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安田享平のランニングライフ

2024冬を走る・7

【2024冬を走る・7】2025年も千葉県富津市富津公園で強化合宿をスタートしました。今回の合宿は、2月の別大マラソンに向けた最後の合宿でした。内容は、量を落として質を上げる方にシフト。具体的には距離走の距離を短くし、設定タイムを上げる内容です。

中でも、パリパラ日本代表選手として活躍した、男子の和田選手と熊谷選手が好調を維持しており、2月の別大マラソンでは、日本人初の「2時間20分突破」を達成してもらいたいと……。

さて、大きな駅伝大会もひと段落し、個々のマラソンや各種ロードレースなどに目標がシフトしていきます。今回の富津合宿においても、実業団や大学チームがマラソン練習に取り組んでいました。特に、先日の箱根駅伝には惜しくも出場できなかったT大学の選手たちが積極的に長い距離を走っていました。

そこには、かつて箱根の名門大学として華々しい活躍をしていた面影はなく、ただ愚直に走り込む姿がありました。もちろん、選手を指導している監督は変わることなく、選手の後ろをしっかりとついていき、指示を出していました。

富津公園で合宿をしていると、実業団や学生チームが入れ替わりでやってきます。好成績を継続しているチームや、逆に何か歯車が狂い、チーム力が下降に入っているチームなど様々です。言えるのは、いつの時代も魔法の練習はなく、愚直に走り込みを継続していくのが一番の近道でしょうか。

また、チーム力が下降に入っている局面での指導は本当にたいへんです。特に、SNSなどで事実とは異なる話や内容が流され、結果的には優秀な選手を勧誘することも困難な状況に追い込まれていくからです。まさに負の連鎖です。

このように富津で合宿をしていると、様々なチームを拝見することができます。その中において、箱根駅伝は一旦出場を逃がすと、復活していくのが簡単ではありません。ところが、監督が変わると劇的にチーム力が復活することがあるのは確かであり、指導者の力は本当に大切だと感じます。

さらに、箱根駅伝においては、指導者自身が苦労をしてきたか否かが、とても指導には大切な要素だと感じます。学生は原則として4年間しかチャンスがありません。そして、実業団選手とは違い、監督の指示や指導はより強く(絶対であり)、学生選手が監督に逆らう(?)ことは相当難しい。

だからこそ、学生選手を指導していく上で、監督自身が苦労してきた経験は必須であり、人生経験の少ない学生選手たちからの信頼と信用を勝ち取るためには必要なのでしょう。ちょうど、各チームの監督などの人事が発表される季節になってきました。

監督が変わることによって、チーム力がどのように変わっていくのかを拝見していきたい……。

2024冬を走る・6

【2024冬を走る・6】2025年の富津合同マラソン練習会がスタートしました。と、言いながら今年も何か変わった点などありませんが……。さて、この練習会をはじめたのは2003年だったので、すでに20年以上続けていることになります。

私は、当時の東京国際女子マラソンに出場する女性市民ランナーたちのコーチをお願いされたのをきっかけに、市民マラソンの世界と向き合うようになりました。もちろん、当初はコーチと言っても特段何かをするわけでもありませんでしたが……。

また、当時の私は「サブスリー」と言う言葉があることも知らず、「そんなタイムなら誰でも走れるだろう」と考えていました。ところが、東京国際女子マラソンに出場した彼女たちのゴールタイムは、サブスリーからは程遠く、自己記録の更新すらできませんでした。

ゴール後、彼女たちは「コーチをしてくれたのに申し訳ありません」と泣いているのです。こちらとしては、何かをしてあげた思いは一切なく、逆に本気で速くなりたい気持ちに答えることができず、自分自身のいい加減な対応を深く反省しました。

そんなことをきっかけに、今の富津合同マラソン練習会をはじめたのです。もちろん、当初の参加者はその彼女たちだけでしたが……。また、当時の私はそれなりに走力も残っていたので、私自身がペーサーをしていました。同時に、自分のために出場していたマラソン大会などは全て封印し、裏方に徹することも決めました(これ以来、自分のレースは走っていません)。

今となってはなつかしい思い出ですが、当時はマラソンブーム前だったこともあり、マラソンに挑戦する一般の女性が少なかったのは確かです。しかし、彼女たちはコツコツと走り込みを重ね、数年後には全員が「2時間50分突破(サブエガ)」を達成しました(もちろん、シューズは薄底です)。

その後も各地のマラソン大会に帯同していると、沿道などで応援することの面白さや充実感を知ることにもなりました。そして今のところ、自分自身のために「マラソン大会を走る」などとは思わなくなり、完全にマラソンファンクラブ(?)の一員になりました。

2025年の今年も、市民ランナーの皆様が激走する雄姿を沿道やゴールで応援します!

2024冬を走る・5

【2024冬を走る・5】2025年も駅伝観戦からのスタートとなりました。駅伝は「走りながらタスキをつないでいく」。ある意味、最もシンプルなスポーツですが、多くの日本人はタスキをつないでいくその姿に大きな感動を覚えます。かくいう私もそのひとりです。

また、人生をマラソンに例えることが多いですが、実は人生に近いのは駅伝とも言われています。なぜなら、マラソンは途中で止めることができますが、駅伝はタスキを次の走者に渡さないといけません。つまり、途中で投げ出せないのが駅伝であり、人生だからでしょうか……。

そして、元日のニューイヤー駅伝は旭化成が優勝。2日からの箱根駅伝は青山学院大学が優勝。どちらも優勝候補と呼ばれていた強豪チームが、下馬評どおりの力を発揮しました。その旭化成は、スタートの1区とアンカーの7区で区間賞を獲得するなど、他の長距離区間(15k以上)でも安定した走りでタスキをつないでいました。

一方、箱根駅伝の青山学院大学は、花の2区や山の5区と6区で区間新をマークするなど、箱根駅伝の要となる区間を走った選手たちが盤石でした。もちろん、それ以外の区間もブレーキがなく、他大学で唯一追い上げムードを見せたのは、7区の佐藤選手(駒澤大学)だけだったでしょうか……。

いずれにしろ、駅伝ファンにとっては、旭化成も青山学院大学もすごいチームであり、出場した全チームの走りにも多くの感動を受けました。あらためて、出場した選手の皆様、ありがとうございました。

さて、今さらながらこれだけ情報が飛び交う時代に、何か特別なトレーニング方法や専用器具を用いていることなどを隠すことは難しい。したがって、どこのチームも大なり小なり、やっていることに変わりはないと感じます。そんな中で常に安定した成績を残し続けている旭化成や青山学院大学は、やはりすごいチームです。

特に、駅伝やマラソントレーニングのほとんどは単純に走るだけです。そして、強くなるためには、単純にたくさん走り込んだ方が良い。ところが、たくさん走り込めば故障やケガのリスクが高まり、貧血などのリスクも高まっていきます。一方、ケガをしないように走り込みの量を落とせば、一緒に走力も落ちていく……。

特に、長距離やマラソンは道具を使わないスポーツなので、技術的な要素がほとんどありません(ランニングフォームも結局は走り込んで身につく)。したがって、上記したように走力は一旦落ちると、元の状態に戻すのがたいへんです。しかし、それ以上に良い状態をキープしていくことはもっとたいへんです。今回の旭化成も青山学院大学も、強いチーム状態を何年もキープしている点は驚異的です。

また、その点に関しては、様々なコメントや意見などが散見されますが、結局のところ肝となる秘訣は何なのでしょうか?

2024冬を走る・4

【2024冬を走る・4】先日の21日は、日体大女子長距離競技会が開催されました。同競技会は、大学関係者のご尽力により、ブラインド選手たちの出場も可能になっております。もちろん、ブラインド選手(パラ選手)が一般の競技会や大会に出場するためには、WPA公認手続きやそれに伴う準備が必要になります(エンドースやドーピング関係、パラ専門の審判員など)。

また、大学が主催するレベルの高い競技会にブラインド選手たちが出場できる機会はほとんどありません。しかし、この日体大女子長距離競技会については、ブラインド選手たちの出場を継続頂き、過去には世界記録を達成したこともあります。あらためて、大学関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

そんな中、今年は5000mに3選手が出場しました。3選手とも今月1日に開催された防府読売マラソン大会を走ったばかりでしたが、積極的な走りを見せていました。特に、若手女子の和木選手がマラソンの疲れも残る中でしたが、自己新記録を達成しました。

さて、本日から31日までの間、恒例の年末合宿を千葉県富津市富津公園で実施します。同合宿は、年明けの2月に開催される別府大分毎日マラソン大会に向けた走り込みになります。内容的には3泊4日と短期ですが、35k以上の距離走を2本実施予定です。

この年末合宿は毎年恒例となっていますが、トレーニング計画も上記したとおり、毎年同じです。また、トレーニングに対する考え方やその内容についてはチームや個人によって違い、どれが正解でどれが絶対と言うことはありません。それぞれが、それぞれの経験や実績によって積み上げてきたトレーニング方法やパターンであり、ノウハウもそれぞれが違ってしかるべきなのです。

しかし、その中においても、共通することのひとつにパフォーマンス(成績)の再現性があります。つまり、あるトレーニングを継続した結果、狙ったマラソンや大会における記録や成績が安定しているか否かです。要は、狙った大会において、狙いどりの成果を出せる確率です。

どんなスポーツにおていも、パフォーマンス(成績)が安定している選手は必ず評価されます。そして、安定している選手に共通していることのひとつに、ルーティン(反復練習)があります。これは、日々のトレーニングから月単位や年単位の中長期計画におけるトレーニングの流れが一定していることも、パフォーマンスが安定している選手に共通していることのひとつとも言えます。

つまり、年間を通じて例年と同じタイミングで合宿をし、同じタイミングでトレーニングパターンを切り替え、同じタイミングで調整に入るなど、トレーニングの流れを一定にすることで成功する確率を高めているのです。もちろん、ブラインドマラソンもそのようにしていますが、果たして2月のマラソンでは……。

また、同じ富津公園内では、あと数日に迫った箱根駅伝に出場する大学が最後の調整をしています。そして、この時期にこの富津公園で最終調整をしている大学はいつも同じで、例年どおりの調整をしています。もちろん、この富津公園で最終調整をしてから本戦に挑んでいる大学は箱根駅伝でも常連です。やはり、パフォーマンスの再現性が高いと言えそうです……。

2024冬を走る・3

【2024冬を走る・3】毎年のことですが、1年が経つのは早いと言いますが……。2024年もあと10日弱となりました。そして、年明けの元日はニューイヤー駅伝、2日からは箱根駅伝と、出場する選手たちにとっては最後の調整期に入りました。

そして、先日の11日土曜日からいつもの千葉県富津市富津公園において、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しました。また、我々にとって、次の目標は来年2月に開催される別大マラソンになります。今回の強化合宿はそのマラソンに向けた走り込みでした。

その強化合宿時、同じ富津公園内において、上記したニューイヤー駅伝と箱根駅伝に出場するチームや選手たちが最後の調整練習をしていました。具体的な練習内容は割愛しますが、どのチームも実戦に近い形式での走り込みがメインで、駅伝当日の具体的な区間配置や戦術などを決断していくとても重要な練習をしていました。

一方、全国的にもインフルエンザやコロナなども流行っているので、どのチームも選手たちも体調管理が最大のポイントになります。すでに何度も記載してきましたが、このタイミングでインフルエンザやコロナに感染すると、正月に調子を合わせることはほぼ絶望的になります。

さらに、どのチームも選手たちは同じ寮やアパートで生活をしていることが多いので、ひとりの選手が感染すると、瞬く間にチーム内に感染が拡大していきます。結果、チームや個人の目標とはほど遠い走りになってしまうケースに陥ることになります……。

あらためて、どのチームも選手たちも、最高の体調と調子で駅伝当日を迎えてほしいと願っております。

さて、ブラインドマラソンの強化合宿は、11日土曜日から15日水曜日までの4泊5日で実施しましたが、内容的には距離走を2回実施するなど、走り込みを重視した内容でした。また、上記したようにインフルエンザやコロナが流行っている証拠に、長い距離を走り込むには富津公園も絶好のコンディションになりました。

今回の強化合宿に参加した男子選手は、パリパラマラソン代表2選手がメインでしたが、予定どおりの設定タイムでたんたんと走り込めていました。両選手ともマラソン経験が豊富なので、私の方から何から何まで指示することはほぼありません。それぞれが経験と実績を持っているので、それに従って具体的な設定タイムや距離を決めていけば良いレベルに到達しています。

何事もそうですが、最初は練習方法など、何をどのようにしていけば良いかを知りません。しかし、練習(仮説)とレース(検証)を繰り返していくと、自分自身に合った独自の練習方法や調整方法などがつかめてきます。結果、それらの精度(確率)が向上し、レースでの安定感や粘り強さに結びついていきます。

ところが、それらを一瞬にして崩壊させるのが、インフルエンザやコロナです。繰り返しになりますが、特に駅伝選手は最後まで体調管理に注意してほしいと思います。そして、「迷ったら休養」です……。

2024冬を走る・2

【2024冬を走る・2】この1週間は、地元中学校(千葉県君津市)でのオリパラ教育講師や講演会。また、地元中学生への陸上指導など、中学生とかかわることの多かった1週間でした。

さて、私が住んでいる千葉県君津市も少子化などの影響で人口が減っており、中学校の統廃合が進んでいます。特に、君津市の地形(地図上)は、房総半島の内陸に向かって広くなっている特徴があるので、市内の多くは山や田んぼに囲まれたのどかな地域でもありますが、逆にそれらも影響しているのでしょうか。

そして、その房総半島の内陸(君津市内)に向かって走っている路線が、JR久留里線(木更津駅発)です。特に、最近では全国有数の赤字ローカル線として、鉄道廃止が濃厚と言われている同線の久留里駅から上総亀山駅間(君津市内/9.6km)は、マスコミでも頻繁に取り上げられています。

私が中学生のころ、この駅間には3つの中学校(久留里中学校、松丘中学校、亀山中学校)がありました。しかし、数年前にその3つの中学校と、久留里駅の2つ手前の小櫃駅(おびつえき)近くにある小櫃中学校が統合し、上総小櫃中学校になりました。

それにともない統合後の新しい校舎は、旧小櫃中学校をリニューアル。また、小櫃駅から上総亀山駅間には6つの駅があることからも、統合後の学区は超広範囲に……。したがって、多くの生徒たちの通学手段はマイクロバスになりました。ところが、統合後もひと学年40数名と少なく、生徒数はさらに減少していく見通しです……。

そんな状況ですが、上総小櫃中学校は毎年オリパラ教育(体験学習)を積極的に行い、私にも声をかけてくれます(講師として)。本当にありがたいことです。そして、田んぼに囲まれたこの校舎近くの農道は私が中学3年生のとき、初めて学校代表選手として君津市内の中学対抗駅伝大会を走った思い出の場所でもあります(40数年前)。

そのとき、私の中学校(現在は統合して周東中学校)は、力を結集して見事に優勝。このとき私はアンカーに抜擢され、初出場ながら優勝ゴールを経験する幸運にも恵まれました。そして、区間賞まで獲得。まさに陸上競技(長距離)を志すきっかけになった大会(経験)でした。

そんな私自身にとっても原点となるこの場所へ、今度は講師として訪れるとは……。

まさに運命と言うのか……。

そして、今の自分にできることは……。

2024冬を走る・1

【2024冬を走る・1】先日の日曜日は、防府読売マラソン大会が開催されました。また、同大会においては、視覚障がいの部(IPC登録の部)も実施されました。その視覚障がいの部は、多くの方々のご理解とご支援のおかげで10回目となりました。関係者の皆様には、あらためて厚く御礼申し上げます。

今大会の結果は、男子は高井俊治選手(T13)が、自己新記録となるアジア新記録(T13クラス)で優勝。女子はパリパラリンピック銅メダリスト(3大会連続メダル)の道下美里選手が優勝。また、男子期待の若手選手でもある大石航翼選手(T12)が自己新記録で2位に入るなど、一定の成果を残すことができました。

さて、既にご存知のとおり、一般のマラソン人口と比較すると、視覚障がいマラソン人口は極端に少ないのが現状です。さらに、その少数の中において、パラリンピックを目標に掲げるような走力(IPC登録者など)を有する視覚障がいランナーは、さらにレアな存在になります。

今大会において、はじめて視覚障がいの部(IPC登録の部)を実施頂いたのが、2015年の第46回大会。その時の視覚障がい男子優勝は熊谷豊選手、女子は道下美里選手。一方、一般男子の優勝は藤原新選手で、2位は川内優希選手でした。

当時のリザルトを見ると、今大会にもエントリーしている一般男子の上位選手は、川内優希選手くらいでしょうか。ところが、我々の視覚障がいの部については、当時から出場メンバーはほぼ変わっていません。もちろん、走力が落ちているのに無理矢理走らせているわけではありませんが……。

オリンピックを目標にしている一般のマラソンは競争が激烈なため、特定の選手が長くトップレベルに君臨していくことは相当難しい。一方、パラリンピックの視覚障がいマラソンは、選手が極端に少ないため、一度トップレベルにまで到達すると、長くトップをキープしていくことは可能です。

ところが、逆に国内トップレベルに到達してもパラリンピックの日本代表選手になることは簡単ではありません。例として、日本ランキング2位にもかかわらず、パラリンピック代表に選出されなかったこともあります。

要は、日本ランキングの上位選手を集めて強化しているのに、その選手たちをパラリンピック代表選手に導くのが難しいことの矛盾(?)が存在します。同時に、競争原理が極端に少ない環境下で、それをどのように克服(強化)していくのかが、今も10年前も変わらない課題でもあります。

また、今さらながら「意識改革」は、言うほど簡単なことではないと、再認識した今年の防府読売マラソン大会でした。

2024秋を走る・12

【2024秋を走る・12】先日の11月24日は、各地でマラソン大会が数多く開催されていました。また、当日は天候にも恵まれた地域が多く、絶好のマラソン日和になった大会も多かったのはないでしょうか。もちろん、富津合同マラソン練習会で切磋琢磨してきた仲間たちもそれぞれの大会に出場し、練習会での成果を発揮していました。

一方、千葉県木更津市においては、陸上競技場において公認記録会が開催されました。この時期になると、多くの公認記録会は長距離種目に特化されていくことが多いのですが、今回の公認記録会は短距離種目も実施され、多くの中学生や高校生たちも出場していました。

一般的には、概ね11月を過ぎると気温も下がってくるので、短距離選手たちは冬季練習に入っていきます。したがって、短距離選手たちが11月以降の公認記録会(屋外)に出場することは減少していきます(ほぼ見ない)。

ところが、千葉県の房総など、国内には年間を通じて比較的温暖な地域も多く、個人的には「地域によっては短距離種目も年間を通じて記録会(屋外)などを開催できるのでは?」と考えたりもします。もちろん、私は長距離・マラソンが専門なので、これ以上のことは言えませんが……。

しかし、公認記録会の短距離種目に出場していた中学生や高校生たちの生き生きとした姿はとても印象的でした。同時に、顧問の先生方も短距離種目の公認記録会や大会そのものが少ない点を悩んでいました(長距離種目と比較して)。

と、言いながら公認記録会を簡単に開催することは難しく、多くの方の協力や準備が必要なのは言うまでもありません。ところが、公認記録会の肝となる公認審判員の方々がかなり高齢化しており、公認記録会を開催するために必要な公認審判員の人数が、あきらかに不足しているのも確かです。

さて、陸上記録会は、若い選手がチャンスをつかめる貴重な場である点は、今も昔もゆるぎないことです。かくいう私も10代のころから出場していた記録会で少しずつ自信をつけ、大きな大会に挑んでいった経験があります。

高齢化社会と言われる昨今ですが、残念ながら陸上記録会にもその影響が、出てきているのが現状でしょうか。少なくとも、若者たちの夢を育む様々なスポーツイベントにまで、その影響が及ばないことを……。

2024秋を走る・11

【2024秋を走る・11】先日の16日土曜日から4泊5日で、強化合宿を実施しました。場所はいつもの千葉県富津市富津公園で、今回の強化合宿は2週間後に迫った防府読売マラソンに向け、調子を引き上げることが主な目的でした(量を落として質を上げる)。

そんな中、合宿中は気温が一気に下がり、冬のような寒さになりました。こうなると、調子を引き上げること以上に体調管理が重視されます。具体的には風邪をひかないことです。すでに何度も話していますが、脚の違和感は何とかごまかせますが、風邪をひいたら走れません(発熱や咳など)。

かくいう私も現役時代、風邪で失敗した経験は何度かあります。特に、駅伝においては、区間最下位の大ブレーキをした経験もあります。また、好調なときほど、風邪をひきやすくなると昔から言いますが、全くそのとおりだと思います(詳細は割愛)。今週末の日曜日も各地でマラソン大会が目白押しなので、出場される皆様は最後まで風邪に注意して下さい。

さて、今回の合宿に参加した選手たちは予定どおりの内容を消化することができました。あとは上記したとおり、風邪に注意しながら体調を引き上げていくだけです。ところが、長く選手強化に携わっていると、大会まで積み上げてきたトレーニングと、大会で走った記録や成績が大きく乖離してしまう選手がいます。

つまり、好調だと思っていた選手が力を発揮できなかったり、逆に不調だった選手が、ある意味神がかった好走をしたりと……。

もちろん、単なるメンタル面の問題なのかを簡単に判断することは難しいですが、スタートするとまるで別人のような走りをしてしまう選手を見受けるのは確かです。しかし、良し悪しにしろ、走った結果を正確に受け止め、正しい振り返りができれば問題ありません。要は、悪かった場合は修正し、良かった場合は次回も再現することができるか否かです。

今回の合宿中、同じ富津公園内で福岡国際マラソン2024の招待選手を数名見かけました。同大会は我々が出場する防府読売マラソンと同じ日に開催されるので、内容は別にしても量を落として質を上げたトレーニングをしていました。

しかし、彼らの実力を持ってしても、狙った大会で常に同じような安定したパフォーマンスを維持することは難しい。そう考えると、安定したパフォーマンスに最も必要な要素は何なのか……。

例年同様、今シーズンも楽しみであり、その難解の攻略方法を探していくシーズンがはじまります。

2024秋を走る・10

【2024秋を走る・10】11月10日、徳島県徳島市において伴走教室が開催されました。その伴走教室に講師として私も参加してきました。その会場は地元の小学校体育館でしたが、当日は天候にも恵まれ、65名の参加予定者全員が無事に足を運んでくれました。

伴走教室の内容は、はじめに「視覚障がい」や「介助方法」などを説明する講義と、その内容を実際に体験する実技の2本立てになっています。原則として、これはどこで開催しても同じ流れになりますが、徳島の皆様はとても熱心に受講してくれました。

最初の講義が終わり、いよいよ実技です。その実技の最初は2人組になって、交代でアイマスクを着用して歩く体験からはじめます。日ごろ、目隠しをして歩いたり、目をつぶって何かに触ることはほぼ無いので、どの参加者も戸惑います。しかし、この経験が最も視覚障がい者のことを理解できる体験であることは確かです。

さて、一般的な話になりますが、人は1分間に15回から20回程度まばたきをしているそうです。仮に1日16時間ほど起きていると仮定した場合、約15,000回もまばたきをしていることになります。また、まばたきは1回に0.1秒から0.15秒かかると言われているので、かけ算をすると、起きている間も24分から48分程度は目を閉じていることになります。

実は、起きていても見ていない時間がそんなにあるとは何とも不思議ですが……。逆に言えば、人は見えていることが普通であり、情報のほとんどは目から得ているとも言えるでしょうか。だからこそ、あえて見えない体験をすることで、目以外からの情報をどのように得るのかを考えたり、視覚障がい者に対し、言葉で見えている情報を、どのように伝えるかを考える時間にもなります。

つまり、「視覚情報の言語化」です。

伴走(介助)は、伴走者が目から得た情報を横にいる視覚障がい者にどのような言葉で伝えるかが、最大のポイントになります。特に、一緒に並走していると、目の前の景色は一瞬で変わっていきます。そんな中、視覚障がい者の安全を確保するためには、伴走者がその都度的確に情報をつかみ、短い言葉で正確に素早く伝えなくてはいけません。

まさに「視覚情報の言語化」です。今の時代はSNSによる情報のやり取りが多くなり、自分が見たことや体験したことを、自分の言葉で直接相手に伝える機会が少なくなってきたように感じます。つまり、言葉によるやり取りが激減し、SNSの影響から逆に情報過多の状態に陥り易くなっています。

その結果、詐欺やフェイクにほんろうされる時代になってきたとも言えるのでしょうか。だからこそ、「視覚情報の言語化」が必須の伴走教室は、もっと注目される活動になっていくのかもしれません……。

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