Home > Archives > 2026-08

2026-08

2026夏を走る・13

【2026夏を走る・13】クラブチームの仲間たちと長野県菅平高原で夏合宿を実施してきました。これは毎年恒例となっている菅平合宿(2泊3日)ですが、今年も充実した走り込みと、仲間たちとの親睦を深めることができました。

また、同じ旅館には箱根駅伝出場を目指しているH大学も合宿をしていました。実は、昨年も一緒でした。もちろん、彼らはひと月以上の長期間に渡ってこの夏合宿を実施しているので、我々のようなクラブチームの短期合宿とは内容も目的も異なります。

毎日、旅館の玄関に置いてあるホワイトボードに大学のマネージャーが、その日の練習メニューを書き込みます。そして、何気なく拝見すると、かなりレベルの高いトレーニング内容に驚かされました(失礼な言い方で申し訳ありません)。

あらためて、今の時代は情報化社会なので、いわゆるSNSなどを通じて箱根駅伝常連大学の練習メニューなどを簡単に知ることができます。したがって、箱根駅伝に出場できないチームの練習メニューを拝見しても、その内容などに大きな違いはありません。しかも夏合宿は、長期間に渡って実施しており、走り込みの量に関しても遜色ないと思われます。

では、箱根駅伝常連大学(強いチームや選手)との違いは何なのでしょうか?

いわゆる練習メニューやレースを走ることなどは、ある程度マニュアル化できる「形式知」になります。これはSNSなどを通じてだれでも情報として得ることができ、真似することができます。ところが、その得た情報を成果にするためには、どこがポイントになるかを常に考えながら継続することも必要です。つまり、積み重ねてきた経験や勘による「暗黙知」が不可欠になります。

私の主観になりますが、強いチームや個人はいつの時代も、日々の練習やその成果をレースで発揮するために、その土台となる私生活に乱れがありません。つまり、「規則正しい生活を送り、人間性を高めること(感謝の気持ちなどを忘れない)」に徹しています(習慣化)。

このような徹底した日々のルーティーンを通じて、体や心の小さな変化も選手自身で感じ取れる能力が高まっています。箱根駅伝常連大学は、まさに新聞紙を一枚ずつ重ねていくような日々の努力を継続していくことで、「暗黙知」が備わっているのでしょう。

もちろん、今回一緒だったH大学の大学生活を拝見することはできません。しかし、夏合宿そのものに大きな違いを感じなかったことで、逆に私自身がいろいろと振り返るきっかけになりました。つまり、これらはブラインドマラソン強化指定選手たちにも当てはまり、地元での日々の生活や練習にこそ課題が残っていることを……。

2026夏を走る・12

【2026夏を走る・12】千葉県印西市にある順天堂大学さくらキャンパスにおいて、ブラインドマラソン強化指定選手たちの乳酸カーブテストを実施してきました。今回の測定も前回同様、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。あらためて、御礼申し上げます。

さて、乳酸カーブテストは、マラソンや自転車ロードレース、トライアスロンなどの持久力が重要な競技において、自身の持久力レベルを数値化(可視化)することが主な目的になります。特に、乳酸閾値(LT値)を把握することで、レースやトレーニングにおける設定ペースや心拍数の目安を数値化(可視化)することができるようになります。

この測定は段階的に負荷を上げながら行われ、各ステージで血中乳酸濃度と心拍数を測定します。ランニングではトレッドミル、バイクではペダリングを用い、各ステージは3分間の運動と1分間の休息で構成されます。休息中に耳たぶや指先から微量の血液を採取し乳酸濃度を測定します。ステージごとに負荷を増加させ、乳酸濃度の変化をプロットすることで「乳酸カーブ」が得られます (抜粋資料から)。

血中乳酸値とは、血液中に含まれる乳酸の濃度(mmol/L)を指します。乳酸はかつて「疲労物質」として悪者扱いされていましたが、現在のスポーツ科学ではエネルギー源として重要な役割を果たすことが明らかになっています(抜粋資料から)。

運動強度が低い場合、体は主に有酸素系のエネルギーシステムを利用し、乳酸は産生されてもすぐに除去されるため血中乳酸値は低く保たれます。しかし、運動強度が上がると乳酸の産生量が除去能力を上回り、血中乳酸値が急激に上昇し始めます。この変曲点が「乳酸閾値(LT)」と呼ばれるポイントです(抜粋資料から)。

そして、この乳酸閾値(LT値)を定期的に測定していくことで、そのデータをもとに選手個々の状態を科学的に把握することでできます。さらに、トレーニング内容を科学的に修正していくことも可能になります。今回、測定した選手たちの状態は概ね良好でした(トレーニングも的確な内容でできている)。

一方、このようなデータやトレーニング内容などは、AIなどを活用すれば簡単に知ることが可能になってきました。その結果、専門的な知識がなくでも、誰でも簡単にトレーニング理論やトレーニング方法などを知ることも可能になりました。

ところが、AIなどを活用して現状を把握し、それを改善するための適切なトレーニング方法を知ることができたとしても、成果を出すためには実際に走ること(練習)が不可欠です。

つまり、どんなに科学的な測定方法やトレーニング方法を知ったところで、知識だけでは「速くなる(強くなる)」ことはできません。この点は、いつの時代も「知識(知る)」から「成果(できた)」の過程には「練習(生みの苦しみ)」があり、必ずアナログ的な行動を踏むことが不可欠なのは変わりません(情報過多に陥ってはいけない)。

2026夏を走る・11

【2026夏を走る・11】北海道北見市での強化合宿(2回目)は無事に終了しました。今年も北見市教育委員会の皆様をはじめ、多くの方からのご支援を賜りました。あらためて、御礼申し上げます。

さて、今回の強化合宿は、コンディションにも恵まれました。具体的には、合宿後半になるほど、天候は曇り空が多くなり、トレーニング中の気温も20度前後と、走り込むには絶好のコンディションが続いたからです。

そんな中、計画どおり、7泊8日間の強化合宿でメインになる「40k走」を3本消化することができました。もちろん、ケガや故障もなく……。また、今回の強化合宿には、箱根駅伝常連大学でもある帝京大学駅伝競走部から来田(らいでん)選手に伴走サポートとして参加頂きました。

同大学からの伴走サポートは、年間を通じてコンスタントに派遣頂いており、本当にありがたい存在です(中野孝行監督に感謝です)。特に、今回は伴走サポートよりもトレーニングパートナー的な要素がメインとなりましたが、堅実な走りでブラインド選手たちをけん引してくれました。

ところが、合宿初日に来田選手曰く、「40k走はやったことがない」。普通なら「ちょっと自信がありません」などと言いそうな状況でしたが、40k走を指定された設定ペースで最後までキッチリと引っ張ってくれました。もちろん、3本とも!

あらためて、ブラインドマラソン強化合宿の目的でもあり、特徴的なのは「質より量」を重視した「走り込み」です。マラソントレーニングは様々なトレーニング理論や方法がありますが、特に夏の同合宿においては何よりも走り込みを重視します(マラソン攻略の基本は走ってなんぼ)。

これまで、多くの学生選手たちの伴走サポートを受けてきましたが、走る量の多さに途中でギブアップする学生選手たちもいました。今回、単身で伴走サポートとして同合宿に参加頂いた来田選手は、抜群のペース感覚を持っており、起伏のあるコースでも「1秒」の誤差もなく、たんたんと先頭を走っていました。

また、来田選手は暑さにも強く、フォームも安定していました(私世代にいた駅伝になると力を発揮した職人選手のような走り)。これは私の主観になりますが、このまま鍛えていければ、箱根駅伝の復路後半区間の候補選手に名を連ねる可能性も……。もちろん、ブラインド選手たちも10月のアジアパラや12月のマラソンに向け、来田選手のような安定感のある走りを発揮してほしいと……。

2026夏を走る・10

【2026夏を走る・10】8月3日(月)から北海道北見市において、ブラインドマラソン強化合宿を実施しております。都内や千葉県は30度を超える厳しい暑さが続いておりますが、ここ北見市においても日中の気温は30度を超える暑さとなっております。

一方、ちょうどひと月前の同合宿に比べるすると、朝晩の気温がグッと下がってきた感じがあります。具体的には、早朝の気温は20度以下まで落ちるので、Tシャツ・短パン姿で表に出ると、逆に寒く感じます。

ところが、お昼を過ぎたあたりから気温は一気に上昇し、30度を大きく超える暑さになります(寒暖の差が大きい)。そんな中での強化合宿ですが、陸上競技場でのスピード練習時は、夏休みということもあって、中学生や高校生が大勢走っております。

トラック上では照り返しなどもあるので、外気温よりもさらに上昇します。特に、北見市に住んでいる地元の中高生たちは暑さによる影響で、動きが緩慢になっている様子が伺えます。私が強化選手たちのタイムを計測していると、ある高校生がトラックを疾走したあとそのままフィールドでへたり込み、「暑くて走れない」と弱音を吐いていました。

そのとき、顧問の先生が「視覚障がい選手たちは、気温40度の本土からわざわざここに来ているので、きちんと走れているぞ!」「暑さに負けるな!」と……。このとき、手元の寒暖計は気温28度前後でしたが、湿度が50%程度だったので、私の主観でも暑さはほとんど気にならないレベルでした。

特に、湿度が50%前後以下だと発汗した汗がうまく蒸発していくので、Tシャツもサラッとした感じが、最後まで続きます。つまり、都内や千葉県のように汗がまとわりつくような不快感をほとんど感じないのです。

案の定、強化選手たちは計画したスピードトレーニングをキッチリとこなし、翌日の40k走(起伏走)もしっかりと走り切っていました。そして、練習後は多くの選手たちが「今年は走りやすい(涼しい)」と、話していました(気温が30度を超えていても)。

さて、千葉県富津市富津公園などでは、暑さの中での強化合宿や練習会を継続しています。しかし、「こんな過酷なコンディション下での強化合宿は、本当に効果があるのか?」と、私自身が不安に感じることも多々ありました。

今回の北見合宿において、暑さを克服していくにはある程度過酷な環境下における暑熱順化が必須であると、あらためて感じた次第です。また、強化選手たちは「暑さに強くなっている」とも……。北見合宿も後半に入りますが、残りの40k走(2本)をきっちりと走ります。

Home > Archives > 2026-08

Search
Feeds

ページの先頭へ