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新日鐵住金

東京マラソン2018

【東京マラソン2018】2月25日に開催された東京マラソンは、ご存知のとおり歴史的な大会となりました。設楽悠太選手が日本新記録を達成し、日本人2位の井上選手も2時間6分台。更に、サブテンでゴールした日本人選手も過去最多と、まさに歴史に残るレースだったと思います。

また、自己記録を更新した市民ランナーの方も多く、沿道で応援していた体感では少し寒いような感じを受けましたが、結果的には絶好のコンディションだったようです。

と、言いながら私が関係する市民ランナー方の中には、逆に後半大失速したり、スタートから目標タイムを一度も維持できなかった方がいたのも事実です。

今回、日本のトップランナーをはじめ、目標どおりの記録を達成したランナーたちは、やはり、自分自身に合った計画的なトレーニングを積めていた点は間違いなく、何よりも自身の調子をしっかりと東京マラソン当日に合わせていました。

特に、日本新記録を達成した設楽選手は40k走を実施せず、ハーフ以下のレースを毎週のように走って調整したようです。この話しだけを聞くと、楽して記録を達成したかのように感じますが、逆に強豪選手の集まるハーフ以下の大会で調整をしていくのは、ある意味マラソン以上にレースでのプレッシャーが強く、メンタル面の方が先につぶれてしまいます。

つまり、それだけ自分自身を追い込んだレースで調整してきた設楽選手と、単に40k走を何本も走って調整してきたランナーとの比較は簡単にできません。もちろん、設楽選手は事実として東京マラソンで日本新記録を達成したので、見事な調整方法だったとしか言いようがありません。

一方、良いコンディション下のレースでも、計画どおりのトレーニングを積めていないランナーは、やはり失速していました。逆に、マラソンは良いトレーニングを積めても、当日のコンディションに大きく左右される競技なので、コンディションが悪ければ、記録は狙えません。

もちろん、良いトレーニングを積めていない選手は、良いコンディションになっても走れません。この点がマラソンの厳しさと難しさだと思います。

今年の東京マラソンは、様々な視点から考えさせられる素晴らしい大会でした。

連戦について・7

【連戦について・7】今回は、注意点3の「本命のマラソンの2週間から1週間前のタイミングでのレース」について考えていきます。

まずは、このタイミングでのレース結果は、「メンタル面」に直結する可能性が高いことです。ひとつは、予想外に悪いタイムで走った場合、「もうダメだ」と言う気持ちが支配的になり、マラソン当日に向けてマイナス思考に陥ってしまう可能性が高くなる点です。

こうなると、本当にダメになってしまう可能性が出てきます。同時に、それが焦りになって、本来なら練習量を落としていく時期にも関わらず、再び長い距離を走ったり、急激なスピード練習を再開したりと、本当に調子を落としていく方向に向かってしまう可能性も出てきます。

一方、想定以上に良いタイムで走った場合、今度は気持ちが高揚し、マラソン当日に向けて本来の調子を正確に見極めることが難しくなる可能性があります。実は、マラソン2週間前からのレースについては、順調に走り込みができた方ほど、自己新記録が出る可能性は高くなります。

そして、その調子をマラソン当日までキープできれば良いのですが、自己新記録をマースしたそのレースで力を出し切ってしまい、逆に本命のマラソンで失敗するケースも多いので、本当の調子を見極めるのが難しくなるのも事実です。

更に、出場したレースのコースやコンディションが極端に悪く、調子の良し悪しを判断することができないケースもあります。特に、起伏の多いコースを走ってしまうと、記録が悪くなるのはもちろんですが、起伏を走った疲労が残り、マラソン当日まで引きずってしまう可能性もあります。

以上のように考えていくと、良いことはひとつも無いように感じますが、2週間前からのレースを走って、更にマラソンでも記録を達成したケースもあります。重要なポイントは、これまで以上に自分自身が決めた設定タイムに沿って走り切ることです。

つまり、タイムが良くても悪くても、そこから本命のマラソンまで再調整する時期が短いので、スタート前に決めた設定タイムや戦術をゴールまで必ず守ることです。この点はどのタイミングで走ったレースも同じですが、2週間前からのレースは特に徹底するようにしましょう。

そして、エントリーした大会が起伏の多いコースだった場合、無理に走らず回避し、いつもの平坦な練習コースに変更することを推奨します。同時に、2週間前からのレースに出場するか否かに関係なく、この時期からの起伏走は避けるようにしましょう。

強化合宿

【強化合宿】2月10日(土)からの3連休を活用し、13日(火)までの日程で日本ブラインドマラソン協会の強化合宿を千葉県富津市富津公園で実施しました。

今回の強化合宿は、2月4日に開催された別大マラソンの翌週だったにも関わらず、その別大マラソンを走った男子選手2名も参加し、合宿では精力的な走り込みを見せていました。

特に、参加選手の中では、女子T11クラス(全盲)の2選手が、積極的に走り込んでいました。もちろん、既に今シーズンのマラソンで2選手とも自己新記録を達成しており、スタミナもスピードもレベルアップしています。

ひとりは、期待の若手選手であり、本格的にマラソンをはじめて数年ですが、この半年間で急激に成長してきている選手です。次のマラソンは、4月のかすみがうらマラソンになりますが、自己記録更新だけでなく、日本記録にも迫る走りが期待できます。

そして、もうひとりの選手は、逆に50代のベテラン選手です。既にマラソン歴は長く、一般的な感覚からすると、記録を狙うのは難しいと思われる年代に入っています。ところが、昨年12月の防府読売マラソンにおいては、11年振りとなる自己新記録を達成。更に、今回の合宿においても、40k走では過去最高タイムで走り切るなど、成長著しい選手なのです。

実は、1年前は本人の口からも、「もう限界」のような言葉も聞こえていましたが、今では「後ろ向きな発言」を完全に断ち、4月のワールドカップマラソンに向け、誰よりも積極的に走り込んでいます。

私も視覚障がいマラソンに携わるようになって20年以上ですが、あらためて「自己の限界に挑戦するのに年齢や性別は関係ない」と、思い知らされています。同時に、視覚障がいマラソンの強化を通じて、50代や60代になってからのトレーニング方法を選手たちと共に考えながら実践できる点は、本当に感謝の一言です。

また、その選手たちのガイドランナーとして、箱根駅伝常連大学の中央学院大学の3選手にも初参加頂き、新しい力を取り入れることもできました。50代の視覚障がい選手を20歳の現役学生選手がガイドする姿は、視覚障がいマラソンの醍醐味とも言えます。

引き続き、全員の力を結集し、世界を狙っていきます。

別府大分毎日マラソン

【別府大分毎日マラソン】伝統の第67回別府大分毎日マラソン大会が2月4日に開催され、今年も第18回視覚障がい男子マラソン選手権を兼ねての大会となりました。

同部門には7名の男子選手がエントリーし、女子選手は2名、計9名の視覚障がい選手が伝統の別府大分毎日マラソンに挑みました。

果たして当日は、早朝より粉雪が舞い、気温も終日4度前後で寒風が強く、選手たちにとっては想定以上の過酷なコンディションとなりました。

また、スタートから最初の折り返しである10kまでは向い風。10kから次の折り返しである35kまでは追い風。そして、35kからゴールまでは強い寒風の吹荒れる向い風と、35k以降の失速が懸念される中でのスタートでした。

一般男子の部は「MGCシリーズ」で、サブテンを目指した設定タイムをペースメーカーが正確に刻んで行きました。レースが動いたのは30k過ぎからで、ここまで多くの日本人選手も残っており、サブテンランナーが複数誕生する期待が高まりました。

しかし、35kからの強い向い風と寒さに、2位に入った園田選手以外の日本人選手はほぼ全員が失速し、サブテンを達成した日本人選手は園田選手ただひとりと、厳しいコンディションでした。

一方、視覚障がい選手たちも一般男子選手同様、30k過ぎまでは日本新記録を狙えるラップを刻んで行きました。特に、T12クラスの熊谷選手と岡村選手の積極的な走りに期待は膨らみました。

案の定、30k過ぎからは、リオデジャネイロパラリンピック銅メダリストの岡村選手が独走態勢に持ち込み、「勝負あった」の展開になりました。ところが、岡村選手が先頭で競技場に戻ってきたその30m後方に熊谷選手も粘っていたのです。そして、残り200mから熊谷選手が猛スパートし、逆転のゴール。

記録的には35kからの向い風の影響を強く受け、両選手とも失速しましたが、両選手とも2時間30分を突破。惜しくも日本新記録達成はなりませんでしたが、国内大会において視覚障がい選手2名が同時に、2時間30分の壁を突破する「史上初の快挙」となりました。

連戦について・6

【連戦について・6】前回からの続きで、注意点2について更に考えていきます。

前回は、本命のマラソンから4週間から3週間前のレース出場を否定するような事例ばかりあげましたが、別の見方として、「連戦について・3」にも記載したように、ハーフマラソン以下の距離だと想定以上に快走してしまう可能性もある点です。

走り込みの疲労も出てくる時期なので、レース中は最後まで重たい感じのままゴールすれば良いのですが、ハーフマラソン程度の距離だと、スタミナがアップしている分、最初からある程度のペースで最後まで押し切れてしまうケースがあります。

その結果、そのレースを境に調子が一気に上がっていく可能性もあり、こうなると狙ったマラソンに調子を合わせることが、難しくなっていきます。そこで、調子の波を狙い通りに導く必要があり、これが重要なポイントになります。

具体的には、トレーニング計画の流れを変えないようにして、レースに出場することです。つまり、練習の一環として出場するレースに対しては、「調整」をしないことです。

例として、日曜日のレースに向け、その週に予定してあるポイント練習の量を落としたり、疲労を抜くような内容に変更しないことです。このような調整を実施してしまうと、想定以上に調子が上向いて、上記のように陥ってしまいます。

更に、練習の一環として出場したレースに関しては、スタート前に必ず設定タイムを決め、その設定タイムに沿った走りに徹することが大切です。これは、どのレースにも当てはまりますが、特にマラソン4週間から3週間前のレースはより重要と考えます。

もちろん、設定タイムどおりに走れる自信が無いとか、逆に調子が思うように上がっていない場合は、勇気を持ってそのレースを回避することも必要です。その場合、大会参加費等の経費は全て無駄になりますが、レースを練習の一環として出場する方は、その決断のできる強い気持ちも不可欠です。

前回も記載しましたが、本命のマラソンに向けた4週間から3週間前の時期は、走り込み期から調整期に移行していく時期なだけに、レースで頑張り過ぎたり、追い込み過ぎたり、逆に後半大きく失速したりと、調子の波が大きく変わるような走りを回避することは必須です。

連戦について・5

【連戦について・5】注意点2の「本命のマラソンから4週間から3週間のタイミングでのレース」について考えていきます。

この時期は、レース1ヵ月前に入り、いわゆる走り込み期から調整期に移っていく重要な時期に当たります。もちろん、期分けの仕方やトレーニング計画は個々に違い、個々の経験や考え方に沿った内容を実施することが第一となります。

しかし、このレース1ヵ月前からは、これ以前の「質より量」から「量から質」への移行を実行するとても重要なターニングポイントになります。同時に、走り込み期の疲労も出てくる時期でもあり、距離走の設定タイムを上げても、その設定どおりにうまく走れないで悩んだり焦ったりする時期でもあるのです。

つまり、このまま調整の一環としてレースに出場し、想定内の走りができずに不安と後悔(レースを走ったことに対する)だけが残り、そのまま本命のマラソンまで引きずるケースも多いからです。

そのため、この時期でのレース選択は本当に難しいと感じます。特に、上記したように、量から質への変換をしていく時期にもなるので、流れ的には「30k」のレースとなります。しかし、ランニングブームがはじまった10年ほど前から各地で実施されていた多くの30kレースは姿を消し、代わりにハーフマラソンが普及しています。

ハーフマラソンを走ることがダメとは言えませんが、マラソンに向けたスタミナの最終確認をすると言う意味では、逆に不安の残る距離とも言えます。と、言いながら再びマラソンを走るのは、予定どおりに走れなかった場合のリスクがそのまま本命のマラソンに直結してしまう可能性が高くなり、この場合は致命傷になります。

以上のことを総括すると、リスクばかりが目に付くので、この時期はレースを回避し、自分で距離走を実施する方が得策とも言えます。しかし、レースをうまく活用していく流れを作ることで、レースを最大限活かすことは十分可能と考えます。

次回は、注意点2について、もう少し考えていきます。

連戦について・4

【連戦について・4】今回は、どのタイミングでどんなレースをどのように走るかについてです。つまり、トレーニング計画に沿っているか否かを常に意識しながら出場するレースを選択しているかの確認です。まずは、目標のマラソンから逆算し、注意点をまとめてみます。

■注意点1).本命のマラソンから1ヵ月以上前のタイミングでのレース。■注意点2).本命のマラソンから4週間から3週間前のタイミングでのレース。■注意点3).本命のマラソンから2週間から1週間前のタイミングでのレース。

以上、大きく3つに分けるとこんな感じでしょうか。

注意点1の場合、期分けで言うと、いわゆる「走り込み期」であり、質よりも量を重視している時期にもなります。そのため、出場するレースとしては、ハーフ以上となりますが、マラソンを走ることは可能な時期とも言えます。

もちろん、マラソンを走る場合は相応のダメージが残るので、その点を予め加味して走ることが重要なポイントになります。特に、マラソン経験の豊富な方は、設定タイムを明確にし、その設定タイムに近い集団で走ることは必須と考えます。

また、マラソンや40kのような長い距離を走り込みとして単独で実施するとなると、設定ペースを維持するのも、途中の給水を準備するのも、練習前後の着替えや荷物の保管等も、全て自分自身で考え、準備実行することになります。もちろん、それらが相当な負担になることは言うまでもありません。

つまり、マラソンレースを練習の一環として走ることは、逆にそれらの負担から解消されると共に、実戦の中でしか体感できない雰囲気、集団の中での位置取りや給水の取り方等、経験値として蓄積できることは多々あります。

一方で、出場する大会によっては、コースの起伏が激しかったり、風の強い河川敷での直線コースだったりと、自分自身の目的に沿わない大会も多々あります。この点については、大会ごとによく吟味し、設定タイム等を調整する必要もあります。特に、マラソンをマラソン練習の一環として走る場合、コースによる大会選択の失敗は意外と多いのです。

連戦について・3

【連戦について・3】今回から再び連戦について考えていきます。あらためて、ここで言う連戦とは、短期間にレースを連続で走ることを指しますが、それは単に週末ごとにマラソンを走ることだけではありません。

目標のマラソンに向け、調整の一環としてハーフマラソンや10kロードレース、各種駅伝大会を立て続けに走ることも連戦になります。実は、単にマラソンを短期間でたくさん走っている方より、各種ロードレースをほぼ週末ごとに連戦している方が多いかもしれません。

このように各種ロードレースをマラソンの調整やトレーニングの一環として活用している方についても同様に、それぞれ出場する目的や設定タイムをより明確にしておく必要があると考えます。

まずは、その理由について考えていきます。

■理由1).マラソンの走り込みを実施しているので、自分が思っている以上に走力が上がっている可能性がある。■理由2).マラソンの走り込みで、長い距離や時間を走っているので、ハーフマラソン以下の距離が短く感じる。■理由3).スタートからトレーニングの一環と割り切っているので、プレッシャーもなくリラックスした状態でスタートすることができる。

これら3つの理由からマラソンの調整やトレーニングの一環として出場した各種ロードレースにおいては、自己記録更新やそれに準ずる成果を得る可能性が高くなります。もちろん、悪い記録で終わるより、より良い記録を残せた方が精神的にも良いことですが…。

また、出場したそのロードレースを境に調子の流れが大きく変わることも良くあります。しかも良い記録を残せた方は気持ちも高揚しているので、調子の変化に気が付かないことが多いのです。

特に、目標のマラソンに向け、十分な走り込みを重ねている最中のハーフマラソン以下のレース出場は、そのレースがほどよい刺激となり、そこを境に調子が好転していくことは良くあります。もちろん、逆もあります。

ところが、一旦調子が好転すると、今度はその調子を維持しながら目標のマラソンを目指すのは、逆に難しくなります。少なくとも私の経験からはそのように感じます。

これらの点も踏まえ、更に考えていきます。

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