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菅平合宿

【菅平合宿】いわゆる大型連休の代名詞であるゴールデンウィークも終わりましたが、今年も連休期間は日本ブラインドマラソン協会主催の強化合宿のため、長野県菅平高原で過ごしました。

その強化合宿は4月30日から5月5日までの間で実施しました。また、具体的なトレーニング内容は、全てのトレーニングをトラックで行い、スピードトレーニングはもちろん、ペース走や変化走に関しても全てトラックで走りました。

特に、4月までマラソンを走ってきた選手たちはスピード強化と言うより、トラックで走る感覚を取り戻す方を優先した感じです。

さて、4月30日に菅平高原に到着した日の気温は20度をこえており、平地と変わらないような陽気でした。ところが、後半になってくると季節が逆戻りした感じとなり、気温が10度を下回る日もありました。

また、トレーニングを実施しているトラックの標高は千メートル以上なので、身体が順応していないと呼吸も苦しく感じます。そこに山からの冷たく強い風もあり、体感温度は5度以下に感じるような厳しいコンディションになった日もありました。

もちろん、インターバルトレーニングは平地での設定タイムよりかなり落として実施しましたが、強風や低温のため、どの選手もかなり苦しみました。特に、経験の浅い若い選手は自分自身の限界点を把握しきれていない面もあるので、厳しいコンディションの中、途中で大きく失速する場面もありました。

しかし、疲労が蓄積してくる合宿後半になるほど、逆に「適切なペースで走る」ことを「自分自身の身体との対話」から導くことができるようになってきた点は収穫でした。

トラックレースはマラソンと比較すると、圧倒的に短い距離ですが、レース中の苦しみはマラソン以上に感じる場合も多々あります。そして、トラックレースは単にスピード強化だけでなく、マラソンと違う苦しさを体験し、それを克服することでマラソンに結びつけることが可能です。

今年のゴールデンウィーク合宿も、これからのトラックレースだけでなく、その先にあるマラソンにつながっていく内容でした。

WPAワールドカップマラソン・下

【WPAワールドカップマラソン・下】今回の「WPAワールドカップマラソン」で実施された立位部門を整理しておくと、男子の部が「T12/11・T13・T45/46」、女子の部が「T12/11」になります。

この中で視覚障がいの部に当たるのが、「男女T12/11・男子T13」の3部門になります。日本チームは、視覚障がいの3部門全てにエントリーし、無事にスタートして行きました。

しかし、スタート時からグングン上昇した気温は25度前後までに達し、ロンドンマラソン大会史上最高気温を更新する過酷なコンディション下でのレースとなりました。しかし、どの選手も暑さに怯むことなく、積極的な走りを見せてくれました。

今や日本チームのエース格に成長してきた男子T12/11クラスに出場した熊谷選手は、リオ・パラリンピック金銀メダリストたちを相手に攻めの走りをしました。しかし、やはり力の差があり、中間点付近から少しずつ引き離されて行きました。

こうなると、気温が高いだけに、立て直しながら後半粘ってくるのは厳しい状況です。案の定、熊谷選手が厳しい状況に陥ってきた中、後ろから追い上げてきたのが、男子T13クラスに出場した高井選手でした。

実は、このクラスはパラリンピック種目になっておりません。しかし、高井選手は諦めたり腐ったりすることなく、日々のトレーニングを愚直に継続してきた選手です。そんな高井選手の努力が実を結び、35キロ過ぎには熊谷選手を抜き去り、視覚障がい選手の中では3位に上がり、そのままゴール。もちろん、男子T13の部では、金メダルです。

また、高井選手に抜かれ、一度は諦めかけていた熊谷選手でしたが、40キロから渾身のスパートでもう一度ペースを上げ、激しく追い上げてきた同部門の4位選手を振り切り、銅メダルを死守してのゴール。

女子T12/11の部は、前回チャンピオンの道下選手がスタートから安定したラップを刻み、粘っていたブラジル選手を30キロ過ぎに振り切ると、そのまま2連覇を達成。他の日本代表選手たちも厳しいコンディションの中、力を出し切ることができました。

今回、想定外の厳しいコンディション下でのレースとなりましたが、逆に想定外の「暑さ」を経験することができ、2020東京に向けて貴重なデータを得ることができました。

引き続き、チームジャパンとして地道に強化していきます。

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