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2024-04

2024春を走る・8

【2024春を走る・8】4月21日の日曜日は「かすみがうらマラソン大会」が開催されました。大会当日の天候は晴れ。気温も23度前後まで上がりました。実は、前日の予報では曇だったので、「直射日光されなければ暑さは大丈夫かな?」と祈る気持ちでいました……。

さて、今回の同大会は、ブラインドマラソンの選手たちにとっては、パリパラ出場権を狙える最後の大会でした(最後の国内選考レース)。どの選手たちもこの大会を目標に調整してきました。幸い、どの選手も仕上がり状態は良好だったので、あとは天候次第と言った状況でした。

しかし、前述したように大会当日の天候は晴れました。同時に、気温もこの時期にしては高めとなり、かなり厳しいコンディションになったのです。特に、選手たちが25k付近を通過するあたりから、さらに気温が上がっていたので、どの選手も終盤は苦しみました。

そんな中、ブラインドマラソン男子は、堀越信司選手が「WPA世界ランキング1位」となる記録で優勝。同女子は道下美里選手が優勝しました。ご存知のとおり、両選手とも東京パラのメダリストです。しかし、両選手が残した今回の記録でパリパラに出場できるか否かは、現時点においてはわかりません。

実は、このように日本のブラインドマラソンは、パリパラへの道筋がはっきりしない暗中模索の中にいます(パリパラに代表選手を派遣できるか否か)。そのため、かつてないほどのプレッシャーが、どの選手にもかかりました。さらに、大会当日の暑さとも相まって、どの選手も「自分の力を出し切る」こと自体が難しい状況に追い込まれたレースでした。

優勝した堀越選手と道下選手は、ここまで多くの経験を積みながら自身の目標を達成してきた選手です。しかし、その経験の多くは「自分の思いとはかなり違う理不尽なこと」の繰り返しでした。特に、レースは自分自身の思いどおりにならない最も理不尽なことのひとつです。

その中でも、パラリンピックのように4年ごとに開催される大会は、理不尽の極みでもあり、当日のコンディションが想定外になる確率も高いと感じます(私の経験上)。今回優勝した堀越選手と道下選手は、目の前にある理不尽なことから逃げることなく、自ら進んでその戦いに挑み続けてきた選手です。

今回の「かすみがうらマラソン大会」においては、その積み重ねてきた「理不尽な経験」が活かされました。そして、今回の経験が、次の「理不尽な大会」へとつながっていくことでしょう。

※旭化成陸上部の皆様、ありがとうございました!

2024春を走る・7

【2024春を走る・7】今週末は「かすみがうらマラソン大会」が開催されます。また、同日は全国各地で、マラソンなどのロードレース大会も開催され、多くの市民ランナーが出場します。あらためて、出場される皆様方の快走を祈念いたします。

4月は季節的には春ですが、気温が一気に上がってくる時期でもあります。また、「今年も春まで続くエルニーニョ現象の影響などにより、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、4月から最高気温が30度以上となる真夏日が出る可能性がある」と話している専門家もいます。

幸い、「かすみがうらマラソン大会」が開催される地域の週間天気予報においては、そこまで気温が上がる可能性は低いですが、最高気温は20度を超える予報です。もちろん、30度を超える中を走ることは厳しいですが、この時期の20度を超える気温も体にはこたえます。

また、スタート時間が、9時から10時の間に設定しているマラソン大会は多いので、結果的にはゴールに向かうにしたがって、気温はグングン上昇していきます。つまり、スタートの気温が10数度でも、ゴール時は20度を超えている可能性があります。

多くのランナーが、十分な暑熱順化ができていない時期だけに、熱中症や脱水などに対する注意が必須です。と、言いながら明後日のマラソン大会に向け、今から暑熱順化を実施することは相当難しいですが、レース中の暑さ対策やその準備は可能な限り実施しましょう。

そこで具体的な対策として、いくつか書き出してみます(安田の思いついたもの)。特に、5時間以上の完走を目標にしている市民ランナーの皆様ほど、暑さ対策の準備は入念にしてほしいと思います。

一つ目は、給水に関することです。特に、後半は給水用の水などが不足している場合もあります。その対策として「小銭などを持参して走る」のが良いでしょう(スマホを持参し、電子マネーでも良い)。

二つ目も給水に関することです。これも後半の給水地点においては、紙コップなどが不足する可能性があります。そこで「給水用のマイカップを持参して走る」。いつでもすぐに飲める折りたためる簡易的なカップなどを持参しておくことを推奨します。

三つ目は「服装」です。帽子やサングラスはもちろんですが、可能な限り薄着でスタートするようにしましょう。日焼け防止や膝や脚筋などを守るための服装は理解できますが、その結果、暑さに負けてしまっては逆効果になります(可能な限り簡易的なサポーターを)。

そして、最後は「勇気ある撤退」です。そもそも暑さに自信のない方は、スタート地点に立たない選択も正解です。もちろん、スタート後、厳しいと感じたなら途中で歩いたり、休んだりしましょう。それでも体調が回復しない場合は、迷わず「リタイヤ(棄権)」。

以上、ありきたりな対策を記載しましたが、4月以降のマラソン大会は本当に危険が伴います。この点は十分に理解して挑むようにしましょう。

2024春を走る・6

【2024春を走る・6】新年度がスタートしましたが、今年度も強化合宿を軸に選手強化を継続していきます。そして、今年度最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市において実施しました。

今月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」に向けた最後の強化合宿でした。もちろん、どの選手も最終調整に入っているので、強化合宿に参加せず、自分自身のペースで調整する選手もいますが、目標は「パリパラ」なのは同じです。

あらためて、マラソントレーニングやその調整方法は様々で、どれが正しいとかの判断をすることはできません。また、何よりもシューズが劇的に進化し、それに見合ったトレーニング方法なども確立しつつあります。

それらのトレーニング方法のひとつに、スピードに重点を置き、そのままマラソンも攻略していく流れがあります。例えるなら、自身の持ち味であるスピードを、狩りをするための「ヤリ」に見立てたとします。日々のトレーニングでは、そのヤリをヤスリなどで磨き、油なども塗って切れ味をよくしていきます。そして、本番のレース(狩り)では、目標(獲物)を一息で突き刺し、手にしていくようなイメージです。

一方、スタミナに重点を置き、じっくりと走り込んでいく流れもあります。例えるなら、自身の持ち味である「スタミナ」を畑で育てる野菜に見立てたとします。日々のトレーニングでは、畑にまいた野菜の種に水をかけ、肥料をまいたりと、時間をかけてじっくりと育てます。そして、本番のレース(収穫)で自己記録更新(豊作)を達成できるよう、最後まで天候なども確認しながら慎重にじっくりと調整しくイメージでしょうか。

また、どちらのパターンが良いとか悪いとかの判断はできませんが、前者のスピード重視は最先端トレーニング。後者のスタミナ重視は古いトレーニングと、一般的には思われている節があります。しかし、スピード重視の場合、目標(獲物)を外してしまった場合、収穫が何もない可能性があり、その後も目標(獲物)を外し続けるパターンに陥る選手は意外に多いと感じます。

もちろん、スタミナ重視の場合も失敗するケースはあります。しかし、レース(収穫)の結果が自己記録更新(豊作)でなくても、何も取れなかったことにはなり難く、次のレースにつながる結果(収穫)を得る可能性は比較的高いと感じます。

さて、SNSなどによる様々な情報があふれています。したがって、トレーニング方法なども常に最先端情報ばかりに注意が向きます。ところが、結果が伴っていない情報(トレーニング方法)も多々あります。よく「歴史は繰り返す」と言いますが、まさにそのとおりの時代に入っているかもしれません……。

2024春を走る・5

【2024春を走る・5】令和6年度がスタートしました。そして、毎年のことながら「気持ちをあらたに」と思うのですが、いつの間にか流される日々に戻ってしまいます。もちろん、そうならないよう、今年度こそは……。

さて、4月に入ると、陸上競技も本格的なシーズンに入っていきます。具体的には、いわゆるロードで競い合うマラソンや駅伝から陸上競技場内のトラックで競い合う種目に移っていきます(トラックシーズン)。そして、これから6月あたりまでを「スピード養成期」と、とらえるマラソン指導者も多いでしょうか。

ここでマラソンのスピードとスタミナの関係を数学の「xy座標」に置き換えて考えてみます。まずは、x軸にあたる横方向を「スタミナ」とし、右方向にいくほどスタミナがあるとします。次に、y軸にあたる縦方向を「スピード」とし、上方向にいくほどスピードがあるとします。

仮に、x軸方向に「+5」、y軸方向に「+5」の場合、その選手の座標は(5,5)となります。そして、その座標(5,5)で直交している四角形の面積を、現在の「マラソン走力」と、簡易的に置き換えて考えます。

前述したように、4月からはトラックシーズンとなり、いわゆる「スピード養成期」です。つまり、y軸を上方向に持っていく時期に当たります。したがって、縦方向にのばすことで、その選手の座標位置も変わり、直交する四角形の面積も大きくなります。その結果、「マラソン走力」もアップするはずです。

このように1年間を期分けし、マラソンに必用なスピードを強化する「スピード養成期(y軸)」。同様に、スタミナを強化する「走り込み期(x軸)」など、縦軸と横軸とを分けて考えると、「マラソン走力」をアップする方法もわかり易くなります。いわゆる「見える化」のひとつとも言えるでしょうか。

ところが、人の体はスピード強化として、y軸を上方向に強化していくと、x軸のスタミナは右方向から左方向に減っていく特性があります。同様に、スタミナ強化として、x軸を右方向に強化していくと、y軸のスピードは下方向に落ちていく特性もあります。実は、人の体は理屈どおりにはいかず、四角形の面積を大きくしていくのは簡単ではないのです。

要は、人の体はスピードとスタミナを同時に追いかけることは相当難しい(極端な例として、100mを9秒台で走り、マラソンも2時間9分で走れる人間は存在しない)。したがって、スピード養成期においてもスタミナを維持していくために、最低限の走り込みが不可欠な点も確かなのです。

もちろん、この点のさじ加減は個々に違うので、試行錯誤をしながら新年度もマラソンにトライしてほしいと思います(自分自身の特性をつかんで独自の練習方法を考えていくのも、マラソンの醍醐味)。

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