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秋を走る

秋を走る・4

【秋を走る・4】先日の17日からの3連休を活用し、長野県菅平高原において合宿を実施してきました。ちょうど台風が接近していましたが、幸い大きな影響もなく、無事に走り込むことができました。

さて、今合宿の目的は「40k走(距離走)」でした。もちろん、標高も高いので、それぞれの走力に合わせて距離や設定ペースを調整しましたが、全員が概ね予定どおりに走ることができました。

また、同じ周回コースにおいて、箱根駅伝を目指している大学チームも走り込んでいました。もちろん、我々とは別次元のペースですが、チーム状態の良い大学は最後まで集団が崩れることはほとんどありません。一方、チーム状態に不安がありそうな大学は、序盤から集団を維持することが難しくなっていました。

このように集団で距離走を実施している様子を拝見すると、そのチーム状態やその中で走っている個人の調子がよくわかります。マラソンや長距離種目は個人競技ですが、長い距離や長い時間走り続けるトレーニングがメインなので、常に単独走でそれを継続していくのは難しいのも確かです。

したがって、逆に「集団で長距離を走るトレーニング(距離走)」を組み込むことで、個々の走力を効果的に向上させることができます。特に、個人競技の究極ともいえるマラソンや長距離種目は、このような集団による効果があらわれ易い競技特性があると感じます。

しかし、その集団走(距離走)を効果的に継続していくにはいつくかの条件があります。まずは、適切な距離と設定ペースになります。そして、何よりもその集団走の先頭を走る司令塔の存在です。いわゆるペースメーカーの走力と能力になります。

具体的には、設定ペースを寸分の狂いなく、安定して最後まで走れることが第一条件になります。次に、集団全体やある個人が後方からあおってきたとき、それをおさえ切れる強いメンタルを持っていることもペースメーカーとしての重要な条件になります。

すなわち、そのチーム内においては、エース的存在ともいえるでしょうか。このような条件を兼ね備えたペースメーカーをになえる優秀な選手が、チーム内に複数存在するならそのチームは間違いなく成長していけます。

もちろん、それはクラブチームなどが主催している練習会などにも当てはまります。特に、思うような成果が出ていない場合、まずはペースメーカーの実力や適正を再確認してみることは必要です……。

秋を走る・3

【秋を走る・3】先月の北海道マラソン大会からちょうど2週間経過しましたが、次の目標となる12月の「防府読売マラソン大会」を目指した強化合宿を開始しました。もちろん、選手たちの回復状態を最優先しながらでしたが、主力選手たちは元気に走り込んでいました。

「マラソンを走ったあとの回復期間(練習量を落とす期間)は?」

ある意味、この問いに対する回答は永遠の課題でしょうか。専門的な文献や一般論などは多数ありますが、「あまり当てにならない」というのが現場での肌感覚になります。別の見方をするなら、「回復期間は個人差が大き過ぎる」とでもいいましょうか。

もちろん、選手個々の定期的な血液検査の結果や日々の体調チェックなど、ある程度科学的なデータを照らし合わせての判断にもなりますが、人の体は必ずデータどおりになりません。

マラソンのようなハードなトレーニングを日々継続している選手たちの血液結果が、異常値を示すことは珍しくありません。ところが、走ることなどせず、普通の健康的な生活をしている人は、そのような異常値はほとんどないと思います(病気などは別)。

したがって、マラソン後や合宿期間中に実施する血液検査で数値が改善された選手の場合、純粋に改善したことを評価するよりも、単に練習を休み過ぎたり、練習の強度不足を、まずは疑います。つまり、練習やレースで結果を残せていない選手ほど、逆に血液状態が良いケースも意外と多いからです(私の経験上)。

さて、話しが脱線しましたが、マラソン後の回復期間については、上記したように個人差が大きいことは間違いなく、その見極めは簡単ではありません。しかし、ひとついえるのは、計画的にしっかりとマラソントレーニングを積んでマラソンに挑んだ選手ほど、走った後も大きな故障やケガに陥ることなく、次の目標に移行している確率が高いのは確かです。

しかし、マラソンは競技の特性上、その記録は当日の天候などのコンディションに最も左右されます。したがって、特に走り込みをしていなかったとしても偶発的に好記録をマークする選手が存在するのもそのためです。ところが、そのような選手の中には、そのマラソン後に故障したり、次のマラソンでは大きく失速したりと、いわゆる「一発屋」で終わる確率も高いと感じます……。

まとまらない話しになりましたが、要はしっかりと走り込みをしてマラソンに挑んだ選手ほど、その結果の良し悪しに関係なく、マラソン後の回復期間は短い傾向になると感じます。すなわち、マラソンに向けた走り込みを計画的に実施することで、その後の故障やケガのリスクも軽減できるともいえるでしょう。

秋を走る・2

【秋を走る・2】9月に入り、秋からのマラソンや駅伝・ロードレースシーズンに向けた本格的な走り込みに突入していきます。そして、いつもお世話になっている千葉県富津市富津公園にも多くの学生選手や実業団選手たちが戻ってくる季節です。

先日の日曜日もその富津公園において30k走を実施しましたが、スタート時は曇っていたので、何とか走り切れると判断しました。ところが、逆に天候はどんどん回復し……、厳しい残暑との戦いになってしまいました……。

さて、9月に入ると、富津合同練習会に参加する方々からよく質問されることが、「距離走は何キロ走ればよいですか?」。実は、とてもシンプルで最も難しい質問になりますが、結論は「可能な限り長い距離(30kより40k)」と、なります。

マラソン競技の特性上、そのパフォーマンスに最も影響を与えるのは「月間走行距離」になります(私の経験上)。最近は、ランニングフォームや各種補助運動など、様々な情報があふれている時代になりましたが、単純にたくさん走り込めれば必ず記録に結びつきます。

しかし、多くのランナーはその道中でケガや故障に見舞われ、逆に走れなくなってしまうケースが多いのです。つまり、たくさん走るつもりが、逆に全く走れなくなってしまい、結果的にはマラソンの記録も停滞してしまう……。

実は、この矛盾を解消するには日々の積み重ねがより重要になります。要は、欲を出し過ぎず、毎日コツコツと確実に継続していくのです。具体的には、曜日ごとにトレーニング内容にメリハリをつけ、それを判で押したように何年も継続していくことです。

そして、この王道をいっているランナーが、いわゆる実業団選手や学生選手になるでしょうか。そのため、特にマラソン練習を積んでいなくても、初マラソンで快走する選手が散見されるのは、まさにコツコツと何年も積み重ねてきた土台があるからと考えます。

一方、市民ランナーの方々は、仕事や家族などの事情から平日の積み重ねが不安定に陥り易く、なおかつ継続も難しいケースが多いのも確かです。したがって、その積み重ね自体も極端に薄くなり、成果がみえるまでに時間がかかり過ぎてしまうのです(根負けし、道半ばであきらめてしまうケースも多い)。

説明が回りくどくなりましたが、日々の積み重ねが薄くなりがちな市民ランナーの方ほど、週末(休日)の距離走は重視すべきと考えます。具体的には、設定ペースを落としてでも、可能な限りマラソンの距離に近づく距離走(または3時間以上)の実践を強く推奨します。

秋を走る・1

【秋を走る・1】3年ぶりの開催となった北海道マラソン大会は大いに盛り上がりました。その大会当日の天候は曇りで気温も25度前後でしたが、湿度が60%を超えており、意外と厳しいコンディションだったと感じました……。あらためて、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

そんな中、ブラインドマラソンの選手たちも3年ぶりに出場し、男子は昨年の東京パラで銀メダルを獲得した和田伸也選手が大会新記録で優勝。女子も東京パラで金メダルを獲得した道下美里選手が自らの大会記録を更新する新記録で3連覇を達成しました。

しかし、今回の北海道マラソン大会に向け、強化合宿などを重ねてきたにもかかわらず、直前にコロナ感染する選手や故障する選手を複数出してしまった点。大会当日は途中棄権する選手も複数出してしまった点など、強化責任者としては猛省する大会となりました。

この後、12月の防府読売マラソン大会を目標に強化活動を継続していきますが、手綱を引き締め、しっかりと立て直していく所存です。引き続き、皆様の絶大なるご支援をお願い申し上げます。

一方、ブラインドマラソンの強化合宿などで選手をサポートしながら一緒に切磋琢磨してきたガイドランナーでもある山口遥選手が、女子の部で優勝し、目標のMGCを獲得しました。

特に、35k以降は上記したブラインドの和田伸也選手と競り合いながらゴールを目指す姿は、強化合宿などでいつも見ている映像そのものでした。彼女にとっても、いつもの練習と同じ感覚で最後まで粘り抜けたことが、最大の勝因だったことでしょう。

そんな彼女は、これまで厚底シューズを本格的に使用したことは、ほとんどありませんでした。しかし、この北海道マラソン大会に向け、走り込みの段階から厚底シューズを徹底的に履いて履きつぶし、履きこなせる段階まで持っていきました。

さらに、彼女は50回以上のマラソン経験があるにもかかわらず、スペシャルドリンクを置いたことは一度もありません。そもそも、真夏の距離走においてもほぼ給水を取りません。とにかく暑さには強く、炎天下の練習で彼女がつぶれた姿を見たことはありません。

ところが、この給水を適当に考えて一流になった選手はいません。マラソンでさらに飛躍するうえで、この給水問題は避けて通れないことも確かです。今回の北海道マラソン大会で、彼女は初めてスペシャルドリンクを置き、そのドリンクを取りながらゴールを目指しました。

あらためて、今回のレースは終盤にブラインドの和田伸也選手と競り合えたことは大きかったのですが、それを可能にしたのは厚底シューズとスペシャルドリンクだった点も確かです。このように、50回以上もマラソンを完走しているベテラン選手が、まるで初心者ランナーのような対策でMGCを獲得したのです。

しかし、どんなレベルに到達しても自分自身に不足している点を素直に認め、それを素直に修正(試みる)する気持ちと姿勢を持っている選手は確実に成長します。彼女が今後も飛躍する可能性がある最大の理由は、そこになります。

夏を走る・13

【夏を走る・13】先日の土曜日から2泊3日の日程で、長野県菅平高原において合宿を実施しました。合宿中は概ね天候にも恵まれ、計画どおりの走り込みを消化することができました。そして、秋からのマラソンシーズンに向け、9月にもう一度、菅平合宿を実施する予定です。

いわゆる温暖化の影響なのでしょうか、ここ数年は9月に入っても気温の高い日が多くなり、走り込みに適さない日も増えてきた感じがします。しかし、11月以降のマラソン大会を目標にした場合、9月と10月はとても重要なトレーニング期間に位置します。

具体的には、春先に培った「スピード」と、夏に培った「スタミナ」を融合させ、マラソンを目標タイムで走り切るための「スピード持久力」を養成していく期間に当たるからです。7月と8月は暑い中での走り込みだったので、あえて設定タイムを落とし、時間をかけてじっくりと走り込む期間としましたが、9月からの走り込みを夏と同じにすることはできません。

しかし、上記したように9月も暑い日が多くなり、スピード持久力養成を目的にした距離走を確実に実施するためにも、菅平合宿を9月に実施するようになりました。もちろん、短期合宿なので距離走の回数は少ないですが、とても重要な合宿と考えます(私の経験上)。

さて、今週末は北海道マラソン大会が3年振りに開催されます。コースも昨年の東京五輪コースが一部加わるなど、リニューアルされました。また、パリ五輪マラソン日本代表選考会である「MGC」の出場権を獲得できる大会にも指定されているので、男女とも国内トップ選手が多数出場します。

このように3年振りの開催ですが、とても注目される大会になっています。出場される市民ランナーの皆様にとっても久々の厳しい夏マラソンになると思いますが、まずは無事に完走してほしいと願っております……。

夏を走る・12

【夏を走る・12】厳しい残暑が続いております。気温が高いのはもちろんですが、湿度も70%を超えており、走る選手にとってはそちらの方が負担になっているに違いありません。

暑い国といわれる海外の大会に参加しても、日本のような高温多湿の環境に遭遇することはほとんどなかったので、やはり日本の夏は最強でしょうか(私の経験上)。もちろん、厳しい残暑が続く中においても、選手はたんたんと走り込みを継続しております。

また、上記したように夏は暑さだけでなく、この湿度の高さも加味した設定タイムに調整するのが、大きなカギになります。何度も記載してきたとおり、気温や湿度をタイム換算できる指標は存在しないので、経験と感覚にたよるしかありません。

一方、暑さを避けて涼しい環境で走り込みを実施する場合は逆に、どのタイミングで暑い環境に体を戻していくかが、大きなカギになります。実は、こちらのパターンも涼しい気温から暑い気温に暑熱順化させるための具体的な日数やタイム換算した指標は存在しないので、最後は経験と感覚にたよることになります。

さて、年間を通じて強化合宿中は、毎朝5時30分に採尿して尿比重などを測定し、選手ごとの脱水状態や体調などを確認しています。もう何年も継続しているので、選手ごとの特性もつかめています。そのため、尿を見ただけで、どの選手なのかの検討もつくようになりました。

また、単に数値が脱水状態だからといって、記録などのパフォーマンスに直結しないこともわかっています。先日の強化合宿である男子選手が足の不調を訴えたので、最初から散歩程度の練習に切り替えました。

その選手は年間を通じて尿比重が高く、尿の色もかなり濃い傾向です。ところが、練習を落とした翌朝の尿は、まるで別人のように透明になり、尿比重も驚くほど低い数値に……。振り返ると、この選手は合宿期間中に練習を意図的に落としたことは、私の記憶にもほとんどありませんでした。

もちろん、私は医者でも専門家でもありませんが、常に高強度の負荷を体にかけている選手の数値は、異常値に近い感じが普通です。しかし、少しでも負荷をゆるめると、その数値は劇的に回復します……。

暑さなど過酷な環境で勝負を求められる選手にとっては、理屈抜きにそこで戦うしかありません。しかし、どんなに厳しい環境にさらされても、人の体はそれに必ず順化していきます。あらためて、理論や理屈でない世界がそこにはあるのでしょう……。

※先日の富津強化合宿中、選手に給水を渡していたら足元にタヌキが……。

11月を走る・4

【11月を走る・4】先週の土曜日から千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。今回の強化合宿は、金メダリストの道下選手、銅メダリストの堀越選手ともに参加し、ようやく全体の足並みも戻ってきました。また、両選手とも東京パラリンピック後は、トレーニング以外の忙しさも重なっていたので、「今回の強化合宿は怪我をしなければ良し」と考えていましたが、両選手ともしっかりと先頭を走っていました。「さすがはメダリスト」と、あらためて感心した次第です。

さて、話しは変わりますが、パリパラリンピックで実施される競技種目が発表されました。その結果、我々のブラインドマラソン(男女T12クラス)は東京パラリンピックと同様に実施されることが決定しました。まずはひと安心です。実は、パラリンピック実施種目は大会ごとに見直します(競技種目を減らすことが多い)。そのため、パラリンピックが終わるごとに、「我々のブラインドマラソンは、次大会も実施されるのか?」と心が休まりません。

ここで、ブラインドマラソンについての歴史を簡単に振り返ると、2004年アテネパラリンピックまでは、3クラス(T13、T12、T11)とも実施されていました。そのため、1996年アトランタパラリンピックと2004年アテネパラリンピックにおいては、T11クラスで金メダルを獲得しています。

つまり、2004年アテネパラリンピックまでは、ブラインドマラソンT11クラスは「日本のお家芸」と呼ばれるほどでした。ところが、2008年北京パラリンピックからブラインドマラソンの実施種目は「T12クラスに集約」されます。その結果、T13クラスの選手たちはパラリンピックのマラソンへの道が閉ざされ、T11クラスの選手は障がいの軽いT12クラスの選手と一緒に戦うことになったのです。

その2008年北京パラリンピックでは、日本ブラインドマラソン初の「メダル&入賞が0」と惨敗しました。しかし、そこから強化体制を立て直し、2012年ロンドンパラリンピックでは出場した男子3選手が全員入賞。続く、2016年リオパラリンピックでは、初採用された女子T12マラソンで銀メダル、男子が銅メダルを獲得するまでに復活しました。

そして、今回の東京パラリンピックにおいては、パラリンピック日本女子マラソン初の金メダル、男子は2大会連続の銅メダルと、目標どおりの結果を残すことができました。また、上記したようにパリパラリンピックでもブラインドマラソン(男女T12クラス)は実施されることが決定したので、引き続きたんたんと強化活動を継続していくことができます。あらためて、関係者の皆様に感謝です。

一方、今回の東京パラリンピックで金メダルを獲得した男子T52クラスの1500mや銅メダルを獲得した男子T46クラスのマラソンは、パリパラリンピックでは実施されないことも決定しました。ある意味、パラリンピックは厳しくて残酷な世界でもあるのです。

11月を走る・3

【11月を走る・3】先週の土曜日は、千葉県木更津市で中長距離記録会が実施されました。この記録会は昨年から開催されるようになりましたが、参加選手は地元の中高生が中心で、アットホーム的な雰囲気の記録会です。また、今年は風もほとんど無く、絶好のコンディションとなりました。

私は慣れない周回審判の大役を仰せ付かりながらでしたが、選手たちの走りをじっくりと拝見することができました。特に、中学生に注目していましたが、男子の先頭集団は相当速く、その洗礼されたランニングフォームに驚きました。

今の中学生を指導しているコーチの方々は、トレーニングに基礎的なドリルなどを多く取り入れているので、ランニングフォームが整っている選手が多く、見とれてしまう選手が多くいました。もちろん、そんな選手たちは記録も相当なものです。

一方、中学1年生でしょうか、男子1500mでも5分突破ができるか否かを争う組もありました。もちろん、身体も小さく、何もかもがこれからの選手たちですが、最後はあごが上がり、身体を大きく揺さぶりながら必死に走るその姿は、中学生時代に初めて1500mを走らされた自分自身の記憶と重なり、真剣に応援していました。

また、男子5000mと女子3000mには、富津合同練習会で切磋琢磨している仲間たちも多数出場し、慣れないトラックレースを熱走していました。そのトラックレースは、ロードレースと違い、スタートからゴールまでの細かいラップタイムや、その動きを観察することができます。

特に、今回のトラックレースでは、いつもと違う一面をいろいろと拝見することができました。また、今回の記録会に出場した仲間たちは、マラソンが最終目標なので、いわゆるスピード強化の一環となります。

「トラックレースとマラソンのどちらが苦しいか?」

既に何度もこのブログでも取り上げてきましたが、トラックレースの苦しさとマラソンの苦しさは違いますが、本当に苦しいと感じるのはトラックレースの方かもしれません。今回の記録会でマラソンとは違う苦しさや辛さを体験できたことは、間違いなく今シーズンのマラソンにつながることでしょう。

11月を走る・2

【11月を走る・2】7日の日曜日も全国で各種ロードレース大会が開催されていました。特に、全日本大学駅伝大会は大方の予想どおり、優勝候補にあげられていた駒澤大学と青山学院大学の争いとなりました。そして、2校の優勝争いは最終区間終盤までもつれ込み、僅差で駒澤大学が優勝しましたが、駅伝ファンとしては見応えのあるレースでした。

その駒澤大学は、今年の箱根駅伝は大差となっていた先頭との差を最終区間終盤で追いつき、ゴール前のスパートで優勝。一方、今大会は逆に駒澤大学を青山学院大学が最終区間で追いつき、終盤まで並走する展開となりましたが、最後は駒澤大学がもう一度突き放しての優勝。駒澤大学のアンカーに起用される選手は、メンタルが強いと感じます。

そして、どのチームにも言えることですが、駅伝のアンカーは区間順位ではなく、見た目の順位がそのままチームの最終順位になるので、ひとつでも前にいく必要があります。つまり、区間最下位でもトップでゴールすれば、チームは優勝です。しかし、区間賞を獲得しても最後に競り負ければ、チームの敗北に直結し、アンカーは責任を問われます。したがって、どんな駅伝でもアンカーを任された選手にかかる重圧は想像に難くありません。

私の昔話で恐縮ですが、現役時代に走ったある駅伝のことです。その駅伝は7区間で80k程度の距離でした。当時の監督はチームのエースをアンカーに配置し、「アンカーで60秒以内ならライバルチームを逆転できる」と、前日のミーティングで各区間の配置とそれぞれの設定タイムなどを我々に指示しました。

その駅伝で私は2区を走りましたが、序盤の遅れを挽回することはできず、悪い流れのままエースの待つアンカーにタスキが渡りました。その時点でライバルチームとの差は「65秒」。私は、自分の凡走は棚に上げ、ゴールで祈るように待っていました。そして、エースのアンカーはチームの思いを全て背負い、必死の形相でゴールを駆け抜けましたが、前を走るライバルチームには届きませんでした。しかし、ゴールでのタイム差は「5秒」……。

最終的な結果をみると、「各区間が、あと数秒ずつ速く走っていれば……」となります。これは箱根駅伝予選会などでも毎年耳にする話です。もちろん、机上の計算では確かにそうなります。しかし、どんなレースも生き物であり、状況は常に変わります。特に、駅伝はタスキをつなぎ、走者も変わるので、区間ごとにピンチとチャンスが訪れます。

ところが、アンカーには次走者がいません。つまり、アンカーを託された選手は、「個」ではなく「チーム」になります。まさに「アンカーの美学」とも言えるでしょう。駅伝ファンのひとりとして、特にアンカーの頑張りに注目し、応援したいと思います。

11月を走る

【11月を走る】先日の日曜日は、大阪で「全国視覚障がい者駅伝大会」が開催されましたが、コロナの影響で昨年は中止となっていたので、選手の皆様にとっては待ちに待った大会となりました。そして、同大会には東京パラのマラソン代表選手たちも出場し、大会を盛り上げてくれました。

また、その日は「金沢マラソン大会」も開催されました。同大会には、富津合同練習会に参加している人たちも多数参加しました。もちろん、こちらもコロナの影響を受け、久々のマラソン大会出場となった人も多くいました。

そのため、目標タイムどおりにゴールできるか否か、私の方がかなり心配をしていました。しかし、私が心配するまでもなく、出走した全員が、スタートからゴールまで冷静に自分自身の設定ペースを守り抜き、しっかりとゴールしていました。

さらに、3日は「ぐんまマラソン大会」が開催されました。同大会にも富津で切磋琢磨している仲間が出場しました。特に、40代になったKさん(男性)は、2時間40分突破を目標にスタートし、見事に目標どおりの自己新記録でゴールしました。

そのKさんは6年ほど前でしょうか、サブスリーを目標に、この富津合同練習会にも参加するようになったと記憶しております。また、Kさんは心身ともブレずに、コツコツと継続できる持ち味がマラソンにもマッチし、着実にステップアップしていきました。

Kさんの具体的なトレーニング内容は割愛しますが、身の丈をこえるような無謀なペースで走り込むようなことは、ほとんど皆無です。毎週末に実施している富津合同練習会においても、1kを4分30秒ペースと、Kさんにとってはかなりゆとりを持ったペースでの距離走です。

しかし、そのゆとりの積み重ねが大きな力(蓄え)となり、今回の快走につながったのは間違いありません。そして、これからもコツコツと地道に走り込み、さらなる記録更新を達成できると、期待しております。

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