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2012-04

GWを走る

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今年もいよいよGWになりますが、旅行をはじめ様々な計画を立てていることと思います。また、ランニング愛好家の皆様にとっては、恒例のランニング三昧になる連休と思いますが、いかがでしょうか。そこで今回は、この連休を活用したトレーニングについて考えてみます。

はじめに、今月のマラソンまでしっかりと走り、連戦が続いてきたランナーについてです。

特に、マラソンを何本も走り疲労の自覚症状がある場合や既に故障や怪我をしているランナーです。もちろん、もっと以前から故障のためトレーニングを中断しているランナーも対象となります。

至極当然のことですが、痛みや疾患等がある場合は完全休養となり、絶対に無理をしてはいけません。しかし、そうでない場合、このGW期間は期分けで言うところの「移行期(回復期)」となります。すなわち、軽めのジョギングや水泳、あるいは長めのウォーキング等を軸に回復を優先したトレーニングが有効的になります。

次に、マラソンの疲労もある程度抜けて気持ちもリフレッシュできているランナーです。

このようなランナーはGWを活用したスピードトレーニングをおすすめします。また、せっかくの連休です。いつも一緒に切磋琢磨している仲間たちとのミニ合宿は更にトレーニング効果を高めます。もちろん、宿泊が難しいのならいつもトレーニング会場にしている近くの競技場や河川敷等を活用し、午前と午後の2回実施する2部トレーニングがおすすめです。

また、この時期は初夏を思わせるような気温に上がる日もありますが、身体は暑さに順化していません。したがって、秋から冬のように長い距離を走り込むより、距離を短くしてスピードを上げるインターバルのようなスピードトレーニングの方が逆に安全で効果的ともいえます。

では、実施するにあたり具体的なポイントをあげてみます。

◆ポイント1).インターバルのトータル距離を3000m~5000m程度におさめる。例として、200m×15本~20本、400m×8本~12本、1000m×3本~5本程度の本数が効果的。◆ポイント2).リカバリー(休息)は距離でなく時間で管理し、疾走時間と同じ時間(1対1)で実施する。◆ポイント3).トレーニング強度の調整は、疾走時間ではなくリカバリー時間で調整する。つまり、強度が楽に感じるならリカバリー時間を短くし、苦しく感じるなら長くする。

そして、全てのトレーニングに共通しますが、特にスピードトレーニングについては、ラストまで確実に走り切れる本数と強度で実施していくことが重要です。すなわち、まずは余裕を持った設定ペースで後半まで走り、ラスト数本をペースアップできるような流れにできれば精神的にもゆとりが持て、スピードトレーニングも意欲的に取り組めると考えます。

第22回かすみがうらマラソン大会

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「第22回かすみがうらマラソン大会」が、茨城県土浦市で2年ぶりに開催されました。この大会も回を重ねる度に規模は大きくなり、今年の参加者は何と2万7千名をこえ、国内3番目の大会へと成長しました。

また、この大会は国際盲人マラソン大会も兼ねており、特に今年はロンドンパラリンピック日本代表推薦選考でもありました。今回、その選考対象となる部門には7名の視覚障害者ランナーが挑戦しました。

日本人トップは、アテネパラリンピック金メダリストであるT11クラス(全盲)の高橋勇市選手でした。既に大ベテランの域に入っていますが、ここ一発の集中力と狙った大会に調子を合わせるピーキングは他の選手を圧倒していました。

その高橋選手のトレーニング方法は、狙ったマラソン大会に向け、たくさんのレースに出場していきます。そして、レースでの実戦をトレーニングと位置付けながら狙ったマラソン大会に調子を合わせていく調整で数々の実績を残してきた選手です。

一方、今大会の総合優勝は、あの川内優希選手でした。記録は2時間22分38秒と平凡でしたが、40kからの2.195kは6分9秒と、驚異的なスパートでカバーし、力の違いを見せつけました。しかし、実績のある選手が、格下のレースに出場すると様々な批判を受けるケースも多々あります。また、下手な成績を残すと、更に批判を受けるケースも多いので、実績を残せば残すほど好きなレースに出場していくことは難しくなります。

ところが、川内選手はそんな周りの言葉に惑わされることなく、自分自身のマラソンに対する理論と情熱で突き進んでいます。実は、全盲の高橋選手もこの点は似ていると感じます。

特に、レースを「質の高いトレーニング」と位置付け、思い通りのランニングライフを満喫しながらレベルの高い実績を残している点は二人に共通しています。

また、二人とも何かと話題の多い選手と感じますが、自分自身の考え方の軸が絶対にブレません。このメンタル面の強さこそが、数々の大きな実績を残してきた大きな要因のひとつに違いありません。

そして、これからも二人はマラソン界の常識を覆していくような快走を見せてくれることでしょう。

期分け・41

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マラソンの走り方について、前後半のハーフに分けてどのようなペース配分が効果的かを考えています。これまで、前後半のペース配分を一定に保つイーブンペース型と、後半のハーフをペースアップする後半ビルドアップ型について考えてきました。

その結果、どちらの走法も効率的なペース配分ですが、常にその走法で安定したパフォーマンスを発揮していくことは意外と難しいとの考えに至りました。もちろん、全てがこのとおりとは言えません。しかし、イーブンペース型も後半ビルドアップ型もかなりの経験と走力が要求される走法であることに違いありません・・・。

そして今回は、、最後に残った走法である「後半ペースダウン型(スローダウン)」を考えていきます。ただし、この走法は場当たり的な「前半突っ込み型(後半失速)」とは違いますので、誤解のないようお願いします。

もちろん、どちらも後半ペースダウンする走法なので、常識的にはどちらも良い走法とは言えません。しかし、ふたつのパターンには相違があります。では、最初に何をさかいに「前半突っ込み型(後半失速)」と、「後半ペースダウン型(スローダウン)」とに分かれるかを考えていきますが、そのヒントは何キロ地点からペースダウンしたかを分析していくと判断できます。

それは、自ら経験したランナーも多くいると思いますが、ちょうど中間点をさかいに判断することができます。具体例として、中間点前からペースダウンした場合、高い確率で30k以降は歩く程度のスピードまで失速し、完走することも難しい状況に・・・。ところが、30k過ぎからペースダウンした場合、多くのランナーは何とかゴールまで粘り抜くことができます。そして、ハーフ地点から30k間でペースダウンした場合も高い確率で「前半突っ込み型」と同様になります。

このように分けると多くのランナーは、「そんなことは誰でも知っている常識」と笑います。

しかし、この中間点をさかいにペースダウンするか否かは、実業団選手(プロ)にも当てはまります。特に、最近のレースではペースメーカーがつき、男子マラソンはちょうど1kを3分のペースで刻んでいきます。そして、ほとんどの国際マラソン大会では中間点まで数十名の大集団を形成します。ところが、ほとんどの国際マラソン大会ではそこから一気に集団が崩れていきます。

その結果、中間点前後からペースダウンしたランナーの多くは一気に崩れ、完走すら危うい状況まで失速していきます。

つづく。

期分け・40

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前回からの続きで、「後半のハーフをペースアップする走り方」について考えていきます。

この走り方は前回もふれたように、最も効率的な走り方のように見えますが、マラソンに限って言えば最も再現性(安定性)の難しい走り方と感じます。その理由については下記に記載しますが、概ねハーフマラソン以下のロードレースや駅伝の走り方と大きく相違する点でもあります。

すなわち、マラソンに限っては、後半ペースアップする走法を自分自身の持ち味としてどんなマラソンでも常に発揮することは極めて難しいと感じます。※後半を諦めずに粘り抜く走り方とは違います。

では、なぜ難しいのかを考えてみます。

◆理由1).後半ペースアップするタイミングや、どの程度のペースアップならゴールまで押し切れるかを自分自身で判断することが難しい。

至極当然のことですが、マラソンは走っている時間や距離が長く、自分自身の体調や調子よりも当日の天候やコースに大きく影響を受けます。したがって、前半を抑えているつもりでも、コースによっては前半のアップダウンで狙いどおりに体力を温存できないケースや、後半に入って気温が上昇したり向かい風になるケースもあり、自分自身のイメージどおりに走ることが、実は難しいのです。

◆理由2).マラソンは、一緒にレースを走っているランナーからの影響を大きく受け易く、特に後半は自分自身のペースを貫いていくことが難しい。

例として、自分自身もペースアップしているにも関わらず、どんどん後続から追い抜かれているレース展開になった場合、メンタル的にも苦しくなり、高い確率で失速します。逆に、後半どんどん追い抜いている展開になったとしても、大きく失速しているランナーを追い抜いている状況はよくあり、実は追い抜きながら自分自身も失速しているケースは意外と多いのです。

◆理由3).後半ペースアップして好記録や好成績を達成できたとしても、なぜうまくペースアップできたかをゴール後に自分自身で解析することが難しい。

「30kから足が軽くなった」と、振り返るランナーがいます。しかし、次のマラソンでも同じように30kから調子が上がるような調整をすることは、実業団選手(プロ)を持ってしてもかなり困難な調整と言えます。また、「苦しくなっても前の選手がタイミングよく落ちてきた」と、振り返るランナーがいます。これについても常に同じようなレース展開にすることを誰も保障できません。他にも後半ペースアップするためには、前半をどの程度の余裕を持って通過するかを具体的な数値で表すことが難しく、レース中にそれを判断することは更に難しいと言えます。

以上のように、後半ペースアップする走法でマラソンを攻略していくことは意外に難しいと考えます。そして、過去においても後半ペースアップする走法を身上にして活躍したマラソンランナーは、ほとんどいなかったと記憶します・・・。

つづく。

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