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トレーニング計画

マラソンに向けて・11

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【マラソンに向けて・11】今回は、失速の原因がエネルギーに起因するケースについてです。前回同様、今度はエネルギーのA1ゾーン、B1ゾーン、C1ゾーンで考えていきます。

マラソンのスピードはB1ゾーンに相当しますが、C1ゾーンとの境目のスピードで走っていた場合、後半は苦しくなってきたのでB1ゾーンのペースに落としたとしても、間もなく更に失速してしまうケースがあります。

この場合、B1ゾーンのペースに落としたと言え、依然としてB1ゾーンのペースで走っている以上、グリコーゲンを確実に消費していきます。同時に、前半でC1ゾーンに近いスピードでグリコーゲンを多量に消費してしまったので、やがてグリコーゲンが枯渇して再びペースダウンに陥ります。こうなると、もはや回復の見込みは難しくなります。

次に、持ち味のスピードを武器にトラックや駅伝で大活躍し、マラソンに挑戦してきたばかりの男子選手に多い例です。スタート直後からのハイペースにも関わらず、見た目も本人の感覚も非常に軽く、中盤までは余裕で走っていたのに25kあたりから突然の失速に見舞われるケースです。

この選手の場合、スピード豊かで耐乳酸性が高いのが特徴です。また、酸素負債で説明すると、BゾーンとCゾーンの境目が高いので、速いスピードに対応できる能力も高い。したがって、前半はハイペースの割には、乳酸の蓄積が意外と進んでいなかったと考えられます。

ところが、エネルギー的にはC1ゾーンに近いB1ゾーンで走り続けていたことになり、グリコーゲンの消費は確実に進み、グリコーゲンが枯渇した時点で終わってしまったと思われます。

もちろん、この判断は難しく原因をつかむのはとても難しいのは事実です。しかし、原因がグリコーゲン不足やグリコーゲンの消費効率の悪さだとしたなら、単にスピード練習を増やしただけでは次回以降のマラソンを攻略していくことは難しいと考えます。

また、このタイプの選手がマラソンをしっかりと走れるまでには、相応の苦労と時間を伴い、前半軽く後半失速するパターンを繰り返します。少なくとも私の経験上そう思います。

マラソンにおいてもスピードのある選手が有利である点に違いありませんが、ハーフマラソンや30kとは違い、マラソンはスピードに頼って走り切れる距離ではないとも言えます。

夏合宿・3

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【夏合宿・3】今回は、確認事項2について掘り下げていきます。

■確認事項2).合宿地のトレーニング環境(ランニングコース、その他のトレーニング施設、合宿地での移動手段、他)。

至極当然のことですが、涼しい場所で合宿を実施しようと企画しても、単に涼しいと言うだけの場所で走ることはできません。つまり、合宿を実施しようとしている場所にランニングに適した環境があるか否かの確認が重要かつ必須条件になります。

同時に、走り込みの目的に沿ったランニング環境であるか否かの確認も必要になります。具体的には、平らなコースで走り込みを実施したいにも関わらず、起伏の激しい山岳コースしかないとか、トラックでのスピードトレーニングも取り入れたいと思っても、それに準ずる施設がひとつもないとか…。現地に移動した後、自分自身でイメージした合宿計画とマッチしないトラブルは意外と多いのです。

また、目的に沿ったランニング環境が整っていたとしても、宿泊先からランニングコースが何キロも離れているとか、隣町までいかないとトラックが無いと言ったケースも意外と多く、現地入りしてからの移動手段を考えていなかったが故に合宿地でのランニング環境を活かしきれないケースも実際におこります。

もちろん、これらのトラブルを未然に防止するためにも、十分な下調べは必要不可欠になります。そのため、事前に合宿地のHPを確認したり、直接電話で確認したりすることはもちろんですが、その合宿地で実際にトレーニング経験のある方から具体的な話を聞いておくことも必要です。

そして、それらの情報と自分たちが実施しようとしている合宿の目的や内容と合っていない場合、合宿地の環境に合わせたトレーニング内容の変更が可能か否かを検討し、難しいと考えるなら合宿そのものを見合わせることは選択のひとつと、決断することも時には必要になります。

短期間で充実した合宿を実施しようと考えた場合、合宿地の情報収集は必要不可欠であり、トレーニング環境等の必須事項については、十分に確認し吟味するようにしましょう。

マラソンのスピードについて・13

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【マラソンのスピードについて・13】ここまでペース走とインターバルトレーニングについて考えてきました。では、それぞれのトレーニングをどのような頻度で取り込んで、トレーニング計画を立てれば良いのでしょうか。

実は、最も重要なポイントでもあり、最も難しい点でもあります。まずは、1週間の中にそれぞれのトレーニングを当てはめて考えていきます。

■パターン1).月:完全休養。火:ジョグ(調整)。水:インターバル。木:ジョグ(回復)。金:ジョグ(調整)。土:ジョグ(調整)。日:ペース走。■パターン2).月:ジョグ(調整)。火:ジョグ(調整)。水:インターバル。木:ジョグ(回復)。金:ジョグ(調整)。土:ペース走。日:完全休養。

上記2つのトレーニングパターンは同じ流れです。違いは完全休養日を月曜日にするか日曜日にするかの違いになります。ポイントは平日の水曜日と週末にインターバルとペース走をそれぞれ実施し、他の日については回復と調整に当てます。

回復と調整のジョグについては、疲労具合を確認しながら時間とペースを決めていきます。しかし、多くの市民ランナーに共通するのは、このジョグのペースが速いのと、時間ではなく距離を目安に走ってしまう点です。

具体的な例として水曜日にインターバルを実施した翌日、筋肉痛がかなり残っているにも関わらず、自分で決めたノルマの距離をとにかく走る。その結果、調子が悪くなるだけでなく、故障や怪我をしてしまうケースです。

至極当然のことですが、トレーニング計画を立てる際、最も大切な点としては回復期間をどの程度取り、その回復や調整ジョグをその目的どおりに実施できるか否かです。この点については、どのトレーニングパターンについても共通しており、とても重要なポイントになります。

同時に、この回復や調整を目的としたジョグをしっかりと実施できるか否かが、狙ったレースでの結果も左右します。そして、そのベースとなるトレーニングパターンは上記した2つのパターンになると考えます。

期分け・100

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【期分け・100】いよいよ本格的なマラソンに向けた走り込み期に入っていきます。特に、10月は年間を通じて最も走り込みに適した月のひとつと言われております。今回は、その10月の走り込みをより充実したものにするための注意点を考えていきます。

はじめに、ここで言う「10月の走り込み」を実施していく上での前提条件として、次の3つをあげておきます。もちろん、その条件を満たしていなくても問題ありませんが、より安全(無故障)に充実した走り込みにしていくための条件と捉えてください。

◆前提条件1).7月から9月の暑い中、予定どおりのトレーニング計画をほぼ継続してきた。◆前提条件2).特に、9月中に故障や怪我もなく今現在も健康である。◆前提条件3).目標とするマラソン大会が11月から12月である。

要は、9月中に故障をしてほとんど走り込めていないランナーや年内に目標とするマラソン大会が無いランナーは、同じ走り込みでも内容を見直した方が賢明と考えます。まずは、この点をそれぞれが確認した上で10月の走り込みを実施してほしいところです…。

次に、10月の走り込みが夏の走り込みと違う点として、単にゆっくり長く走るのではなく、目標のマラソンタイムをターゲットにした設定タイムで目的の距離を走り込んでいくことです。具体的には、30kから40kをメインに走り込んでいきます。

そして、最も重要な点は、どんな設定タイムで走り込んでいくかです。このブログに何度も記載しておりますが、この点を間違えると怪我や故障に直結していく可能性が高くなるので、ゆとりある適切な設定タイムを意識していく必要があります。

具体的な設定タイムの手掛かりとしては、スピード養成期(4月~7月)に出場した5kから10k(※)のタイムを基準として考えていくのが前提となります。もちろん、直前の9月までに出場したレースのタイムから判断しても構いません。※ハーフマラソンのタイムから判断していくことも可能ですが、前半(15k手前)から失速した場合のタイムを参考にしていくのが難しいので注意が必要。

同時に、マラソンの目標タイムを設定する際、自分自身の目標と思っている場合でも、単なる希望的な記録だったりするので、しっかりと現状分析を実施し、それを自分自身で受け入れる勇気が最も大切になってきます。

なぜなら、マラソンは憧れや願望だけでは、目標を達成することが難しいスポーツなので…。

期分け・99

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【期分け・99】9月に入り、厳しかった暑さも幾分和らいできた感じです…。そして、いよいよマラソンシーズンへと入っていきます。同時に、マラソンを意識した本格的な走り込みの季節にも突入です。

かくいう私が主宰する富津合同マラソン練習会も、9月から秋季シリーズがスタートします。そして今回、千葉県富津市において本格的な走り込みに入るために最後の基礎固め的(土台つくり)な意味も含め、9月13日(土)から9月15日(月・祝)の3連休を活用して合宿を実施しました。

合宿地は長野県菅平高原です。毎年、7月と8月に必ず合宿を実施する場所でもありますが、9月に菅平高原で合宿を実施するのは今回がはじめてです。実は、皆さんも経験していると思いますが、ここ数年の9月は残暑が厳しく、地元での走り込みが暑さのために過酷を極めている状況でした。そこで、今年は9月に涼しい場所で40k走を1本実施することを、昨年の夏から決めていたのです。

今回の合宿で実施したトレーニング計画は次の内容です。

◆初日(13日):午後/90分から120分LSD(各自の調子に合わせて)。◆2日目(14日):午前:40k走(4分10秒/k、4分30秒/k、5分00秒/k、5分30秒/k、6分00秒/kの5グループで実施)、午後/90分から120分LSD(各自の調子に合わせて)。◆3日目(15日):早朝/各自フリージョグ(各自の調子に合わせて)、午前/1000m×5本(4分30秒/cycle、5分30秒/cycle、6分30秒/cycleの3グループで実施)。

もちろん、合宿最大の目的は、2日目午前の40k走です。同時に、この40k走を確実に走り切り、これからのマラソントレーニングへ移行するために、設定タイムをいつもの富津練習会より更に落とし、グループ別にスタートさせました。そのグループ別の設定タイムとマラソンベストタイム(ゴールの実績タイム)は、次のとおりです。

◆4分10秒/k グループ:マラソンで2時間30分以内相当(2時間44分7秒)。◆4分30秒/k グループ:マラソンで2時間30分から2時間50分相当(3時間1分23秒)。◆5分00秒/k グループ:マラソンで2時間50分から3時間10分相当(3時間18分4秒)。◆5分30秒/k グループ:マラソンで3時間10分から3時間30分相当(3時間35分22秒)。◆6分00秒/k グループ:マラソンで3時間30分以上相当(3時間53分1秒から3時間53分38秒)。

いかがでしょうか?かなり遅いと感じませんか?

今回、40k走に挑戦した40数名のランナーたちが、ほぼ全員が脱落することなく、最後まで確実に走りきることができたのは、このゆとりある設定タイムとグループ別にしっかりとしたペースメーカーを配置したからなのです。

特に、これからマラソンシーズンを意識した走り込みを実施していく上で、最初の距離走(30kから40k)を確実に走りきることはとても重要です。実は、秋のマラソンや冬のマラソンで失敗を繰り返している市民ランナーの多くが、この最初の距離走を失敗し、そのまま悪循環に陥っているケースは意外と多いのです。

GWを走る

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今年もいよいよGWになりますが、旅行をはじめ様々な計画を立てていることと思います。また、ランニング愛好家の皆様にとっては、恒例のランニング三昧になる連休と思いますが、いかがでしょうか。そこで今回は、この連休を活用したトレーニングについて考えてみます。

はじめに、今月のマラソンまでしっかりと走り、連戦が続いてきたランナーについてです。

特に、マラソンを何本も走り疲労の自覚症状がある場合や既に故障や怪我をしているランナーです。もちろん、もっと以前から故障のためトレーニングを中断しているランナーも対象となります。

至極当然のことですが、痛みや疾患等がある場合は完全休養となり、絶対に無理をしてはいけません。しかし、そうでない場合、このGW期間は期分けで言うところの「移行期(回復期)」となります。すなわち、軽めのジョギングや水泳、あるいは長めのウォーキング等を軸に回復を優先したトレーニングが有効的になります。

次に、マラソンの疲労もある程度抜けて気持ちもリフレッシュできているランナーです。

このようなランナーはGWを活用したスピードトレーニングをおすすめします。また、せっかくの連休です。いつも一緒に切磋琢磨している仲間たちとのミニ合宿は更にトレーニング効果を高めます。もちろん、宿泊が難しいのならいつもトレーニング会場にしている近くの競技場や河川敷等を活用し、午前と午後の2回実施する2部トレーニングがおすすめです。

また、この時期は初夏を思わせるような気温に上がる日もありますが、身体は暑さに順化していません。したがって、秋から冬のように長い距離を走り込むより、距離を短くしてスピードを上げるインターバルのようなスピードトレーニングの方が逆に安全で効果的ともいえます。

では、実施するにあたり具体的なポイントをあげてみます。

◆ポイント1).インターバルのトータル距離を3000m~5000m程度におさめる。例として、200m×15本~20本、400m×8本~12本、1000m×3本~5本程度の本数が効果的。◆ポイント2).リカバリー(休息)は距離でなく時間で管理し、疾走時間と同じ時間(1対1)で実施する。◆ポイント3).トレーニング強度の調整は、疾走時間ではなくリカバリー時間で調整する。つまり、強度が楽に感じるならリカバリー時間を短くし、苦しく感じるなら長くする。

そして、全てのトレーニングに共通しますが、特にスピードトレーニングについては、ラストまで確実に走り切れる本数と強度で実施していくことが重要です。すなわち、まずは余裕を持った設定ペースで後半まで走り、ラスト数本をペースアップできるような流れにできれば精神的にもゆとりが持て、スピードトレーニングも意欲的に取り組めると考えます。

期分け・21

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今回から「第1次走り込み期」の後半にあたる「スピード持久力養成期」について考えていきます。前回までの「基礎体力養成期」は、マラソンを走るためのベースとなる基礎体力(スタミナ)を養成するトレーニングでした。そして、今回はその基礎体力の上にスピード持久力を積み上げていくトレーニングとなります。

これを家に例えると、基礎体力となる部分が家の土台部分(基礎)にあたります。そして、今回の「スピード持久力」は、土台部分の上に組み上げていく家の柱部分となります。もちろん、柱と言っても単に基礎から垂直に立ち上がっている部分もあれば、その柱と柱をつないでいる部分もあります。更に屋根の部分に相当する柱もあります。つまり、この柱が全て組み上がると、その家の大きさや間取り部分の全体像がほぼ決定します。

このように「スピード持久力養成期」は、家の建築同様、マラソンを目指していく上で具体的にどの程度の記録を目指せるかが、ほぼ見えてくる最も重要な期でもあります。具体的な前期との大きな相違点は、身体の感覚を頼りにゆっくり長くの走り込みから、ある設定タイムを守りながら目的の距離を走り込んでいく点です。つまり、同じ走り込みでもタイムと距離に拘束されていく感じになっていきます。

と、言いながら前期の「基礎体力養成期」で走り込みが不足気味のランナーが、この「スピード持久力養成期」で一気に走り込むと、怪我や故障に悩まされて思うような走り込みができなくなるケースも多々あります。この場合は、焦らずもう一度「ゆっくり長く」の走り込みに戻って基礎から積み上げていきましょう。

さて、それでは「スピード持久力養成期」のポイントを、ハード面とソフト面の2点から大きくまとめてみます。

はじめにハード面として、◆ポイント1).長い距離を安全かつ正確なスピードで走り込むための、正確なトレーニングコースの設定及び確保。(トラック含む)

次にソフト面として、◆ポイント2).目標のマラソンを目指したペース走の適切な距離と、そのペースの設定。(20k~40k程度のペース走)

次回からは、それぞれのポイントについて考えていきます。

つづく。

期分け・19

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今回は、「ゆっくり長く」の「長く」を考えます。

実は、この「長く」は各自の走歴や体力、目標としているマラソンのタイム等によってかなりのバラツキがでる部分です。具体的には初心者の場合、「まずは30分以上走ってみよう」となりますが、マラソンの完走が目標なら「60分以上走り続ける」ことが最低限の目安とも言われています。

同様に、ある程度の走力や体力が身に付き、マラソンも何度か経験してより高い記録を目標にしてくると、1回で走る時間を更に増やしていく必要がでてきます。しかし、この「長く」のはっきりとした定義はなく、今言われている時間の多くは、これまで多くのマラソンランナーが試行錯誤してきた経験値が支配的と感じます。

もちろん、今回の「ゆっくり長く」だけでなく、多くのマラソントレーニングは長い歴史の中で、多くのマラソンランナーが試行錯誤してきた経験や自らの身体を駆使しながら新しいトレーニング方法に挑戦して後世に残してきたものです。そして、それらのトレーニング方法を裏付けるために運動生理学の研究等が・・・。

それでは話しを「長く」に戻し、具体的な時間を考えると、私の経験も含めて「2時間」あたりがひとつの目安となってきます。実は、各種国際マラソンに出場するエリートランナーたちが「30kの壁」とか「35kの壁」と言った表現をします。また、この距離を時間に換算すると、スタートしておよそ「2時間」に相当します。※例として2時間は、1kを4分00秒ペースで走ると30k地点となり、3分30秒ペースで走ると35k前後となります。

このように1年間365日すべてをマラソントレーニングに当てているようなエリートランナーでもスタミナが枯渇してくるひとつの目安が、2時間となるケースが多いと感じます。余談ですが、世界の男子マラソンは2時間の壁にかなり近づいてきたので、「スタミナ切れをおこす前にゴールできる?」。もちろん、今の常識ではあり得ない発想ですが、今後はそんな研究をする人も出てくるかもしれません・・・。

さて、皆さんの「長い」とは、どの程度でしょうか?

ゆっくり長く走ろうと、スタートしたところ90分をこえるあたりからスタミナが枯渇し、2時間前後で動けなくなった経験はないでしょうか?

また、2時間が基礎体力を養成するのに適切な時間か否かについては、様々な考えもありますが、次回はその2時間についてもう少し考えていきます。

つづく。

期分け・18

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今回から「ゆっくり長く走る」について考えていきます。

はじめに、「ゆっくり」とは、どの程度のスピードなのでしょうか?

また、「長く」とは、どの程度の時間なのでしょうか?

実は、この2点の明確な定義については、少なくとも私自身はこれまで見たことも聞いたこともありません。したがって、具体的な数値を示し、必ずこのペースでこの時間を走り続けなさいと、言い切ることもできません。

・・・と、最初から無責任な言い方になりましたが、実は速く走るより、ゆっくり長く走る方が難しい面もあります。そのため、マラソンに向いてるかの判断をする材料として、単独でゆっくり長く走れるか否かを判断基準にしている指導者は意外と多く、もちろん私もその点は目安のひとつにしています。

では、話しを元に戻し、「ゆっくり」のペースについてですが、上記したとおり、明確な定義はありません。また、心拍数で管理する方法もありますが、今回は私の経験から数値で表してみます。

◆ゆっくりペースの目安 ≒ マラソンペース×1.5倍以上

具体例として、マラソンをサブスリーで走れるランナーの場合、1kペースは4分15秒になります。そのペースを1.5倍すると6分22秒となり、このペースより遅いペースが「ゆっくり」の目安になります。そして、このペースはサブスリーランナーにとって、仲間と会話をしながら走れるペースとなります。つまり、ゆっくりの目安は、「楽しく会話ができるペース」とも言えます。

更に、もう少し初心者レベルのランナーを例にとり、マラソンのタイムが6時間をこえる場合で考えてみます。この場合、1kのペースは8分30秒前後になります。そして、そのペースを1.5倍すると、12分40秒以上となります・・・。お気付きになったと思いますが、このペースはウォーキングのペースと変わらなくなります。即ち、マラソンのタイムが6時間をこえるようなランナーがゆっくり長く走ることは、長く歩くことと同じであるとも言えます。

このように、各自のゆっくりペースを計算していくと、ランニングペースがウォーキングペースと交錯するランナーもいます。いずれにしろ「ゆっくり」とは「楽しく会話ができるペース」であることを、ひとつの目安にしてほしいと思います。

次回は、「長く」について考えていきます。

つづく。

期分け・17

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今回も「基礎体力養成期(8月~9月上旬)」についてです。

既に大まかな流れについては話していますが、この期は「ゆっくり長く」がキーワードになります。具体的には、距離より時間です。即ち、「何キロ走る」から「何時間(分)走る」へのシフトです。その大きな理由は、気温や湿度が高い中で走り込みを実施する場合、距離を目標に一定のペースを保ちながら走ることが難しいからです。

例として、私がコーチする市民ランナーの中にはサブスリー達成者が多数います。そのランナーたちが30k以上のペース走を実施する場合、設定ペースは1kあたり4分30秒からが標準的な設定ペースと位置付けています。

ところが、この暑い8月にその設定ペースでペース走を実施すると、至極当然のことながら中盤あたりからペースを保つことが難しくなってきます。原因は言うまでもなく、気温と湿度が高いからです。そこで、更に設定ペースを落として走ればと考えます。実際に1kあたり30秒落とし、5分00秒ペースで走ると何とか走り切ることができます。

しかし、ここで新たな問題が出てきます。それは、設定ペースを落とし過ぎることで、11月のマラソンで目標記録にしているペースと大きくかい離することです。具体的には、次の「スピード持久力養成期」に移行した際、狙った設定ペースで30k以上のペース走が難しくなるランナーが・・・。もちろん私の経験上の話しが主なので全てのランナーに当てはまりませんが、設定ペースを落とし過ぎてペース走を実施する場合、自分自身が持っているペース感覚が遅い方へぶれるランナーが意外と多くなるのです。

・・・と、長々と説明してきましたが、暑い中でキッチリと設定ペースを守り、計画どおりの距離を走り込んでいくことはとても難しいのです。そして何より、苦しんだ割には身体に疲労を蓄積させるだけになり、精神的なストレスをためこむ結果にもなります。

このように、8月の暑い中での無理なペース走は個人差もありますが、マイナス面の方が多いのです。

そこでこの基礎体力養成期では、自らを設定ペースや距離のストレスから解放させ、「ゆっくり長く」をモットーに走り込んでいきます。更に、ゆっくり長く走ることは、長距離ランナーに必要不可欠な毛細血管網の発達を促進させます。実は、長距離ランナーの速さや強さを決める要素のひとつが、肺から取り込んだ酸素を身体の隅々まで運ぶ毛細血管網にあります。※専門的な話しは割愛します。

それは、この基礎体力養成期でゆっくり長く走ることが、11月のマラソンに必要不可欠な長距離ランナーとしての身体つくりにつながるのです。

つづく。

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