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北京へ・3
いよいよ北京オリンピックも開幕し、連日熱い戦いが繰り広げられています。そして、オリンピック連覇のかかった野口選手が欠場した女子マラソンも終了。日本代表選手の中村選手は13位。そして、土佐選手は途中棄権と残念な結果に終わりました・・・。
さて、オリンピックが閉幕すると、今度は北京パラリンピックの開幕です。オリンピック以上の熱い戦いが繰り広げられると期待しております。その北京パラリンピック視覚障害者マラソンに出場する日本代表選手団の最後の強化合宿を15日(金)から17日(日)の日程で、長野県菅平高原にて実施しました。合宿は、各選手が伴走者と共に、それぞれの調整計画に沿った内容を順調に消化することができました。
パラリンピック連覇を狙う高橋選手、勢いのある加治佐選手、持ち前の粘り強さに磨きがかかってきた新野選手。ここまで、3名の代表選手並びに6名の伴走者全員が故障もなく順調に仕上がってきております。マラソン当日まで残り1ヵ月となり、ここからは調整です。既に何度か記載しているとおり、調整の基本は休養です。「焦ったら休養、迷ったら休養」です。
そのパラリンピックですが、オリンピックと違い、各障害やその障害の程度に応じたクラスにわかれて競い合います。そのため、パラリンピックが開幕する前に、各選手は障害の部類や程度を確認する「クラスわけ(メディカルチェック)」を受けなければなりません。よって、第一陣の選手や役員は今月30日に北京入りします。もちろん我々マラソンチームも第一陣です。
つまり帰国する9月19日まで、選手と伴走者は選手村の狭い同室で20日以上もの間、全ての行動を共にします。こうなると、単に走りが合うとか走り易いと言っただけの視点では無くなります。選手と伴走者が生活の全てを共にしていくので、お互いの人間性や性格等が全てぶつかり合い、本音ベースになってきます。そして、お互いにそれらを受け入れることで、はじめて日本代表としてスタートラインに立てるようになるのです。
今回のパラリンピックに向け、選手と伴走者は何度も強化合宿や遠征等を共に乗り切ることで、心をひとつにしていくことができました。ところが、パラリンピックが近づいてくるのに伴い、取材等も増え徐々にプレッシャーを感じてきているのも事実です。
しかし、何度も申し上げているとおり3名の日本代表選手には、固い絆で結ばれた伴走者が各2名ずつおります。そして、これまで様々な苦しい練習やレースを克服してきた3人の絆で、重圧やプレッシャーのリスクは1/3に分散し、同時に3倍の力で克服できると確信しております。
あらためて、皆様の絶大なるご声援をお願い申し上げます。
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北京へ・2
北京パラリンピック視覚障害者マラソンの日本代表選手が正式決定しました。あらためて紹介すると、高橋勇市選手(43歳)、加治佐博昭選手(34歳)、新野正仁選手(51歳)の3名。高橋選手は、前回のアテネパラリンピック金メダリスト(全盲の部)であり、今回の北京で前人未到の連覇を狙います。そして、昨年11月の福知山マラソンで、その高橋選手を終盤激しく追い上げた成長著しい加治佐選手。更に、4月のかすみがうらマラソンで自己記録を更新したばかりの新野選手。今回も史上最強の日本代表選手を選出することができました。そして、かくいう私は、視覚障害者マラソンのコーチとして北京に帯同し、代表選手及び伴走者達のサポートをさせて頂くことになりました。
早速、先日の6月7日(土)から1泊2日の日程で、千葉県富津市富津公園において、日本代表選手の第2回強化合宿を実施しました。この富津公園では、過去に何度も合宿を実施しているので、選手達もコースを熟知しており、今回も精力的に走りこんでいました(高橋選手は私用のため、今回は不参加)。
さて、視覚障害者マラソンの伴走は、どなたでも簡単にすることができます。しかし、日本代表選手の伴走はある意味特殊で、やはりそれなりの走力が必要となります。また、伴走者の走力が選手より高ければ高いほど伴走者自身のゆとりとなり、同時に選手のゆとりにもなります。これは、至極当然の話ですね。では、走力のある伴走者が選手をサポートすれば、どんな選手でも好成績をおさめることができるでしょうか?残念ながら答えは「No」です。実は、ここが視覚障害者マラソンの最も難しい点でもあります。
それは、選手と伴走者が歩調と同時に、「心」を合わせる必要があるからです。特に、国際大会となれば、何日間も行動を共にします(更に同じ部屋で、24時間全てを共にする)。また、選手は伴走者がいないと一歩も走れませんが、伴走者はその選手が走っていなければ根本的に必要ありません。このように、選手と伴走者は微妙な距離間を保っている関係でもあります。もっと言うと、些細なことで、選手と伴走者の関係は亀裂が入りやすく、コンビとして破綻してしまうこともあります(お互いが不信感を持つと、一歩も走れなくなる)。
北京パラリンピックまで3ヶ月弱となりました。それぞれの代表選手と伴走者の走るリズムは、しっかりと合ってきました。あとは「心」です。それには、選手と伴走者がお互いにもっともっと深く掘下げた部分で理解する必要があります。つまり合宿等で、お互いの生い立ち話も含め、何でも積極的に語り合うことが重要です(特に伴走者の方から)。すると、お互いの生々しい話も飛び出し、人の痛みや情けを知ることができます。そして、情に流されそうになる気持が、どんどん強くなって行きます。ところが、その気持が強くなってくるほど、過酷な状況下のレースや練習では逆に、的確な判断や伴走が可能になってくるから不思議です。そうやってお互いの「心」がひとつになった時、はじめて世界との勝負が可能となります。
だから、選手と伴走者を結んでいる伴走ロープを、「絆」と言うのです。
皆様の絶大なるご声援をお願い申し上げます!
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北京へ
今年は、北京五輪です。そしてその後、北京パラリンピックが開催されます。私は日本盲人マラソン協会(JBMA)のお手伝いもしており、日本代表選手及び伴走者の選考や強化を担当しております(JBMA理事/強化担当)。既に、北京パラリンピック視覚障害者マラソンの日本代表候補選手選考は無事に終わり、3名の選手を選考しました。また、視覚障害者マラソンには、伴走者(ガイドランナー)が必要なクラスもあり、今回の代表候補選手達と同様、各選手に対し伴走者も2名ずつ選考しました。
連休も明け、いよいよ北京に向け本格始動です!このブログでも北京パラリンピックに向けた取り組みや、選手達の様子等々をお伝えしていきたいと思います。
ところで、皆さんは視覚障害者マラソンをご存知でしょうか?その前に、視覚障害者と聞くと、視力を完全に失い暗黒の世界に生活していると誤解してないでしょうか?実は、視力が1.0以上の方もいます。そのため視覚障害者の方でも単独走行が可能な方もいます。つまり、視覚障害と言うのは、総合的な視覚能力に障害があることを言います。
このように、視覚障害者と言っても障害の程度に大きな違いがあり、全く視力のない全盲の選手と、そうでない弱視の選手とでは、大きなハンディが生じます。そこで、そのような問題を解消するため、視力の程度に応じたクラス分けを実施しています。(クラス分けは、全ての障害者スポーツで実施しています。)
視覚障害者の国際クラス分けは、3つに分かれており、視力の弱い方からT11(B1)、T12(B2)、T13(B3)となっています。T11は、「視力は光覚までで、どの距離や方向でも(手の形を)認知できないもの(伴走者有)」。T12は、「手の形を認知できるものから、視力0.03まで、または視野が5度以下のもの(伴走者有無どちらでも可)」。T13は、「視力は0.03以上0.1までのものと、視野が5度以上20度以下のもの(伴走者無)」。従って、パラリンピックの視覚障害者マラソンの金メダルは、クラス毎に3名の選手が手にすることになります。
以上のように、ひと口に視覚障害者マラソンと言っても、見た目の伴走者有無だけで判断することはできません。つまり、国際的な公式競技会に出場するには、国際認定を持った専門のドクターから視力検査及びクラス分け認定を受ける必要があります。同時に、このクラス分け認定を受けることで、選手自身もはじめて世界の舞台で正々堂々と、公平な勝負ができるようになるのです。(詳細は割愛します。)
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