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2024春を走る・5

【2024春を走る・5】令和6年度がスタートしました。そして、毎年のことながら「気持ちをあらたに」と思うのですが、いつの間にか流される日々に戻ってしまいます。もちろん、そうならないよう、今年度こそは……。

さて、4月に入ると、陸上競技も本格的なシーズンに入っていきます。具体的には、いわゆるロードで競い合うマラソンや駅伝から陸上競技場内のトラックで競い合う種目に移っていきます(トラックシーズン)。そして、これから6月あたりまでを「スピード養成期」と、とらえるマラソン指導者も多いでしょうか。

ここでマラソンのスピードとスタミナの関係を数学の「xy座標」に置き換えて考えてみます。まずは、x軸にあたる横方向を「スタミナ」とし、右方向にいくほどスタミナがあるとします。次に、y軸にあたる縦方向を「スピード」とし、上方向にいくほどスピードがあるとします。

仮に、x軸方向に「+5」、y軸方向に「+5」の場合、その選手の座標は(5,5)となります。そして、その座標(5,5)で直交している四角形の面積を、現在の「マラソン走力」と、簡易的に置き換えて考えます。

前述したように、4月からはトラックシーズンとなり、いわゆる「スピード養成期」です。つまり、y軸を上方向に持っていく時期に当たります。したがって、縦方向にのばすことで、その選手の座標位置も変わり、直交する四角形の面積も大きくなります。その結果、「マラソン走力」もアップするはずです。

このように1年間を期分けし、マラソンに必用なスピードを強化する「スピード養成期(y軸)」。同様に、スタミナを強化する「走り込み期(x軸)」など、縦軸と横軸とを分けて考えると、「マラソン走力」をアップする方法もわかり易くなります。いわゆる「見える化」のひとつとも言えるでしょうか。

ところが、人の体はスピード強化として、y軸を上方向に強化していくと、x軸のスタミナは右方向から左方向に減っていく特性があります。同様に、スタミナ強化として、x軸を右方向に強化していくと、y軸のスピードは下方向に落ちていく特性もあります。実は、人の体は理屈どおりにはいかず、四角形の面積を大きくしていくのは簡単ではないのです。

要は、人の体はスピードとスタミナを同時に追いかけることは相当難しい(極端な例として、100mを9秒台で走り、マラソンも2時間9分で走れる人間は存在しない)。したがって、スピード養成期においてもスタミナを維持していくために、最低限の走り込みが不可欠な点も確かなのです。

もちろん、この点のさじ加減は個々に違うので、試行錯誤をしながら新年度もマラソンにトライしてほしいと思います(自分自身の特性をつかんで独自の練習方法を考えていくのも、マラソンの醍醐味)。

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