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夏を走る
2025夏を走る・3
- 2025-06-20 (金)
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【2025夏を走る・3】愛知県豊田市において「伴走者養成講習会」が開催され、その講師としてお手伝いをしてきました。今回の講習会は、豊田ブラインド伴走協会のご支援とご尽力により、開催することができました。あらためて、感謝申し上げます。
特に、同協会の会長でもある山本氏の素晴らしいリーダーシップにより、今回の講習会はもちろん、年間を通じてとても熱心な活動が継続されています。また、山本氏はマラソンだけでなく、100mなどの短距離種目の伴走も手掛けるなど、本当に情熱的な人柄です。
何事にも共通していますが、情熱的なリーダーがいる活動には多くの人が集まります。今回の山本氏から話を伺うと、伴走活動以外にも様々なことを手掛けており、それぞれの活動が結びついて更に大きくなっていくような相乗効果を自ら仕掛け、自ら実践しているのです。
また、物事を長く継続できている人や、いわゆる「打たれ強い人」に共通していることのひとつに、「情熱的でよく動く」があります。つまり、よく動くので長く続く。また、よく動くので人よりも目立ち、その結果として批判もあびる。しかし、情熱的でよく動くので、いちいち立ち止まったり、クヨクヨしたりもしない……。
あらためて、全国各地からの依頼を受け、伴走者養成講習会のお手伝いもしていますが、どこの講習会においても必ず情熱的なリーダーが存在します。そして、その姿に我々講師の方が感銘を受け、学ぶ点や参考にすることが多いのも確かです。
特に、周りの人を焚きつける人間力には、毎回感銘を受けます。一方、その力を言葉や文字などであらわすことは意外と難しく、「なんで、あんなことができるのか?」と、今回の講習会もいろいろと考える機会になりました。
次回、山本氏とお会いできるときは、もっと掘り下げたお話を伺いたいと思います……。
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2025夏を走る・2
- 2025-06-14 (土)
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【2025夏を走る・2】宮城県仙台市で開催されたジャパンパラ陸上大会の後、ブラインドマラソンチームはそのまま火曜日まで仙台市に残り、合宿を実施しました。幸い、ジャパンパラ陸上大会が開催されたトラックをそのまま使用することができたので、同トラックで充実したトレーニングを実施することができました。
さて、今回のジャパンパラ陸上大会において、視覚障がい中長距離種目において失格になった選手がいました。とても残念なことでしたが、パラ陸上競技には一般の陸上競技には存在しない特殊なルールがあります。それは同じ障がいのカテゴリー内で、公平に競い合うために必要なルールであり、パラ陸上大会に出場する選手や関係者はそれらを十分に理解しておくことが大前提になります。
特に、視覚障がい部門の場合、ガイドランナー(伴走者)を伴うカテゴリーにおいては、テザーと呼ばれる手錠型のロープ(形状も長さも厳格に指定)で、誘導しなくてはいけない絶対ルールがあります。かつては、ロープを持たなくても良いルールや、いわゆる伴走ロープと呼ばれる輪になったロープでの伴走も認められていましたが、今のWPA公認国際大会において、それらのルールは一切存在しません。
あらためて、WPA公認大会における国際ルールの一部を抜粋します。
7. 競技クラスT11-12の競技者のガイドランナーは認められており、助力やペースメーカーとは見なされない。競技クラスT11の競技者はすべての種目でガイドランナーとともに競技しなくてはならない。T12では、ガイドランナーを伴うか、一人で競技するかは競技者の選択である。大会組織委員会はガイドランナーであることが識別できるベストを提供する。
8. T11-12の競技者がガイドランナーを伴って競技を開始した場合、成績が承認されるためには、競技者とガイドランナーがともに規則を守り、誠実に努力し、当該種目を完走しなければならない。7.9.1 競技中、競技者と伴走するガイドランナーの誘導方法はテザー使用を必須とする。さらに、ガイドランナーから口頭で指示を受けてもよい。ガイドランナーは走行(または徒歩)によって任務を完了しなければならず、機械的移動手段の使用は認められない。
7.9.2 テザーによる結束は、競技者と伴走するガイドランナーの手または腕でのみでなされるものとする。競技者とガイドランナーは、テザーを緩みがあるようにして手、手首、その他身体の一部を持ってはいけない。7.9.3 競技者と伴走するガイドランナーは、スタートからレースを終えるまで常にテザーでつながっていなくてはならない。ガイド交代の時を除き、競技者と伴走するガイドランナーが共にフィニッシュライン手前側の垂直面の到達しフィニッシュするまでの間、テザーを離すことは認められない。
7.10.1 ガイドランナーは競技中のいかなる時点においても、レースを有利に進めるために競技者を押す、引っ張る等して前進を助けてはならない。以上が、主なルールになります(ほんの一部)。もちろん、これらのルールを順守しながら安全にレースを完走することが第一になりますが、それぞれに記載してある内容をよく理解しておくことも必須です。
例えば、上記のルール7.10.1は、ガイドランナーが押したり引いてはいけないと記載してありますが、「常に選手の真横で並走しなくてはいけない」とは記載してありません。つまり、ガイドランナーが給水を取ったり、トラックのコーナーを伴走する際、どうしても選手のやや前方に移動したり、後方に移動してしまうことが必ずあります。したがって、そこを審判からルール違反だと指摘されたとき、逆に自分たちの正当性を証明できる内容の抗議を考えておく必要もあると言うことです。
要は、何事もルールや規則は熟読し、なんと記載しているかの文言を確認しておくことも大切です。
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2025夏を走る・1
- 2025-06-05 (木)
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【2025夏を走る・1】いよいよ初夏と言われる季節に入ってきました。毎年のことながら長距離・マラソン選手にとっては、最も過酷な季節に突入していくことにもなります。そして、これも毎年のことですが、個々の体調に合わせた暑熱対策で、これからの暑さを乗り切ってほしいと思います。
さて、あらためて6月に入りましたが、多くの長距離・マラソン選手にとっては「スピード強化」と位置付け、積極的にトラックレースなどを走っていることでしょう。もちろん、ロスパラリンピックを目指しているブラインド選手たちも5月から本格的なトラックシーズンに入りました。
そして、今月7日から宮城県仙台市において「ジャパンパラ陸上競技大会」が開催されます。同大会には、上記したブラインド選手たちも出場し、トラック種目を走ることでマラソンに必要なスピード強化をします。特に、5000mの記録はマラソンの具体的な目標タイムを設定していく上での指針となる重要な記録になります。
詳細は割愛しますが、今大会と来月に出場する5000mで達成した記録を選手ごとに解析していくと、秋以降のマラソンでどの程度の記録が狙えそうなのかを、予測タイム(仮説)として考えることができます。そして、その予測タイム(仮説)をベースに、夏合宿で実施する距離走(30k~40k)などの設定タイムも考えていきます(もちろん、練習中の調子などを加味しながら再検証し、設定タイムなどは都度修正もしますが……)。
すでに何度かこのブログにも記載してきましたが、5000mの記録とマラソンの記録はとても密接な関連性があり、「マラソンで〇時間〇〇分〇〇秒を目指すなら、5000mの記録は〇〇分〇〇秒が必要」と言った記録の方程式も、ほぼ決まっています(それも高い確率で)。
したがって、トラックでのスピード強化と言うのは、マラソンで「〇時間〇〇分〇〇秒」を達成するために不可欠な「5000mの〇〇分〇〇秒」に到達するための強化を指します。つまり、日々実施しているスピード練習(インターバル走やペース走など)も、その5000mの必須タイムに到達するための設定タイム(疾走距離に対する)や、その疾走本数になるのです。
また、「長距離・マラソン選手は年間を通じてオフがない」と言われている理由のひとつが、マラソンは上記したような距離間の密接な関連性もあり、季節ごとにそれぞれの強化をしているからなのです。同時に、秋からのマラソンシーズンに向け、どんなランナーも自己記録を更新したいと考えますが、その目標を達成するためには、「年間計画(期分け)が必要」と言われるゆえんでもあるのです。
あらためて、市民ランナーの皆様もこの時期はトラック(陸上競技場)で実施される競技会や記録会への挑戦を強く推奨します。もちろん、今までトラックを走った経験のないランナーでも気楽に参加できる記録会もあります。また、仲間との定例練習会の中で、トラック記録会(3000mや5000mなど)を実施してみてはいかがでしょうか。秋以降のマラソンで、自己記録を更新できるヒントが必ず見つかります。
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2025春を走る・13
- 2025-05-30 (金)
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【2025春を走る・13】先日の東日本実業団陸上競技選手権大会において、視覚障がい男女の1500mと5000mも実施頂きました。ご存知のとおり、出場した選手の数は男女とも5名以下と少数でした。しかし、この人数は、当初からほぼ変わっていません。
また、出場している選手たちの顔ぶれも大きく変わっていないのが現状です。そんな中、貴重な若手男子選手のひとりである大石選手が、1500mと5000mの両種目で自己新記録を達成したことは、とても大きな収穫でした。
さて、語弊のある言い方になりますが、一般の陸上競技においては、素質(実績)のある選手を見出し、その選手を自分のチームにスカウトできるかが、チーム力向上のポイントになっています。特に、駅伝などについては、いかにして素質(実績)のある選手を勧誘できるか否か。つまり、スカウティングの長けているチームが、上位を独占していると言っても過言ではないでしょう。
また、素質(実績)のある選手の多くは、今の記録や成績を達成するためにたどってきた経験から、強くなっていくための練習方法(ノウハウ)をそれぞれが持っています。そして、素質(実績)のある選手たちを同じチームで切磋琢磨させていくと、相乗効果で記録をのばせる確率が飛躍的に高まります。
そうなっていくと、チーム躍進には指導力と言うよりも、切磋琢磨できる環境をいかに提供していけるか否かの方がより重要になってくると思われます。もはや、現場での指導力と言うよりも、スカウティングも含めたマネジメント力が勝敗を左右する時代に突入しているのかもしれません。
一方、視覚障がい長距離・マラソンを含めたパラ陸上競技については、競技人口そのもが極端に少ない。と言うよりも「ほぼいない(知的障がいを除く)」と言った方が正しいでしょうか。したがって、陸上競技を経験したことのない人にも声をかけ、仲間に引き込んでいく活動も不可欠になります(上記した大石選手も数年前まではサッカー選手)。
あらためて、我々は一般の強豪チームから強化のノウハウを学んでいかなくてはいけません。同時に、競技を取り巻く環境などの違いが大き過ぎる現状から目をそらすわけにもいきません(現実逃避はダメ)。要は、身の丈に合わせた強化方法を確実に継続していくことがベースにあり、何事も机上の空論に陥らないようにしていくことも重要なのです。
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2025春を走る・12
- 2025-05-25 (日)
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【2025春を走る・12】埼玉県熊谷市において、東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。同大会は、実業団登録をしている選手たちが出場する大会ですが、視覚障がい選手の「1500mと5000m」も実施頂くようになって、10年が過ぎました。
最近は、パラ種目を実施頂いているい陸上競技大会も増えてきましたが、その先駆けのひとつとなった大会が、この東日本実業団陸上競技選手権大会なのです。あらためて、大会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
さて、実業団選手と言えば、多くの人が長距離・マラソン選手のことを指していると考えます。ところが、ここ数年の東日本実業団陸上競技選手権大会においては、かなり状況が変わってきています。参考までに、今年の同大会にエントリーしている種目別の人数を確認すると……。
実は、エントリー人数の最も多い種目は、「男子100m」なのです。そして、その人数はなんと「310名」。参考までに男子5000mのエントリー人数は、160名です。実業団陸上と言えば、5000mなどの長距離種目をイメージするのが一般的ですが、今や男子100mにエントリーしている選手の方が圧倒的に多いのです。
さらに、驚きなのは、この大会は選手権大会なので、単なる記録会ではありません。つまり、順番を決める大会です。ところが、310名もエントリーしている男子100mは、どのような予選をして、最後の決勝進出者8名に絞っていくのでしょうか。
大会プログラムには、「予選35組0着+8」と記載してあります。つまり、予選からガチンコ勝負をし、予選35組を走った上位8選手が決勝進出になるのです(但し、決勝以外の上位24名でB、C、D決勝を行う)。もちろん、私は長距離が専門ですが、こんな予選方法で決勝進出者を決める100mは見たことがありません。
その昔、1984年に開催されたロサンゼルス五輪で、カール・ルイス選手が4冠を達成しました。当時は、日本人が100mやリレー種目で世界と勝負することなど、全く考えられない時代でした。あれから40年、日本人は9秒台に突入し、400mリレーにおいては五輪でメダルを獲得。その記録もカール・ルイス選手たちが当時樹立した世界記録を上回るレベルにまで到達したのです。
そして、東日本実業団陸上競技選手権大会も今年で67回目になります。ついに、男子100mにエントリーしている選手数が、男子5000mのエントリー数を超える時代になったのです。まさに、「強化と普及の両輪がその競技の発展を左右する」と言われていますが、男子100m(短距離)はそれを体現したお手本です。
また、実業団選手以外のランナーを市民ランナーと呼びますが、短距離界も「市民スプリンター」が活躍する時代に……。
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2024夏を走る・14
- 2024-08-30 (金)
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【2024夏を走る・14】パリパラが開幕しましたが、パリパラマラソンチームは千葉県富津市で最後の調整合宿中です。そして、9月8日がパリパラマラソン当日になります。その当日までに予定しているポイント練習は、あと2回。
さて、パラリンピックに出場する選手たちは、選手村に2週間程度滞在します。しかし、2021年の東京大会はコロナ感染防止対策のため、各選手の出場する競技日程に合わせ、競技当日の数日前に入村し、競技終了後は速やかに退村する方式がとられました。
そして、今回のパリ大会も原則として東京大会と同じ方式です。実は、マラソンはパラリンピック最終日の競技になるので、2016年のリオ大会までは、選手村で約2週間も調整していました(事実上の調整合宿)。
もちろん、現地のコンディションに体調を合わせたり、マラソンコースをじっくりと確認できるなど、選手村に長く滞在するメリットはありました。一方、大会最終日が近づくにつれ、競技を終えた選手や関係者は緊張感も解け、楽しむモードに突入していきます。
そのピークは、パラリンピック最終日の前夜。つまり、マラソン選手たちにとっては、出走前日の夜になります。最も体を休め、良質な睡眠が必要な出走前夜にもかかわらず、選手村はお祭り騒ぎになります。
海外の陽気な選手たちは、国境を越えた仲間たちとギターなどを手に歌ったり踊ったりと、選手村の広場などで大いに盛り上がります。まさにこれこそが真の国際交流、パラリンピックとも言えますが、明日に大勝負を控えているマラソン選手たちにとっては……。
もちろん、今となっては薄れゆく記憶の中に残る「思い出」のひとつですが、パリパラも東京パラのように、「静かな夜」になることを……。そして何よりも、出場する選手たちが最後までケガや故障なく、スタートラインに立てることを祈るばかりです。
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2024夏を走る・12
- 2024-08-16 (金)
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【2024夏を走る・12】パリ五輪が閉幕しました。あらためて、日本選手団の皆様、たくさんの感動と元気をありがとうございました。また、金メダルランキングでは「世界3位」と、いつの間にか日本は「スポーツ大国」と言われる位置に……。
男女のマラソンも、赤崎選手と鈴木選手が自己記録を更新しての6位入賞と健闘しました。特に、個人的には五輪と言う世界最高峰の大会で自己記録を更新したことが素晴らしいと感じました(最高の状態に仕上げ、最高の大会に挑めた調整力)。
また、男女のマラソンとも、金メダリストの記録は五輪新記録でした。一方、パリ五輪のマラソンコースはかつてない過酷なコースと言われていましたが、逆に全体的にも記録が良かったような(結局は苦しくなってくる30k以降が下り基調だったからか?)……。
そこで勝手ながら過去の五輪マラソン記録をピックアップしてみました(当日の天候やシューズなどは不問)。
<2012年ロンドン大会>男子マラソン:金2時間8分1秒、銀2時間8分27秒、銅2時間9分37秒、8位2時間12分17秒、20位2時間15分26秒、30位2時間17分0秒、40位2時間18分34秒、2時間15分以内17名。女子マラソン:金2時間23分7秒、銀2時間23分12秒、銅2時間23分29秒、8位2時間25分11秒、20位2時間28分12秒、30位2時間30分13秒、40位2時間31分58秒、2時間30分以内28名。
<2016リオ大会>男子マラソン:金2時間8分44秒、銀2時間9分54秒、銅2時間10分5秒、8位2時間11分49秒、20位2時間14分24秒、30位2時間15分36秒、40位2時間17分44秒、2時間15分以内23名。女子マラソン:金2時間24分4秒、銀2時間24分13秒、銅2時間24分30秒、8位2時間27分36秒、20位2時間31分22秒、30位2時間34分36秒、40位2時間36分32秒、2時間30分以内15名。
<2021年東京大会>男子マラソン:金2時間8分38秒、銀2時間9分58秒、銅2時間10分0秒、8位2時間11分41秒、20位2時間15分11秒、30位2時間16分35秒、40位2時間18分27秒、2時間15分以内19名。女子マラソン:金2時間27分20秒、銀2時間27分36秒、銅2時間27分46秒、8位2時間30分13秒、20位2時間33分15秒、30位2時間34分52秒、40位2時間36分38秒、2時間30分以内7名。
<2024年パリ大会>男子マラソン:金2時間6分26秒、銀2時間6分47秒、銅2時間7分0秒、8位2時間8分12秒、20位2時間10分9秒、30位2時間11分32秒、40位2時間12分34秒、2時間15分以内55名。女子マラソン:金2時間22分55秒、銀2時間22分58秒、銅2時間23分10秒、8位2時間26分1秒、20位2時間29分20秒、30位2時間30分20秒、40位2時間31分58秒、2時間30分以内26名。
以上、ロンドン大会以降の男女マラソン記録を記載しましたが、やはり男子は今回のパリ大会が過去最速レースだったと言えるかもしれません。一方、女子は全体的にもロンドン大会とほぼ同じような記録でしたが、金メダリストが五輪新記録だったので、パリ大会の方が速かった?
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2024夏を走る・11
- 2024-08-09 (金)
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【2024夏を走る・11】パリパラマラソン当日まであとひと月となり、再び北海道北見市において強化合宿を実施しております。3年前の東京パラも、同時期にこの北見市で強化合宿を実施し、男女のメダル獲得につなげることができました(2016年リオパラから)。
そして、今回のパリパラマラソン日本代表選手は、その3年前の東京パラマラソンと同じ顔ぶれとなりました。つまり、男子代表の堀越選手は2大会連続のメダル獲得。熊谷選手は2大会連続の入賞(初のメダル獲得)。さらに、女子代表の道下選手は2大会連続の金メダル獲得(3大会連続のメダル獲得)と、本人以上に周りの期待がふくらみます。
一方、日本代表選手に対して「楽しめば良い」「ベストを尽くせば良い」など、現地入りするまでは、比較的穏やかな言葉をかけられることが多いのは一般的です。ところが、試合結果に大きな乖離があったり、試合後の態度や発言によっては厳しいコメントやバッシングがいつの大会もあります。残念ながら……。
もちろん、どの代表選手も関係者も当初の目標を達成するため、日々の努力を重ねています(月並みですが)。
さて、今月6日から北海道北見市で強化合宿を実施していますが、厳しい暑さに負けないよう、最後の調整をしています。特に、4年に1回しか開催されないオリパラのような国際大会で力を発揮するために不可欠なことは多々ありますが、その中でも重要なことに「過去の経験とノウハウ」があります。
それは、同じ選手が何度も経験すると言う意味だけでなく、チームジャパンとして戦ってきた経験やノウハウも含まれ、むしろチームジャパンとしての経験やノウハウが大切になります。特に、マラソンは個人種目の極みのような扱いを受けますが、実際はかなり違います。
至極当然のことながら日々のマラソントレーニングには多くのサポートを必要とし、そのサポートをする側の経験やノウハウも問われることになります。また、ブラインドマラソンには伴走者(ガイドランナー)を必要とする選手もおり、日本代表選手の伴走者ともなれば、「誰でも簡単に」と言うわけにはいきません。
また、単独走が可能な弱視選手ほど、トレーニング時の給水やペース管理など、一般選手のようにはいきません。つまり、逆にトレーニングパートナー的な存在が不可欠にもなるのです。さらに、伴走者やトレーニングパートナーの走力を維持向上させるためには、強化合宿中も定期的に伴走者の個人練習を取り入れる必要があります(合宿中は伴走者の交代要員も必要になる)。
今回のパリパラマラソンに向けた強化合宿においては、正式なパリパラ伴走者2名以外にも、交代伴走者兼トレーニングパートナーとして6名を帯同させております。その中には箱根駅伝を目指す順天堂大学と帝京大学の学生選手も含まれます(あらためて感謝です)。
このように、パリパラマラソン日本代表選手たちは、多くの仲間に支えられることで、日々のトレーニングはもちろん、外部からの誹謗中傷などからも選手たちを守れることにもなるのです。
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2024夏を走る・10
- 2024-08-02 (金)
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【2024夏を走る・10】パリオリンピックも開幕し、日本代表選手たちも熱い戦いを繰り広げています。一方、日本も連日の猛暑で、その暑さに疲弊しています……。
そんな中、千葉県にある順天堂大学で選手たちの測定を実施しました。測定した項目は前回と同じで、トレッドミル上を走りながら乳酸カーブなどを測定しました。そして、今回の測定も前回同様、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。あらためて、御礼申し上げます。
今回の測定は、パリパラマラソン日本代表選手を優先しましたが、疲労が蓄積している選手は測定自体を回避しました。もちろん、測定を実施した選手たちも同様、疲労がかなり蓄積した状態でした(走り込みの真っ只中)。
また、測定と聞くと、常に前回の数値と比較し、「上がったか?下がったか?」だけに一喜一憂するケースが多いのですが、確かにそれも大切な見方です。ところが、今回のように、測定前から疲労が蓄積していることを、どの選手も自覚している場合、前回の数値よりも下がる可能性が高くなることは、はじめから予測できます。
だからと言って、計画していた測定を簡単に中止する必要はないと考えます。そもそも測定は、身体の状態を数値化することであり、可視化することです。つまり、測定前に自分自身で今の状態を主観的に数値化(予測)し、実際の数値と比較検証することも大切な見方だからです。
その結果、測定前に予測した数値と実測した数値との差異が少ない選手ほど、自分自身の状態をより正確に把握する能力が高いことにもなります。これは、とても大切な能力のひとつであり、日々のトレーニングを適切な強度で継続できることにもつながります。
至極当然のことながら、実際のレース中は心拍数や血中乳酸濃度などの数値を正確に測定しながら勝負することは相当難しい。つまり、レース中は適切なペース設定やペース配分、ライバルと比較した際の余裕度など、勝負していく上でも「主観的運動強度」は大切な指標になります。
特に、夏マラソンの場合、主観的に自分自身の状態を把握しながらレースを進めていく能力が勝敗を大きく左右すると考えます。今回の測定で、たんに数値の良し悪しだけでなく、測定前の主観的数値(予測)と測定後の実績数値との差異を考察し、その結果をパリパラマラソンにつなげてほしいと考えます。
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2024夏を走る・9
- 2024-07-26 (金)
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【2024夏を走る・9】予想どおりと言うか、予報どおりの猛暑が続きましたが、千葉県富津市での強化合宿を終えることができました。合宿中の気温は連日30度を超え、さらに湿度が70%前後で推移していたのが、選手たちをより過酷な状況に追いやっていました。
強化合宿中の具体的なポイント練習は、「40k走(距離走)」「インターバル(スピード)」「16k走(ペース走)」の3回(3日)。しかし、上記したとおり、3回とも気温は30度を超え、湿度も70%を超える過酷なコンディションでした。
本来なら気温が30度を超えている時点で、ランニングどころか屋外での運動は禁止です。したがって、気温が30度を超える過酷なコンディション下における「正しいマラソントレーニング理論」など、原則として存在しないのです。少なくとも私自身は見たことがありません。
もちろん、それに近い理論はあります。暑さ対策の専門事例として「暑熱順化」「給水」「手掌冷却」「深部体温」などなど、猛暑の中で体を動かし続けるための理論と言うよりも、先人たちの経験から導かれたノウハウは多数存在します。
ところが、これらの対策をほどこしてもその効果は個々によって大きく異なり、そもそも暑さに強い身体(個体)なのか否かになります。あくまでも私の主観ですが、夏マラソンに長くかかわっていると、そもそも暑さに強い弱いは生まれた場所(暑い地域か寒い地域か)や、生まれた月(夏なのか冬なのか)など、幼少期の生活環境にも左右されていると感じます。
さらに、暑さ対策の技術的な項目のひとつにランニングフォームがあります。いわゆるランニングエコノミーと言われる部分です。これは単にフォームがキレイとかではなく、コンパクトな動きが身についているか否かです。
これも私の主観ですが、いわゆる「力強い走り」をしているランナーは意外と暑さに弱い……。その具体例のひとつに、腕振りが力強く(前後に大きく振る)、腕振りの力で前に進んでいるようなフォームのランナーはそれに該当します。逆に、体幹に近い位置で、コンパクトにリズムをとるような腕振り(腕を大きく振らない)のランナーは、暑い中でも安定した走りが持続できるように感じます。
しかし、これが冬マラソンの場合、力強いフォームのランナーは、30k以降の苦しい局面では粘り強さを発揮します。ところが、夏マラソンの場合、その力強いフォームがゆえに、逆に筋肉の発熱と発汗を促進させ、前半から深部体温の上昇や脱水に陥る傾向が強くなるのでしょうか。
もちろん、これらについても正確なことはわかりませんが、言えることは何度経験しても「夏マラソンを攻略していくこと」は難しい……。
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