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期分け
期分け・93
- 2014-07-16 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・93】トラックレースが苦しい要因について少し専門的な話しをしてきました。そして、ひとつの大きな要因としてはオーバーペースでしたが、マラソンやロードレースにもオーバーペースはあります。
しかし、トラックレースの場合、スタート直後から全力に近いスピードになってしまう点が、マラソンやロードレースのオーバーペースとは若干異なります。したがって、トラックレースの方がより早い地点で失速し、後半の苦しさに直結していきます…。
先日の7月12日(土)に千葉県千葉市において、伝統の「第46回千葉県クラブ対抗陸上競技大会」が開催されました。今でこそ「クラブチーム」の言葉をよく耳にしますが、「千葉県実業団対抗陸上」と言わず、「千葉県クラブ対抗陸上」として同大会を40数年前から開催してきた点は、ある意味先見の目があり驚きです。もちろん、私自身も現役時代に何度も出場させていただいた思い出の大会でもあります。
そして、近年のランニングブームが同大会にも少しずつ影響してか、一般の市民ランナーたちもこの大会に出場するようになってきました。この大会は、とてもアットホーム的な雰囲気があり、初心者の方でも陸上競技を楽しめる大会なので、陸上競技の普及と言う意味からも参加者が更に増えていってほしいと願っております。
さて、この大会の大きな特徴として、毎年7月に開催されます。したがって、ほとんど真夏に近い炎天下での競技会となり、特に中長距離種目にとっては過酷を極めます。果たして、今年の大会も快晴となり、気温も33度以上、湿度60%前後と、厳しいコンディションとなりました。
また、4月から7月前半あたりまでを、「スピード養成期」と位置付け、積極的にトラックレースに出場する話しをしてきました。その結果、冒頭に記載したとおり、マラソンやロードレースとは違う苦しさを経験しました。更に、4月から7月前半のトラックシーズンは、一部のナイター競技会を除くと、ほとんどの競技会が炎天下での開催となります。
つまり、暑さの中で走る苦しさも、トラックレースを通じて経験することになります。実は、スピード強化と矛盾しているような感じですが、マラソンと比較すると5000mは距離も短く、厳しいコンディションの中でも前半からスピードを上げて走ることで、マラソンとは違う苦しさや我慢を身体が体感することになります。
このような厳しいコンディション下でも、短時間での苦しさや我慢を経験することは単にスピードを付けるとかだけでなく、逆にマラソンのような長時間耐える苦しさや我慢に対する余裕度としても効果を発揮してきます。(私の経験上)
この点は、短い距離のレースでもロードではなく、積極的にトラックレースを走る意味があると考えます。
つづく。
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期分け・92
- 2014-07-09 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・92】トラックレースが苦しいと感じる要因について考えていますが、前回はいきなり「AT値」が登場しました。今回もその続きになります。
前回、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、その平均スピードの90%に相当する4分27秒前後のペースで走ると理論上、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続することが可能と、話しをしました。
もちろん、走歴の浅い市民ランナーの場合、5000mの速度に対して70%かもしれません。この点は、必ずしも全てのランナーに当てはまる訳ではありませんが、上記したランナーの場合、4分27秒前後のペースはマラソンペースとほぼ一致しています。つまり、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続できる上限のペースがマラソンペースにもなります。
ところが、トラックレースで5000mを走る場合、自己記録を目指してスタートすると、至極当然ながらマラソンペースよりも速いペースになります。具体的には、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、自己記録を更新するためには、4分以内のペースが必要になります。
しかし、トラックレースの場合、スタート時の混雑等もないため、トップスピードでスタートすることが可能です。更に、最短で100m毎のペースを確認することも可能であり、正確なペースを保つことも可能です。したがって、スタートから4分切りペースを刻んでいくことは十分可能な状況が揃っています。
特に、トラックレースの経験が浅い市民ランナーは、このように考えスタートするケースが多いのですが、1000mを通過したあたりから急激に呼吸も苦しくなります。更に、手足も思うように動かなくなって、ほとんどのランナーはペースを保てなくなるだけでなく、大きく失速していくパターンに陥ります。
この時、体内では「AT値」を大きく上回るオーバーペースでスタートしたが故に乳酸を除去できる能力を発生量が上回り、過剰な酸素負債になっているのです。つまり、乳酸を除去するために必要な酸素量を取り込めない状況です。同時に、心拍数も頭打ちになり、酸素摂取量より酸素消費量が多くなるので、呼吸は苦しくなり、手足もうまく動かせない状況に陥っています。
これが、「トラックレースは苦しい」と、感じる大きな要因のひとつなのです。
つづく。
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期分け・91
- 2014-07-02 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・91】前回まで、ロードレースとトラックレースを比較してきましたが、どうもトラックレースの方が苦しいような感じです。同時に、その違いや感想をいくつかあげてきましたが、今回はもう少し掘り下げてみます。
特に、はじめてトラックレースを走った市民ランナーの多くが、走った後の感想として、「とにかく苦しかった」、「こんなに苦しい経験は初めて」とまで言う方もいます。では、その苦しさの要因を別の視点から考えてみます。
はじめに、考えられる最大の要因としては、以前にこのブログでも取り上げたトレーニング強度の指標となる「AT値」が、大きく影響していると考えられます。と、ここで久々に「AT値」が登場したので、もう一度簡単に説明しておきます。
ATとは、無酸素性作業閾値と言います。詳細については割愛しますが、簡単に説明すると、有酸素運動と無酸素運動の境界付近を指します。具体的には、遅いスピードで走っている段階では有酸素性エネルギーが供給され、乳酸を蓄積せずに(疲労せず)ランニングを継続していくことが理論上可能です。
ところが、スピードを上げていくと、無酸素的エネルギー供給機構が働き始め、乳酸がより多く産生(疲労してくる)されて、スピードを維持できなくなってきます。そして、その境界をAT値と言っています。しかし、その変換点はポイントと言うより閾値、つまり「ゾーン」と考えられています。
もちろん、正確なAT値を測定するには、専用の機器や血液検査等々、専門的なデータ分析が必要になります。しかし、ランニングペースの目安を導き出すため、簡易的な計算式でも、ある程度の目安を判断することは可能です。(個人差も大きいので目安として)
◆簡易計算式:5000mの記録を100%とした時の90%(5000mの記録/0.9)
例として、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、1000mの平均速度は4分ちょうどとなります。したがって、その90%なので、1000mを約4分27秒前後のスピードで走り続けると、理論上は乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続することが可能になります。また、そのペースの前後が閾値(ゾーン)となります。
さて、久々に難しい話しになりましたが、苦しさの要因となるヒントが何となく見えてきたでしょうか?
次回も引き続き考えていきます。
つづく。
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期分け・90
- 2014-06-19 (木)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・90】前回は、ロードレースとトラックレースの相違点を3つあげました。更に、ロードレースから出場した市民ランナーの視点からまとめると、ロードレースと比較した場合、トラックレースの方がより厳格に実施される競技会であると言えます。
さて、今回もその違いについて、もう少し考えていきますが、実際にトラックレースの5,000mを初めて走った市民ランナー方に話しを聞くと、ほとんどの方が次のような感想を話します。
◆感想1).日本陸連の公認審判員からスタートまでの間、時間厳守で招集や腰ゼッケンの確認等を何度も受けるので、スタートまでに物凄く緊張した。◆感想2).スタート時の混雑が無いので、スタート直後から一気にスピードが上がってしまった。そして、1,000mを通過したあたりから今度は一気に苦しくなり、ゴールまでは経験したことのない苦しさだった。◆感想3).同じトラック上を12周半も走るのでコースを全て見渡せて変化が全くない。更に、ゴール地点に何度も戻ってくるので精神的に辛く、ゴールまでがとても長く感じた。また、仲間の応援にも全く反応できなかった…。
さて、皆さんはいかがでしょうか?
実は、トラックレースを経験したことのある方なら誰もが経験していることなのです。もちろん、実業団選手(プロ)や箱根駅伝を目指している学生ランナーも同じような苦しみを常に味わっています。
では、こんなにつらく苦しいトラックレースが、どうしてスピード強化につながるのでしょうか?
誰もが単純に思うことですが、まずは上記したトラックレースの感想を元に、ロードレースに出場した場合と、感じ方の違いをいくつかあげてみます。
◆違い1).ロードレースは、スタート直後まで音楽を聞いたり、仲間と談笑したりと、自分のリズムで過ごすことが比較的可能なため、精神的にリラックスできる。◆違い2).ロードレースは参加人数も多く、同じ目標タイムのランナーと一緒にスタートすることも可能で、個々のペースでスタートできる。◆違い3).一部の周回コースを除いてゴールまでの間、景色や沿道の応援が変化し、途中で苦しくなってもゴールまでは何度でも立て直すキッカケをつかめる。
次回は、上記した違いを更に掘り下げていきます。
つづく。
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期分け・89
- 2014-06-03 (火)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・89】今回からトラックレースを実際に走る視点から考えていきます。はじめに、ロードレースとトラックレースの大きな違いをいくつかあげてみますので、それぞれがイメージして下さい。
◆相違点1).開催会場の違い。
まさに、見たままのことになりますが、トラックレースは会場や受付等全てが陸上競技場になります。一方のマラソンや各種ロードレースは、ご存知のとおり様々です。大会によってはトラックレース同様、陸上競技場を発着点にする場合もありますが、多くの大会は体育館であったり、公園であったりと大会毎に違いがあります。
◆相違点2).受付(コール)の違い。
マラソン大会を含め、ほとんどのロードレース大会では会場に到着後、受付場所で自分自身のゼッケンを受け取ることで全てが完了します。すなわち、あとはスタート時間に合わせて、ゼッケン番号やチップを付けて並べば、スタート可能となります。
ところが、トラックレースは違います。会場において自分自身のゼッケンを受け取るまでは同じですが、ここから大きく異なります。スタート前にコールと呼ばれる点呼が必ずあり、これを忘れると失格となります。一般的なコールの例として、1次コールと2次コールがあり、1次コールは招集所に掲示してある自分自身の氏名にマークをします。2次コールは招集係にゼッケンを付けたユニフォーム姿でチェックを受けます。全ては時間厳守になっており、招集時間に遅れると失格になります。もちろん、このコールを代理人にさせても失格となります。
◆相違点3).スタートからゴールまでの違い。
マラソン大会やロードレース大会は、スタート時間に合わせ、各自がスタート地点に並びます。同時にスタート地点から後方に向かって長蛇の列となって参加者たちが並んでいきます。したがって、スタート地点を通過するまで相応のロスタイムが必ず発生します。特に、後方に並ぶことの多い市民ランナーは、スタート後も足踏み状態が続くケースも多く、出足からどんどん前にいくことは困難な状況です。しかし、順調に走り出すと、周りの景色を楽しんだり、途中の距離表示を確認しながら自分自身のペースでゴールを目指すことも可能です。
一方のトラックレースは、スタート地点に集まると言うより、出発係からゼッケン順に並ばされます。もちろん、時間に遅れると失格になります。また、このときゼッケン番号とは別に腰ゼッケンを渡され、それをパンツに付けます。更に、トラックレースはロードレースと違い、一緒にスタートできる人数は予めルールで決められており、多くても30名前後となります。そのため、スタートロスはほぼ皆無となり、スタートからどの選手も脱兎のごとく飛び出していきます。同時に、レース中はトラック内のため、景色は変わらず、応援も変わりません。また、ロードレースは「キロ表示」ですが、トラックは「周回表示」になります。つまり、400mトラックでの5千メートルは「12周半」となり、ゴール地点での表示は残りの周回表示となります。
上記以外にも違いはありますが、トラックレースを走ることで、市民ランナーの方はこれまでと違う緊張感や苦しみも体験することに…。
つづく。
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期分け・88
- 2014-05-27 (火)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・88】今回も市民ランナーの方が、トラックレースに参加することについて考えていきます。まずは、前回も記載しましたが、社会人になってからランニングを開始した市民ランナーの方が、最初からハーフマラソンに挑戦するケースを多く見受けます。実際にランニングクリニック等のお手伝いをさせていただき、参加者の方と話をすると、5kや10kのレースに出場したことのない方も意外と多いのです。
もちろん、どんなレースに参加するかは個々の自由なので、ハーフマラソン以上のレースばかり参加していても問題ありません。しかし、ランニングクリニックに参加するような方の多くは、「マラソンで自己記録の更新」を目標にしている方がほとんどです。
同時に、多くの参加者が、「スピードが無いのでマラソンの記録が縮まらない」とも考えており、「スピードを付けるには?」と、多くの質問を受けます。また、クリニックに参加された方の走りを観察していると、どの距離に対しても同じようなフォームで、同じようなスピードになってしまう方が多いことに気が付きます。
もちろん、その原因は様々で、単にランニングフォームが良くないとか、単に加齢による衰え等、見た目に起因したことも多いと感じます。ところが、ランニングフォームの改善だけに目がいき、そこだけを意識してしまう方も多く、結果的にはスピードの改善に結びつかないケースも多く見受けます。
では、何が足りないのでしょうか?
ヒントは、冒頭に記載した、「5kや10kのレースに出場したことがない」ことにあります。つまり、ランニングをはじめてから全力疾走の経験がほとんど皆無な方が多いのです。もちろん、ここで言う全力疾走は、短距離の100mを指しているのではなく、長距離的な視点から1kを意味します。
経験的な話しになりますが、この1kと言う距離はとても都合よく、最初から全力で突っ込み、途中でバテても何とか惰力でゴールできる距離です。また、中途半端なインターバルトレーニングを実施するより、単に1kを全力で1本実施することで、わずか数分間で手足や心肺に強い刺激を入れることが可能です。つまり、1kは長距離種目にとっての最小単位であると、私自身はとらえています。
そして、ハーフマラソン以上のレースばかりに参加しているランナーに、1kを全力で1本実施していただくと、ハーフマラソンのペースとほとんど変わらないランナーが、意外に多いことにも気が付きます。つまり、ここにスピード強化のヒントがあり、トラックレースにリンクしていく部分でもあると考えます。
つづく。
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期分け・87
- 2014-05-14 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・87】今回からトラック競技に出場することについて考えていきます。はじめに、皆さんはトラック競技に出場した経験はあるでしょうか?
至極当然のことですが、学生時代に陸上競技部に所属していたランナーなら誰もが経験していると思います。しかし、社会人になってから市民ランナーとしてランニングを開始し、ハーフマラソンやマラソンに挑戦している方々は、トラック競技の経験はほとんど無いと思いますが、いかがでしょうか。
また、競技として学生時代から陸上競技部に所属し、長距離を志してきたランナーたちは、スピードを付けてからマラソンに移行していく流れが一般的です。そして、この「スピードを付ける」と言っている意味が、トラック競技を指します。したがって、学生時代から陸上競技部として長距離を志しているランナーにとっては、マラソンと言うより5千メートルや1万メートル等のトラック競技のイメージが強いと思います。
実は、この点が面白いところで、学生時代に陸上競技部として長距離を走り、卒業と同時に引退した方はマラソンの経験がほとんど無く、陸上競技を知っているがマラソンを知らない方が多いと感じます。
逆に、社会人になってから市民ランナーとしてランニングを開始した方は、最初からハーフマラソンやマラソンのロード競技から入ります。したがって、トラック競技を走ったことの無い方が多く、市民ランナーの人口は増えているにも関わらず、陸上競技人口がそれほど増えていない理由のひとつとも感じます。
更に、トラック競技と聞くと、陸上競技場で走ることになるため、「遅いランナーが走ってはいけない」と、勝手に思い込んでいる方は私のクラブチームにもいました。また、一般的な市民ランナーの雑誌やランニング関係のHPからトラック競技の申込案内を目にすることも少なく、市民ランナーの方が出場しようと思い立っても、その申込方法すらよく分からないと言うのが現状でしょうか…。
では、最初からハーフマラソンやマラソンのロード競技から入った市民ランナーの方が、これからトラック競技に参加するパターンはどんな効果があるのでしょうか?また、学生時代から陸上競技部に所属していた方々のように、今からスピード強化につながるのでしょうか?
次回も引き続き考えていきます。
つづく。
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期分け・86
- 2014-04-30 (水)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・86】前回から引き続きトラック競技についてですが、今回も話を脱線し、記録について考えてみます。はじめに、トラック長距離種目とマラソンの世界記録と日本記録を記載します。
◆男子世界記録:5千メートル/12分37秒35(2004年)/ベケレ選手(エチオピア)、1万メートル/26分17秒53(2005年)/ベケレ選手(エチオピア)、マラソン/2時間3分23秒(2013年)/キプサング選手(ケニア)。◆女子世界記録:5千メートル/14分11秒15(2008年)/ディババ選手(エチオピア)、1万メートル/29分31秒78(1993年)/王選手(中国)、マラソン/2時間15分25秒(2003年)/ラドクリフ選手(イギリス)。
◆男子日本記録:5千メートル/13分13秒20(2007年)/松宮選手、1万メートル/27分35秒09(2001年)/高岡選手、マラソン/2時間6分16秒(2002年)/高岡選手。◆女子日本記録:5千メートル/14分53秒22(2005年)/福士選手、1万メートル/30分48秒89(2002年)/渋井選手、マラソン/2時間19分12秒(2005年)/野口選手。
あらためて記載すると、意外と古い記録ばかりが残っており、男子マラソンの世界記録以外は停滞している感じがしますが、ベケレ選手の世界記録はとにかく速いです。ベケレ選手の5千メートルを100mあたりのペースにすると、「15秒14」の速さになります。これをトラック1周、すなわち400mに換算すると、何と「60秒56」!
もう少し具体的に説明すると、トラック1周を約60秒ペースで12周半も走り通したことになります。トラックでインターバルトレーニングを実施するとき、400mを60秒ペースで休息を入れながらも12本実施できるランナーは、日本のトップランナーでも多くないと思います。しかしベケレ選手はそのペースで5千メートルを走り切ってしまうのです。もはや、100mの世界記録より凄いことかもしれませんね。
さて、少し見方を変えて5千メートルと1万メートルの記録について考えてみます。以前にもこのブログで取り上げたことがありますが、次のような関係になります。「5千メートルの記録×2倍+1分=1万メートルの記録」、これを上記した世界記録と日本記録に当てはめてみます。
◆男子世界記録:12分37秒35×2倍+1分=26分14秒70≒26分17秒53(+2秒83)。◆女子世界記録:14分11秒15×2倍+1分=29分22秒30≒29分31秒78(+9秒48)。◆男子日本記録:13分13秒20×2倍+1分=27分26秒40≒27分35秒09(+8秒69)。◆女子日本記録:14分53秒22×2倍+1分=30分46秒44≒30分48秒89(+2秒45)。
次に、1万メートルの何倍でマラソンを走ったかを目安にした持久係数で比較すると次のようになります。
◆男子世界記録:2時間3分23秒÷26分17秒53=4.69。◆女子世界記録:2時間15分25秒÷29分31秒78=4.59。◆男子日本記録:2時間6分16秒÷27分35秒09=4.58。◆女子日本記録:2時間19分12秒÷30分48秒89=4.52。
この持久係数は、数値が小さいほど持久力があり、大きいほどスピードタイプである目安となります。この視点から考えると、男子マラソンの世界記録については記録を短縮できる余地が十分に残されており、ベケレ選手の持久係数が4.56に到達した場合、「1時間59分51秒」と2時間を突破できる計算になります。
また、日本の男子マラソンも1万メートルの記録を27分30秒まで短縮し、持久係数が日本女子選手並みの4.52に到達した場合、「2時間4分18秒」となり、4.50に到達すると「2時間3分45秒」になります。もちろん、上記した5千メートルと1万メートルの関係からも日本男子の1万メートルは、記録短縮の余地が残っています。つまり、日本の男子マラソンは世界で十分に勝負できると考えます。
ところが、日本女子マラソンの記録については、5千メートルと1万メートルの関係や1万メートルからみた持久係数からも、今の日本記録でほぼ限界点に到達していると感じます。したがって、逆に5千メートルや1万メートルの記録短縮がマラソン復活に向けたポイントのひとつになると…。
つづく。
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期分け・85
- 2014-04-17 (木)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・85】スピード養成期の一環として、トラックでの競技会を積極的に走る点について考えていきます。はじめに、ひと口にトラックと言っていますが、陸上競技場について少し説明します。
既にご存知のとおり、各種マラソン大会やロードレース大会に出場すると、日本陸連公認コースとプログラムに記載してある大会があります。公認と記載していない大会(一般的な市民マラソン大会)のコースについては何の取り決めもなく、大会種目に示してある距離が実際にどれほど短くても長くても構いません。ところが公認コースの条件は日本陸連の陸上競技ルールブックの中に定めてあり、その条件を満たした上で日本陸連検定員の審査をパスしないと、公認証は交付されません。
同様に陸上競技場についても細かい条件が定められており、第1種から第5種までに分類されています。最も審査の厳しい第1種については、日本選手権や国民体育大会、国際的な競技会を開催できる競技場となります。主な条件には補助競技場の設置があり、第1種公認申請する陸上競技場の隣に、もうひとつ第3種相当の陸上競技場を備える必要があります。つまり、ひとつの陸上競技場を第1種公認申請するためには、隣にもうひとつの陸上競技場も作る必要があるのです。
実は、陸上競技の聖地とも言われている東京の国立競技場ですが、隣に補助競技場がありません。したがって本来は、第1種公認競技場としては登録できないのです。しかし、隣接地にある東京体育館付属のトラックと代々木公園陸上競技場が事実上補助トラックと見なされているため、第1種公認競技場と認められている珍しいケースなのです。
以上のようにトラック競技においても日本陸連公認記録を得るためには、公認競技場で開催される競技会に参加することが第一の条件となります。至極当然のことですが、出場する各自が日本陸連登録をしており、大会そのものが日本陸連公認の競技会である必要もあります。
また、トラック競技の場合、開催されている競技会の多くは、日本陸連公認競技会です。中には日本選手権のように出場するための高い参加標準記録が設定されている競技会もありますが、市民ランナーの方が気楽に出場できる公認の競技会も数多くあり、各大学が主催する陸上記録会等を含めると、ロードレース大会に引けを取らないほどの大会数になります。
ちょうど4月は、日本陸連登録の更新時期でもあるので、出場してみたい方は是非とも登録をし、トラックでの公認競技会に参加してみてはいかがでしょうか?
つづく。
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期分け・84
- 2014-04-03 (木)
- トレーニング計画 | マラソン | マラソントレーニング
【期分け・84】いよいよ新年度がスタートしました。それに伴い職場や生活環境が変わる方も多いかと思います。もちろん、ランナーの方々にとってランニングは生活の重要な一部なので、「自分自身を取り巻く生活環境の変化に左右されることはない」と、誰もが考えます。しかし、「ランニングほど生活環境の変化から影響を受けるスポーツは珍しい」と、思う例をこれまで数多く見てきました。
考えられる理由は様々ですが、最も大きな要因のひとつは、「自分自身の身体と心だけで勝負するスポーツ」だからではないでしょうか。つまり、マラソン(長距離)は、道具を使わず、シンプルに自分自身の身体を如何に速く遠くに運ぶスポーツだからです。そこには、ランニングフォームとかペース配分とかでなく、とにかく1番最初にゴールしたランナーが最も讃えられ、過去の実績やどこに所属し、どんなトレーニングを積んできたかは全く問われない世界でもあるからです。
まさに、公務員ランナーとして日本マラソン界を牽引している川内優希選手のランニングライフがそれを証明していると言えます。それは上記したように「生活環境の変化から大きな影響を受けるスポーツ」と言いつつ逆に、その生活環境をどのようにとらえるかは個々の問題であり、マラソン(長距離)は、「どんな環境からでもトップを目指せる数少ないスポーツである」とも言えるからです。
同様に、新年度から職場や生活環境が変わったランナーの方々にとっては、その変化こそがこれまでのマンネリ化や記録の頭打ちを打開するチャンスかもしれません。もちろん、そんな簡単な話しではありませんが、少なくともそのようなとらえ方は重要です。川内優希選手も4月から転勤となり、新しい職場環境からの世界挑戦となります。そして、新年度も変わりなく、その川内優希選手が日本マラソン界を牽引していくと…。
さて、4月に入り、国内の大きなマラソンや駅伝大会はほぼひと段落ついた感じです。同時に、陸上競技としては、いわゆるトラックシーズンの開幕となります。マラソンブームが到来し、それを期にランニングをはじめた方々にとっては、馴染みの薄い感もあるかと思います。本来、陸上競技は、100mからはじまる短、中、長距離種目、走幅跳等の跳躍種目、ハンマー投等の投てき種目などがあり、陸上競技場で実施する競技です。つまり、マラソンはそのひとつに過ぎないのです。しかもマラソンは、公道(ロード)で競う特殊な種目とも言えます。
そして、4月からは、「スピード養成期」と位置付け、積極的に10k以下の短いレースに出場したり、スピード系のトレーニングを多く取り込む時期となります。まさに、トラックシーズンと一致します。次回からは、スピード養成期の一環としてトラックを積極的に走る点にスポットを当てて考えていきます。
つづく。
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