日数になります。1週間で休養が1日から3日までのパターンにしていますが、どのパターンも週末の2日間連続の「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングが充実するように、心と身体をリフレッシュしながら調子を引き上げていくのが、平日の目的となります。

また、休養をうまく取り入れていくことで、超回復の効果を引き出していきます。超回復の詳細については割愛しますが、トレーニング後、24時間から48時間の休息をとることによって、トレーニング前より筋肉の総量が増加することを言います。同様に、週末集中型で走り込んだ後、休養や軽めのジョギングで疲労回復を促進することで、超回復の流れをつくっていくのです。

もちろん、回復の時間については個人差が大きく、どの程度休養するかが個々のノウハウにもなります。週末集中型で走り込んだ後、休養日やジョギングの時間等をいろいろと試しながら自分自身の生活や体調に合ったトレーニングパターンを構築してほしいと願っております。

つづく。

期分け・79

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【期分け・79】今回もマラソンで4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーの週間トレーニングについて考えていきます。内容は前回同様、効果的に「ゆっくり長く走る(LSD)」をどのように組み込んでいくかについてです。

はじめに、私の経験上の話しになりますが、あらためて4時間突破を目指せるランナーについて大きく2つのタイプを記載します。もちろん、これが絶対と言うことではありません。

◆タイプ1).走る前から体型がスリムでサッカーやバスケットボール等のスポーツ経験(継続)があり、初めて走った10k程度のロードレース大会や数キロの駅伝大会では仲間より速い記録をマークしているランナー。◆タイプ2).いわゆるダイエット目的からランニングを開始し、大きな怪我や故障もなく、体重を順調に落としながら走る距離をのばしているランナー。

しかし、どちらのタイプも何度かマラソンを完走していますが、4時間の壁にぶつかっています。そして、タイプ1のランナーに多いマラソンとして、スタートから比較的速いラップを刻み、中間点前後から後半の失速です。同じくタイプ2のランナーに多いマラソンとして、スタートからゆっくり目のラップを刻むのですが、35k以降にペースを維持できないパターンです。

また、2つのタイプは全く逆のように見えますが、実はどちらも「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングの不足が原因のひとつと考えられます。そして、走り込みが不足している原因の多くは、練習時間の確保が難しく、特に平日の走り込みが圧倒的に不足しています。

このようなケースは、必然的に週末集中型にシフトします。また、それが理想的と考えます。しかし、一般的なケースとして土曜日と日曜日の2日間で一気に走り込むと、足腰への負担が大きくなり、故障や怪我のリスクも増大します。

さて、皆さんは如何でしょうか?

ここで、2日間連続で実施するトレーニングとして推奨できるパターンと、できないパターンを記載しておきます。◆パターン1).スピード(土曜日)+スピード(日曜日)=☓。◆パターン2).スタミナ(土曜日)+スピード(日曜日)=〇(逆も有)。◆パターン3).スタミナ(土曜日)+スタミナ(日曜日)=〇。

以上、主な3つのパターンを記載しましたが、パターン2とパターン3が推奨できます。しかし、4時間突破を目指しているランナーにとっては、パターン2よりパターン3を推奨します。なぜなら上記したように、タイプ1とタイプ2のランナーの多くはスタミナ(持久力)が不足していることで「4時間の壁」を突破できないケースが多いからです。つまり、無理なスピード系トレーニングを実施するより、2日間連続での「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングの方が効果的と考えます。

つづく。

期分け・78

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【期分け・78】今回から「ゆっくり長く走るトレーニング」を取り入れた具体的なトレーニング計画を考えていきますが、既に説明してきたとおり、このトレーニングの目的は、「スタミナ(持久力)を養成していくために必要な基礎部分(土台)を構築していく」ことです。まずは、この点を再確認した上で下記のトレーニング計画を参照して下さい。

◆週間トレーニング例1:月/◎、火/◎、水/90分~120分LSD、木/◎、金/◎、土/◎、日/120分~180分LSD。◆週間トレーニング例2:月/◎、火/90分~120分LSD、水/◎、木/90分~120分LSD、金/◎、土/◎、日/120分~180分LSD。◆週間トレーニング例3:月/◎、火/◎、水/90分~120分LSD、木/90分~120分LSD、金/◎、土/120分~180分LSD、日/120分~180分LSD。※◎=LSD以外のトレーニング。

以上、大きく3つの週間トレーニング例を記載しましたが、、1つ目は週に2回、2つ目は週に3回、3つ目は週に4回と、LSDを実施する回数が異なります。また、◎と表示してある日は走力によって実施する内容が違ってきます。例として軽めのジョギング、ペース走、スピード系のトレーニング等々、実施する内容はそれぞれです。したがって、上記3つのパターンのどれが最も効果的かは、走力によって捉え方もかなり違いが出てくる部分でもあります。

同時に、LSDは走力によってもトレーニング効果の違いが出てくるので、今回は目安としてマラソンで4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーと、3時間突破(サブスリー)を目指しているランナーの視点から考えていきます。

まずは、4時間突破を目指しているランナーについてです。もちろん、それに相当する走力の方やこれからマラソンに挑戦するランナーも参考にして下さい。実は、この走力のランナーにとってのLSDは、「基礎部分(土台)を構築していく」ことが最大の目的になりますが、それ以外の効果も期待できます。

このブログの「期分け・76」に記載した目的1と目的2を読み返して下さい。目的1は、「筋持久力の向上」。目的2は、「ランナー体型への進化」とあります。実は、LSDを実施していくことで、これら2つの効果を体得し易い走力のひとつが、4時間突破を目指しているランナーと考えます。

つまり、マラソンで4時間突破を目指すレベルまでは、LSD中心のトレーニングでも十分に対応可能であるとも言えます。もちろん、個人差があるので、この点は予めご了承願います。

次回も更に考えていきます。

期分け・77

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【期分け・77】前回は、「ゆっくり長く走るトレーニング」の効果について考えました。今回から「ゆっくり長く走るトレーニング」を、どのような頻度で、どのタイミングで実施していくかを考えていきます。

はじめに、毎度のことですが、「ゆっくり長く走るトレーニング」が絶対ではなく、様々なトレーニング方法が存在していることを、まずは再認識してほしいと思います。

既に何度も話しておりますが、「絶対に速くなるトレーニング」は存在しません。つまり、ランナーの数だけトレーニングパターンやノウハウは存在し、どれが正しいとか間違っているかの判断は簡単にできません。更に、「ゆっくり長く走る」ことを真っ向否定し、記録を残しているランナーもいます。もちろん、「ゆっくり長く走る」だけで、5kからマラソンまで全ての自己記録を更新したランナーも実在します。

では、何を目安に判断すれば良いのでしょうか?

ポイントは、「記録の確率(平均値)」です。具体的な例で話しをすると、あるトレーニングパターンを実施することで自己記録を更新したとします。そして、その後も同様のトレーニングパターンを継続し、狙った記録を再びマークできているか否かです。

マラソンは、量や質は別にして、大なり小なり走り込まないと完走すら難しいスポーツです。ところが、マラソンほど当日の天候やコンディションに結果を左右されるスポーツも珍しいと感じます。つまり、たまたま当日の天候やコンディションが良く、たまたま風向きも追い風となり、たまたま同じペースのランナーと競い合い、たまたま自分自身が予想しなかった好記録をマークしてしまう例は意外に多いのです。もちろん、逆もありますが…。

このように、マラソンの記録はトレーニングの量や質に影響される部分と、当日のコンディションに影響される部分とが存在します。そして、私のこれまでの経験からは、マラソンの記録は当日のコンディションに左右される確率の方が、かなり高いと感じます。

だからこそ、マラソンは2回目以降の「記録の確率(平均値)」を見ていく必要があるのです。特に、次の3つについては、ランナー毎に段階(成長)を追いながら確認していく大切な指標になります。

◆指標1:成功した次のマラソンでも目標の記録に到達できたか否か。◆指標2:1年間を通じてコンスタントに目標タイムでマラソンを走れたか否か。◆指標3:2年以上、コンスタントに目標タイムでマラソンを走り続けているか否か。

そして、上記3つの指標を達成するために共通していることは、「怪我や故障をしない身体づくり」となります。冒頭にも記載したとおりマラソントレーニングに絶対はありません。少ないトレーニングでも自己記録を手にすることは可能かもしれません。

しかし、マラソンは当日のコンディションに大きく左右されるスポーツなだけに、安定したパフォーマンスを発揮するためには、どんな天候や状況にも対応可能な「心と身体」が必要不可欠になります。つまり、「ゆっくり長く走るトレーニング」を取り入れることは、それらを強化し、安定したパフォーマンスを発揮するための効果的なトレーニングパターンのひとつになるのです。

以上、前置きが長くなりましたが、あらためて次回からは具体的なトレーニングパターンを考えていきます。

つづく。

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