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冬を走る

2024冬を走る・3

【2024冬を走る・3】毎年のことですが、1年が経つのは早いと言いますが……。2024年もあと10日弱となりました。そして、年明けの元日はニューイヤー駅伝、2日からは箱根駅伝と、出場する選手たちにとっては最後の調整期に入りました。

そして、先日の11日土曜日からいつもの千葉県富津市富津公園において、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しました。また、我々にとって、次の目標は来年2月に開催される別大マラソンになります。今回の強化合宿はそのマラソンに向けた走り込みでした。

その強化合宿時、同じ富津公園内において、上記したニューイヤー駅伝と箱根駅伝に出場するチームや選手たちが最後の調整練習をしていました。具体的な練習内容は割愛しますが、どのチームも実戦に近い形式での走り込みがメインで、駅伝当日の具体的な区間配置や戦術などを決断していくとても重要な練習をしていました。

一方、全国的にもインフルエンザやコロナなども流行っているので、どのチームも選手たちも体調管理が最大のポイントになります。すでに何度も記載してきましたが、このタイミングでインフルエンザやコロナに感染すると、正月に調子を合わせることはほぼ絶望的になります。

さらに、どのチームも選手たちは同じ寮やアパートで生活をしていることが多いので、ひとりの選手が感染すると、瞬く間にチーム内に感染が拡大していきます。結果、チームや個人の目標とはほど遠い走りになってしまうケースに陥ることになります……。

あらためて、どのチームも選手たちも、最高の体調と調子で駅伝当日を迎えてほしいと願っております。

さて、ブラインドマラソンの強化合宿は、11日土曜日から15日水曜日までの4泊5日で実施しましたが、内容的には距離走を2回実施するなど、走り込みを重視した内容でした。また、上記したようにインフルエンザやコロナが流行っている証拠に、長い距離を走り込むには富津公園も絶好のコンディションになりました。

今回の強化合宿に参加した男子選手は、パリパラマラソン代表2選手がメインでしたが、予定どおりの設定タイムでたんたんと走り込めていました。両選手ともマラソン経験が豊富なので、私の方から何から何まで指示することはほぼありません。それぞれが経験と実績を持っているので、それに従って具体的な設定タイムや距離を決めていけば良いレベルに到達しています。

何事もそうですが、最初は練習方法など、何をどのようにしていけば良いかを知りません。しかし、練習(仮説)とレース(検証)を繰り返していくと、自分自身に合った独自の練習方法や調整方法などがつかめてきます。結果、それらの精度(確率)が向上し、レースでの安定感や粘り強さに結びついていきます。

ところが、それらを一瞬にして崩壊させるのが、インフルエンザやコロナです。繰り返しになりますが、特に駅伝選手は最後まで体調管理に注意してほしいと思います。そして、「迷ったら休養」です……。

2024冬を走る・2

【2024冬を走る・2】この1週間は、地元中学校(千葉県君津市)でのオリパラ教育講師や講演会。また、地元中学生への陸上指導など、中学生とかかわることの多かった1週間でした。

さて、私が住んでいる千葉県君津市も少子化などの影響で人口が減っており、中学校の統廃合が進んでいます。特に、君津市の地形(地図上)は、房総半島の内陸に向かって広くなっている特徴があるので、市内の多くは山や田んぼに囲まれたのどかな地域でもありますが、逆にそれらも影響しているのでしょうか。

そして、その房総半島の内陸(君津市内)に向かって走っている路線が、JR久留里線(木更津駅発)です。特に、最近では全国有数の赤字ローカル線として、鉄道廃止が濃厚と言われている同線の久留里駅から上総亀山駅間(君津市内/9.6km)は、マスコミでも頻繁に取り上げられています。

私が中学生のころ、この駅間には3つの中学校(久留里中学校、松丘中学校、亀山中学校)がありました。しかし、数年前にその3つの中学校と、久留里駅の2つ手前の小櫃駅(おびつえき)近くにある小櫃中学校が統合し、上総小櫃中学校になりました。

それにともない統合後の新しい校舎は、旧小櫃中学校をリニューアル。また、小櫃駅から上総亀山駅間には6つの駅があることからも、統合後の学区は超広範囲に……。したがって、多くの生徒たちの通学手段はマイクロバスになりました。ところが、統合後もひと学年40数名と少なく、生徒数はさらに減少していく見通しです……。

そんな状況ですが、上総小櫃中学校は毎年オリパラ教育(体験学習)を積極的に行い、私にも声をかけてくれます(講師として)。本当にありがたいことです。そして、田んぼに囲まれたこの校舎近くの農道は私が中学3年生のとき、初めて学校代表選手として君津市内の中学対抗駅伝大会を走った思い出の場所でもあります(40数年前)。

そのとき、私の中学校(現在は統合して周東中学校)は、力を結集して見事に優勝。このとき私はアンカーに抜擢され、初出場ながら優勝ゴールを経験する幸運にも恵まれました。そして、区間賞まで獲得。まさに陸上競技(長距離)を志すきっかけになった大会(経験)でした。

そんな私自身にとっても原点となるこの場所へ、今度は講師として訪れるとは……。

まさに運命と言うのか……。

そして、今の自分にできることは……。

2024冬を走る・1

【2024冬を走る・1】先日の日曜日は、防府読売マラソン大会が開催されました。また、同大会においては、視覚障がいの部(IPC登録の部)も実施されました。その視覚障がいの部は、多くの方々のご理解とご支援のおかげで10回目となりました。関係者の皆様には、あらためて厚く御礼申し上げます。

今大会の結果は、男子は高井俊治選手(T13)が、自己新記録となるアジア新記録(T13クラス)で優勝。女子はパリパラリンピック銅メダリスト(3大会連続メダル)の道下美里選手が優勝。また、男子期待の若手選手でもある大石航翼選手(T12)が自己新記録で2位に入るなど、一定の成果を残すことができました。

さて、既にご存知のとおり、一般のマラソン人口と比較すると、視覚障がいマラソン人口は極端に少ないのが現状です。さらに、その少数の中において、パラリンピックを目標に掲げるような走力(IPC登録者など)を有する視覚障がいランナーは、さらにレアな存在になります。

今大会において、はじめて視覚障がいの部(IPC登録の部)を実施頂いたのが、2015年の第46回大会。その時の視覚障がい男子優勝は熊谷豊選手、女子は道下美里選手。一方、一般男子の優勝は藤原新選手で、2位は川内優希選手でした。

当時のリザルトを見ると、今大会にもエントリーしている一般男子の上位選手は、川内優希選手くらいでしょうか。ところが、我々の視覚障がいの部については、当時から出場メンバーはほぼ変わっていません。もちろん、走力が落ちているのに無理矢理走らせているわけではありませんが……。

オリンピックを目標にしている一般のマラソンは競争が激烈なため、特定の選手が長くトップレベルに君臨していくことは相当難しい。一方、パラリンピックの視覚障がいマラソンは、選手が極端に少ないため、一度トップレベルにまで到達すると、長くトップをキープしていくことは可能です。

ところが、逆に国内トップレベルに到達してもパラリンピックの日本代表選手になることは簡単ではありません。例として、日本ランキング2位にもかかわらず、パラリンピック代表に選出されなかったこともあります。

要は、日本ランキングの上位選手を集めて強化しているのに、その選手たちをパラリンピック代表選手に導くのが難しいことの矛盾(?)が存在します。同時に、競争原理が極端に少ない環境下で、それをどのように克服(強化)していくのかが、今も10年前も変わらない課題でもあります。

また、今さらながら「意識改革」は、言うほど簡単なことではないと、再認識した今年の防府読売マラソン大会でした。

2024秋を走る・12

【2024秋を走る・12】先日の11月24日は、各地でマラソン大会が数多く開催されていました。また、当日は天候にも恵まれた地域が多く、絶好のマラソン日和になった大会も多かったのはないでしょうか。もちろん、富津合同マラソン練習会で切磋琢磨してきた仲間たちもそれぞれの大会に出場し、練習会での成果を発揮していました。

一方、千葉県木更津市においては、陸上競技場において公認記録会が開催されました。この時期になると、多くの公認記録会は長距離種目に特化されていくことが多いのですが、今回の公認記録会は短距離種目も実施され、多くの中学生や高校生たちも出場していました。

一般的には、概ね11月を過ぎると気温も下がってくるので、短距離選手たちは冬季練習に入っていきます。したがって、短距離選手たちが11月以降の公認記録会(屋外)に出場することは減少していきます(ほぼ見ない)。

ところが、千葉県の房総など、国内には年間を通じて比較的温暖な地域も多く、個人的には「地域によっては短距離種目も年間を通じて記録会(屋外)などを開催できるのでは?」と考えたりもします。もちろん、私は長距離・マラソンが専門なので、これ以上のことは言えませんが……。

しかし、公認記録会の短距離種目に出場していた中学生や高校生たちの生き生きとした姿はとても印象的でした。同時に、顧問の先生方も短距離種目の公認記録会や大会そのものが少ない点を悩んでいました(長距離種目と比較して)。

と、言いながら公認記録会を簡単に開催することは難しく、多くの方の協力や準備が必要なのは言うまでもありません。ところが、公認記録会の肝となる公認審判員の方々がかなり高齢化しており、公認記録会を開催するために必要な公認審判員の人数が、あきらかに不足しているのも確かです。

さて、陸上記録会は、若い選手がチャンスをつかめる貴重な場である点は、今も昔もゆるぎないことです。かくいう私も10代のころから出場していた記録会で少しずつ自信をつけ、大きな大会に挑んでいった経験があります。

高齢化社会と言われる昨今ですが、残念ながら陸上記録会にもその影響が、出てきているのが現状でしょうか。少なくとも、若者たちの夢を育む様々なスポーツイベントにまで、その影響が及ばないことを……。

2023冬を走る・2-12

【2023冬を走る・2-12】先日の17日からいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。しかし、別大マラソンから2週間後ということもあり、参加選手は少なめでした。

そんな中、同大会で自身の世界記録を更新したT11クラスの和田選手は、疲労の色を見せることなく、元気に走り込んでいました。同様に、東京パラ金メダリストの道下選手も久々に元気な走りを見せてくれました。

さて、選手の年齢的なことについて話をすることは、私自身としても違和感を感じますが、実は前述した和田選手と道下選手は40代半ばを過ぎています。にもかかわらず、両選手とも毎年確実に進化しています。

しかも両選手ともに、同世代の一般ランナーたちのトップクラスと遜色なく、もはやパラリンピックだけの領域ではありません。もちろん、他にも50歳以上の強化指定選手もバリバリ頑張っており、そのモチベーションの高さにはいつも驚かされます。

また、近年はシューズの進化をはじめ、良質なサプリメントの開発やフィジカルトレーニングの充実などが、選手寿命をのばすことに大きく貢献していることは確かです。しかし、何年も同じようなトレーニングを反復することはマラソンだけでなく、どのスポーツにも共通する「単調で苦痛なこと」に違いありません。

つまり、肉体的な限界よりも、繰り返し同じことを継続することによる「精神面の疲弊」が先に来るように思うのです(私の経験上)。ところが、少なくともパラリンピックを目指している我々の強化指定選手たちは、例外なく年齢を重ねることによるモチベーションの低下はほとんど見られません。

いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のような状態に陥っている強化指定選手に遭遇したことは、少なくとも私自身はありません。もちろん、なぜそうなのかの理由は、私自身にもわかりませんが……。

しかし、ひとつ言えるのは、伴走者をはじめ、多くの仲間たちに支えられている点は大きな理由のひとつと感じます(単独走が可能な弱視選手も)。あらためて、マラソンは究極の個人競技とも言われていますが、実は仲間たちと力を合わせて挑む「団体競技」とも言えるのでしょう……。

2023冬を走る・2-11

【2023冬を走る・2-11】冬のマラソンシーズンも終盤に入っていきますが、1月後半から2月前半にマラソンを走り、これから3月末までにもう1本走る予定の方々は多いと思います。また、1月に走ったマラソンは、実は3月のマラソンに向けた走り込みの一環と位置付けて走った方もいることでしょう。

同様に、ハーフマラソンなどのレースを練習の一環として走る方は、さらに多いと思います。具体例としては、マラソンを1本走った後、次のマラソンまでの間にハーフマラソンを走るパターンなどでしょうか。

特に、市民ランナーの方々がレースを練習の一環として活用することは、多くのメリットがあります。その中のひとつが、「他者と競り合うことで、自分を追い込める」。つまり、質の高い練習になることです。日ごろ、仲間たちと競り合う練習が少ない方ほど、実際のレースでは強くて良い刺激が体(心肺や筋肉など)に入ります。

その結果、大きな自信につながり、次のマラソンに向けても調子が好転していくケースは、私自身も多く見聞してきました。一方、マラソンの疲労が抜けないままハーフマラソンを走った結果、そのマラソンペースよりも遅いタイムでゴールし、逆に落ち込んでしまう方もいます。

では、あらためて、レースを練習(調整)の一環として出場する場合の注意点をいくつか考えてみます。

一つ目は、「そのレースを走る目的」を自身の中で明確にした上で出場することです。例として、「ペースを落とし、一定のペースで走り切る」。また、「現状の調子で、最後まで頑張って走り切る」など、どのようなイメージで走るかをスタート前に決めておくことです。

二つ目は、「ゴールタイムに一喜一憂しない」。目的は次のマラソンに向け、調子を引き上げることなので、タイムが悪かったとしても、「大丈夫」と自分自身を鼓舞することが必要です。しかし、これはかなり難しいことで、予めタイムが悪かったケースを想定しておくことも大切です。

三つ目は、「勇気ある撤退」。明らかに調子が悪いとか、故障を抱えているなど、当初の目的を達成することが困難と判断できる場合は、レースをキャンセルすることも必要です。実は、これも難しく、「何とかなる」と無理をして走り、逆に状況を悪化させるケースは、意外に多いのです(この場合、精神的にも追い込まれる)。

もちろん、他にも注意点はあるでしょう。しかし、練習(調整)の一環として出場するレースほど、慎重にシュミレーションしてから挑むようにしましょう。

2023冬を走る・2-10

【2023冬を走る・2-10】伝統の別大マラソンが開催されました。大会当日は、悪天候が懸念されていましたが、選手や関係者の願いが天に届いたようで、スタート前には雨も上がりました。もちろん、レース中も天候は安定し、逆にマラソン大会としては絶好のコンディションだったでしょうか。

そんな中、ブラインド選手たちも参戦し、T11クラスの和田選手が期待通りの快走を見せ、自身の持つ同クラスの世界記録を更新する「2時間23分27秒」でゴールしました。まずは、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

さて、別大マラソンは新人の登竜門として多くの若手選手を輩出してきました。今大会も国内の若手選手たちが快走していました。一方、市民ランナーたちにとっては憧れの大会でもあり、老若男女問わず、今年も多くのランナーが快走していました。

特に、「2時間30分突破」や「2時間50分突破」などを目指すグループや、いわゆる「サブスリー」を目指すグループは最後まで熱い走りを見せていました。そして、これも毎年のことですが、それらのグループで競い合ってきたランナーたちのゴールにはドラマがあります。

沿道から応援していると、前述した各グループが集団でペースを刻みながら5k毎のポイントを正確に通過していきます。もちろん、誰がペーサーをしているとかでなく、まるで申し合わせたように、集団の力で正確に突き進んでいくのです。

しかし、30kを過ぎてくると、力尽きてくるランナーたちも……。そんなときは、お互いに励ましあい、何とかペースを刻みながら後半を粘り倒していきます。まさに「チーム戦」です。そして、最後は競り合うことで残りの力を絞り出し、競技場まで戻ってきたランナーたちは、感動のゴールとなります。

また、先にゴールしたランナーたちは、グループから遅れた仲間を「残り50秒だ!」などと声を振り絞り、ゴール地点で最後まで応援します。もちろん、その姿を見ている私も手に汗を握ります。そして、ゴール後に同じグループで走った仲間たちと抱き合って喜ぶ姿や、涙を流して歓喜する姿は、毎年のことながら感動的です。

ところが、意外にも同じグループで競い合ったランナーたちは、所属先も年齢も全く違い、日ごろは特に面識のない関係と思われます。しかし、マラソン大会に出場すると、いつも同じ目標タイムの集団で競い合い、励ましあうことで、自然と固い絆で結ばれるのです。

マラソンは個人競技と言われていますが、マラソンこそ究極の団体競技だと感じる瞬間でもあります。そして、日々のトレーニングを含め、仲間との切磋琢磨こそが、マラソン飛躍のカギであると……。

2023冬を走る・2-9

【2023冬を走る・2-9】先日開催された大阪国際女子マラソン大会は、前田選手が19年振りに日本記録を更新するなど、見応えのあるレースでした。特に、その前田選手の脚は無駄なものが見事に削ぎ落されており、その筋肉は、まるで宝石店に陳列してあるダイヤモンドのようでした……。

まずは、出場された選手の皆様、お疲れ様でした。

さて、同大会には富津合同練習会で切磋琢磨している仲間たちも多数出場しました。そして、今回も現地で応援してきましたが、レース後半は冷たい寒風や冷雨が降るなど、意外に厳しいコンディションでした。

また、現地で女子マラソンの応援をすると、テレビなどで解説者が話しているコンディションとのギャップを感じることが多々あります(良いと言っているが、そうでもないこと)。もちろん、今回は前田選手が日本新記録を達成したので、ある意味、良いコンディションだった点は確かです。

しかし、今回も3時間前後を目標タイムにしているランナーたちが、25k付近を通過する時間帯は、北よりの向かい風が強くなり、さらに冷雨も降ってくる厳しいコンディションに陥っていました。ところが、その時間帯の先頭集団は、すでに30kを通過し、32kから33k付近を走っていました。つまり、コースの特性上、逆に追い風です。

あらためて、先頭と最後尾のタイム差(完走者)を確認してみました。「30k地点=35分34秒、35k地点=43分19秒、ゴール地点=57分12秒」。この差を大きいと判断するか否かは難しいところです。そこで、昨年12月に開催された福岡国際マラソン大会でのタイム差も同様に確認しました。「30k地点=22分03秒、35k地点=26分36秒、ゴール地点=34分48秒」。

もちろん、大会ごとに参加資格記録や各地点の関門(タイム制限)などが違うため、単純に比較することはできません。しかし、国際マラソン大会の場合(スタート時間が12時頃の大会)、女子マラソン大会の方が、後半になるほど先頭とのタイム差が広がります。したがって、同じレースを走っていても、後半になるほど、先頭と最後尾は、まるで違うコンディションになっている可能性があると感じます(一般的には午後になると地面の温度が上がるなどの影響で風が吹いてくる)。

国際マラソン大会は、市民ランナーの皆様にとっては憧れの大会です。しかし、単純に記録を目指すなら比較的コンディションが安定している午前中にスタートし、正午前後にゴールできる大会をチョイスすることは、ひとつの対策としては正しいでしょう。

2023冬を走る・2-8

【2023冬を走る・2-8】別大マラソンに向けた最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。あらためて、千葉県富津市は房総半島に位置し、一般に温暖な気候として知られているので、この時期でもマラソン練習を実施するには最も適した場所のひとつです。

ところが、合宿2日目は朝から雨模様。その冷雨の中、別大マラソンに向けた最後の距離走(21k~26k)を実施しました。もちろん、富津市は温暖な地域と言いながらも、この時期の雨はこたえます。選手たちは、ウォーミングアップ時から 防寒対策を万全にしていましたが……。

案の定、距離走時の動きは固く、全体的にも重たい感じでした。そして、終盤に差し掛かったとき、ひとりの選手がペースダウンし、足を止めました。駆けつけると、低体温症のような状態でした。幸い、大事には至らず、元気に回復しましたが、見ている以上に厳しいコンディションだったのです。

さて、その低体温症についてですが、専門的には「体内の温度が35度を下回ってしまうこと」を指します。また、人間は35度を下回った場合、自らの身体を震えさせることで熱を発生させるので、寒い日に身体が震えている場合は、軽度の低体温症に陥っている状態との見解です。

一方、ランナーの場合、「走っているときは体温が上がるはず」と思いますが、専門的にはリスクも存在します。具体的には、走ることによる自身の発熱以上に低い気温や汗が原因で、外から身体を冷やされるスピードの方が速いと、低体温症に陥るリスクが高まると言われています。

特に、トップランナーほど、薄手のランシャツ・ランパンで走る傾向が強いのは確かです。そして、長距離を走って汗をかくと、汗に直接冷たい風があたってしまい、急激に体温が奪われ易いのも確かです。したがって、トップランナーこそ低体温症に陥る可能性が高いとも言えるようです。

今週末は、大阪国際女子マラソンなど、各地でマラソン大会が開催されます。それらの大会に出場するどのランナーも当日の天候を確認するとともに、どんな予報になっていても防寒対策の準備は忘れないようにしておきましょう(特に、寒い時期の大会へ持参する荷物はかさばっている程度の方が、「心の安心とゆとり」につながる)。

あらためて、皆様の快走を心より祈念いたします。

2023冬を走る・2-7

【2023冬を走る・2-7】今月28日と来月4日の日曜日は各地で多くのマラソン大会が開催されます。富津合同練習会で切磋琢磨しているランナーたちの多くも、両日に開催されるマラソン大会を目標に走り込んできました。そして、いよいよ最後の調整に入っていきます。すでに何度も記載してきたとおり、調整の基本は「疲労回復」です。そして、適度に刺激を入れながら「調子を引き上げる」ことになります。

もちろん、具体的な方法などに正解はないので、個々に違って当然です。あるランナーは休養第一で、極端に走らないようにする方法かもしれません。また、あるランナーは、逆に落とし過ぎないようにすることで、調子をキープできるかもしれません。いずれにせよ、それぞれが、それぞれの方法で、良い状態に仕上げていけることを祈念しております。

一方、一般的な調整とは違う要因で目標のマラソン大会で失敗してしまうケースがあります。それは「仕事」です。特に、市民ランナーの皆さんは、就業前後の時間を活用しながら日々の走り込みをしております。したがって、仕事上のトラブルなどがない限り、おおむね計画的に練習は継続できます。

ところが、仕事上のトラブルや急な出張や残業などが入ると、逆に一歩も走れない状況に陥るリスクを常に抱えていることにもなります。実は、この点が実業団選手や学生選手(箱根)たちとの決定的な違いになります。つまり、自分自身の意思とは関係なく、大会直前に仕事上のトラブルや出張などの指示を突然受け、結果的には自分自身の調子や体調もコントロールできなくなるリスクが常にある点です。

具体例として、目標のマラソン大会1週間前に突然海外出張を命じられ、長時間のフライトや慣れない食事などの影響で、完全に調子を崩してしまったケースなど、実際に何パターンも見てきました。もちろん、仕事が最優先なので仕方のないことですが、目標のマラソン大会に向け、数ヵ月前から準備してきたにもかかわらず、直前の数週間で全てが崩れ落ちてしまうのは、誰でも納得できないことでしょう。

また、仕事上の突発的なトラブルを未然に防止することは、さらに難しいことです。しかし、自分自身が目標にしていることを達成するには、どんなことが事前に必要なのかを常に考え、職場の上司や同僚たちとコミュニケーションをとっておくことは、とても重要です。

結局は、目標どおりの結果やタイムを残せている市民ランナーの方々は、単純に走り込みの量や質だけでなく、前述したような職場内でのコミュニケーション能力にも長けていると感じます。目標のマラソン大会数週間前に迫った時期だからこそ、仕事上のトラブルなどの影響を最小限にとどめる方法をシュミレーションしておくことは、マラソン調整の隠れた秘策かもしれません……。

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