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2023-03

2023春を走る・5

【2023春を走る・5】2022年度も本日が最後です。そして、明日から2023年度に入りますが、明日からは新年度最初の強化合宿です。また、2023年度は来年に迫ったパリパラに向け、最重要年になります。

「いよいよ来年か……」

すでに何度も経験してきた1年前ですが、来年のパリパラについては東京パラが1年延期になった分、パリパラへの強化期間は逆に1年短くなりました。実際に、過去の状況と比較した場合、いつものパラ1年前とは微妙に違う感じは否定できません。

具体的な違いなどについては割愛しますが、選手個々の調子、チームジャパンとしての状態は、私が過去に経験してきたこれまでとは微妙に違っており、これまでとは違うアプローチも必要なことは確かです。

もちろん、来年のパリパラで「メダルを獲得する」ことが目標ですが、その前にパリパラに出場するための出場権を獲得することが必須条件になります。そして、ちょうど2023年度が、そのパリパラ出場権を獲得するための1年間になります。

もちろん、これまで以上に気持ちを引き締め、明日からはじまる1年に挑みます。

引き続き、皆様方のご支援をお願い申し上げます。

2023春を走る・4

【2023春を走る・4】今年度最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。今回の合宿からマスク着用などが緩和されましたが、我々は引き続きPCR検査を実施し、陰性を確認できた選手とスタッフのみが合宿に参加しております。

さて、今回の強化合宿は来月16日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」に向けた走り込みが目的であり、時期的には最後の走り込みに当たるでしょうか……。すでに何度も記載してきましたが、マラソントレーニングについては様々な成功例があり、逆に絶対もありません。

今回は前述したとおり、ちょうどひと月前に当たるので、40k走を軸にトレーニングを計画。具体的には、40k走を実施した翌日に「5k走×2本+1k走」をセットで実施しました。かなりハードな内容になりますが、「30k以降を粘り抜く力」を養成するには良い練習のひとつです(私の経験上)。

また、合宿での40k走については、かすみがうらマラソン大会に向けては最後となります。したがって、その設定タイムは実戦により近くなりましたが、どの選手もほぼ予定どおりに走れました。そして、その翌日の5k走についても、私のイメージよりも軽快な走りをしていた選手が多く、大会当日の目標タイムを上方修正する選手も出そうな状況でした。

その中において、T12クラスの若手女子選手は、5k走の1本目をなんと自己新記録で駆け抜けました。そして、約5分間のリカバリーを挟んで2本目をスタートしましたが、1本目の記録をさらに30秒以上更新する、これまた自己新記録を達成したのです。

単なるタイムトライアルではなく、前日に40k走を実施したにもかかわらず、翌日の5k走を2本とも自己新記録で走った選手は初めてです。彼女はガイドランナーが必要な選手ですが、今回一緒に走ったガイドランナーは、以前の合宿においても彼女を自己新記録に導いた経験があります。

このように、ガイドランナーの力量によって視覚障がい選手のパフォーマンスが大きく左右されることは、すでにわかっていることです。しかし、「ここまで変わるのか?」と、あらためて感じた次第です。特に、女子選手については、ガイドランナーの力量に左右される傾向がより強いのも確かです……。

「視覚障がい選手にとって、ガイドランナーの良し悪しとは何ぞや?」

来年のパリパラに向け、この古くて新しい課題と再び向き合っていく時期に……。

※練習コースを確認するため、地元にある鹿野山へいくと、ヤギを散歩しているおばちゃんがいました。近寄ってヤギの顔を撫でると、急にいかくされ、ツノで何度も攻撃されました……。

2023春を走る・3

【2023春を走る・3】毎年のことながら寒暖の差が激しい時期です。また、寒い季節から暖かい季節へと移っていく方向なので、マラソンにとっては厳しいコンディションになっていきます。

また、この時期のマラソン大会で気温が20度をこえてくると、記録などのパフォーマンスにも影響が出てきます。また、多くの方は身体が暑さに慣れていないこともあるので、レース後のダメージも大きくなります。

特に、市民ランナーの皆様は、仕事を終えた夕方以降にトレーニングをしている方が多いので、なおさらと感じます。もちろん、大会当日の天候をコントロールすることはできませんが、天気予報などを細かくチェックし、暑さ対策も忘れないように……。

さて、先月の2月26日に開催された大阪マラソン大会で、東京パラ日本代表の和田伸也選手(T11クラス)が自身の持つ世界記録を更に更新する「2時間24分29秒」の新記録を打ち立てました。

全盲のランナーが、この記録でマラソンを駆け抜けること自体が驚異的と感じるのに、彼は現在45歳です。この年齢で2時間30分を突破し、更にその上の記録をも凌駕するとは、まさに鉄人です。

そして、その翌週に開催された東京マラソン大会においては、お笑い芸人の猫ひろしさんが、8年振りの自己記録更新となる「2時間27分2秒」で駆け抜けました。その猫さんも、和田選手と同じ45歳です。

もちろん私は、猫さんとは何の面識もありませんが、芸人と言うハードなお仕事をしながら、これまたハードトレーニングをストイックに継続していることは、あまりにも有名です。しかし、ここまで速くなるとは……、これまた鉄人です。

「継続は力なり」

誰もが知っており、誰もが信じている言葉です。しかし、和田選手も猫さんも「こんなハードなことは継続できない」と、誰もが思うことをたんたんと継続しています。特に、和田選手に関しては、そのハードトレーニングを合宿などで拝見していますが、最後は横にいるガイドランナーが潰れてしまう光景に何度も遭遇しました。

ハードワークを日課としている鉄人の2人は、これからも進化するに違いない……。

2023春を走る・2

【2023春を走る・2】2022年度も残り1ヶ月となり、今年度の強化合宿もあと1回。そして、4月からの新年度は翌年のパリパラを見据えた極めて重要な1年になります。もちろん、新年度以降も強化合宿を軸に選手強化を継続していきます。

さて、その強化についてですが、そもそもブラインドマラソンの競技人口は極端に少なく、パラリンピックを本気で目指せるレベルに到達している選手も国内に数名です。つまり、一般競技者たちのように「〇〇選手に勝たないと代表選手に選考されない」、「故障している間、他の選手たちにどんどん抜かれていく」などと言った競争原理が働き難い(ほぼ存在しない?)競技特性とも言えます。

また、選手たちが所属しているチームなどに強化のすべてを一任しても、同じチーム内に何人ものブラインド選手(長距離選手)は存在しないので、「チーム内で切磋琢磨(お互いに理解)できるライバルや仲間がほぼ存在しない」、「個人でパラ関係の大会に出場しても、競争する相手が極端に少ない(試合なのに単独走など)」。したがって、「個人でパラ関係の専門的な情報収集や環境整備(伴走者の確保など)もかなり難しい」など、実業団チームや箱根駅伝を目指す大学チームでの強化とは、視点の違う問題が根深く存在するのも確かです。

このように選手個人やチームで解決することがほぼ困難な問題への対応策のひとつが、年間を通じてコンスタントに実施している強化合宿(チームジャパンとして)です。要は、一般選手たちのように個人やチームとして強化(切磋琢磨)してくことが難しい競技特性があるなら、逆に強化指定選手たちを一同に集めた強化合宿の頻度を引き上げていく強化対策です。

その強化合宿ですが、ここ数年は年間100日以上(詳細は割愛します)となり、その成果が東京パラでのメダル獲得につながりました。もちろん、年間100日以上は多いと指摘する関係者もいます。一方、上記した実業団チームや箱根駅伝を目指す大学チームは、少なくとも年間100日以上は直接顔を合わせ、一緒に練習します(同じチームの選手たちは同じ寮などで生活を共にしているので至極当然です)。

そう考えると、実は我々の強化合宿が年間100日と言うのは、やはり少ない……。

いろいろと改善事項や課題はありますが、まずはこれまで同様、「切磋琢磨しながら愚直に走り込める機会と場」を確実に確保し、今後もそれを確実に継続・実行していくことが……。

2023春を走る・1

【2023春を走る・1】3月に入りました。毎年のことですが、寒暖の差が大きくなる季節です。そして、花粉が猛威をふるう時期も重なるので、体調管理が難しい季節でもあります。そんな中、今週末の東京マラソンを皮切りに、3月も各地でマラソン大会が目白押しとなります。

特に、東京マラソンや来週末の名古屋ウィメンズマラソンに出場する方々は、最終調整に入ります。上記したように、体調管理が難しい季節ですが、万全の体調で挑めることを祈念しております。

さて、いわゆるカーボン入りの厚底シューズが登場したことによって、マラソンの記録も飛躍しました。同時に、そのシューズが原因のひとつと思われるケガや故障が増加してきたのも確かです。

私が関係しているランナーの中においても、それらに起因すると思われるケガや故障は確実に増えてきたと感じます。また、痛める箇所や、その傾向も何となくわかってきたような……。一方、それらに対応するための正確な対処方法などは、いまだハッキリしていないのが現状でしょうか。

特に、カーボン入りシューズをどの程度の頻度で、どの程度の期間履くと、どのような症状が出てくるかが、よくわかりません。そのため、そのシューズに慣れてきたかなと、安心したころに故障したり、逆に短期間で足の違和感を訴えたりと、人によって様々です。

また、カーボン入りシューズと、そうでないシューズを履き分けようと、元のシューズに戻したら逆に故障するパターンもあり、その対応に苦慮するケースもおきています。このように、いわゆるシューズ革命による恩恵が大きい分、そのリスクも多岐にわたっていると……。

もちろん、どんなシューズであろうと、自分自身にとってケガや故障の原因につながるようなら、そのシューズを断念することは言うまでもありませんが、カーボン入りシューズは比較的高額なものが多く、購入したらそう簡単にあきらめることは難しいと感じます。実は、この部分が一番大きいかもしれません。

他人事のような話に終始しましたが、どんな理由であれケガと故障は回避し、万全の体調でスタートラインに立てることを、あらためて祈念しております。

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