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2025春を走る・7
- 2025-04-18 (金)
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【2025春を走る・7】今週末の4月20日(日)は、「かすみがうらマラソン大会」が、茨城県土浦市で開催されます。同大会は、1991年に第1回大会が開催されたので、今年で35回目の開催となります。
また、1995年の第5回大会から「国際盲人マラソン(当時の名称)」を兼ねて頂くなど、視覚障がいマラソンの普及と発展にも大きく寄与してきた大会です。もちろん、今現在もIPC公認のマラソン大会としては、国内で最も歴史のある大会でもあります。
ここで少し補足をしておくと、実は同日に長野県で「長野マラソン大会」が開催されます。この大会においても「視覚障がいの部」を実施頂いております。しかし、こちらは「IPC公認大会」ではないので、特にパラリンピックなどを目標にしている視覚障がいランナーの皆さんが、同大会で視覚障がいマラソンの日本記録などを達成しても未公認記録扱いになります(パラ競技としては)。
したがって、ロスパラリンピックをはじめ、将来パラリンピックなどを目標にしている視覚障がいランナーの皆さんは、今後もかすみがうらマラソン大会への出場が必須になっていきます(長野マラソン大会はIPC公認条件をクリアしていないため)。
同様に、マラソン以外のパラ選手が一般の日本陸連公認記録会や競技会に出場し、世界記録を達成したとしても、その記録がパラ競技の公認記録にはつながりません。つまり、障がいの種類や程度によって、パラ陸上競技独自の国際ルールがあり、その判定ができるパラ陸上競技専門の資格を持つ公認審判員の有無など、上記した「IPC公認」を満たしているか否かの大きなハードルがあるからです。
さて、最近は視覚障がいマラソンの競技人口は減ってきています。特に、パラリンピックを目指すブラインドランナーが減少傾向にあり、いろいろな意味で危惧しております。もちろん、今も昔もパラリンピックを目標にしているブラインドランナーは少数ですが、逆に今は視覚障がいマラソンと言うジャンルがしっかりと確立され、日本国民のほとんどがその存在を知っている時代です。
また、何事も成功させる要因のひとつに「ライバルの少ない土俵を探し、その土俵で最大限の努力をする」が、あります。特に、ブラインドランナーの皆さんが、パラリンピックを目標にすることは、まさにその土俵のひとつに該当すると考えます。
もちろん、パラリンピックに出場することは簡単ではありませんが、一般のオリンピックや箱根駅伝を目指しているランナーの人数と比較すると、圧倒的に少数であるのは確かです。したがって、上記した「ライバルの少ない土俵」なのも間違いなく、パラリンピックに出場できる可能性は、一般競技者のそれよりもかなり高い確率とも言えるでしょうか。
そして、今週末に開催される「かすみがうらマラソン大会」からパラリンピックを志すブラインドランナーがひとりでも多く現れることを心より願っております。
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2025春を走る・6
- 2025-04-12 (土)
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【2025春を走る・6】2025年度最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。故障選手以外の強化指定選手はほぼ揃い、新年度に相応しい強化合宿となりました。もちろん、今年度も千葉県富津市においては、富津公園に隣接している「ナカヤマイン様」を強化拠点として活動していきます。
さて、マラソン・長距離だけでなく、どのスポーツも強化をしていく上で欠かすことのできないのが、合宿拠点となる宿泊先です。その昔、私が現役時代は合宿の宿泊先を見つけて予約することは、特に苦労することはなかったと記憶しております(そもそも困った記憶がない)。
ところが、ここ最近はインバウンドなどの影響により、全国どこの宿泊先も予約することが極端に難しくなってきました(宿泊料金の高騰も)。同時に、長年お世話になってきた宿泊先の関係者が高齢化などを理由に、旅館そのものをやめてしまうケースも散見するようになってきました(逆にスポーツ選手を相手にした旅館などをはじめようとする若い人もほとんどいない)。
結果、強化合宿の拠点となる宿泊先の予約合戦は過熱を極め、新しい場所での合宿を計画しても、陸上競技場やロードコースなどの関係施設と言うよりも、宿泊先を確保できない事態が増えてきていると感じます。幸い、我々のブラインドマラソン強化合宿については、来年3月までの予約は全て完了しております(全国の各強化拠点において)。本当に感謝です。
また、新年度は、大学や実業団チームなどにおいても、必ず選手の入れ替えがあるのが一般的です。ところが、我々のブラインドマラソンをはじめパラ競技の多くは、選手の入れ替えはほとんど発生しません(種目によっては競技人口が激減している)。と言うか、諸事情により引退していく選手は定期的にいるので、この先も選手の数が減少していくリスクは高いと言っても過言ではないでしょう。
したがって、各競技内での競争原理はもちろん、選手の高齢化がどんどん進み、全てにおいてマンネリ化に陥り易い状況とも言えます。そして、我々のブラインドマラソンはその最たるもので、高齢化の最先端を走っているのは間違いないでしょう。
では、なぜ強化活動を継続できているのでしょうか。その根拠はなんでしょうか。もちろん、パラリンピック種目であることなど、強化活動を継続していける諸条件をクリアしているからですが、それだけでは高齢化の進んだ選手たちの走力はもちろん、モチベーションを維持・向上させることはできません。
実は、日本国内における一般ランナーたちの記録を年齢別にランキングしたデータがあります。その中において、男子は「2時間30分以内の記録」を達成しているのはちょうど50歳前後まで。女子で「サブスリーの記録」を達成しているのはちょうど60歳前後まで。さらに、女子は何と言っても65歳の弓削田氏が3時間を切る勢い(3時間1分)をキープしたまま元気にバリバリ走っています。
要は、我々のブラインドマラソン選手たちよりもさらに年上で、さらに速い一般ランナーたちが国内には多数おり、ブラインドマラソン選手たちが上記したその記録に到達できれば、パラリンピックでもメダル争いに絡めるのです。特に、女子は65歳の弓削田氏のような記録を残していければ、少なくとも同じ65歳までは十分に世界と戦うことができるのです(実は、国内には我々のお手本となる一般ランナーが多数存在している)。
そして何と、その弓削田氏は、日本ブラインドマラソン協会の強化スタッフの一員として、今年度から正式にお力添えを頂けることになりました。実はすでに、昨年から非公式で我々の強化指定選手たちはアドバイスを頂いており、2月の別大マラソンにおいては、その成果として男女とも自己新記録ラッシュに結びついたのです(特に女子選手)。
65歳以上の女性ランナーの中では世界で一番速くて元気。また、自己にも厳しい弓削田氏の存在やその言葉は選手たちはもちろん、スタッフにとっても重たい。さらに、高齢化の荒波を吹き飛ばす頼もしい存在として、その背中を追いながら一緒にロスパラリンピックまで突っ走りたい……。
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2025春を走る・5
- 2025-04-05 (土)
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【2025春を走る・5】例年以上に寒暖の差が大きいと感じますが……新年度もスタートしました。そして、新年度に入ったこの4月は、1年間で最も人事異動の多い月でもあります。そんな中、現役を引退する選手や他チームに移籍する選手たちもいることでしょう。そして、選手だけでなく、監督やコーチのようなスタッフ関係者が他チームに移籍するケースも、最近は増えてきました。
また、今さら言うことでもありませんが、それだけ陸上の長距離・マラソン選手はもちろん、その選手たちを支える側の「プロ化」が定着してきたとも言えるのでしょう。
さて、人間は環境の変化に弱い動物と言われています。これは、自分自身の経験してきたことや、これまで見聞してきたことからも納得できます。特に、長距離・マラソン選手はもちろん、スポーツ選手たちにとっては、日々の練習環境や練習パートナー(チーム)、そして、選手たちをサポートするスタッフ関係など、選手を取り巻くその環境から驚くほど影響を受けます。
ところが、それ以上に影響を受けると思われるのが、練習以外の生活環境です。具体的には、「引っ越し、転職、異動、結婚、離婚、出産、SNS……」などが該当するでしょうか。これらは、私が長年携わっているブラインドマラソン(パラリンピック関係)の強化においてもピタリと合致します。したがって、実は選手たちの練習環境を整備していく以上に、それらの生活環境の変化を見落とさないよう注視していくことが強く求められます。
そして実際に、パラリンピックなどの大きな大会の振り返りをすると、実はその生活環境の変化が成績にも影響していた選手は、過去を振り返っても意外と多いのです。ところが、それを見抜くことは、実は難しいことも確かなのです。なぜなら、生活環境は個々のプライベートに該当するので、ある線からは踏み込めなくなるからです。
同様に、選手自身もプライベートに踏み込んでほしくないと思うのは至極当然だからです。ところが、上記したような生活環境に端を発する問題が一旦おこると、今度は逆に、それを簡単に相談しにくいのも確かなのです。特に、日本人の特性とも言うのでしょうか、いわゆる「恥の文化」があるからです。
「引っ越ししたら近所とトラブルに」、「異動(転職)した部署(会社)の上司と考え方が合わない」、「同棲をはじめたら相手の粗ばかりが見えてきた」、「妻(夫)とケンカして別居した」、「産まれた子供に病気が見つかった」など、このようなトラブルや問題は誰にでも起こり得るのです。もちろん、選手たちにもです。
ところが、それらの問題を一旦抱えてしまった選手は例外なく、競技のパフォーマンスに悪影響を与えます。その結果、本来の調子からほど遠い状態へと、アッと言う間に落ちていくのです(そのまま去っていった選手たちもたくさん見てきました)。
あらためて、年度の変わり目はいろいろな意味からもリスクが高くなる時期とも言えます。月並みですが、選手からプライベートの問題も気楽に相談してもらえる環境づくりが不可欠なのは……。
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2025春を走る・4
- 2025-03-28 (金)
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【2025春を走る・4】2024年度も終わり、間もなく新年度がスタートします。今年度は何と言っても「パリパラリンピック」が開催されました。そして、皆様方のご支援のおかげでメダルを獲得することができました。あらためて、厚く御礼申し上げます。
さて、今年度最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園で実施しましたが、今年度も通算で100日以上の合宿を継続することができました。また、年間を通じて強化合宿を100日以上も実施しているパラ関係の競技団体は、他にはないかもしれません……。
果たして、費用対効果と言う視点で振り返ったとき、年間を通じて100日以上の合宿が必要か否かの判断は、実はとても難しい。一方、視覚障がいランナーがそれぞれの地元において、長期展望に立った戦略のもと、計画的かつ効果的なトレーニングを日々積み重ねていくことができるか否かの判断は、実はもっと難しく、不確実性が高いとも言えます。
その主な理由としては、日々のトレーニングに不可欠な伴走者(ガイドランナー)を確実に確保していけるか否かはもちろん、世の中は目での確認が不可欠な情報が氾濫しているからです。そのため、視覚障がいは「情報障がい」とも言われており、健常者が目から得ている情報がほぼ遮断されていることで、多くの情報などをリアルタイムで取得することが難しいのです(弱視ランナーもほぼ同じ)。
特に、マラソンなどのスポーツには必ず動きなどの動作が伴います。例として、ランニングフォームについて学ぶとき、一般ランナーはお手本となるランナーのフォームを見て、それを真似ることからスタートします。ところが、視覚障がいランナーはそれが難しく、良いフォームの特徴を耳で聞いて、それを頭で解釈しながら実践することになりますが、そのことがどれだけ難しいことかは想像に難くありません(ほぼ不可能)。
また、一般ランナーは、マラソンや駅伝観戦を通じて、トップランナーがどんな体型(体が絞れている)をしていて、どんなスピードで走っているのかを、直接目で確認することができます。その結果、どれほどの努力(走り込み)をしないと、その域に到達しないかをリアルに感じることが可能です(他者との比較)。ところが、視覚障がいランナーの場合、特に動きを伴うマラソンなどに関しては、この「他者との比較」が難しいことが、実は大きなハンディにもなっているのです。
以上、長くなりましたが、上記してきた実例などからも、視覚障がいランナーが専門的なマラソントレーニングの理論や実践を取得すること。さらに、パラリンピックを目指す上での必須情報などは、直接対面しないと正確に受け取ること(理解すること)が極めて難しいことは今も昔も変わらないのです。したがって、強化合宿(皆で集まる)を通じて繰り返しそれらを実践していくことが、実は最も効果的で効率的な手段のひとつと考えるのです。
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2025春を走る・3
- 2025-03-21 (金)
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【2025春を走る・3】実業団vs大学の直接対決となる、エキスポ駅伝大会が開催されました。駅伝ファンのひとりとしては、とても見応えのある内容でした。選手の皆さん、お疲れ様でした。
今回の駅伝は、初の実業団チームと学生チームとの直接対決になるとのことで、SNSなどでも大きく取り上げていました。しかし、駅伝大会の歴史を紐解くと、それに近い駅伝大会が過去にも存在したことを知ることができます……。
今から30数年前、私も現役時代でしたが、全国で開催されていた駅伝大会をいくつか振り返ってみます(今は開催中止になっている駅伝大会)。はじめに、当時は日本三大駅伝と言われていた「朝日駅伝大会(福岡県・99.9k/7区間)」、「中国駅伝大会(広島県・107.5k/8区間)があげられます(三大駅伝のもうひとつは、今のニューイヤー駅伝大会)。
上記した2つの駅伝大会は、学生チームの参加も可能で、実際に実業団チームと大学チームが直接対決することもありました。かくいう私も当時の日本三大駅伝は走っていました。特に、朝日駅伝大会は私自身にとってもたくさんの思い出がある駅伝大会です。
それ以外にも、九州を10日間かけてタスキをつなぐ世界最長の「九州一周駅伝大会」。また、ほぼ同じ開催日程で、青森から東京までを7日間かけてタスキをつなぐ「東日本縦断駅伝大会(青東駅伝」がありました。
私は、青東駅伝大会に千葉県代表選手として、11年連続出場しました。この駅伝大会は、青森から東京までの約880kを61区間に分け、7日間で競い合う駅伝大会です。
参加する各都道県は、24名の代表選手を選考し、ひとりの選手は最低1回、最大3回走ります。また、ひと区間の距離は、10kから20k程度になります。当時の私は毎年確実に3回出走していました。しかも区間距離は15kを超える長距離区間に配置されることが多かったと記憶しております。
つまり、1週間で3本も15k以上のロードレース(起伏の激しい山岳コースが多かった)を走っていたことにもなります。今振り返っても「よく走っていたな」と、私も含め当時の選手たちは本当にタフでした。
また、この青東駅伝大会や九州一周駅伝大会を皮切りに、ニューイヤー駅伝大会の地区予選会、元日のニューイヤー駅伝大会。そして、朝日駅伝大会を走り、最後は中国駅伝大会へと連戦が続きました。
現在も駅伝大会の過密スケジュールを、マラソンを目指す上での弊害と指摘する関係者は多数いますが、30年以上前の選手たちは、その流れをまるで職人のように平然とこなしていました(それらの駅伝と並行してマラソンも走っていた)。
あらためて、駅伝大会も含め物事には必ず賛否両論ありますが、今となっては薄れゆく記憶に残る良き思い出になっております……。
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2025春を走る・2
- 2025-03-14 (金)
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【2025春を走る・2】ここ数年、「部活動の地域移行」の話題が多くなりました。内容的には、「これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブ・団体などに移行すること」です。
もう少し説明すると、文部科学省が2020年9月に「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」の書面で、「2023年度から公立中学校での休日の部活動の地域移行をスタートすること」を発表したことです。
それを受け、スポーツ庁と文化庁が2022年12月に策定したガイドラインに基づき、まずは2023年度から3年間かけて、「公立中学校」の「休日」の「運動部」の部活動を優先し、「段階的に地域移行しようとしていること」を指します。
さて、前置きが長くなりましたが、私が在住する千葉県君津市においても、上記した方針にしたがって、「部活動の地域移行」を実施していくことに……。もちろん、様々な問題が山積しているので、市の教育関係者などが号令をかけただけでは、実行できるはずもありません。
まずは、君津市としては地域移行に向け、今年度と来年度をテスト期間とし、中学校の陸上競技の短距離と長距離に絞って試すことになりました。そして、その長距離部門のコーチ(指導者)として、私もお手伝いすることに……。
具体的には、昨年の9月ころから市の教育関係者や他のコーチとの打ち合わせを重ね、12月から今年の3月までの日曜日を活用して地域クラブ活動を実施しました。また、開催に先立って、君津市内の全中学校に開催案内を配布し、参加希望者を募りました。
もちろん、陸上部の生徒だけが対象ではないので、テニス部やサッカー部など、運動系の生徒や、逆に美術部などの文化系の生徒もいます。参加した生徒たちが記載した目標や目的を拝見すると、「専門的な指導を受けて速くなりたい」、「運動不足を解消したい」など、参加目的は本当に様々でした。
経験上の話になりますが、年齢に関係なく、ある程度走れる人よりも、初心者(未経験者)にランニング指導をする方が、はるかに難しいことは今も昔もかわりません。今回、限られた時間と場所で、経験者(上級者)と初心者を同時に指導することの難しさを、あらためて勉強することができました(部活動なので速くすることが第一の目的ではない)。
一方、コーチたちの指導を真剣な目で聞いている中学生たちの取組み姿勢に、やりがいや達成感を感じることができたのも確かです。この先、どんな方針になっていくのかはわかりませんが、自分にできることは今後も積極的にかかわっていきたい……。
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2025春を走る・1
- 2025-03-07 (金)
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【2025春を走る・1】先日の3月2日は、東京マラソン大会が開催されました。ところが、前週の大阪マラソン大会とは真逆のコンディションとなってしまい、出場した選手たちは暑さとの戦いとなりました。
一般的には、12月から3月上旬の気温は10度前後で安定しており、いわゆるマラソンシーズンとも言われております。ところが、逆に15度を超えるような気温になると、身体が暑さに慣れていないことも相まって、走っている選手たちにとってはある意味、夏マラソンに匹敵するような苦しい体感になります。
今年の東京マラソン大会は、まさにそんな過酷なコンディションだったとも言えます。また、夏マラソン攻略方法のカギは、「前半を抑えて後半ペースアップ」する走法。いわゆる「ネガティブスプリット」の実戦が重要ポイントのひとつになると考えます(詳細は割愛)。
さて、今回の東京マラソン大会は記録を狙える世界屈指の大会でもあるので、男子については、ペースメーカーが3段階に設定されていました。具体的には、「第1グループ:2分52秒~53秒/k」、「第2グループ:2分55秒~56秒/k」、「第3グループ:2分57秒~58秒/k」の3グループです。
スタート後、日本人選手は「第1グループに1名」、「第2グループに数名」、「第3グループに多数」。テレビ観戦で確認した状況ですが、日本人選手たちも積極的に記録へ挑戦していました。
ところが、上記したようにレース後半は気温が20度前後まで上昇し、中間点以降はどの選手も暑さに苦しむ状況へと追い込まれていきました。そんな中で、日本人選手の1位は、市山翼選手が第3グループから後半追い上げ、2時間6分00秒の自己新記録でゴール。しかし、総合順位は10位。世界の壁は厚かったとも言えるのでしょうか。
参考までに上位8選手たちが、中間点通過時に上記したどのグループで走っていたかを確認してみました。「1位~4位と7位の選手:第1グループ」、「5位の選手:第2グループ」、「6位と8位の選手:第3グループ」。
一方、日本人選手の上位6選手は、「日本人1位~2位と5位の選手:第3グループ」、「日本人3位~4位と6位の選手:第2グループ」。また、スタートから第1グループで健闘していた選手は、力尽きて途中リタイヤ。
この結果を振り返ると、世界のトップ選手は、「最初から攻め、暑くなった後半もゴールまで粘り倒した(暑さの中でも極端なペースダウンを回避した)」。一方、日本人選手は「最初から第3グループで力を温存しながら走っていた選手たちが、後半ペースアップして日本人上位でゴールした(勝負に絡めなかったが、暑い中でのマラソン攻略はできていた)」。
もちろん、私がこの結果を正確に分析することはできませんが、世界は暑い中でも積極的に攻めていく選手が増えてきているのは確かなようです。また、オリパラなど世界的に大きな大会は夏開催がメインなので、「日本人でも暑い中ならマラソンで勝負できる」と言われてきました。
しかし、その考え方をあらためていく時期かもしれません(パラも)……。
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2024冬を走る・13
- 2025-02-26 (水)
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【2024冬を走る・13】先日の大阪マラソン大会はマラソンファンの期待どおり、好記録が続出するレースとなりました。そんな中、日本人1位は、初マラソンの近藤亮太選手が初マラソン日本最高記録を樹立。また、「初マラソン初優勝」の快挙まであと少しでしたが、とても感動的な走りでした。ありがとうございました。
さて、そんな好記録続出だった大阪マラソン大会でしたが、残念なことに30.5kの折返し地点を間違えるアクシデントが発生しました。もちろん、テレビ観戦をしていてもその誘導ミスは、瞬間的にわかりました。幸い、先頭集団の選手たちが長く走った距離は約30m程度だったので、その被害は最小限(?)だったようです。
あらためて、マラソンコースに関する国際ルールだと、「距離の誤差は、42.195kの0.1%よりも長くなってはいけない」。つまり、今回はたまたま偶然、15m先に固定中継カメラが設置してあり、あたかも折返し地点のようだったので、先頭集団の選手たちはそこを折返した(したがって、42mよりも短くなった)。もしも、このカメラが22m先に設置してあったなら、先頭集団の選手たちは全員が失格になっていたのです。
また、このときのロスタイムを考慮すると、あと数名の日本人選手が2時間5分台でフィニッシュしていた可能性は高かったと思われます。いずれにしろ、国際マラソン大会の運営常識としては考えられない失態だったことは確かです。
実は、このようなマラソン大会などのロードレース大会における誘導ミスは過去にも発生しています。かくいう私が30数年前の現役時代に出場した別府大分毎日マラソン大会でも起こりました。もちろん、今のコースとは違いますが、先頭を独走していた海外選手が折返し地点手前で折返したテレビ中継車などについていき、そのまま先頭でゴール。しかし、ゴール後に失格。私は自分がゴールした後にそのことを知りましたが、何とも気の毒なアクシデントでした。
また、ある日本陸連公認のハーフマラソン大会で、選手に帯同したときのことです。いつものように、選手たちのスタートを見送り、ゴール地点で選手を待っていると、ゴールしてくる選手たちのタイムが、明らかに1分以上は速いのです。私は直ちに審判長を見つけ、「途中で誘導ミスがあったのでは?」と、確認のために抗議しました。
案の定、その審判長は「公認大会なのでそんなことはあり得ない」との一点張りでした。ところが、大会後日に審判員のミスで、折返し地点に設置するはずのコーンをかなり手前に置いてしまったことが発覚しました。もちろん、大会運営の中においても「選手誘導」に関することは、最重要項目のひとつなはずですが……。
しかし、同じようなミスはどこの大会においても起こり得る可能性があるとも言えるのでしょう。あらためて、今回の大阪マラソン大会における誘導ミスは、これ以上の大きな問題には発展しないと思われますが、今後も有効な対策は本当にあるのでしょうか……。
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2024冬を走る・12
- 2025-02-22 (土)
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【2024冬を走る・12】別府大分毎日マラソン大会後の強化合宿を、2月15日土曜日から2月19日水曜日までの日程で実施しました。もちろん、場所は千葉県富津市富津公園です。
今回の強化合宿は、別府大分毎日マラソン大会後と言うこともあって、参加選手は少なかったです。しかし、同マラソン大会で自己記録を更新した男子の熊谷選手、大石選手と女子の和木選手は参加し、元気に走り込んでいました。
特に、男子の熊谷選手は、5年弱振りの自己記録更新で優勝(IPC登録の部)。その熊谷選手は、2019年12月の福岡国際マラソンで達成した自己記録を今回更新しました。しかし、この間に2度のパラリンピック(東京とパリ)が開催されており、熊谷選手は両パラリンピックともにマラソン日本代表選手として出場しました。
つまり、マラソンの記録は5年振りの更新でしたが、この間に走力は着実に上がっていたとも言えます。今回の別府大分毎日マラソン大会で、これまでの自己記録を一気に80秒更新しましたが、言い方を変えると、毎年16秒ずつ成長していたとも……。
また、熊谷選手は今回の別府大分毎日マラソン大会の3週間前にハーフマラソン大会に出場しました。その大会で、自己新記録(ネットタイム)を達成し、好調をキープしたままマラソンに挑むことができました。前回のブログにも記載しましたが、多くのトップランナーたちも目標のマラソン大会前の30日から20日前後に、調整の一環としてハーフマラソンを走るパターンは定着しています。
ところが、選手自身は調整の一環としてハーフマラソンを走ったつもりでも、ライバル選手たちとの過当な競り合いで、マラソンのために蓄えてきた力を、そのハーフマラソン大会で出し切ってしまうケースがあります(走った本人にはその自覚がない)。その結果、目標のマラソン大会で思うような記録を出せなかった選手も多く拝見してきました。
熊谷選手も今回の別府大分毎日マラソン大会に向け、同様の調整方法でハーフマラソン大会を走りました。ところが、その大会がウェーブスタート方式(時差スタート)を採用しており、熊谷選手は幸か不幸か、後方のグループからスタートすることに……。
その結果、スタート直後からその後方グループの先頭で独走になり、終始自分のペース感覚でゴールまで走り通すことになりました。結局は、単独走でも自己記録を更新(ネットタイム)。逆に、他の選手と必要以上に競り合って、力を出し尽くすことを回避することにもなりました(まさに練習の一環として、普段の練習と同じように走れた)。
今回は、ハーフマラソン大会を調整の一環として走ったことが、マラソンでの自己記録更新にもつながりました。しかし、次回のマラソンで同じことを再現できるか否かは、ハーフマラソン大会のレース展開次第になります。つまり、出場する相手次第とも言えます。また、レースは生き物なので、自分の意思でレースをコントロールすることも難しい。したがって、調整の一環としてレースを活用する方法は、再現性が難しいとも言えるのでしょうか……。
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2024冬を走る・11
- 2025-02-15 (土)
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【2024冬を走る・11】今回も前回の続きになります。要は、目標にしているマラソン大会前の30日前後あたりに20k前後の駅伝大会やロードレース大会を調整の一環として走った場合についての振り返りです(安田の主観)。
特に、初マラソンの場合、そのままの勢いでマラソンも快走しているケースが多く、ひとつの成功パターンとして確立しているのは確かなようです。ところが、同じような流れで初マラソンから2回目のマラソンに挑む場合、逆にうまくいかないケースも意外と多く、再現性が難しい調整方法とも言えそうです。
さて、2月24日に大阪マラソン大会、続く3月2日には東京マラソン大会が開催されます。多くの市民ランナーはもちろん、世界からエリートランナーが多数招待されており、記録への期待が大きな大会でもあります。
さらに、国内のエリートランナーたちも多数出場します。特に、今年開催される東京世界陸上のマラソン日本代表を狙っている国内トップ選手たちが上位入賞(日本人上位)と記録を狙います。もちろん、マラソンファンのひとりとしても目の離せない大会となります。
また、両マラソン大会前の20日から30日前後にあたる2月2日は丸亀ハーフマラソン大会が開催され、2月9日には全日本実業団ハーフマラソン大会が開催されました。そして、どちらの大会も男子は歴史的な記録ラッシュとなりました。同時に、これらのハーフマラソン大会を大阪マラソン大会と東京マラソン大会出場のため、調整の一環として出走した男子選手も多数いました。
その丸亀ハーフマラソン大会において、61分59秒以内で完走した男子選手は82名。同様に、全日本実業団ハーフマラソン大会においては45名。机上の計算になりますが、ハーフマラソンを61分59秒以内で走れる男子選手は、マラソンで2時間8分以内の記録を狙える確率はかなり高くなります。
もちろん、両ハーフマラソンを走った選手たち全員がマラソンを走るわけではありませんが、少なく見ても相当数の選手が走ると思われます。つまり、どちらかのハーフマラソンを調整の一環として走り、設定タイムどおりの61分台で走れた男子選手にとっても、逆に自分よりも好調な選手がすでに相当数いることを見せつけられたハーフマラソン大会だったとも言えます。
但し、どんな選手も最終的な調子の良し悪しは、実際にマラソンを走ってみないとわかりませんが、どちらのマラソン大会も歴史的(?)な記録ラッシュになるのはほぼ間違いないと思われます。そして、調整の一環として走ったハーフマラソン大会(丸亀&全日本実業団)の順位が、目標のマラソン大会(大阪&東京)でどのように変動したかを注目したいと思います(勝ち負けへの影響)。
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