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秋を走る
11月を走る・3

【11月を走る・3】先週の土曜日は、千葉県木更津市で中長距離記録会が実施されました。この記録会は昨年から開催されるようになりましたが、参加選手は地元の中高生が中心で、アットホーム的な雰囲気の記録会です。また、今年は風もほとんど無く、絶好のコンディションとなりました。
私は慣れない周回審判の大役を仰せ付かりながらでしたが、選手たちの走りをじっくりと拝見することができました。特に、中学生に注目していましたが、男子の先頭集団は相当速く、その洗礼されたランニングフォームに驚きました。
今の中学生を指導しているコーチの方々は、トレーニングに基礎的なドリルなどを多く取り入れているので、ランニングフォームが整っている選手が多く、見とれてしまう選手が多くいました。もちろん、そんな選手たちは記録も相当なものです。
一方、中学1年生でしょうか、男子1500mでも5分突破ができるか否かを争う組もありました。もちろん、身体も小さく、何もかもがこれからの選手たちですが、最後はあごが上がり、身体を大きく揺さぶりながら必死に走るその姿は、中学生時代に初めて1500mを走らされた自分自身の記憶と重なり、真剣に応援していました。
また、男子5000mと女子3000mには、富津合同練習会で切磋琢磨している仲間たちも多数出場し、慣れないトラックレースを熱走していました。そのトラックレースは、ロードレースと違い、スタートからゴールまでの細かいラップタイムや、その動きを観察することができます。
特に、今回のトラックレースでは、いつもと違う一面をいろいろと拝見することができました。また、今回の記録会に出場した仲間たちは、マラソンが最終目標なので、いわゆるスピード強化の一環となります。
「トラックレースとマラソンのどちらが苦しいか?」
既に何度もこのブログでも取り上げてきましたが、トラックレースの苦しさとマラソンの苦しさは違いますが、本当に苦しいと感じるのはトラックレースの方かもしれません。今回の記録会でマラソンとは違う苦しさや辛さを体験できたことは、間違いなく今シーズンのマラソンにつながることでしょう。
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11月を走る・2

【11月を走る・2】7日の日曜日も全国で各種ロードレース大会が開催されていました。特に、全日本大学駅伝大会は大方の予想どおり、優勝候補にあげられていた駒澤大学と青山学院大学の争いとなりました。そして、2校の優勝争いは最終区間終盤までもつれ込み、僅差で駒澤大学が優勝しましたが、駅伝ファンとしては見応えのあるレースでした。
その駒澤大学は、今年の箱根駅伝は大差となっていた先頭との差を最終区間終盤で追いつき、ゴール前のスパートで優勝。一方、今大会は逆に駒澤大学を青山学院大学が最終区間で追いつき、終盤まで並走する展開となりましたが、最後は駒澤大学がもう一度突き放しての優勝。駒澤大学のアンカーに起用される選手は、メンタルが強いと感じます。
そして、どのチームにも言えることですが、駅伝のアンカーは区間順位ではなく、見た目の順位がそのままチームの最終順位になるので、ひとつでも前にいく必要があります。つまり、区間最下位でもトップでゴールすれば、チームは優勝です。しかし、区間賞を獲得しても最後に競り負ければ、チームの敗北に直結し、アンカーは責任を問われます。したがって、どんな駅伝でもアンカーを任された選手にかかる重圧は想像に難くありません。
私の昔話で恐縮ですが、現役時代に走ったある駅伝のことです。その駅伝は7区間で80k程度の距離でした。当時の監督はチームのエースをアンカーに配置し、「アンカーで60秒以内ならライバルチームを逆転できる」と、前日のミーティングで各区間の配置とそれぞれの設定タイムなどを我々に指示しました。
その駅伝で私は2区を走りましたが、序盤の遅れを挽回することはできず、悪い流れのままエースの待つアンカーにタスキが渡りました。その時点でライバルチームとの差は「65秒」。私は、自分の凡走は棚に上げ、ゴールで祈るように待っていました。そして、エースのアンカーはチームの思いを全て背負い、必死の形相でゴールを駆け抜けましたが、前を走るライバルチームには届きませんでした。しかし、ゴールでのタイム差は「5秒」……。
最終的な結果をみると、「各区間が、あと数秒ずつ速く走っていれば……」となります。これは箱根駅伝予選会などでも毎年耳にする話です。もちろん、机上の計算では確かにそうなります。しかし、どんなレースも生き物であり、状況は常に変わります。特に、駅伝はタスキをつなぎ、走者も変わるので、区間ごとにピンチとチャンスが訪れます。
ところが、アンカーには次走者がいません。つまり、アンカーを託された選手は、「個」ではなく「チーム」になります。まさに「アンカーの美学」とも言えるでしょう。駅伝ファンのひとりとして、特にアンカーの頑張りに注目し、応援したいと思います。
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11月を走る
- 2021-11-05 (金)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング

【11月を走る】先日の日曜日は、大阪で「全国視覚障がい者駅伝大会」が開催されましたが、コロナの影響で昨年は中止となっていたので、選手の皆様にとっては待ちに待った大会となりました。そして、同大会には東京パラのマラソン代表選手たちも出場し、大会を盛り上げてくれました。
また、その日は「金沢マラソン大会」も開催されました。同大会には、富津合同練習会に参加している人たちも多数参加しました。もちろん、こちらもコロナの影響を受け、久々のマラソン大会出場となった人も多くいました。
そのため、目標タイムどおりにゴールできるか否か、私の方がかなり心配をしていました。しかし、私が心配するまでもなく、出走した全員が、スタートからゴールまで冷静に自分自身の設定ペースを守り抜き、しっかりとゴールしていました。
さらに、3日は「ぐんまマラソン大会」が開催されました。同大会にも富津で切磋琢磨している仲間が出場しました。特に、40代になったKさん(男性)は、2時間40分突破を目標にスタートし、見事に目標どおりの自己新記録でゴールしました。
そのKさんは6年ほど前でしょうか、サブスリーを目標に、この富津合同練習会にも参加するようになったと記憶しております。また、Kさんは心身ともブレずに、コツコツと継続できる持ち味がマラソンにもマッチし、着実にステップアップしていきました。
Kさんの具体的なトレーニング内容は割愛しますが、身の丈をこえるような無謀なペースで走り込むようなことは、ほとんど皆無です。毎週末に実施している富津合同練習会においても、1kを4分30秒ペースと、Kさんにとってはかなりゆとりを持ったペースでの距離走です。
しかし、そのゆとりの積み重ねが大きな力(蓄え)となり、今回の快走につながったのは間違いありません。そして、これからもコツコツと地道に走り込み、さらなる記録更新を達成できると、期待しております。
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10月を走る・4
- 2021-10-29 (金)
- トレーニング計画 | パラリンピック | マラソントレーニング

【10月を走る・4】10月23日から実施した強化合宿は無事に終了。今回、東京パラで銅メダルを獲得した堀越選手も強化合宿に復帰し、久々に苦しんでいました。また、次のパリパラは3年後に迫っており、東京パラを1年延期した影響がいろいろと見えてくるのも、まさにこれからでしょう。
特に、東京パラに出場し、次のパリパラも視野に入れている選手たちにとっては、心と体をゆっくりする時間はあまりないかもしれません。たった1年の延期でしたが、これまで積み重ねてきた経験とノウハウが微妙にズレ、そのほころびが想定外に大きくなっていく可能性もあるからです。
いずれにしても、心身ともに健康第一で取り組んでほしいと願っております……。
さて、23日は箱根駅伝の予選会が実施されました。その翌日の24日は富津公園においても、箱根駅伝に出場するいくつかの大学がトライアルを実施していました。その中には前日の予選会を通過した国士舘大学と神奈川大学の姿もありました。
もちろん、その予選会を走った選手たちの姿はありませんでしたが、チーム一丸となって箱根駅伝を目指す足並みはしっかりと揃っていました。これも毎年のことですが、この時期になると、富津公園では箱根駅伝を目指す各大学の姿が多くなります。
また、全日本大学駅伝大会が近づいていることもあり、トレーニング内容もより実戦に近い、トライアルのようなハードなものが多くなっていると感じます。そして、その選手たちが疾走する姿は、いわゆる厚底シューズの影響もあるのか、まさにぶっ飛んでいます。
駅伝ファンのひとりとしては、「今年は〇〇大学が強い」「〇〇大学は厳しい」など、勝手なことを話す時期ですが、箱根駅伝には各大学ともたったの10名しか出場できません。また、どの大学にもその何倍もの選手たちがメンバー入りを目標に、日々過酷な競争を繰り返しています。
そのため、富津公園でトライアルをしているどの大学の選手たちも、まさに死に物狂いで走っています。もちろん、それは至極当然のことですが、年々加熱している箱根駅伝を目指す選手たちは故郷の期待など、相当なプレッシャーを背負っています。それはある意味、日本代表選手よりも過酷かもしれません。
単に駅伝ファンのひとりなので偉そうなことは言えませんが、心身ともに健康第一で取り組んでほしいと願っております……。
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10月を走る・3

【10月を走る・3】先週は気温が高くて走り込むには厳しいと、話しをしましたが、今週は逆に気温が一気に下がりました。まさに体調管理の難しい季節です。また、今週末からは、本格的な駅伝シーズンがはじまります。駅伝ファンとしては、わくわくする季節の到来ですが、出場する選手の皆様、関係者の皆様においては、体調管理には注意してほしいと思います。
また、一般のマラソン大会も少しずつですが、復活してきた様子です。もちろん、富津合同練習会で切磋琢磨している中にも、それらのマラソンを目標にしている人たちもいます。しかし、久々にマラソンを走る人も多いので、今の調子や走力を自分自身で把握しきれていない人も、多いかもしれません。
やはり、夏以降の走り込みが計画的に推移してきたか否かが、その目安のひとつになると思います。まずは冷静に振り返り、現在の調子や走力を把握することからです。なかにはコロナの影響で、夏以前からも走り込めていない人もいることでしょう。そんな人は、初心にかえって素直に完走を目標にするのが賢明かもしれません。
反対に、大会が無い中においても、ストイックに走り込みを継続してきた人は、蓄えてきた力を存分に発揮できるチャンス到来です。特に、ここから最後の調整に入る人は、トレーニングの質をキープしながら量を落とし、自己記録更新を狙える調子に仕上げてほしいところです。
また、年末以降に開催される各地のマラソン大会の開催要項なども見えてきたので、出場可能な大会への申し込みと、それに向けた目標の設定を明確にしていくことが可能になりました。特に、次の目標を年明けの2月から3月のマラソン大会に設定している人にとって、本格的な走り込みを開始するには、今が最適なタイミングとなります。
つまり、場当たり的なトレーニングに陥らないよう、計画的にじっくりと走り込める時間があります。更に、自身の課題とそれを克服するための具体的なトレーニング方法などを吟味することも可能な時間があります。
繰り返しになりますが、コロナなどの影響でブランクのある人ほど、あせらずじっくりと走り込んでいきましょう。富津公園でお待ちしております!
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10月を走る・2

【10月を走る・2】10月に入りましたが、気温が30度前後になる日もあり、走り込むには厳しいコンディションです。そんな中、いつもの千葉県富津市富津公園で強化合宿を実施しました。
目標はパリパラになりますが、東京パラという山の頂を目指したときと同じように地道な強化が必須であり、それを継続していきます。しかし、現時点の立ち位置は、その山頂も見えない山のふもとからも更に離れた場所になるでしょうか。
そして、これからその山を攻略していくためのルート探しや、途中に待ち構えている難関を調査する最初の段階になりますが、今はその山全体の姿すら確認することもできません。もちろん、最初から本命の大きな山を攻略していくことはできません。
東京パラのときと同様、途中に大小の山があり、それを乗り越えていかないと、本命のパリパラという山には辿りつけないのです。そして、その最初の山となるのは、12月に開催される「防府読売マラソン大会」になります。
同大会は、パリパラの位置から見ると、最も離れた山となりますが、ここをうまく登れた選手は勢いがつきます。特に、東京パラの代表に届かなかった選手たちにとっては、いろいろな意味で最初のチャンスです。
しっかりと走り込んで、最初の山に挑んでほしいと願っております。
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10月を走る

【10月を走る】本格的なマラソンシーズンに向け、各地の練習会などが盛り上がってくる季節に入ってきました。と、いいながら秋以降の各種マラソン大会の動向も不透明な状況が続いています。
もはやモチベーションを維持しようとすることも、既にあきらめた人もいるかもしれません。目標としていたマラソン大会がことごとく中止や延期に追い込まれ、その目標の「的」が次々に無くなれば、どんな人でもやる気をなくします。
また、的が無くなれば走る目的もかすみ、練習会などからも足が遠ざかります。更に、その練習会に参加しなくなると、仲間の走る姿から刺激を受けたり、直接語り合う機会も激減し、ランニングを通じて仲良くなった友人とも疎遠になっていきます。もちろん、SNSを通じて、それらを補うことはある程度可能でしょう。
しかし、ランニングは単調なスポーツなので、SNS上にアップされている各種コメントやどの動画も、最終的には同じような内容に終始し、ここでもマンネリ化に陥っていきます。その結果、ランニングに関するSNSからも遠のいていくのでしょうか(個人的な感想)。
さて、今月から富津合同マラソン練習会も本格的に再開しました。3日の練習会では、久々にお会いした人もいました。やはり、直接お話しをすると、お互いのモチベーションは高まります。同様に、元気に走っている姿を拝見すると、こちらも元気になってきます。
先日、富津公園でジョギングをしているとき、実業団の強豪チームである「HONDA」が、全員で集団走を実施していました。見るからにかなりのハイペースでしたが、一糸乱れぬその集団の足取りに見とれてしまいました。「なんて強いチームだ!」と……。
やはり、その現場に直接足を運び、直接語り合い、直接見ることは、モチベーションを高め、継続していくための最もシンプルで最善な方法なのでしょう。かくいう私もランニングにかかわって数十年経過しましたが、飽きもせず継続できている最大の理由はそこにあると考えます。
そして、マラソン大会という的がかすんでいる今だからこそ、あえて練習会そのものを的にし、純粋に仲間と一緒に走り続ける喜びを目標にすることも、正しい選択のひとつといえるでしょう。
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9月を走る・5

【9月を走る・5】次の目標に向け、強化合宿を再開しました。場所は千葉県富津市富津公園です。来年3月末まではこの富津で走り込んでいきます。また、毎年恒例となっていますが、箱根駅伝を目指す大学やニューイヤー駅伝を目指す実業団チームの選手たちが走り込む姿も、この富津に戻ってきました。
一方、東京オリパラに出場し、活躍した選手たちの多くは体と心を休め、これまでの緊張感から少しは開放されている時期でしょうか。あるいは、そろそろ次の目標に動き出している選手もいることでしょう。
さて、惜しくも地元開催のオリパラに出場できなかった選手や同大会において目標を達成できなかった選手たちにとっては、逆にチャンス到来でもあります。なぜなら、前述したように東京オリパラで活躍した選手たちの多くが、本来の姿(調子)から離れた状況にいるからです。
国の代表を目標にしているような選手たちは、黙っていても猛練習を自分自身に課します。したがって、自分より実力が上位の選手たちも常に猛練習をしていることになり、自分自身がどんなに努力してもその差を縮めていくことは容易ではありません。
また、スポーツの多くは強化合宿などを通じて、ライバルたちと切磋琢磨しながら自らの実力も高めていきます。そのため、ライバルに対して、常に勝ちづづけることは相当難しい。しかし、一方的に負け続けることも少ない。まさに切磋琢磨であり、その実力差は紙一重の世界になっていきます。
ところが、東京オリパラ後のこの時期は特別な状況になっているともいえます。日ごろ切磋琢磨することで、お互いに実力を高めることができますが、そのライバルが何らかの理由で手を抜いている状況だとしたなら、まさにチャンス到来といえるでしょう。
少し不謹慎な言い回しになりますが、ライバルが動きを止めているとき(ケガや故障も含め)、いかにしてそのライバルに対し、更なる追い打ちをかけられるか否かは、勝負事においてはとても重要なことのひとつといえます。つまり、そのスキに自分自身がどれだけ練習を積めるか否か。
2016年リオパラのT12男子マラソンで銅メダルを獲得した岡村選手は、2012年ロンドンパラでは4位でした。今回、東京パラのT12男子マラソンで銅メダルを獲得した堀越選手は、2016年リオパラでは4位でした。実は両選手とも、相当悔しい思いを一度は経験し、その気持ちをその後の練習に反映させた結果が、悲願のメダル獲得につながったのです。
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9月を走る・4

【9月を走る・4】前回の続きです。2020年12月の防府読売マラソン後は、走り込みをしながら春のトラックレースを目標にしました。一般的に長距離やマラソンでは、「スピードをつけてから長い距離に移行する」と言います。もちろん、必ずしもこのとおりではありませんが、考え方のひとつとしては間違いないと思います。
また、人の体は、「スピードがついてくるとスタミナは落ち、逆にスタミナがついてくるとスピードは落ちるため、両方を一緒に狙えない」とも言われています。つまり、マラソンを目標にしたスタミナ重視のトレーニングと、5kのスピードアップを目指すトレーニングの両立は難しいと言われている理由のひとつです(私の経験上もほぼ同じ)。
したがって、9月のパラマラソンに向けた本格的な走り込みを6月からと計画していたので、その走り込みに入る前は、トラックレースでスピードを高める流れにしました。実は、夏マラソンを攻略していく上で大切なポイントは、単なる暑熱対策だけではありません。そのポイントのひとつが、目標としている夏マラソン直前の冬マラソン(12月から2月)で自己記録を更新していることです。
これも夏マラソンをスタミナと仮定した場合、その直前の冬マラソンはスピードとも言えます(かなりこじつけですが)。つまり、オリパラのようなビッグイベントの多くは夏に開催されるので、スピード(冬マラソン)を高めてからスタミナ(夏マラソン)に移行する流れになり、それが理にかなっていると感じます。
さて、4月から5月までのトラックレースでスピードを高める計画(自己記録更新)でしたが、実際はそうなりませんでした。それは、昨年12月の防府読売マラソンで自己記録を達成した選手たちほど、その後は故障や不調などのリバウンドが大きく、結果的には春先まで体を休める方が主となったからです。
コーチの立場としては、焦りのような気持ちもありましたが、これも結果的には良い休養期間となり、日本代表選手たちは6月からの走り込みに集中することができました。その走り込みは、定期的に距離走(長い距離)を実施していくオーソドックスな方法です。もちろん、暑さを考慮し、設定タイムをコントロールしながら走り込んでいきました。
その詳細は割愛しますが、6月は長野県上田市菅平高原で強化合宿を実施し、起伏の激しいコースを使った「40k走」を4本。7月は北海道北見市に場所を移して強化合宿を実施し、同じく起伏の激しいコースを使った「40k走」を2本、平坦なサイクリングコースを使った「40k走」を2本の合計4本走りました。8月の第1週も北海道北見市で最後の「40k走」を実施したので、6月から合計すると、「40k走」を9本実施しました。
最後の40k走後は、距離を落としながら設定タイムを少しずつ上げていく流れに移行していきました。8月26日午前、北海道北見市における最後の練習を終え、午後から千葉県富津市富津公園に移動。いつも慣れ親しんだこの富津を最終調整の場所に選びました。そして、パラマラソン1週間前は富津で最後の「16k走」を実施し、9月1日の午後から選手村に入村しました。
オリパラが1年延期となりましたが、上記した計画は2年前に決定していました。もちろん、その前から何年も同じ場所で強化合宿を繰り返しながら東京パラの戦略を練り上げてきたので、選手たちもその土地や宿泊旅館、そして、地元の人たちにもなじみ、ストレスなく長期滞在できるようになっていた点が何よりでした。
このように、多くの方々にご支援いただいた結果がメダル獲得につながりました。あらためて、お世話になった皆様方に厚く御礼申し上げます。地元開催の地の利を活かした戦略と戦術が成功しました。
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9月を走る・3

【9月を走る・3】東京パラマラソンに向け、強化合宿などを積み重ねてきましたが、どのような過程を経て、9月5日を迎えたのかを、少し振返ってみます。もちろん、「こんなにすごいことをしてきた」とか「この方法や考え方しかない」と、言ったことではありませんので、予めご了承願います。
まずは何と言っても東京オリパラの開催が「1年延期」になったことでしょうか。これにより、東京オリパラに関係する全ての選手やスタッフなどに大きな衝撃が走りました。更に、世論も含め、様々な意見が飛び交い、強化活動を継続していくことが不透明な状況に陥った競技団体も多数ありました。
ブラインドマラソンの選手たちにも動揺は見られましたが、それもすぐに収束し、「個々にできることをしっかりと継続していこう」と落ち着きました。既に、日本代表選手にほぼ内定している選手や有力候補選手たちの地元でのトレーニング環境については、どこでも走れるマラソン競技の特性上、それほど悪化することがなかった点も幸いしました。
ところが、全国各地のマラソン大会や各種競技会などが軒並み中止や延期に追い込まれていったのは、正直言って困りました。このまま、1年と数ヶ月後の東京パラマラソン当日まで1回もマラソン(各種競技会なども)を走れないとしたなら、それが選手たちにとって最も不安要素になるからです。
しかし、2020年12月の防府読売マラソン大会は関係者のご尽力により、予定通りに開催する方向で調整が進みました。同大会は、ブラインドマラソンを早くから取り入れていただいている大会でもあったので、この大会で記録を狙うことに目標が定まりました。
そして、誰が東京パラマラソンの日本代表選手に選考されたとしても、その当日までに走れるマラソンは「この大会が最初で最後」と、どの選手たちも並々ならぬ決意で、2020年の夏から走り込みを重ねていきました。結果的には、この「一点集中力」を東京パラマラソンの1年前に実践(予行)できた点が大きかった。
2020年12月の防府読売マラソン大会の結果は、男子は堀越選手が大幅な自己新となるアジア新で優勝。女子は道下選手が、自身の持つ世界記録を更新する自己新で優勝。更に女子の2位は、藤井選手がWPA世界ランキング上位に入る大幅な自己新を達成。
この後は悪い方の予想が的中し、この防府読売マラソン大会が東京パラマラソン前に出走した最後の大会となりました。そして、先日の東京パラマラソンでは、堀越選手が銅メダル、道下選手が金メダルを獲得。そして、藤井選手が5位入賞と、2020年12月の防府読売マラソン大会で快走した3選手が、東京パラマラソンでも上位にキッチリと食い込みました。
これは、単なる偶然ではなく、昨年の防府読売マラソン大会で見せた「一点集中力」を、今回も個々に再現できたからなのです。
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