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マラソン練習会

期分け・29

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今回から狙ったマラソンに向け、仕上げ段階に相当する「調整期」について考えていきます。

はじめに調整期の期間についてですが、概ね狙ったマラソン大会当日から逆算して1週間から3週間前の期間を指します。もちろん、個人差も大きく実業団選手(プロ)の中でも比較的ゆったりと時間をかけて仕上げていく選手もいれば、一気にトレーニングの質や量を落とし、短期間で仕上げていく選手もいますが、そのどちらが良いとか悪いとかを判断することは簡単にできません。

具体例としては、記憶に新しい先日の福岡国際マラソンにおいて、日本人トップでゴールした川内選手のコメントを見ていくと、この大会のために特別なトレーニングや調整をした感じを見受けることはできません。一方、惜しくも日本人2位でゴールした今井選手の場合、かなり質の高いトレーニングや調整ができていたにも関わらず・・・。

更に、川内選手も今井選手も直前で体調を崩していた様子のコメントもありました。ところが、川内選手にとってはそれが「吉」と、今井選手にとっては「凶」となり、まさに調整の難しさを感じる部分でした。

このように、どんなに量や質の高いトレーニングを計画どおりに積めたとしても、最後の調整で結果が大きく左右されてしまうのです。実は、かつて私も調整で失敗したマラソンの方が多く、常に悩んでいたランナーのひとりです(涙)。

では、調整期で最も大切な要素とは何でしょうか?

様々なことが頭に浮かびますが、最も重要なことは「狙ったマラソン大会に向けて調子や体調を高めていくこと」と、なります。至極当然のことなのですが、上記したとおり、それは実業団選手(プロ)でも至難の業なのです。そして、更に重要なひとつとして、安定したパフォーマンス(成績や記録)を残せるよう、悪い調子を良い方向へ軌道修正する目的があります。

例として、走力や走歴が似た選手がふたりいたとします。同じ大会にふたりは出場し、ひとりは昨年の大会で2位だったが、今年は20位と大きく失速。一方、もうひとりの選手は昨年も今年も連続で3位・・・。この場合、後者の方が安定感はあり、次回大会も期待できると判断します。そして更に、調整能力が高いとも評価できます。

このように調整期は、最高のパフォーマンスを発揮するための最終準備期間ですが、単に勝ち負けだけが目的ではありません。すなわち、ここまで積み上げてきた力を最大限発揮できるよう、調子や体調を良い方向に整えていく期間となるのです。

つづく。

期分け・23

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今回も「スピード持久力養成期」のハード面について考えていきます。前回は正確な距離についてでしたが、今回は練習コースのアップダウン(起伏)についてです。

はじめに、皆さんもこれまで何度となく耳にしたことのある話しとして、「上り下りのあるコースや起伏での走り込みはスタミナが付く」、「山道やクロカン(クロスカントリー)での走り込みは脚力や心肺機能を高める」・・・。こんな話しを雑誌や本で読んだり、聞いたことのある人は多いと思います。

実際に山道やクロカンでの走り込みについては、多くのランナーがその効果を体感しており、世界のマラソンを席巻しているアフリカ勢がこれを証明しています。また、国内においてもクロカンでの走り込みを積極的に取り入れている選手やチームの多くが活躍しています。

では、あらためて起伏やクロカンでの走り込みの主な効果を簡単にまとめてみます。◆効果1).路面が舗装されていないので自然とバランスの良い走りが身に付く。◆効果2).斜面を上り下りする時はペースを上げなくても心肺機能を高めることができる。◆効果3).下りを走る時は着地の衝撃が大きくなるので脚筋力のアップにつながる。・・・以上のような効果をはじめ他にもランナーに必要な様々な能力を高めることができます。

しかし、逆にクロカンや起伏のあるコースでの走り込みは相応のリスクも伴い、デメリットになる場合もあります。◆リスク1).路面が舗装されていないので怪我や故障をし易くなる。◆リスク2).斜面を上り下りすることで平地でのペース感覚が狂ってくる。◆リスク3).下りを走る時の着地衝撃が大きく、その分疲労回復が遅れる。・・・このようにクロカンや起伏を走ることの効果は、見方によってはリスクにもなるのです。

実は、「スピード持久力養成期」に移行してからのクロカンや起伏での走り込みは相応の注意が必要になってきます。なぜならこの期の重要なポイントは、「正確な距離を正確なペースで走り込んでいくこと」だからです。そのため、上りや下りでの「5分/kペース(それぞれの設定ペース)」が、平地では何分何秒に相当するのかをしっかりと体感できる能力が備わっていないと、逆にペース感覚が狂ってしまう可能性があります。※平地で本来のスピードが出せなくなったりします。特に走歴の浅いランナーは要注意です。

同じく上り下りでの走り込みは、身体へのダメージが平地より大きくなります。そのため、平地でペース走を実施した後の疲労回復期間に対し、どの程度のズレになるかを予め見越したトレーニング計画を作成していないと、疲労の蓄積により故障する可能性が高くなります。

このように、「アップダウンでの走り込み」と言っても平地との相違点は多々あります。そのため、起伏での走り込みは、少なくとも「ペース感覚のズレ」と「疲労回復期間」、そして、「故障&怪我防止」の3点は常に意識してほしいと思います。

つづく。

期分け・22

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「スピード持久力養成期」の軸となるトレーニングは、20k~40kの長い距離を走るペース走です。もちろん、マラソンを目標にしているランナーならこの点については、既に常識的とも言えます。

しかし、意外と盲点になっている点があります。それは、正確な距離を計測した正確なコースでペース走を実施しているランナーが意外と少ない点です。さて、皆さんはいかがでしょうか?

実はランニング経験の無い一般的な人の距離感覚は、実測距離より長く感じる傾向にあります(私の経験上)。具体例として、ランニング経験の無いAさんに最寄り駅までの距離を聞くと、「3k程度」と教えてくれました。ところが実際にゆっくり走って行くと、10分もかからず目的の駅に到着・・・。ランナーの距離感覚なら大目に見ても2k前後の距離です。

また、別の例ですが、Bさんはマラソンを目指すために近所にある公園でトレーニングをはじめました。その公園は1周まわると1kになる遊歩道があり、距離表示もあります。それは、マラソントレーニングにとっては願ったりかなったりのコースです。

早速Bさんは、その周回コースで30k走にも挑戦し、ペース感覚も体得していきました。そして、目標タイムである3時間30分も十分に狙える充実したトレーニングを積んで、本番のマラソン大会に挑みました。ところが、あんなに楽に走れた「5分/k」ペースが実際のマラソン大会では最初の5kから苦しく感じます。「もう少しで楽になる」と、自分自身に言い聞かせながらそのペースを何とか維持して行きましたが・・・。30k以降は大きく失速してしまい、目標の3時間30分には届きませんでした。

Bさんはマラソン大会が終わった後、練習コースである公園の1kコースを、距離計を用いて実測してみました。すると驚くことに「950m」だったのです。つまり、1k走ると50m短く走っている計算になり、実は間違ったペース感覚を体得していたのです。もちろん、ランニング経験が無ければたったの50mと思いますが、このコースで5kを走ると250mも短くなります。そして、これを時間に置き換えると「約1分」です。ところが、5kで1分の誤差になると、予定していた通過ラップに修正していくことは、走力のあるベテランランナーを持ってしても難しい大きな誤差に匹敵するのです。

このように、公共施設である公園や河川敷にある距離表示も厳密に言えば正確でない場合も多々あります。そのため、公園や河川敷にある遊歩道などを利用したがためにペース感覚が狂ってしまうケースも意外と多いのです。

つづく。

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