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2024-02

2023冬を走る・2-12

【2023冬を走る・2-12】先日の17日からいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。しかし、別大マラソンから2週間後ということもあり、参加選手は少なめでした。

そんな中、同大会で自身の世界記録を更新したT11クラスの和田選手は、疲労の色を見せることなく、元気に走り込んでいました。同様に、東京パラ金メダリストの道下選手も久々に元気な走りを見せてくれました。

さて、選手の年齢的なことについて話をすることは、私自身としても違和感を感じますが、実は前述した和田選手と道下選手は40代半ばを過ぎています。にもかかわらず、両選手とも毎年確実に進化しています。

しかも両選手ともに、同世代の一般ランナーたちのトップクラスと遜色なく、もはやパラリンピックだけの領域ではありません。もちろん、他にも50歳以上の強化指定選手もバリバリ頑張っており、そのモチベーションの高さにはいつも驚かされます。

また、近年はシューズの進化をはじめ、良質なサプリメントの開発やフィジカルトレーニングの充実などが、選手寿命をのばすことに大きく貢献していることは確かです。しかし、何年も同じようなトレーニングを反復することはマラソンだけでなく、どのスポーツにも共通する「単調で苦痛なこと」に違いありません。

つまり、肉体的な限界よりも、繰り返し同じことを継続することによる「精神面の疲弊」が先に来るように思うのです(私の経験上)。ところが、少なくともパラリンピックを目指している我々の強化指定選手たちは、例外なく年齢を重ねることによるモチベーションの低下はほとんど見られません。

いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のような状態に陥っている強化指定選手に遭遇したことは、少なくとも私自身はありません。もちろん、なぜそうなのかの理由は、私自身にもわかりませんが……。

しかし、ひとつ言えるのは、伴走者をはじめ、多くの仲間たちに支えられている点は大きな理由のひとつと感じます(単独走が可能な弱視選手も)。あらためて、マラソンは究極の個人競技とも言われていますが、実は仲間たちと力を合わせて挑む「団体競技」とも言えるのでしょう……。

2023冬を走る・2-11

【2023冬を走る・2-11】冬のマラソンシーズンも終盤に入っていきますが、1月後半から2月前半にマラソンを走り、これから3月末までにもう1本走る予定の方々は多いと思います。また、1月に走ったマラソンは、実は3月のマラソンに向けた走り込みの一環と位置付けて走った方もいることでしょう。

同様に、ハーフマラソンなどのレースを練習の一環として走る方は、さらに多いと思います。具体例としては、マラソンを1本走った後、次のマラソンまでの間にハーフマラソンを走るパターンなどでしょうか。

特に、市民ランナーの方々がレースを練習の一環として活用することは、多くのメリットがあります。その中のひとつが、「他者と競り合うことで、自分を追い込める」。つまり、質の高い練習になることです。日ごろ、仲間たちと競り合う練習が少ない方ほど、実際のレースでは強くて良い刺激が体(心肺や筋肉など)に入ります。

その結果、大きな自信につながり、次のマラソンに向けても調子が好転していくケースは、私自身も多く見聞してきました。一方、マラソンの疲労が抜けないままハーフマラソンを走った結果、そのマラソンペースよりも遅いタイムでゴールし、逆に落ち込んでしまう方もいます。

では、あらためて、レースを練習(調整)の一環として出場する場合の注意点をいくつか考えてみます。

一つ目は、「そのレースを走る目的」を自身の中で明確にした上で出場することです。例として、「ペースを落とし、一定のペースで走り切る」。また、「現状の調子で、最後まで頑張って走り切る」など、どのようなイメージで走るかをスタート前に決めておくことです。

二つ目は、「ゴールタイムに一喜一憂しない」。目的は次のマラソンに向け、調子を引き上げることなので、タイムが悪かったとしても、「大丈夫」と自分自身を鼓舞することが必要です。しかし、これはかなり難しいことで、予めタイムが悪かったケースを想定しておくことも大切です。

三つ目は、「勇気ある撤退」。明らかに調子が悪いとか、故障を抱えているなど、当初の目的を達成することが困難と判断できる場合は、レースをキャンセルすることも必要です。実は、これも難しく、「何とかなる」と無理をして走り、逆に状況を悪化させるケースは、意外に多いのです(この場合、精神的にも追い込まれる)。

もちろん、他にも注意点はあるでしょう。しかし、練習(調整)の一環として出場するレースほど、慎重にシュミレーションしてから挑むようにしましょう。

2023冬を走る・2-10

【2023冬を走る・2-10】伝統の別大マラソンが開催されました。大会当日は、悪天候が懸念されていましたが、選手や関係者の願いが天に届いたようで、スタート前には雨も上がりました。もちろん、レース中も天候は安定し、逆にマラソン大会としては絶好のコンディションだったでしょうか。

そんな中、ブラインド選手たちも参戦し、T11クラスの和田選手が期待通りの快走を見せ、自身の持つ同クラスの世界記録を更新する「2時間23分27秒」でゴールしました。まずは、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

さて、別大マラソンは新人の登竜門として多くの若手選手を輩出してきました。今大会も国内の若手選手たちが快走していました。一方、市民ランナーたちにとっては憧れの大会でもあり、老若男女問わず、今年も多くのランナーが快走していました。

特に、「2時間30分突破」や「2時間50分突破」などを目指すグループや、いわゆる「サブスリー」を目指すグループは最後まで熱い走りを見せていました。そして、これも毎年のことですが、それらのグループで競い合ってきたランナーたちのゴールにはドラマがあります。

沿道から応援していると、前述した各グループが集団でペースを刻みながら5k毎のポイントを正確に通過していきます。もちろん、誰がペーサーをしているとかでなく、まるで申し合わせたように、集団の力で正確に突き進んでいくのです。

しかし、30kを過ぎてくると、力尽きてくるランナーたちも……。そんなときは、お互いに励ましあい、何とかペースを刻みながら後半を粘り倒していきます。まさに「チーム戦」です。そして、最後は競り合うことで残りの力を絞り出し、競技場まで戻ってきたランナーたちは、感動のゴールとなります。

また、先にゴールしたランナーたちは、グループから遅れた仲間を「残り50秒だ!」などと声を振り絞り、ゴール地点で最後まで応援します。もちろん、その姿を見ている私も手に汗を握ります。そして、ゴール後に同じグループで走った仲間たちと抱き合って喜ぶ姿や、涙を流して歓喜する姿は、毎年のことながら感動的です。

ところが、意外にも同じグループで競い合ったランナーたちは、所属先も年齢も全く違い、日ごろは特に面識のない関係と思われます。しかし、マラソン大会に出場すると、いつも同じ目標タイムの集団で競い合い、励ましあうことで、自然と固い絆で結ばれるのです。

マラソンは個人競技と言われていますが、マラソンこそ究極の団体競技だと感じる瞬間でもあります。そして、日々のトレーニングを含め、仲間との切磋琢磨こそが、マラソン飛躍のカギであると……。

2023冬を走る・2-9

【2023冬を走る・2-9】先日開催された大阪国際女子マラソン大会は、前田選手が19年振りに日本記録を更新するなど、見応えのあるレースでした。特に、その前田選手の脚は無駄なものが見事に削ぎ落されており、その筋肉は、まるで宝石店に陳列してあるダイヤモンドのようでした……。

まずは、出場された選手の皆様、お疲れ様でした。

さて、同大会には富津合同練習会で切磋琢磨している仲間たちも多数出場しました。そして、今回も現地で応援してきましたが、レース後半は冷たい寒風や冷雨が降るなど、意外に厳しいコンディションでした。

また、現地で女子マラソンの応援をすると、テレビなどで解説者が話しているコンディションとのギャップを感じることが多々あります(良いと言っているが、そうでもないこと)。もちろん、今回は前田選手が日本新記録を達成したので、ある意味、良いコンディションだった点は確かです。

しかし、今回も3時間前後を目標タイムにしているランナーたちが、25k付近を通過する時間帯は、北よりの向かい風が強くなり、さらに冷雨も降ってくる厳しいコンディションに陥っていました。ところが、その時間帯の先頭集団は、すでに30kを通過し、32kから33k付近を走っていました。つまり、コースの特性上、逆に追い風です。

あらためて、先頭と最後尾のタイム差(完走者)を確認してみました。「30k地点=35分34秒、35k地点=43分19秒、ゴール地点=57分12秒」。この差を大きいと判断するか否かは難しいところです。そこで、昨年12月に開催された福岡国際マラソン大会でのタイム差も同様に確認しました。「30k地点=22分03秒、35k地点=26分36秒、ゴール地点=34分48秒」。

もちろん、大会ごとに参加資格記録や各地点の関門(タイム制限)などが違うため、単純に比較することはできません。しかし、国際マラソン大会の場合(スタート時間が12時頃の大会)、女子マラソン大会の方が、後半になるほど先頭とのタイム差が広がります。したがって、同じレースを走っていても、後半になるほど、先頭と最後尾は、まるで違うコンディションになっている可能性があると感じます(一般的には午後になると地面の温度が上がるなどの影響で風が吹いてくる)。

国際マラソン大会は、市民ランナーの皆様にとっては憧れの大会です。しかし、単純に記録を目指すなら比較的コンディションが安定している午前中にスタートし、正午前後にゴールできる大会をチョイスすることは、ひとつの対策としては正しいでしょう。

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