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2015-06

期分け・12

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【期分け・12】10k以下のロードレースと駅伝の相違点についての2つ目です。

◆相違点2).1区以外は相手と同時スタートではない。

実は、相違点と言いながら「期分け・9」や「期分け・10」に記載した、スタートから積極的にスピードを出す感覚や相手との競り合いを通じて粘り強さを身につける点と同様になります。そして、その実例を最もあらわしているのが、箱根駅伝の2区ではないでしょうか。1区からタスキを受け取ると、一気にトップスピードで飛び出し、最後の上り坂を必死に粘り抜いてタスキを渡す姿は、その全てを凝縮しています。

また、駅伝では相手チームをどんどん抜いていくことを「ゴボウ抜き」と言い、まさに上記した2区に相応しい言葉です。一方、スタートから飛ばし過ぎた結果、逆に途中から大きく失速し、後続チームからどんどん抜かれていくケースもあります。いわゆる「ブレーキ」と言い、チームの成績に致命傷を与えるケースも多々あります。

このように、2区以降の区間を走るランナーは様々な状況に遭遇します。つまり、自分の設定ペースをいかにキープしていけるかが重要なポイントです。そして、マラソンに必要なペース感覚もこの駅伝を通じて養成することにつながります。

それでは実際の駅伝からペース感覚を養成するヒントをまとめてみます。

◆ヒント1).タスキを受け取った直後、自分自身で少しペースが速いと自覚できる時は、ほぼ間違いなく「全力疾走」している。◆ヒント2).予定より遅い順位でタスキを受けた後、相手チームをどんどん抜いているが、ペースは上がらない。◆ヒント3).タスキを受け取った後、後続チームから抜かれているにも関わらず、設定より速いペースで走っている。

ヒント1に関しては最も注意すべき点であり、逆にジョギングのような気持ちで走り出すと、ちょうど良かったりします。このスタート直後のオーバーペースを防止するノウハウをつかむことは、マラソンを攻略していく上でも重要な要素になります。

ヒント2と3に関しては、目から入ってくる情報と自分自身のスピード感覚とのギャップから生じます。よくある例として同じ区間を走り、A選手はトップでタスキを受け取ったが抜かれて5位まで後退、B選手は20位でタスキを受け取り10位まで順位を押し上げたが、区間順位はA選手が区間5位、B選手は区間10位。結果はチーム順位を下げたA選手の方が速かったのです。

このように、駅伝では走っている順位がそのまま区間順位に反映されるケースは良くあります。それだけに、目から入ってくる見かけの情報に惑わされることなく自分自身のペース感覚を保てる能力はマラソンにも通じるのです。

期分け・11

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【期分け・11】今回は、スピード養成期に出場してほしいレースの2つ目、「ひと区間が5k前後の駅伝」について考えていきます。

はじめに、出場する目的についてですが、今回の駅伝についても同じロードを走る競技になるので、10k以下のロードレースであげた3つの目的が基本になります。そこで、10k以下のロードレースと駅伝の相違をいくつかピックアップし、その相違点からスピード養成につながる点を考えていきます。

◆相違点1).タスキを付けて走る。◆相違点2).1区以外は相手と同時スタートではない。◆相違点3).チーム競技である。

以上の3つが主な相違点となりますが、誰が考えても見たままの違いですね。それでは、それぞれについてもう少し掘り下げていきます。

1つ目の相違点である「タスキを付けて走る」についてです。既にご存知のとおり、駅伝と言えば正月恒例の箱根駅伝が筆頭にあげられます。箱根駅伝が近づいてくると、テレビや雑誌等で連日のように報道されます。その中心となる話題の筆頭はやはり「タスキの重み」についてです。選ばれた選手たちは母校の伝統と名誉、仲間との絆をタスキに託して走りますが、そのプレッシャーや緊張感は映像や紙面を通じても痛いほど伝わってきます。

実は、タスキを付けて走ることは、選手たちの肉体面よりも精神面に大きく左右し、独特のプレッシャーや緊張感を与えるのです。もちろん、このタスキによるプレッシャーや緊張感は箱根駅伝に限ったことではありません。つまり、市民ランナーの皆様方が仲間と出場する「ひと区間が5k前後の駅伝」でも体感することができます。

この独特の緊張感やプレッシャーは、マラソンやハーフマラソンで感じることはほとんどありません。また、マラソンやハーフマラソンのスタート時に、「リラックスして走りましょう」と、お互いに声を掛け合ったりします。しかし、それが「どのような状態なのか?」を意識することは、意外と難しいものです。ところが、駅伝の緊張感やプレッシャーを経験することで、逆にマラソンやハーフマラソンでのリラックスがうまくなります。

つまり、タスキを付けて走ること自体はスピード養成に直結しませんが、マラソンやハーフマラソン時のリラックスにつながります。その結果、個々の走力に合ったスピードを出し易いリラックスした動きとフォームにもつながっていくのではないでしょうか。

期分け・10

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【期分け・10】最後になる三つ目の目的についてです。

◆目的3).相手との競り合いを通じて粘り強さを身につける。

あらためて言うまでもありませんが、マラソンだけでなく陸上競技は記録だけでなく、順位を競い合う競技でもあります。特に、世界選手権やオリンピックの日本代表選考レースになると、記録はもちろんですが、順位がより重視されます。そして、順位を少しでも上げるには相手との競り合いに勝つ必要があり、「この選手は勝負強い」とか「この選手はよく粘る」と、言ったコメントを耳にします。

実は、この勝負強さとか粘り強さは、実際のレースで培われることが多く、様々なレースに出場し、その中でおこる様々な経験を重ねることで身についてくる能力とも言えます。同時に、この勝負強さとか粘り強さの指標はメンタル的な要素が強く、特にマラソンの記録に大きく影響を与える部分でもあります。

しかし、多くの市民ランナーは最初からハーフマラソンやマラソンから挑戦するケースが多く、相手と競り合うことより、設定ペースを守る走り方を重視する傾向にあります。具体的には、目標タイムと同じ設定タイムのペースメーカーについて走るなど、記録重視の走り方です。もちろん、十分なトレーニングに裏付けされた設定タイムなら問題ありませんが、途中から苦しくなって設定タイムを維持できなくなると、簡単にあきらめてしまうランナーも意外と多く見受けます。

ところが、本当に苦しくなってからの頑張りは、個々のメンタル面に大きく左右される部分でもあるので、次のマラソンに活かせるか否かの重要な見極めにもなります。ゴール後に「あと少しで自己記録更新だった」とのコメントは毎回耳にします。そして、その原因をヒアリングすると多くの市民ランナーは「途中であきらめた(粘れなかった)」、「抜かれっぱなしになった(競り合えない)」と、振り返ります。

このように、レース中に苦しくなってからも、あきらめない気持ちを持続できるか否かは、マラソンの記録に大きな影響を与えます。そして、途中であきらめない強いメンタル面を鍛えるには実際のレースで競い合う経験を積むことが、とても効果的です。

つまり、最初からスピードを出してゴールまで激しく競り合う10kレースは、単にスピード面だけでなく、メンタル面を鍛える意味でも有効なのです。

期分け・9

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【期分け・9】今回は二つめの目的について考えていきます。

◆目的2).スタート直後から積極的にスピードを出していく感覚を身につける。

既にこのブログにも記載してきましたが、市民ランナーの多くは短い距離からではなく、最初からハーフマラソンやフルマラソンの長い距離に挑戦します。その結果、スタートからペースを抑える走り方が染みついています。

もちろん、この走り方はオーバーペースを防止する意味でも大切です。

ところが、意外な落とし穴として、この後に短い距離に挑戦してもマラソンと変わらないペースでしか走れない方は多く、逆にマラソンの記録も頭打ちになっていくケースは意外と多いのです。

この問題を解消する方法として少し専門的に言うと、速いスピードで走り続けるための指標となるAT値を高める必要があります。具体的には5kの記録を100%とした場合、その90%から95%のスピードで走るトレーニングが効果的と言います。すなわち、市民ランナーの多くがこれに該当するトレーニングは、10kレースにも相当します。

もちろん、そのペースに相当するスピードでのインターバルトレーニングは効果的です。しかし、そのための練習場所や仲間を確保する手間や時間を考えると10kレースを積極的に走ることは、それらの問題も解消され効果的です。

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