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期分け

マラソンのスピードについて・13

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【マラソンのスピードについて・13】ここまでペース走とインターバルトレーニングについて考えてきました。では、それぞれのトレーニングをどのような頻度で取り込んで、トレーニング計画を立てれば良いのでしょうか。

実は、最も重要なポイントでもあり、最も難しい点でもあります。まずは、1週間の中にそれぞれのトレーニングを当てはめて考えていきます。

■パターン1).月:完全休養。火:ジョグ(調整)。水:インターバル。木:ジョグ(回復)。金:ジョグ(調整)。土:ジョグ(調整)。日:ペース走。■パターン2).月:ジョグ(調整)。火:ジョグ(調整)。水:インターバル。木:ジョグ(回復)。金:ジョグ(調整)。土:ペース走。日:完全休養。

上記2つのトレーニングパターンは同じ流れです。違いは完全休養日を月曜日にするか日曜日にするかの違いになります。ポイントは平日の水曜日と週末にインターバルとペース走をそれぞれ実施し、他の日については回復と調整に当てます。

回復と調整のジョグについては、疲労具合を確認しながら時間とペースを決めていきます。しかし、多くの市民ランナーに共通するのは、このジョグのペースが速いのと、時間ではなく距離を目安に走ってしまう点です。

具体的な例として水曜日にインターバルを実施した翌日、筋肉痛がかなり残っているにも関わらず、自分で決めたノルマの距離をとにかく走る。その結果、調子が悪くなるだけでなく、故障や怪我をしてしまうケースです。

至極当然のことですが、トレーニング計画を立てる際、最も大切な点としては回復期間をどの程度取り、その回復や調整ジョグをその目的どおりに実施できるか否かです。この点については、どのトレーニングパターンについても共通しており、とても重要なポイントになります。

同時に、この回復や調整を目的としたジョグをしっかりと実施できるか否かが、狙ったレースでの結果も左右します。そして、そのベースとなるトレーニングパターンは上記した2つのパターンになると考えます。

マラソンのスピードについて・12

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【マラソンのスピードについて・12】今回は、ペース走の距離に対するスピードを考えていきます。また、具体例としては、5kを20分で走る市民ランナーのケースを取り上げます。

はじめに、8kを走るスピードについてです。この距離の場合、5kの記録に対し概ねAT閾値にあたる92.5%のスピードが適していると言われています。そして、更に距離を2kのばして10kにした場合、どのように考えていくのでしょうか。

もちろん、8kと同じスピードでそのまま10kを走りきれるランナーなら問題ありませんが、やはりスピードを少し落としていく必要があります。このとき、どの程度落としていくかが重要なポイントになります。

具体的には、2kの距離がのびる毎に5%程度スピードを落としていくと、概ね強度が一定に保たれると言われています。この考え方は私の経験値ともほぼ一致します。

それでは、5kを20分で走る市民ランナーのペース走の距離と、その時のスピードについて下記にまとめてみます。。

■ペース走1).8kの場合は92.5%のスピード≒4分18秒。■ペース走2).10kの場合は87.5%のスピード≒4分30秒。■ペース走3).12kの場合は82.5%のスピード≒4分42秒。■ペース走4).16kの場合は77.5%のスピード≒4分54秒。

いかがでしょうか。単なる計算上の話になりますが、ペース走の距離とスピードの関係については概ね上記のようになります。もちろん、個々にスタミナが持ち味であったり、スピードが持ち味であったりするので、全てのランナーに当てはまる訳ではありません。

しかし、ペース走の距離をのばしていった時、スピードをどの程度落としていくかの目安にはなります。また、前回記載したとおり、もう少しゆとりを持って最初の8kを85%から90%程度のスピードに落として走り、その余裕度を確認しながら距離やスピードを調整していくことも大切になります。

また、反対に8kを92.5%のスピードでゆとりが持てるようになってきた場合、いたずらにスピードを上げていくのでなく、同じスピードで距離をのばしていく方が故障防止にもつながります。

マラソンのスピードについて・11

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ペース走の強度は5000mの92.5%に相当するスピードが効果的と言われていますが、どの程度の距離を走ればよいのでしょうか。極端に短い距離だと余力が残りすぎてしましますが、長いと逆に後半の疾走を招いてしまします。

推奨する距離は5000mを基準にした場合、8000mから12000m前後の距離が効果的と言われています。

また、強度も上記したとおり5000mの92.5%が効果的と言われていますが、もう少し幅を持たせることをおすすめします。

具体的には5000mの85%前後のスピードから試すと比較的ゆとりもあり、後半までのゆとり具合を元に次回以降のペースを引き上げていくヒントになります。

特に市民ランナーの多くは、自分自身の走力を適切に把握している方は意外と少ないと感じます。したがって、最初はゆとりを持ったスピードでペース走を実施することは、重要なポイントのひとつになります。

マラソンのスピードについて・10

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【マラソンのスピードについて・10】ペース走についてですが、前回ふれたAT値についてもう少し専門的に説明しておきます。

はじめに、AT値はトレーニング強度の基準となり、このAT値について理解しておくことはマラソンを目指していく上においても重要になります。

さて、誰でもゆっくり走っているときは苦しみもなく、いわゆる有酸素的エネルギー機構で生成されるATP(アデノシン三燐酸)のみでランニングに必要なエネルギーを供給できています。

ところが、ランニング速度が速くなってくると、ATPだけではエネルギーが不足してきます。そのとき、無酸素的エネルギー機構が働き始め、同時に苦しくなってきて乳酸が多く生産されだします。その変換してくる時点をAT値と言っています。

つまり、AT値は有酸素運動と無酸素運動の境界線とも言えます。但し、厳密には線ではなく閾値(ゾーン)であり、タイムに換算すると幅もあって個人差もあります。

そして、このAT値に達する手前のスピードでペース走を繰り返すことで、エネルギー代謝能力が向上し、運動中の乳酸産生を減少させ乳酸除去能力も向上すると言われています。その結果、AT値が向上するとも言われています。つまり、AT値が高いということは、より高強度の運動においても有酸素性エネルギーが供給され、特に持久力が必要な競技においては有利になります。

しかし、実際に自分自身のAT値を正確に測定するには専門の器具や専門家の協力も必要になります。また、AT値は閾値であるのでタイムにも幅があります。そこで、これまでの専門家たちの研究データから導かれた次のような簡便測定法を参考にします。

■AT値≒5000mの平均スピードを100%とした時、92.5%のスピード

例として5000mを20分で走る市民ランナーの場合、1000mの平均スピードは4分ちょうどで、その92.5%は、4分18秒前後で走るスピードになります。そして、上記の簡便測定法から導いた数値は、私自身の競技経験や指導経験からも概ね一致しています。

マラソンのスピードについて・8

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【マラソンのスピードについて・8】前回までは、トレーニング方法1のインターバルトレーニングについて掘り下げてきました。これはトレーニング方法2にあげたレペティショントレーニングにも共通している部分があります。

話は前後しますが、あらためてインターバルトレーニングの効果とリスクをまとめてみます。

はじめに、インターバルトレーニングは時間対効果が高く、最も効率的なトレーニングのひとつと言われています。具体的な効果としては、心臓や血管の循環器系能力が向上します。更に、いわゆる遅筋と言われている筋肉の持久力向上だけでなく、速筋に対する持久力向上の効果もあると言われています。

一方で、その分の負担が大きいので、やりすぎると故障や怪我等の逆効果にもなります。具体的には、走速度が速くなるにしたがい、着地時の衝撃が大きくなり、筋肉や関節へのダメージが大きくなります。同時に、脚を軸にした活動筋へ血液をたくさん供給するので、血液量の少なくなった内臓組織にも相当なダメージを与えると言われています。

また、インターバルトレーニングは体内に蓄えてある糖を利用する能力が向上します。しかし、マラソンは逆に体内の糖をいかにして保存していけるかが重要なポイントとなります。そのため、マラソンを目指すランナーにとってインターバルトレーニングは逆に糖を利用する能力を向上させてしまうので、果たして本当に必要なのかを問う専門家もいます。

インターバルトレーニングは様々な効果を期待できる魔法のようなトレーニングですが、その分身体のあらゆる器官に強いストレスが加わります。この点をよく理解し、トレーニング強度や頻度、個人差をよく見極めた上で実施することが成功のカギとなります。

マラソンのスピードについて・7

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【マラソンのスピードについて・7】今回はポイント3についてです。

インターバルトレーニングのリカバリーについてです。いわゆる1本目の疾走から2本目までの「つなぎ」の部分です。具体的にはスロージョギングでつないだり、ウォーキングしたりと、身体を休める休息部分に相当します。

さて、インターバルトレーニングの強度を上げる方法として、大きく2つあります。ひとつは、疾走する距離を変えたり、その設定タイムを速くしていく方法。もうひとつは、疾走する間のリカバリー(つなぎ)を短くしていく方法です。

そして、多くの市民ランナーが実践しているのは、疾走する距離を変えたり、その設定タイムを変えることで強度を調整している方法ではないでしょうか。ところが、いつも仲間から遅れたり、決めた本数を最後までやり遂げることができないと感じている方は意外と多いとも感じますが、いかがでしょうか。

実は、インターバルトレーニングの強度については、疾走する間のリカバリーに変化をつける方が、追い込みすぎることもなく効果的と言われており、私自身の経験からもそう思います。具体的には、疾走するスピードは前回のブログに記載したとおり、5000mのタイムを目安にし、リカバリー(つなぎ)を正確に管理するのです。

例として、400mを疾走する場合、次の400mまでのリカバリーを200mのジョギングでつなぐ時、そのジョギングのスピードを正確に測り、一定に保ちます。つまり、400mをある設定タイムで疾走し、200mのジョギングを1分としたならそのタイムで正確に走り(つなぎ)、次の400mを疾走します。

そして、強度が軽すぎると感じるなら、このリカバリー(つなぎ)の距離や時間を短くしていき、強度を上げていくのです。但し、市民ランナー方の場合、リカバリーの距離を短くしていくと、今度は一定のスピードでジョギングすることができなくなってきます。そのため、リカバリーについては、ある距離をジョギングでつなぐ方法ではなく、時間のみで管理する方法を推奨します。

具体的には、400mを疾走し、次の400mまでのリカバリーを距離ではなく1分なら1分と、時間のみで管理します。したがって、ゴール地点が次のスタート地点になり、グループで実施していてもバラバラになることを防止できます。同時に個々の体力に合わせ、それぞれがジョギングしたりウォーキングしたりと、同じ1分間でもそれぞれのレベルに合わせたリカバリー(つなぎ)も可能になると考えます。

マラソンのスピードについて・4

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【マラソンのスピードについて・4】少し前置きが長くなりましたが、今回からマラソンに必要なスピードの基礎となる5k(10kまで)のタイムを短縮するための具体的なトレーニング方法について考えていきます。

さて、皆さんはスピードトレーニングと聞くと、どんなトレーニング方法を思い出すでしょうか。おそらく多くの方が思い出すトレーニングは下記の記載する方法であり、実際に多くのランナーが実践しているトレーニング方法だと思います。

■トレーニング方法・1).インターバルトレーニング;短い距離なら200m前後から長い距離だと5000mあたりまでの距離をある一定のペースで疾走し、一定の休息を挟みながら決めた本数を走るトレーニング。

■トレーニング方法・2).レペティショントレーニング;疾走する本数を少なくし、1本毎を全力に近いタイムで疾走し、十分な休息を取りながら決めた本数を走るトレーニング。

■トレーニング方法・3).ペース走;実際のレースペースよりゆとりを持った一定のペースで、実際のレースより長めの距離を走るトレーニング。

他にも様々なトレーニング方法がありますが、トラックでのスピード強化を目的としたトレーニング方法は、概ね上記3つに集約されるでしょうか。もちろん、近所に陸上競技場がない方でも、公園や河川敷にあるジョギングコースやクロスカントリーコースのような場所でも同様のトレーニングは可能です。

そして、上記した内容はオリンピックを目指すエリートランナーだけでなく、既に多くの市民ランナー方も実践しているトレーニング方法でもあり、はじめて耳にするトレーニング方法ではないと思いますが、いかがでしょうか。

ところが、同じようなトレーニング内容を実践しているにも関わらず、思ったような記録短縮をできずにいるランナーが多いのも事実です。では、その理由や原因はどこにあるのでしょうか?

次回からは、それらを念頭に置きながらそれぞれのトレーニング方法を掘り下げていきます。

マラソンのスピードについて・3

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【マラソンのスピードについて・3】5月3日(火)から5月7日(土)の日程で長野県菅平高原において、日本盲人マラソン強化合宿を実施しました。今回の目的は、マラソンに向けたスピード強化と位置づけ、次のようなトレーニング内容を計画しました。

■5月3日(火)
・午後;3000m+2000m+1000m ※設定タイムは各自で
■5月4日(水)
・午前;20k走
・午後;200m×20本(1分40秒/サイクル)
■5月5日(木)
・午前;3000m+2000m+1000m ※設定タイムは各自で
・午後;フリー
■5月6日(金)
・午前;フリー
・午後:200m×20本(1分40秒/サイクル)
■5月7日(土)
・午前;3000m+2000m+1000m ※設定タイムは各自で
・午後;解散

この合宿でのポイントは、「3000m+2000m+1000m」を1日置きに3回実施する点です。また、菅平高原は標高も千メートル以上あり、平地のようにスピードが上がりません。各選手がどのように体調を整えて最後までどのように走り込むかも注目しました。

そして、参加した全選手が欲を出しすぎず、なおかつポイント練習を計画どおりにと、注視していましたが…、自分自身の調子や体調をうまくつかめていない選手も見受けられました。

一方で、2月の別大マラソン後に調子を崩した選手たちの回復具合も確認することができました。特に、今年の9月はいよいよリオ・パラリンピックが開催されます。それに向け、計画的なトレーニングを継続しながら強化していきます。

マラソンのスピードについて・2

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【マラソンのスピードについて・2】前回、5千メートルと1万メートル、更にマラソンの記録についての関係を確認しました。今回もその続きになります。

マラソンの記録を短縮するには、1万メートルの記録を短縮することが、ひとつのカギとなります。そして、1万メートルの記録を短縮するには、5千メートルのスピードを強化することが、必須となります。

もちろん、単純にそのことが当てはまらないケースもありますが、マラソンの記録を短縮するのに、5千メートルの記録短縮がひとつのポイントになるに違いありません。

つまり、マラソンに向けたスピード強化についても5千メートルの記録短縮が大きなカギになります。そして、そのためのトレーニング方法がひとつのポイントになります。

次回から5千メートルの記録を短縮するための具体的なトレーニング方法等について考えていきます。

移行期

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【移行期】平成27年度もあと少しとなりました。そして、4月からは新年度がスタートし、気持ちも新たになります。また、季節の変わり目でもあり、寒暖の差が大きく体調管理が難しい季節でもあります。皆さんの調子は如何でしょうか?

しかし、これからの季節は春本番となり、更に夏に向かって気温や湿度がグングン上がっていきます。つまり、屋外で実施するマラソンにとっては、どんどん過酷で危険な条件になっていくのです。

そんなこともあってか日本では伝統的(?)に、4月からはトラックシーズンとなり、特に学生選手や実業団選手たちはマラソンや駅伝シーズンに一旦区切りを付けます。そして、もう一度、短い距離を走ることでスピード面から強化していくのです。

一方、多くの市民ランナーは、4月以降もマラソンに挑戦していきます。もちろん、それぞれの思いや考えで自由にマラソンを走ることは素晴らしいことであり、それがマラソンの魅力でもあります。

ところが、気温や湿度が高くなってくるこれからの季節において、マラソンを目指したトレーニングを継続していくこと自体が、やはり厳しくなっていきます。実際に、多くの市民ランナー方が、これからの暑さに悪戦苦闘している姿を毎年多く見かけます。

上記したとおり、学生選手や実業団選手の多くは4月からトラックを走ってスピード強化をします。そして、日本長距離界では、この流れが昔からの主流となっており、トレーニング理論的にも推奨できる方法であると言えます。

また、新年度を迎えるこの時期だからこそ、これまでのトレーニング方法を見直し、学生選手や実業団選手たちが実践している流れを真似てみることは、意外とマラソン攻略の近道と言えるのかもしれません。

同時に、年度末の3月は身体をリフレッシュさせることと、トレーニングについての振り返りを実施するにはちょうど良いタイミングでもあります。まさに心と身体、そして、考え方の「移行期」であると言えます。

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