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7.ブラインドマラソン(研修会) Archive

2025秋を走る・2

【2025秋を走る・2】日本ブラインドマラソン協会が主催する伴走養成研修会が滋賀県野洲市において開催され、私も講師として参加してきました。今回も多くの熱心な受講者にご参加いただき、充実した研修会を実施することができました。

そして何よりも、実技の会場となった希望が丘文化公園内には陸上競技もあり、視覚障がいランナーたちも安全に走れる環境が整っていました。また、この公園は、滋賀県内を主な活動拠点とし、ブラインドマラソンの普及と発展に大きな貢献をしてきた「びわこタイマーズ」も練習拠点にしています。

そんな素晴らしい環境下で、今回の伴走者養成研修会を無事に実施することができました。まずは厳しい残暑が続く中でしたが、ご参加いただいた皆様、たいへんお疲れさまでした。あらためて、御礼申し上げます。

同様に、研修会の講師として、アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきさんをはじめ、多くの方のお力添えもありました。重ねて御礼申し上げます。

さて、研修会の実技講習をしているときにいつも感じる点があります。特に、研修会に参加している視覚障がいランナーとその伴走者は、とても楽しそうに走るのですが、そのときに手足がしっかりと合っていない(シンクロしてない)コンビが実に多いことです。

もちろん、どの伴走者も視覚障がいランナーも伴走ロープ(絆)を持って走る際、最も大切なポイントは「手足を合わせる(シンクロさせる)」ことを、十分に理解しているはずなのですが……。

あらためて、人間の習性として「他人のリズムに合わせることが苦手」と、この研修会を通じていつも思ってしまいます。一方、一緒に二人で並走している以外の時間も実に仲が良く、とても楽しそうな時間を共有しているコンビが多いのも確かです。

これまで私が関係してきた視覚障がいランナーは、主にパラリンピックなどでメダル獲得を目標に走ることが何よりも優先されてきました。もちろん、伴走者も……。したがって、視覚障がいマラソンを速く走るための優先順位としては「伴走の技術(+走力)」が第一になります。つまり、まずはお互いがしっかりとシンクロして走っているか否かです。

ところが、今回のような研修会に参加される方の多くは、「楽しく生き生きと走る」ことが第一で、伴走の技術はほとんど気にしない(気の合う人と走りたい)。とても極端な見方になっていますが、要はどちらが良いか悪いかではなく、どんなスポーツも「強化と普及」は車の両輪として必ずセットで考えます。したがって、両方とも大切なことは確かなのですが……。

今回の伴走養成研修会も、私自身がいろいろと考える良い機会になったのも確かでした……。

2025夏を走る・3

【2025夏を走る・3】愛知県豊田市において「伴走者養成講習会」が開催され、その講師としてお手伝いをしてきました。今回の講習会は、豊田ブラインド伴走協会のご支援とご尽力により、開催することができました。あらためて、感謝申し上げます。

特に、同協会の会長でもある山本氏の素晴らしいリーダーシップにより、今回の講習会はもちろん、年間を通じてとても熱心な活動が継続されています。また、山本氏はマラソンだけでなく、100mなどの短距離種目の伴走も手掛けるなど、本当に情熱的な人柄です。

何事にも共通していますが、情熱的なリーダーがいる活動には多くの人が集まります。今回の山本氏から話を伺うと、伴走活動以外にも様々なことを手掛けており、それぞれの活動が結びついて更に大きくなっていくような相乗効果を自ら仕掛け、自ら実践しているのです。

また、物事を長く継続できている人や、いわゆる「打たれ強い人」に共通していることのひとつに、「情熱的でよく動く」があります。つまり、よく動くので長く続く。また、よく動くので人よりも目立ち、その結果として批判もあびる。しかし、情熱的でよく動くので、いちいち立ち止まったり、クヨクヨしたりもしない……。

あらためて、全国各地からの依頼を受け、伴走者養成講習会のお手伝いもしていますが、どこの講習会においても必ず情熱的なリーダーが存在します。そして、その姿に我々講師の方が感銘を受け、学ぶ点や参考にすることが多いのも確かです。

特に、周りの人を焚きつける人間力には、毎回感銘を受けます。一方、その力を言葉や文字などであらわすことは意外と難しく、「なんで、あんなことができるのか?」と、今回の講習会もいろいろと考える機会になりました。

次回、山本氏とお会いできるときは、もっと掘り下げたお話を伺いたいと思います……。

2024冬を走る・2

【2024冬を走る・2】この1週間は、地元中学校(千葉県君津市)でのオリパラ教育講師や講演会。また、地元中学生への陸上指導など、中学生とかかわることの多かった1週間でした。

さて、私が住んでいる千葉県君津市も少子化などの影響で人口が減っており、中学校の統廃合が進んでいます。特に、君津市の地形(地図上)は、房総半島の内陸に向かって広くなっている特徴があるので、市内の多くは山や田んぼに囲まれたのどかな地域でもありますが、逆にそれらも影響しているのでしょうか。

そして、その房総半島の内陸(君津市内)に向かって走っている路線が、JR久留里線(木更津駅発)です。特に、最近では全国有数の赤字ローカル線として、鉄道廃止が濃厚と言われている同線の久留里駅から上総亀山駅間(君津市内/9.6km)は、マスコミでも頻繁に取り上げられています。

私が中学生のころ、この駅間には3つの中学校(久留里中学校、松丘中学校、亀山中学校)がありました。しかし、数年前にその3つの中学校と、久留里駅の2つ手前の小櫃駅(おびつえき)近くにある小櫃中学校が統合し、上総小櫃中学校になりました。

それにともない統合後の新しい校舎は、旧小櫃中学校をリニューアル。また、小櫃駅から上総亀山駅間には6つの駅があることからも、統合後の学区は超広範囲に……。したがって、多くの生徒たちの通学手段はマイクロバスになりました。ところが、統合後もひと学年40数名と少なく、生徒数はさらに減少していく見通しです……。

そんな状況ですが、上総小櫃中学校は毎年オリパラ教育(体験学習)を積極的に行い、私にも声をかけてくれます(講師として)。本当にありがたいことです。そして、田んぼに囲まれたこの校舎近くの農道は私が中学3年生のとき、初めて学校代表選手として君津市内の中学対抗駅伝大会を走った思い出の場所でもあります(40数年前)。

そのとき、私の中学校(現在は統合して周東中学校)は、力を結集して見事に優勝。このとき私はアンカーに抜擢され、初出場ながら優勝ゴールを経験する幸運にも恵まれました。そして、区間賞まで獲得。まさに陸上競技(長距離)を志すきっかけになった大会(経験)でした。

そんな私自身にとっても原点となるこの場所へ、今度は講師として訪れるとは……。

まさに運命と言うのか……。

そして、今の自分にできることは……。

2024秋を走る・10

【2024秋を走る・10】11月10日、徳島県徳島市において伴走教室が開催されました。その伴走教室に講師として私も参加してきました。その会場は地元の小学校体育館でしたが、当日は天候にも恵まれ、65名の参加予定者全員が無事に足を運んでくれました。

伴走教室の内容は、はじめに「視覚障がい」や「介助方法」などを説明する講義と、その内容を実際に体験する実技の2本立てになっています。原則として、これはどこで開催しても同じ流れになりますが、徳島の皆様はとても熱心に受講してくれました。

最初の講義が終わり、いよいよ実技です。その実技の最初は2人組になって、交代でアイマスクを着用して歩く体験からはじめます。日ごろ、目隠しをして歩いたり、目をつぶって何かに触ることはほぼ無いので、どの参加者も戸惑います。しかし、この経験が最も視覚障がい者のことを理解できる体験であることは確かです。

さて、一般的な話になりますが、人は1分間に15回から20回程度まばたきをしているそうです。仮に1日16時間ほど起きていると仮定した場合、約15,000回もまばたきをしていることになります。また、まばたきは1回に0.1秒から0.15秒かかると言われているので、かけ算をすると、起きている間も24分から48分程度は目を閉じていることになります。

実は、起きていても見ていない時間がそんなにあるとは何とも不思議ですが……。逆に言えば、人は見えていることが普通であり、情報のほとんどは目から得ているとも言えるでしょうか。だからこそ、あえて見えない体験をすることで、目以外からの情報をどのように得るのかを考えたり、視覚障がい者に対し、言葉で見えている情報を、どのように伝えるかを考える時間にもなります。

つまり、「視覚情報の言語化」です。

伴走(介助)は、伴走者が目から得た情報を横にいる視覚障がい者にどのような言葉で伝えるかが、最大のポイントになります。特に、一緒に並走していると、目の前の景色は一瞬で変わっていきます。そんな中、視覚障がい者の安全を確保するためには、伴走者がその都度的確に情報をつかみ、短い言葉で正確に素早く伝えなくてはいけません。

まさに「視覚情報の言語化」です。今の時代はSNSによる情報のやり取りが多くなり、自分が見たことや体験したことを、自分の言葉で直接相手に伝える機会が少なくなってきたように感じます。つまり、言葉によるやり取りが激減し、SNSの影響から逆に情報過多の状態に陥り易くなっています。

その結果、詐欺やフェイクにほんろうされる時代になってきたとも言えるのでしょうか。だからこそ、「視覚情報の言語化」が必須の伴走教室は、もっと注目される活動になっていくのかもしれません……。

2024秋を走る・2

【2024秋を走る・2】9月も後半に入りましたが、厳しい記録的猛暑が続いています。また、11月以降のマラソンに備え、本格的な走り込みを開始する季節ですが、ジョギングすることも厳しい状況でしょうか。そんな過酷なコンディションが続く中、日本ブラインドマラソン協会主催の伴走者養成研修会を実施しました。

今回の研修会は千葉県富津市富津公園で行いました。もちろん、同地で研修会を開催するのは初めてですが、強化合宿においては拠点にしている場所でもあります。また、今回の研修会には、アテネ五輪女子マラソン金メダリストで、当協会理事でもある野口みずき氏も駆けつけてくれました。

研修会の内容は、伴走に関する講義や実技指導など多岐にわたり、1泊2日の日程で実施されました。講義では伴走に関するルールはもちろん、視覚障がいに関することなど、かなり深掘りした内容もありました。

私は当協会においては、パラリンピックを目指す強化指定選手をサポートする担当なので、国際ルールは常に意識しています。ところが、国内ルールと国際ルールは似ていますが同じではありません。(詳細は割愛しますが、ダブルスタンダードになっている)。

したがって、いわゆる伴走ロープ(絆)と呼ばれているものも、国内ではロープを輪にしたものが一般的ですが、国際基準ではテザーと呼ばれている手錠型のものが指定されています。しかし、一般的にはほとんど認知されていないことを再確認することができました(国内ルールは伴走ロープでも可)。

続く実技講習においては、伴走の基本的なことからになりました。もちろん、伴走歴の長い方も多く、伴走ロープを持って走ることに対する抵抗感を持っている参加者はほとんどいませんでした。ところが、視覚障がいランナーのフォームや歩調に合わせて走ることが、できていない方が多いことにも少し驚きました。

さて、どんなスポーツもトップを極める「強化」と、底辺を広げていく「普及」の両輪が回らないと、発展していくことはできません。今回のような講習会は普及の意味ではとても重要です。また、各地で普及している伴走クラブなどは、さらに重要で大切な活動になります。

ところが、公式の国際ルールや伴走技術など、一般ランナーの方々は意外と知らない(普及側に情報が伝わっていない)。一方、一般の視覚障がいランナーが「もっと速くなりたい」と、強く思っていても何をどのようにしたら良いかの情報や方法を知ることや、対応できる人材を確保することが意外と難しい(強化側に思いが伝わっていない)。

日本のブラインドマラソンは歴史もあり、強化と普及もそれぞれ発展していますが、両輪をつなぐ軸がとても細いことを、再認識しました。そして、今回のような伴走者養成研修会は強化と普及をつなぐ機会として「もっと力を注いでいかなくては」と、強く感じた次第です。

2024春を走る・11

【2024春を走る・11】ブラインドマラソンに欠くことのできない存在は伴走者です。具体的な役目としては、視覚障がいランナーの目や杖となり、横で並走しながら安全にゴールまで導くことです。

近年は、どのマラソン大会においても視覚障がいランナーが参加することを拒むようなことはなくなり(かつては安全上の理由などから拒まれた)、各地のマラソン大会においても伴走者と楽しく走る視覚障がいランナーを拝見する機会は増えました。

また、その伴走者を養成するための研修会を、日本ブラインドマラソン協会などが中心となって開催しております。かくいう私もそのお手伝いをすることがあり、先日も伴走者養成講習会の講師をしてきましたが、最近は伴走に興味関心を持って頂ける一般ランナーが増えました。

一方、「視覚障がいランナーは増えているのか?」と言えば、実はそうではありません。正確な数字での確認はできませんが、30歳代より若い世代の視覚障がいランナーは確実に減っていると感じます。逆に、視覚障がいランナーの高齢化はどんどん進んでおり、年齢や体力的な理由からランニングをやめていく人は増えています。

その結果、前述したように視覚障がい者のマラソン人口は減少傾向にあります。

視覚障がいランナー(特に若い世代)が減少している理由を正確に把握することは難しいですが、事実として全国にある特別支援学校(旧盲学校)の在籍生徒数は毎年減り続けています。これは、視覚障がい児童や生徒も地元の学校(一般の普通学校)にかよう「インクルーシブ教育」が浸透してきたこともその一因と言われています(良い意味で)。

ところが、視覚障がい者が一般の普通学校で学ぶ場合、体育については安全上などの理由から「見学になる可能性が高い」との調査報告もあります。つまり、本来なら体育(運動会や校内マラソン大会なども)で走ることを学んだり、体験もしていきます。しかし、皮肉にもその体験する機会を得ること自体が、逆に難しい環境になってしまうのです。

もちろん、インクルーシブ教育を否定しているわけではありません。しかし、小中高時代に「走ること」をほとんど経験しないまま成人することで、その後も「走ること」とは無縁の生活が続く可能性は高まると推察できます。

これまでは、視覚障がいランナーが「走りたいけど伴走者がいない」との話が多数でしたが、逆に「伴走したいけど視覚障がいランナーがいない」の時代に移ってきていると感じます。それも急激なスピードで……。

伴走講習会を受講された皆様におかれましては、視覚障がいランナーから「伴走できますか?」などの依頼を待つだけでなく、「一緒に走ってみませんか?私が伴走しますよ!」と、逆に声をかけて下さい。そして、運動経験の少ない視覚障がい者に「走る機会を提供」して頂きたいと、勝手ながらもせつに願う次第です。

2023夏を走る・6

【2023夏を走る・6】先日の7月1日は、千葉県佐倉市において伴走者養成研修会を実施しました。今回は、佐倉市を主な拠点に活動を展開しているニッポンランナーズ様の全面的なご協力(共催)のもと、無事に開催することができました。

当日は、あいにくの雨模様で、特に実技講習の場所や実施内容を変更するか否かの判断に迫られましたが、実技講習を開始する直前には雨があがりました。そして、予定していた実技講習は、「小出義雄記念陸上競技場(岩名陸上競技場)」のトラックで無事に実施しました。

あらためて、ニッポンランナーズの皆様、ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。

さて、毎度のことですが、伴走養成講習会の実技は実際に伴走ロープ(絆)を持って、歩いたり走ったりの実践講習となります。したがって、最初は歩き(伴歩)から入りますが、途中から走り(伴走)に移行し、繰り返し走ります。

そのため、講習会と言うよりも練習会に近い内容に移行していくことになります。もちろん、講習会なので無理なことは実施しませんが、実技の後半は体力的にしんどそうな方を見受けるのも常です。このように、スポーツに関する講習会は多かれ少なかれ体力を使うので、主催者側としても最善の注意をはらいながら進めていきます。

しかし、今回の講習会に関しては、ニッポンランナーズ会員の皆様がメインだったこともあり、そんな不安を抱くことは全くありませんでした。実は、当日の午前中は激しい雨が降っていたにもかかわらず、同会員の皆様は元気にクロスカントリーコースを走っていたのです。

雨天のクロスカントリー走は足元が極端に悪くなるので、競技レベルで走っている選手たちでも嫌がります。ところが、そんなことはお構いなく、黙々と走っている姿は驚きでした。そして、その皆様は走り終えると、そのまま午後の伴走養成講習会の受講者へと……。

ニッポンランナーズ様は齊藤太郎理事長のもと、ランニングに関する講習会や練習会を愚直に継続しています。特に会員の皆様は、マラソンのタイムに一喜一憂することなく、どんなコンディション下でもランニングを楽しめる体力と気力を身につけています。

そして何よりも、会員の皆様はランニングを継続することで、逆にどんなことにも挑戦し、そこから何かを学ぼうとするポジティブな気持ちにも満たされています。その結果、それぞれの人生がより豊かになっていくと……。

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