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5.ブラインドマラソン(合宿) Archive

2026夏を走る・11

【2026夏を走る・11】北海道北見市での強化合宿(2回目)は無事に終了しました。今年も北見市教育委員会の皆様をはじめ、多くの方からのご支援を賜りました。あらためて、御礼申し上げます。

さて、今回の強化合宿は、コンディションにも恵まれました。具体的には、合宿後半になるほど、天候は曇り空が多くなり、トレーニング中の気温も20度前後と、走り込むには絶好のコンディションが続いたからです。

そんな中、計画どおり、7泊8日間の強化合宿でメインになる「40k走」を3本消化することができました。もちろん、ケガや故障もなく……。また、今回の強化合宿には、箱根駅伝常連大学でもある帝京大学駅伝競走部から来田(らいでん)選手に伴走サポートとして参加頂きました。

同大学からの伴走サポートは、年間を通じてコンスタントに派遣頂いており、本当にありがたい存在です(中野孝行監督に感謝です)。特に、今回は伴走サポートよりもトレーニングパートナー的な要素がメインとなりましたが、堅実な走りでブラインド選手たちをけん引してくれました。

ところが、合宿初日に来田選手曰く、「40k走はやったことがない」。普通なら「ちょっと自信がありません」などと言いそうな状況でしたが、40k走を指定された設定ペースで最後までキッチリと引っ張ってくれました。もちろん、3本とも!

あらためて、ブラインドマラソン強化合宿の目的でもあり、特徴的なのは「質より量」を重視した「走り込み」です。マラソントレーニングは様々なトレーニング理論や方法がありますが、特に夏の同合宿においては何よりも走り込みを重視します(マラソン攻略の基本は走ってなんぼ)。

これまで、多くの学生選手たちの伴走サポートを受けてきましたが、走る量の多さに途中でギブアップする学生選手たちもいました。今回、単身で伴走サポートとして同合宿に参加頂いた来田選手は、抜群のペース感覚を持っており、起伏のあるコースでも「1秒」の誤差もなく、たんたんと先頭を走っていました。

また、来田選手は暑さにも強く、フォームも安定していました(私世代にいた駅伝になると力を発揮した職人選手のような走り)。これは私の主観になりますが、このまま鍛えていければ、箱根駅伝の復路後半区間の候補選手に名を連ねる可能性も……。もちろん、ブラインド選手たちも10月のアジアパラや12月のマラソンに向け、来田選手のような安定感のある走りを発揮してほしいと……。

2026夏を走る・10

【2026夏を走る・10】8月3日(月)から北海道北見市において、ブラインドマラソン強化合宿を実施しております。都内や千葉県は30度を超える厳しい暑さが続いておりますが、ここ北見市においても日中の気温は30度を超える暑さとなっております。

一方、ちょうどひと月前の同合宿に比べるすると、朝晩の気温がグッと下がってきた感じがあります。具体的には、早朝の気温は20度以下まで落ちるので、Tシャツ・短パン姿で表に出ると、逆に寒く感じます。

ところが、お昼を過ぎたあたりから気温は一気に上昇し、30度を大きく超える暑さになります(寒暖の差が大きい)。そんな中での強化合宿ですが、陸上競技場でのスピード練習時は、夏休みということもあって、中学生や高校生が大勢走っております。

トラック上では照り返しなどもあるので、外気温よりもさらに上昇します。特に、北見市に住んでいる地元の中高生たちは暑さによる影響で、動きが緩慢になっている様子が伺えます。私が強化選手たちのタイムを計測していると、ある高校生がトラックを疾走したあとそのままフィールドでへたり込み、「暑くて走れない」と弱音を吐いていました。

そのとき、顧問の先生が「視覚障がい選手たちは、気温40度の本土からわざわざここに来ているので、きちんと走れているぞ!」「暑さに負けるな!」と……。このとき、手元の寒暖計は気温28度前後でしたが、湿度が50%程度だったので、私の主観でも暑さはほとんど気にならないレベルでした。

特に、湿度が50%前後以下だと発汗した汗がうまく蒸発していくので、Tシャツもサラッとした感じが、最後まで続きます。つまり、都内や千葉県のように汗がまとわりつくような不快感をほとんど感じないのです。

案の定、強化選手たちは計画したスピードトレーニングをキッチリとこなし、翌日の40k走(起伏走)もしっかりと走り切っていました。そして、練習後は多くの選手たちが「今年は走りやすい(涼しい)」と、話していました(気温が30度を超えていても)。

さて、千葉県富津市富津公園などでは、暑さの中での強化合宿や練習会を継続しています。しかし、「こんな過酷なコンディション下での強化合宿は、本当に効果があるのか?」と、私自身が不安に感じることも多々ありました。

今回の北見合宿において、暑さを克服していくにはある程度過酷な環境下における暑熱順化が必須であると、あらためて感じた次第です。また、強化選手たちは「暑さに強くなっている」とも……。北見合宿も後半に入りますが、残りの40k走(2本)をきっちりと走ります。

2026夏を走る・7

【2026夏を走る・7】北海道北見市での強化合宿は無事に終了しました。内容も当初の計画どおり、「ホクレンディスタンス5000m×2本」と「40k走×3本」を消化することができました。あらためて、関係者の皆様に御礼申し上げます。

さて、強化合宿や日々のトレーニング計画は、チームや個々によって違います。それは、トレーニング計画を作成する指導者や選手個々の経験や実績が強く反映されることや、その時代に合ったトレーニング理論などから影響を受けるからでしょうか。

同時に、そのトレーニング計画で成果を残した場合、それをベースに次回以降はさらに量や質を上げていくのも一般的でしょう。したがって、選手の多くは走力向上や実績にともない、よりハードなトレーニングへと移行していきます。

ところが、人の身体は機械ではないので、必ずどこかで頭打ちが……。その前兆として、身体のケガや故障が増えてきたり、疲労の回復が遅くなってきたりと、身体からの警告が必ずあります。

私が現役時代のころ、「翌日に疲労の残らないトレーニングを継続しても成長しないが、日々のトレーニングでケガや故障をしては元も子もない」。まさにトレーニング理論の矛盾を言い当てていると、その当時は感じました。

また、ハードトレーニングになるほど、肉体的にも精神的にも余裕が無くなってくるのは、どの選手にもいえることでしょう。そのため、トレーニングが単なる「作業(ノルマ)」に陥る傾向が強まり、何とかやり遂げたことに対する満足感や達成感の方が強くなっていく……。

その結果、そのトレーニングが今の自分にどんな効果があり、どんな成果に結びついていくかを考察するゆとりが薄まっていくようにも感じます。もちろん、全ての選手に当てはまることではありませんが、長距離・マラソンのトレーニングは、その傾向に陥る可能性が高いような……。

あらためて、ブラインドマラソン強化指定選手(視覚障がいランナー)のメンバーは、高齢化が進んでおり、それを補う若手選手の台頭もほとんどない状況が続いております(これは普遍的な課題ですが……)。したがって、強化合宿のメンバーはほとんど変わらず、トレーニング内容の変化が少ないのも確かです。

まさに、「練習(トレーニング)」が「作業」に陥るリスクの高い状況ともいえるかもしれません。この後、もう一度、北海道北見市で強化合宿を計画しているので、この点の意識改革を継続していきます。

2026夏を走る・6

【2026夏を走る・6】ちょうど1週間前の7月3日金曜日からクラブチームの合宿を長野県菅平高原で実施。そして、今週の7月7日火曜日から北海道北見市に移動し、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しております。

この合宿はちょうど1週間ですが、この間にホクレンディスタンス網走大会と北見大会の「5000m」を2本走ります。この流れは毎年同じで、そのレースの合間に「40k走」を3本実施するのも恒例となっております(既に、網走大会と1本目の40k走は終了)。

特に、パラ選手が一般の大会に出場し、その記録をWPA公認扱いにするための準備や手続きは簡単ではありません。したがって、国内のトップランナーが出場するそのホクレンディスタンス大会に、我々のブラインド部門を加えていただくことは、本当にありがたいことです。あらためて、大会関係者の皆様に御礼申し上げます。

一方、マラソントレーニングに欠かすことのできない「距離走(40k走)」についても、北海道の道路は信号が少なく、長い距離を走るトレーニングには適しているといえます。かくいう私も、現役時代の夏は、北海道の道路で走り込みをしていました……。

ところが、信号が少ない分、逆に走っている車のスピードは比較的速く、路面も荒れている箇所が多いのも確かです。そんな状況もあり、ブラインド選手が、ガイドランナーと並走して走るための安全を確保するのは、逆に難しい……。

それらの問題を、当時の北見市教育委員会に相談したところ、能取湖の沿岸に整備してあるサイクリングロードを紹介していただきました。早速、そのサイクリングロードを視察したところ、途中にある駐車場から片道4kを往復するコース設定が可能であることを確認。その後、無事に「距離走(40k走)」を実施することができるようになりました。

また、これも毎年のことですが、「安全に走れるように」と、地元関係者のご厚意で、その4k区間の除草などの整備を合宿前に実施いただいております。本当に感謝しかありません。重ねて、御礼申し上げます。

このように、たった1週間程度の合宿ですが、多くの方々のご理解とご支援に支えられているのです。合宿も後半に入っていきますが、感謝の気持ちを成果で返せるよう、しっかりと走り込んでいきます。

2026夏を走る・4

【2026夏を走る・4】長野県上田市菅平高原において実施した強化合宿は無事に終了しました。今回の強化合宿は、箱根駅伝を目指す創価大学の学生選手たちが伴走サポートとして、参加してくれました。やはり、走力の高い選手(ランナー)が伴走サポートに入ると、量も質も充実したトレーニングになります。ありがとうございました。

その箱根駅伝は今や国民的行事となっており、それを目指す各大学の取組みやトレーニング環境は、実業団レベルを超えているといっても過言ではありません。また、今合宿のような伴走サポートを通じて何かを吸収しようとする姿勢が顕著なのも、箱根駅伝常連大学の学生選手たちのような印象はあります。

高校時代に5000mを13分台で走っているような学生選手でも、伴走ロープを通じて何かを学び、それを箱根駅伝に活かそうとする姿勢が見られます。もちろん、合宿に参加する学生選手はブラインドマラソン強化合宿のトレーニング計画などに対して意見することもなく、まずは体験し、その違いを積極的に学ぼうとします。そして、人の話をよく聞きます。

いつの時代も、強くなっていく選手の競技に対する姿勢は変わらない……。

さて、6月の菅平高原は全国から実業団選手たちが集まってくる時期でもあります。今回の合宿中も多くの実業団チームがトラックなどで走り込みを実施していました。ところが、菅平高原は準高地といいながら標高は1500m前後あるので、そこにうまく順応できない選手は苦戦します。

今回も実業団選手たちのトレーニングを拝見していると、トレーニング計画どおりに走れない選手たちも散見されました。特に、インターバルトレーニングのような心肺を追い込む場合、途中から一気に失速したり、過呼吸に陥ったりする選手もいました。

もちろん、実業団チームの監督やコーチは、高地トレーニングについての知見も豊富なので、間違いのないトレーニングを実施しています。ところが、人の身体は個々に特性があり、一般的な理論が全ての選手に当てはまるとは限りません。

同様に、ブラインド選手たちは視覚に障がいを持っていますが、どの選手も微妙にその症状(視力や視野)が違います。したがって、同じトレーニングを実施していてもその影響が微妙に影響します。

ところが、それが本当に視覚障がい(視覚情報)の違いによるものなのか?単純に走力の違いなのか?実際に、この判断は難しい点のひとつです。もちろん、その選手個々の症状や状態を見極め、日々のトレーニング内容に反映していくことが……。

2026夏を走る・1

【2026夏を走る・1】今週の3日水曜日から千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施予定でしたが、台風の影響で木曜日にスライドさせてのスタートとなりました。もちろん、台風の影響で合宿の日程が変更になったのは初めてのことでしたが……。

また、いつもの富津強化合宿は土曜日からスタートし、水曜日までの4泊5日で実施するのが定番です。しかし、今回はこの後の大会を踏まえ、水曜日から日曜日までの日程としました。

さて、富津強化合宿の初日は(どの合宿も)、移動の疲れも加味し、軽めの調整にしています。しかし、今回は台風の影響で1日少なくなったので、集合した木曜日の午後からポイント練習(インターバル)を実施しました。案の定、走った選手たちの動きは重たく、どの選手たちもいっぱいいっぱいな感じでした……。

あらためて、強化合宿や大会などの遠征は移動が伴います。日ごろ、そんなに意識しない遠征時の移動ですが、意外と疲労が伴います。特に、合宿などの場合は荷物も多くなり、電車や飛行機を乗り継いで移動する際、かなりの負担になります。

至極当然のことながら、そんなことを表に出す選手はほぼいません……。もちろん合宿の場合、移動の疲労も加味しての強化になるので、移動を言い訳にする選手もほぼいません。ところが、これが大会に出場するための移動だった場合はどうでしょうか?

多くの場合、大会の前日に移動するのが一般的です。移動後は現地で一泊し、ゆっくりしてから翌日の大会に備える日程です。しかし、意外とよくあるパターンが、その移動時の電車や飛行機の中で熟睡してしまい移動した宿舎でほとんど眠れなかったなど、移動時の過ごし方で最後の調整が崩れてしまうケースです。

また、移動の疲れは加齢などによっても変わってくるので、その疲れが大会当日に出てしまうこともあります。したがって、日曜日の大会時は、土曜日ではなく金曜日から現地入りすると、調整がうまくかみ合ったりします。この場合、前述した移動時に熟睡したとしても、その問題も解消できます。

特に、大会出場に伴う移動は予算の関係もありますが、前述したようなことを振り返っておくことは大切です。特に、マラソンの場合、数カ月の走り込み(努力)が、前日の移動によって「水の泡」になる可能性もあるので……。

2026春を走る・10

【2026春を走る・10】長野県上田市において、今年最初の菅平合宿を実施しました。ご存知のとおり、菅平高原は標高が1500m前後の準高地と言われており、多くの長距離・マラソン選手たちにとって、合宿拠点のひとつになっています。

高地トレーニングの詳細については割愛しますが、平地に比べて標高が高い分、身体に負荷がかかります。したがって、平地でトレーニングをするよりも心肺機能などを、効果的に強化することができます。

一方、標高が高くなると、選手個々の適応能力に差が出てくるのも確かです。つまり、標高が高くても平地とそん色なく走れる選手。逆に、本来の調子で走れなくなる選手(高地に順応できないタイプ)など様々です。

要は、平地でトレーニングをする感覚で、同じような視点で調子の良し悪しを判断していくことが難しくなります。実際に、菅平高原でのトレーニング内容が悪くても、平地に降りると普通に走れる選手がいます。つまり、そこが高地トレーニングの難しいところでしょうか……。

さて、今年もこの後、この菅平高原で強化合宿を何度か実施します。今回実施したGW期間中のブラインドマラソン強化合宿も毎年恒例となっており、参加した選手たちは予定通りのトレーニングを消化することができました。

そして、この後はトラックレースに出場していきますが、トラックレースの調整もマラソン同様、基本は「練習量を落として調子を上げていく」。これになりますが、トラックレースはスピードを追求する分、同じような調整にならないのも確かです。

また、国内のWPA公認のトラックレース(視覚障がい部門)に出走する選手たちは、今回の強化合宿メンバーとほぼ同じなので、レース中の競争も限定的になります。つまり、視覚障がい部門の中長距離トラックレースに出場する選手は極端に少ない上、個々の走力が違うので競い合うこともほぼなく、それぞれが単独走になってしまう……。

特に、トラック競技の中長距離種目にとって、競い合いが成立しないレースは致命的とも言えます(記録を狙うのが難しい)。しかし、逆にトラックレース特有の苦しみや我慢は、最終目標のマラソンにもつながります。どの選手もそれぞれの自己記録更新に向かって、果敢にチャレンジしてくれることを信じております。

2026春を走る・5

【2026春を走る・5】新年度がはじまりました。例年のことながら、どこの会社も新人社員が入り、各学校にも新入生が入ってくる季節です。また、組織の改正や人事異動など、新しい環境でのスタートが多い季節でもあります。

そんな中、ブラインドマラソンの夏合宿でお世話になっている北海道北見市の宿泊ホテルが諸事情により、撤退(廃業)するとの連絡がありました。もちろん、早急に代わりの宿泊先を探す必要がありますが、総勢20数名が1週間以上泊まれる宿泊先を見つけるのは簡単なことではありません。

しかし、今回も北見市教育委員会担当者のお力添えを得ながら探したところ、ブラインドマラソンの夏合宿を受け入れて頂ける、次のホテルを見つけることができました。早速、北見市内にあるそのホテルへ出向き、ホテル担当者と北見市教育委員会担当者で、具体的な打合せなどを行ってきました……。

さて、陸上競技の駅伝やマラソンなどの合宿で宿泊するホテルや旅館などを選定することは、実は簡単ではありません。その主な理由は、合宿するチームや選手からの要望や条件が多岐に渡り、宿泊先との折り合いをつけることが難しいからです。

具体例をいくつかあげてみますが、まずは「食事」です。もちろん、チームや選手によっても要望事項は違いますが、原則として3食付きになります。さらに、食事内容もチームや選手の専属栄養士を通じての具体的な要望事項もあり、予算や食事内容の調整が必須になります。

ふたつめは、「お風呂(洗濯も)」になりますか……。実はこれも各部屋に備わっている場合は例外ですが、旅館などの場合、朝から夜までの間、いつでも入浴できる状態が必須になります。なぜなら、合宿の場合、「朝、午前、午後」の3部練習を実施するからです(洗濯も同様です)。

これ以外にも、宿泊先がトレーニング施設に隣接しているか否かなど、細かい条件を積み上げていくと、かなりの要望事項になるのです。これらの条件を提示し、宿泊先との調整は簡単なことではありません。

今回、北海道北見市における夏合宿でお世話になるホテルが変わりますが、これまでの夏合宿と同じような内容で実施できるめどがつきました。あらためて、ホテルの皆様、北見市教育委員会の皆様に御礼申し上げます。

今年度もロスパラを目標にしっかりと走り込んでいきます!

2026春を走る・4

【2026春を走る・4】今年度最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。今回の強化合宿も前回同様、男子の主力選手たちが揃っていたので、質の高い走り込みができました。

また、今回も順天堂大学の学生選手が、伴走サポートとして参加。そして、創価大学の学生選手も初めて参加頂きました。あらためて、ご理解ご支援頂いている各大学の関係者に厚く御礼申し上げます。

さて、視覚障がい者が走るには、伴走者(ガイドランナー)が不可欠なのはいうまでもありません。しかし、パラリンピックを目標にしている強化指定選手レベルになると、どなたでも伴走ができるとは限りません。

もちろん、視覚障がい選手との相性や背格好が似ているか否かなど、一緒に走る上でのポイントはありますが、何よりも優先されるのは「伴走者の走力」になります。つまり、伴走者の性格や人間性が優れていても、視覚障がい選手をゴールまで確実に導ける走力がなければ、その伴走者を選出することはできないのです。

実は、この点が最も悩ましい点でもあり、逆に国際大会などで大きな失敗をする原因にもなっているのです。つまり、視覚障がい選手は、目から情報を得ることが難しいので、話した印象や単純に走り易さで伴走者を選ぶ傾向が強くなるとも言えます(その結果、伴走者の選定を誤る)。

今回の強化合宿に伴走サポートとして参加した学生選手たちは、走力はもちろん、人間性も素晴らしく、伴走者としての条件を全て満たしています(過去に参加した学生選手たちも)。また、パラリンピックの視覚障がいマラソンは、単独走の選手もいます。したがって、パラリンピックの伴走者は、その選手たちのトレーニングパートナーとしての役割も担います。

強化合宿中は、伴走ロープを持って視覚障がい選手を伴走するのがメインでも、ときにはペーサーとして単独走の選手たちの先導もするのです。実は、ある特定の選手ばかりを伴走していると、伴走者の走力が低下してくるリスクがあります(特に、女子選手の伴走者は)。

それを防止する視点からも、定期的に視覚障がい選手と伴走者とのコンビを入れ替えることなども必要です。具体的には、単独走の視覚障がい選手のペーサーをしたり、伴走者だけのトレーニングを実施したりすることも、強化合宿では不可欠なのです(実際に実施している)。

要は、今合宿のように箱根駅伝を目指している現役バリバリの学生選手たちが、伴走サポートとして参加して頂けることが、視覚障がい選手の強化には欠かすことができません。そして、その伴走サポートが、2028年開催予定のロスパラでのメダル獲得へつながっていくことも、過去の経験と実績からも確かなのです……。

2026春を走る・2

【2026春を走る・2】寒暖の差が大きく、まさに三寒四温の天候が続いています。そんな中、いつもの千葉県富津市富津公園において、強化合宿を実施しました。内容的には、いわゆるトラックシーズンに移行する時期とも重なるので、トラックでのスピード練習を重視しました。

また、2月の別府大分毎日マラソン大会からひと月が経ち、出場した選手たちの疲労もほぼ抜けてきました。そんな状況も重なり、今回の強化合宿には、男子選手のトップ5全員がそろいました。

至極当然のことですが、マラソン練習は単独よりも、仲間たちと競い合いながら走り込んでいく方が効果的です。したがって、今回の強化合宿は久々に「切磋琢磨」を、それぞれが体現できた強化合宿となりました。

上記した別府大分毎日マラソン大会を制した百戦錬磨の和田選手が積極的に先頭を走り、20代の大石選手が最後尾を必死に食らい付く……。一般のマラソン練習ならごく普通の何気ないひとコマですが、視覚障がいマラソン(中長距離も)においては、本当に久々の光景でした。

あらためて、視覚障がい者のマラソン人口は少なく、さらにパラリンピックを目標に掲げるような視覚障がいランナーは、国内に数名程度です。さらに、高齢化の波が押し寄せており、ブラインドマラソンの強化体制もいつまで維持していけるのか……悩みはつきません。

そんな綱渡り的な状況が続いていますが、今回のように少ない人数でも直接顔を合わせることができれば切磋琢磨もできるのです。このように、我々が強化合宿に重点をおいている理由はそこにあります。

また、今合宿の後半は、M高史氏にも合流頂き、「ゲタ」による動きつくりも実施することができました。もちろん、視覚障がいランナーにとっても動きつくりは重要ですが、目からの情報(※)を得ることが難しいので、一般ランナーのように「見よう見まね」をしながら体得していくことはできません。※視覚障がいは「情報障がい」と言われるゆえん。

したがって、逆にゲタのように履いて歩くだけで、身体の使い方を体験できる方法は、視覚障がいランナーにとっては最適なのです。今回も、M高史氏(※)のわかり易い指導の下、どの選手たちも積極的に動きつくりに取り組んでいました。※M高史氏は、4月から当協会の強化スタッフに就任します。

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