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2026-02

2026冬を走る・8

【2026冬を走る・8】寒暖の差が大きくなり、花粉も舞ってくる季節に移ってきました。そんな中、先日の22日は大阪マラソンが開催されるなど、各地でマラソン大会が目白押しでした。

その大阪マラソンは、元旦のニューイヤー駅伝でも快走した吉田響選手に注目が集まりました。そして、当日のレースもマラソンファンの期待通り、8k過ぎから集団を飛び出し、まさに異次元のラップを刻んで後半に突入していきました。

しかし、後半は気温が高くなったことあって、吉田選手はそこから失速しました。それでも何とか粘りぬいて「2時間9分35秒」の35位で初マラソンを完走しました。その吉田選手のレース内容に対する評価は賛否両論ありましたが、ハーフマラソンを「61分54秒」で通過するなど、マラソンファンのひとりとしては次につながる積極的なレースだったと感じました。

さて、今回のような積極果敢なレースを拝見すると、マラソンファンとしては必ず思い出すレースがあります。それは、1987年12月に開催された「福岡国際マラソン選手権大会」です。今から39年も前のレースですが、個人的にはこのレースで爆走した中山竹通選手こそが、日本マラソン史上最高の選手だったのではと思ったりもします。

そのレース当日の天候は冷雨。気温7度、5m前後の強風もあった中でのスタート。そして、直後からハイペースになり、15k手前から中山選手が独走態勢へ……中間点をなんと「61分56秒(速報値)」で通過。

後半は雨脚が強くなり、気温も4度まで下がるなど、マラソンのコンディションとしては最悪の展開に……。しかし、その過酷なコンディションの下、中山選手は最後まで粘りぬき「2時間8分18秒」のタイムで、ぶっちぎりの優勝。

上記した今年の大阪マラソンのコンディションとは真逆だったので、同じように前半を突っ込んだ吉田選手と中山選手を比較することはできません。しかし、今と当時ではシューズが全く違います(薄底・ノンカーボン)。また、ランニングウェアの素材やサプリメントなども進化してます。

その結果、男子マラソンの日本記録は、更新され続けてきました。ところが、マラソンはある意味、自然との勝負でもあります。大会当日が、猛暑になったり冷雨になったりと、シューズやウェアでは補えない選手個々の適応力や耐久力などが、勝負に大きな影響を与えるのは確かです。

選手強化において、逆に科学や道具(シューズなど)では補えない部分をどのように強くしていくかは、今後も大きな課題として引き継がれていくのでしょうか……。

2026冬を走る・7

【2026冬を走る・7】マラソンシーズン真っ只中です。千葉県富津市富津公園においても、マラソンに向けた走り込みをしている実業団選手や、箱根駅伝への復活を目指して走り込んでいる学生選手たちの姿が途切れません……。

また、年度末ということもあってか、4月からチームに加入予定の新しい選手の姿が見えるのも、この時期の特徴でしょうか。特に、箱根駅伝を目標にしている大学の場合、新しく入ってくる選手は高校を卒業(卒業予定)したばかりです。

ここ数年、5000m以下の距離においては、高校生の記録は実業団選手とそん色ないレベルにまで到達しています。しかし、箱根駅伝のひと区間は「20k以上」です。つまり、高校を卒業したばかりの選手にとって、それに対応するための練習量(走行距離)が、大きく変化するターニングポイントにもなります。

専門的な視点から考えても、単に5000mの記録を目標にしていく練習と、20k以上(ハーフマラソン以上)の記録を目標にしていく練習は違います。その大きな違いのひとつは、30k以上の距離を一気に走る練習(距離走)が、加わってくる点です。

もちろん、どんな選手も最初から20k以上の距離を走ることはできません。しかし、箱根駅伝を走るための練習に耐える能力があるか否かの見極めは重要です。「高校時代に5000mの記録がすごかった」と言っても、その記録や実績が箱根駅伝などに直結するとは限りません。

そして、この点を見極めていくためには、専門的(科学的)なデータはもちろんですが、指導者の「経験(鑑識眼)」が重要になります。つまり、選手の身体特性や能力は個々に違うので、単なる記録や数値だけでなく、どれだけ多くの選手を指導してきたかの経験値が不可欠になります。

また、その経験値は身体的能力だけでなく、その肉体面をコントロールしていく精神面の見極めも含まれるので、話は複雑難儀になります。特に、長い距離を走り込んでいく練習(距離走)は、どんどん追い込んでいくスピード練習とは違い、無我夢中に走ることはしません(できません)。

その練習(距離走)のポイントは、常に余力を残しながら、その余裕度を自分で考えながら走り込むことなので、肉体面以上に精神面の適性を見極めることが、より重要とも言えます。

先生(監督やコーチ)の指示とおりに走れば、記録や成績をある程度残せていた高校時代……。そして、体の成長がほぼ止まってくるこれからの時期に……自分自身で考えながら肉体面と精神面をリンクさせる方向へとシフトしていくのは、誰もが簡単にできることではない……。

2026冬を走る・6

【2026冬を走る・6】東北地方や日本海側においては、記録的な積雪を観測しております。また、先日の7日土曜日から8日の日曜日にかけては、千葉県でも雪が降りました。幸い、富津合同マラソン練習会は実施しなかったので、いつものメンバーたちは、それぞれが自主トレとなりました。

もちろん、この後も大きなマラソン大会が続くので、トレーニング計画に照らしてみても、重要な調整期に入っているのは言うまでもありません。特に、大阪マラソンや東京マラソンを目標にしているランナーにとっては、上記した7日から8日に計画していたトレーニングはとても重要だったに違いありません。

また、千葉県など冬でも温暖な地域に在住しているランナーにとって、先日のような雪に対応するノウハウや経験を持っていない方が多数だったと思います。例として、最後の30k走を実施予定だったのが、雪によりその練習を回避することに……。さらに、翌日も天候が回復しなかったため、代替トレーニングを考えることに……。

このような場合、雪の中を強行するランナーもいますが、雪で路面が滑ったり、低体温症に見舞われたりして、設定タイムを大きく下回ってしまうケースに陥りやすくなります。その結果、失速の理由は理解しているにも関わらず、目標のマラソン大会に向けては不安だけを残すことになります。

一方、雪のため、その日の練習を翌週にスライドさせて実施するランナーもいます。いわゆる振り替え練習(追試)です。実は、そのように考え、翌週に振り替えて実施するランナーは意外に多いと感じます。その結果、前週が逆に良い休養になったので、設定タイムを上回るような走りができたりします。

ところが、目標のマラソン大会から30日前あたりからは調整期に入っているので、計画していた練習を1週間もスライドすると、本番当日に大きな影響を与える確率は高くなります。つまり、逆に疲労が抜けきれず、調子のピークがずれるのです。

「2週間前の30k走(ハーフマラソンなど)は、絶好調だったのに……」

狙ったマラソン大会で目標タイムを達成できなかったランナーの振り返りに出てくる話に、比較的多いのが、上記したような内容です。もちろん、雪や雨による練習を振り替えたことが全ての原因とはならないでしょうが、調整期の天候不順は本番のパフォーマンスに大きな影響を与えるのは確かです。

「経験は技術」と話していた先人がいました。まさに、今回の雪が大阪マラソンや東京マラソンに出場するランナーたちに、どのような影響を与えることになったかも、注目したいと思います。

2026冬を走る・5

【2026冬を走る・5】今年も別府大分毎日マラソン大会ありがとうございました。ブラインドマラソン協会の強化指定選手たちも無事に出走することができました。その記録や成績については、個々によって相違はありますが、まずはご尽力頂いた大会関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

さて、ブラインドマラソンはルール上、視覚障がい選手を誘導するガイドランナー(伴走者)を有することができます(詳細は割愛)。そして、そのルールは日本陸連でも公認されているので、一般のマラソン大会も同じように出場することが可能になります。

したがって、視覚障がい選手も一般ランナーとガチンコで勝負することができ、障がいの有無に関係なく、記録の評価や価値観は全く同じになります。つまり、視覚障がい選手が「2時間4分54秒」の日本新記録でゴールしたなら、ロスパラリンピックだけでなく、ロス五輪の有力候補にもなります。

まさに、マラソンは本当の意味で、インクルーシブスポーツとも言えます。

今回の別府大分毎日マラソン大会に出場した視覚障がい選手の中で最も速かった選手は、T11クラス(全盲クラス)の和田伸也選手でした。その記録は「2時間24分58秒」。総合順位は46位でしたが、いわゆるエリートランナーの入口にもなる「2時間20分」を境に見ると、2時間20分以降においては9位でした。

参考までに昨年の同大会の結果を振り返ると、最も速かった視覚障がい選手は、T12クラス(弱視)の熊谷豊選手で、その記録は「2時間23分51秒」。総合順位は38位で、2時間20分以降の選手においては10位。

あくまでも参考程度の目安ですが、視覚障がいのトップ選手たちは市民ランナーの中でも、トップクラスのレベルに到達しているとも言えるでしょう……。これからの目標(課題)は、エリートランナーの入口とも呼ばれる記録(2時間20分)を、誰が最初に突破するかです。

現在、T12クラス(弱視)の堀越信司選手が2時間21分台。同クラスの熊谷選手とT11クラス(全盲)の和田選手が2時間23分台で、この3選手がその壁に最も近い選手たちになります。

一方、現実は視覚障がい者でマラソン(中長距離も)を志す若手選手は激減しており、このままだとブラインドマラソンが本当に消滅してしまう危機感は常にあります。しかし、全国ネットでテレビ中継されるような国内屈指の一般大会に堂々と挑戦(参加)できるパラ競技は、マラソン以外ではほとんど見当たらないのも確かです。

新人の登竜門と言われてきた伝統ある別府大分毎日マラソン大会ですが、同大会に挑戦する視覚障がい選手がどんどん現れてくれることを、切に願っております。

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