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2020-09

秋を走る・2

【秋を走る・2】厳しい残暑が続いていましたが、一気に秋めいてきました。先日の19日からの強化合宿も暑さに苛まれることもなく、計画どおり順調に走り込むことができました。

さて、秋から冬にかけて開催されるマラソン大会の動向もかなり見えてきましたが、予想どおり厳しい状況です。既に年内のマラソン大会は全国的に自粛方向になっており、開催を表明している大会も参加基準を引き上げる傾向です。

また、年明けのマラソン大会についても、既に中止や延期を表明している大会が多いのも確かです。全国のマラソン大会もブームから定着へと移行していただけに、個人的には残念な気持ちです。と、言いながら今の状況が永久に続くこともないでしょう。月並みな言い方ですが、これまで同様、コツコツと走り込んでいくしかありません。

特に、マラソンに必要なスタミナ(持久力)は、身に付けるには年単位の地道な走り込みが必要ですが、手を抜き出すと目に見えて落ちていく傾向にあります(私の経験上)。そのため、「ここで休んだらもったいない」と思えるか否かは、大きなわかれ目になるかもしれません。

また、毎年目標にしてきたマラソン大会が無くなることは、走り込む目的やモチベーションを維持していくことすら難しくなっていくでしょう。つまり、落ちていく気持ちをどのように高めていくかの工夫も求められます。

マラソン大会を開催するか否かの判断は、最終的には主催者が大会当日に決めることもできます。しかし、そのマラソン大会で自己記録を更新するためには、計画的な走り込みの継続や心身ともに健康な状態を長期継続することが不可欠になります。つまり、マラソン大会に出場するための準備は手を抜けないのです。

先の見通しが立たないことに力を費やすことは確かに無駄なことかもしれませんが、マラソンは長期的な準備がないと結果を残すことはできません。また、この先のマラソン大会がどのようになっていくかは誰にも予想することはできませんが、自分自身の走力を維持・向上させられるか否かは自分自身で確実にコントロールできます。

いつも無視してきた弱い部分の自分自身と向き合える絶好の機会かもしれません。

秋を走る

【秋を走る】今週末から千葉県富津市において強化合宿を実施します。同地も朝晩は多少涼しくなってきましたが、日中はまだまだ蒸し暑く感じる日が多く、走り込みには厳しいコンディションが続いています。

また、私が現役時代だったころは、9月中旬に入るとグッと走りやすい季節に入っていったと記憶しています。しかし、近年は10月に入っても気温が20度をこえる日が多く、秋から冬のマラソンを目標にした走り込みにも関わらず、「暑さ対策?」が必要になってきたとも感じます。

しかし、次の目標となる12月20日開催の防府読売マラソン大会までは、3ヵ月間あるのでしっかりと走り込みができます。また、その間は前述したように気温が高くなる日も予想できますが、じっくりと取り組んでいきます。

さて、秋からの走り込みも夏の走り込み同様、距離走がメインになりますが、夏より涼しくなる分、設定タイムなどが違います。もちろん、設定タイムは夏よりも速くなる傾向になりますが、サジ加減が難しいところです。

距離走を速い設定タイムで実施していくことは、量だけでなく質も追いかけることになり、より高い目標を狙える可能性が出てきます。一方でその弊害(デメリット)もあり、主に次のふたつが考えられます。

ひとつめが、「調子のピークを目標のマラソン大会に合わせられない」。つまり、距離走の本数を重ねることに、自身の定めた設定タイムより速くなっていき、まるでタイムトライアルのようになっていくことです(特に、練習会の仲間たちと、毎回競り合いになって)。

ふたつめは、「故障や怪我をする」。ひとつめに連動しますが、要は自分自身の身体と心を制御できなくなり、行きつくとこまで行ってしまうことです。「そんなバカな?」と、笑う方もいるかもしれませんが、市民ランナーの練習会を主宰していると、この事例が多いのは事実です。

具体例として、マラソンの目標タイムが「サブスリー」にも関わらず、距離走の設定タイムは「1kを4分15秒以内」と、常に実戦的。その結果、上記したような状況に陥るケースはよくあるパターンです。

長い距離を走り込む距離走は、高い強度(速い設定タイム)で詰め込んでいくと、肉体だけでなく、心も疲弊していくことがあります。そうなるといわゆる「燃え尽き症候群(ランニングに対して)」などに陥ることもあるので注意が必要です。

夏の走り込み・6

【夏の走り込み・6】9月6日は東京パラリンピックのマラソン1年前でした(変更がなければ)。その日は千葉県富津市富津公園において、1年後と同じスタート時間でトライアルを実施しました。本来であるなら都内の同じコースでの試走が理想的でしたが、さすがにそれは難しいので、強化拠点にしている富津公園での実施としました。

もちろん、トライアル当日は起床時間からはじまり、各種暑熱対策やスペシャルドリンクの中身や摂取方法など、事細かい点まで実践的にしました。また、トライアルですが、やみくもに「がんばれ!」とは言いません。選手ごとの設定タイムについては、過去の各種データから導いた数値を個別に指示しました。そのため、スタートは一斉ですが、あとはバラバラの単独走になります。

スタート時間は早朝6時50分。そのときの天候は晴れ、気温28度、湿度80%と、まずまずの厳しいコンディションになりました。その後、願いどおりに気温は30度まで上昇し、より厳しいコンディションになったのは、まさに願ったりかなったりでした。しかし、そんな状況下でも選手たちは、ほぼ設定タイムどおりに走り続けていきました。

さて、夏マラソンを攻略する方法はそれぞれですが、最も重要な点のひとつは「ラスト2kは絶対に失速しない(ペースアップする)」ことです。冬マラソンの場合、前半を果敢に攻め、後半の失速を最小限に食い止めながらゴールすることができます。しかし、これが夏マラソンの場合、一度失速しだすとそれをくい止めることが、かなり難しい状況に追い込まれます。と、言うよりほぼ不可能と言ってよいでしょう。

つまり、夏マラソンを攻略する上で重要なポイントになるのは、前半に体力を温存し、ラストは一気にペースアップできる自分自身の設定タイムをつかんでおくことになります(私の経験上)。冬マラソンと違い、前半の突っ込みは中盤からの失速。そして、リタイヤへと直結していきます。要するに、何とかならないのが、夏マラソンの恐ろしいところなのです。

今回のトライアルで男女の主力選手たちは、ほぼ設定タイムどおりに走り切ることができました。単純に比較はできませんが、2016年のリオパラに当てはめると、男子のトップが銅メダル相当。女子のトップが金メダル相当、2位が銅メダル相当のタイムでした。また、同日に埼玉県熊谷市で開催された日本パラ陸上競技選手権大会に参加した他の主力選手たちもしっかりと走れていた様子でした。

この後、12月の防府読売マラソンを目指した冬マラソンに移行していきます。夏マラソンの攻略につながるもうひとつの重要な対策は、冬マラソンでしっかりと自己記録を更新しておくことです。冬マラソンでより高い次元にいくこと、すなわち夏マラソンのゆとりにもつながるからです。

夏の走り込み・5

【夏の走り込み・5】クラブチームの夏合宿を菅平高原で実施してきました。毎年恒例にしている夏合宿ですが、コロナ禍の影響で今年の夏はこの1回のみとなりました。

また、例年だとラグビー選手をはじめ、サッカー選手や中高生の合宿なども相まって、この菅平高原はたいへんな賑わいになっているのですが、今年は本当に静かな菅平高原でした。

そのため、毎年お世話になっている旅館も諸事情により、この夏は閉館するとの連絡が夏前にあったので、今年の夏合宿は宿泊先を探すことからでした。しかし、何とか受け入れていただける旅館を確保できたので、今年もクラブチームの夏合宿を実施することができました。

そして、例年どおり、この夏合宿のメイン練習は「40k走」。いつもの周回コースで早朝7時30分からグループごとにスタートするのも例年どおりです。そのスタート地点に7時ごろ到着すると、箱根駅伝の優勝を目指している東海大学の選手たちが「30k走」を実施していました。

スタート地点に置いてあった東海大学の伝言ボードには、その日の練習メニューや設定タイムなどが細かく記載されていました。スタート時間は5時50分だったので、我々がスタート地点についたときは30k走の後半でした。

この時、既に気温は30度をこえており、高原と言いながらかなり厳しいコンディション下での30k走でしたが、どの選手も最後までしっかりとした足取りでした。また、驚いたのは、ボードに記載されていた設定タイムです。

5千mを13分台、1万mを28分台で走る選手たちが揃っているグループでもかなり遅い設定タイムで走り込んでいたのです。もちろん、前後の練習計画がわからないので、その意図を知ることはできませんが、事実としてかなりゆとりを持った設定タイムで30k走を実施していました。

近年の東海大学と言えば、質の高いトレーニングをメインにしている「スピード集団」のイメージが強いのですが、そのベースとなるスタミナ強化は想像以上にじっくりと取り組んでいる様子でした。

まさに、「目からウロコ」。速さを極めようとしている学生選手たちでも土台つくりは時間と手間をかけているのです。今年最後の菅平合宿でしたが、とても良いものを拝見することができました。

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