Home > Archives > 2024-01

2024-01

2023冬を走る・2-8

【2023冬を走る・2-8】別大マラソンに向けた最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。あらためて、千葉県富津市は房総半島に位置し、一般に温暖な気候として知られているので、この時期でもマラソン練習を実施するには最も適した場所のひとつです。

ところが、合宿2日目は朝から雨模様。その冷雨の中、別大マラソンに向けた最後の距離走(21k~26k)を実施しました。もちろん、富津市は温暖な地域と言いながらも、この時期の雨はこたえます。選手たちは、ウォーミングアップ時から 防寒対策を万全にしていましたが……。

案の定、距離走時の動きは固く、全体的にも重たい感じでした。そして、終盤に差し掛かったとき、ひとりの選手がペースダウンし、足を止めました。駆けつけると、低体温症のような状態でした。幸い、大事には至らず、元気に回復しましたが、見ている以上に厳しいコンディションだったのです。

さて、その低体温症についてですが、専門的には「体内の温度が35度を下回ってしまうこと」を指します。また、人間は35度を下回った場合、自らの身体を震えさせることで熱を発生させるので、寒い日に身体が震えている場合は、軽度の低体温症に陥っている状態との見解です。

一方、ランナーの場合、「走っているときは体温が上がるはず」と思いますが、専門的にはリスクも存在します。具体的には、走ることによる自身の発熱以上に低い気温や汗が原因で、外から身体を冷やされるスピードの方が速いと、低体温症に陥るリスクが高まると言われています。

特に、トップランナーほど、薄手のランシャツ・ランパンで走る傾向が強いのは確かです。そして、長距離を走って汗をかくと、汗に直接冷たい風があたってしまい、急激に体温が奪われ易いのも確かです。したがって、トップランナーこそ低体温症に陥る可能性が高いとも言えるようです。

今週末は、大阪国際女子マラソンなど、各地でマラソン大会が開催されます。それらの大会に出場するどのランナーも当日の天候を確認するとともに、どんな予報になっていても防寒対策の準備は忘れないようにしておきましょう(特に、寒い時期の大会へ持参する荷物はかさばっている程度の方が、「心の安心とゆとり」につながる)。

あらためて、皆様の快走を心より祈念いたします。

2023冬を走る・2-7

【2023冬を走る・2-7】今月28日と来月4日の日曜日は各地で多くのマラソン大会が開催されます。富津合同練習会で切磋琢磨しているランナーたちの多くも、両日に開催されるマラソン大会を目標に走り込んできました。そして、いよいよ最後の調整に入っていきます。すでに何度も記載してきたとおり、調整の基本は「疲労回復」です。そして、適度に刺激を入れながら「調子を引き上げる」ことになります。

もちろん、具体的な方法などに正解はないので、個々に違って当然です。あるランナーは休養第一で、極端に走らないようにする方法かもしれません。また、あるランナーは、逆に落とし過ぎないようにすることで、調子をキープできるかもしれません。いずれにせよ、それぞれが、それぞれの方法で、良い状態に仕上げていけることを祈念しております。

一方、一般的な調整とは違う要因で目標のマラソン大会で失敗してしまうケースがあります。それは「仕事」です。特に、市民ランナーの皆さんは、就業前後の時間を活用しながら日々の走り込みをしております。したがって、仕事上のトラブルなどがない限り、おおむね計画的に練習は継続できます。

ところが、仕事上のトラブルや急な出張や残業などが入ると、逆に一歩も走れない状況に陥るリスクを常に抱えていることにもなります。実は、この点が実業団選手や学生選手(箱根)たちとの決定的な違いになります。つまり、自分自身の意思とは関係なく、大会直前に仕事上のトラブルや出張などの指示を突然受け、結果的には自分自身の調子や体調もコントロールできなくなるリスクが常にある点です。

具体例として、目標のマラソン大会1週間前に突然海外出張を命じられ、長時間のフライトや慣れない食事などの影響で、完全に調子を崩してしまったケースなど、実際に何パターンも見てきました。もちろん、仕事が最優先なので仕方のないことですが、目標のマラソン大会に向け、数ヵ月前から準備してきたにもかかわらず、直前の数週間で全てが崩れ落ちてしまうのは、誰でも納得できないことでしょう。

また、仕事上の突発的なトラブルを未然に防止することは、さらに難しいことです。しかし、自分自身が目標にしていることを達成するには、どんなことが事前に必要なのかを常に考え、職場の上司や同僚たちとコミュニケーションをとっておくことは、とても重要です。

結局は、目標どおりの結果やタイムを残せている市民ランナーの方々は、単純に走り込みの量や質だけでなく、前述したような職場内でのコミュニケーション能力にも長けていると感じます。目標のマラソン大会数週間前に迫った時期だからこそ、仕事上のトラブルなどの影響を最小限にとどめる方法をシュミレーションしておくことは、マラソン調整の隠れた秘策かもしれません……。

2023冬を走る・2-6

【2023冬を走る・2-6】2024年最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。今回の強化合宿は、ちょうど1ヵ月後に迫った別大マラソンに向けた走り込みになります。

今回の強化合宿は、1月6日土曜日から4泊5日の日程で実施し、ポイント練習は3回。具体的には、1月7日に「40k走」を実施し、翌日に「5k×2本+1k」。そして、最終日に「12k走」。

内容的には過去の実績と遜色なく、どの選手もたんたんと走り込んでいました。しかし、ここにきてようやく男子主力選手たちの調子が上がってきており、別大マラソンでの快走が期待できそうです……。

そして、この後からは調整に入っていきます。調整の基本は「練習量を落として疲労を抜く」と「適度に刺激を入れて調子を引き上げる」の2点に集約できます。特に、練習量を落としていくことは、最大のポイントになります。

しかし、これが意外と簡単ではなく、私もコーチの立場から選手たちの失敗事例を、たくさん見聞きしてきました。特に、「選手自身が、自分はどのタイプに該当するかを把握していない」ことによる調整失敗が意外に多いと感じます。

具体的には、「疲労が抜ければ走れるタイプ」と「疲労を抜くと脚力まで落ちるタイプ(刺激の入れ方が重要)」の2つに大きく分類したとき、自分自身はどちらのタイプに該当するのか、あるいは近いのかをつかんでいないことです。

これにより、練習量を落とし過ぎたり、強い刺激を入れ過ぎたりと、結果的には真逆の調整をしてしまうからです。さらに、レースを調整の一環として出場する場合、どのように走るかの判断はさらに難しくなります。

例として、マラソン調整の一環として、数週間前にハーフマラソンを走る選手は多いですが、そのハーフマラソンで自己新記録を達成すると、そのままマラソンも走れるタイプ。逆に失敗してしまうタイプなど、どちらの事例も多数あります。

また、レースは生き物なので、常に自分自身の思うようなペースと順位で走ることはかなり難しい。したがって、周りの選手たちや当日の天候などに惑わされ、自分のイメージどおりのペースと順位で走り切ることは、実は簡単ではないのです(うまくできても、次回レースでの再現性はさらに難しい)。

このように、あれこれ考えること自体が調整失敗の原因にもなったりします。やはり、調整の基本は、シンプルに「休養第一」です。したがって、「迷ったら休養」。この原点を忘れないようにしてほしい……。

2023冬を走る・2-5

【2023冬を走る・2-5】2024年も元旦の駅伝観戦からはじまりました。もちろん、自宅でのテレビ観戦ですが、今年もたくさんの感動がありました。特に、箱根駅伝は、今年も見応えのあるレースでした。あらためて、選手の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。

その箱根駅伝は駒澤大学一強と言われていましたが、終わってみれば青山学院大学の圧勝でした。さらに、青山学院大学と駒澤大学との区間成績を比較しても青山学院大学の選手が、駒澤大学に対して2区以降は9連勝と、駒澤大学を圧倒する内容でした。

また、テレビ中継の中で、解説の渡辺康幸さんが青山学院大学のことを「どの大学よりも泥臭いこと(練習)をしている」と、絶賛していました。まさにその通りの走りでした。

さて、駅伝やマラソンの練習において、この「泥臭い練習」をよく見聞きします。かくいう私もそんな話をよくしますが、そもそも「泥臭い練習」とは、どんな練習を指すのでしょうか。

辞書的な意味以外として、「地道に手間ひまをかけ、体や時間を使って行う練習」や「あきらめずとことんやる練習」。また、「形にならない重みのある練習」などを指し、形にならない重さ(重要)であるがゆえに「泥」とでもいうのでしょう。

では、具体的にはどんな練習が、それに当てはまるのか?

一般的には「距離を走る練習」が、最も「泥臭い練習」に該当するように感じます。もちろん、個々に練習環境や練習方法に違いがあるので、正解はありません。

しかし、駅伝やマラソンにおいて、後半の競り合いや起伏の激しいコースでの終盤など、いかにして粘り倒せるかが、勝敗を分けます。いわゆる「スタミナ(持久力)」の有無です。

そして、そのスタミナ(持久力)のカギを握る「走り込み(量と時間)」を、どれだけ地道に積んでこれたか否かになります。ラスト勝負に持ち込めばスピードの勝る選手でも、ラスト勝負の前に力尽きてしまえば、勝負すらできずに負けてしまいます(今回の駒澤大学)。

また、スタミナ(持久力)は、一気にたくさん走っても、目に見えて向上しません(ケガや故障もする)。ところが、逆に練習を休めば、今度はスタミナが目に見えて落ちていきます。

つまり、多くのランナーにとってのスタミナとは、「身に付き難く、落ち易い」方の特性に当てはまり、まさに日々の「泥臭い練習」が、ポイントになるとも言えるでしょう(スピードとは違う)。

あらためて、今年も「泥臭い練習」を、大切に継続していく所存です。

Home > Archives > 2024-01

Search
Feeds

ページの先頭へ